第64話 死闘
ハーフタイム・・・。満身創痍の南武高校。
しかし、サトミは傷だらけの体ながらも、果敢にチアにも参加・・・。
「サトミちゃん、休まなくちゃ・・・」
「いいのいいの!こういう機会でもなきゃ「女」って判ってもらえないし」
満面の笑みでハイキックするサトミ。宏美も負けてはいない。さらに、まなかなも参加・・・。芸能プロはこれが目当てで彼女等を退部させなかったのだ。グラビアに採用だ・・・。
みゆきは怪我をした選手の手当てに忙しい。
一方・・・。大河原清はその巨体をもてあまし、沈み込んでいた。何度当っても怪獣人間安東に勝てないのだ。関東最強センターの名声も今や地に落ちた感が・・・。落ち込み、黙り込む清。
「清どん、ファイト!」
「お花ちゃん・・・。おいは・・・」
「清どんは、櫻島や霧島のようにでーんと構えていればいいのよ、元気を出して!」
「うおおおお・・・!お花ちゃん、おい、必ず勝つたい!」
「そうよ、その粋よ!」
そして始まった後半戦・・・。第三クォーターは、血で血を洗う壮烈な展開となった。
「ヘイ、ハンセン!」
「おう、ホーガン!」
「クロス・クラッシャー!」
ついに炸裂した方岩と須田のツープラトン、クロス・クラッシャーに次々倒れていく南武高校の選手たち。
だが、天才・サトルの絶妙なテクニックとパスで、サトミが走り、陽一が飛んで得点を返していく。
だが、神学館にも思わぬ伏兵が。
ボールを持って走る神学館の選手に、守護神武田のクリーンヒットが決る。だが、一瞬早く離れたボールは、神学館TEの油屋丹波に。
丸々太って背も低い丹波に、さすがの信彦も油断した。しかし、彼の予期せぬことが起きたのだ。
「何!」
なんと、子豚のような丹波が飛んだのだ。
「嘘だろう」
誰もが疑う空中技。この意表をついた攻撃で得点が。方岩のキックも決る。
だが、ここで引き下がる南武ではない。サトミが、陽一が次々得点。
信彦も、丹波に二度は引っかからなかった。丹波を粉砕だ。
しかし・・・。「キャー!」
方岩と須田の攻撃がサトミに直撃。もんどりうって倒れるサトミ。
「サトミ!」駆け寄るサトル。
「大丈夫よ!」気丈にも立ち上がるサトミ。
「う、あの女・・俺たちのクロスクラッシャーを喰らって立ち上がるとは・・・・」
その気迫に一瞬たじろぐ方岩。
「よし、作戦変更だ」
タイムをとり、守備位置を変更した神学館。なんと・・・安東をフルバック、というかセーフテイの位置に・・・。
「おんどれ、なめおって・・・!」
安東に勝てないまま、再び格下を宛がわれた清は激怒し、油屋兄弟と前田を粉砕した。
これが、復活の第一歩だった。だが、この時点では彼はまだ安東には負けたままだった。
方岩の作戦とは・・・。
「ウギャー」
「真田!」なんと、方岩は南武の選手に攻め込ませ、安東の壁でブロックして粉砕、さらに後ろから方岩・須田・馬鹿之助、虎丸の兇悪カルテットで襲うという作戦に出たのだ。次々倒れていく選手たち。
守る味方が1人、また1人減って行き、ついにサトミと陽一の両エースレシーバーに怒涛の集中攻撃が・・・・。
「キャー」
「いやん!」
サトミと陽一ももう立っているのがやっとのボロボロの状態に・・・。
「がんばれ、まだ僕がいるぞ」
「よっちゃん!」
サトミに群がる敵の間に割って入り、見事サトミを救援した義信。
佐藤義信が健在だ。義信の密着マークで、サトミと陽一は敵の襲撃をかわし、得点を重ね体力も回復させる。
「相棒、あいつをやるぞ」
「おう、生意気だ。」
方岩の次のターゲットは、義信か?
だが、狙われたのはやはりサトミ。
真田と全く同様、敵陣にあと一歩というところに立ち塞がる巨大な壁・・・。
「レイ君、ゴー!」
ベンチからなつの指揮棒が振り下ろされる。
「ウォーーーー!」
「れ、レイ君・・・・」
不覚にも、一瞬びびってしまったサトミ。
安東零の突進。更に背後から須田。絶対絶命のサトミ。
「キャーーーー!」
安東の肉の壁に弾き飛ばされ、踏み潰されそうになるサトミ。そして、その反動を利用して、その頚動脈にラリアートを決めようとする須田・・・。
だが、その須田を間一髪ブロックし、かつサトミを受け止めた赤い壁。
「よっちゃん!」
義信が間一髪間に合ったのだ。粉砕を免れたサトミ。
だが・・・。それは義信の悲劇の始まりだった。
「おのれ、またしても貴様・・」なんと、次の瞬間、須田のブルドッキングヘッドロックが義信に・・・。さらにその左腕で首をしたたかに。ロールバーを入れているがそんなことはお構いなしのパワー。
「うっ」短く声を上げた義信はそれっきり動かなくなった。
「よっちゃん!」「兄上!」かけよるサトルと高信。
「嗚呼、義信さん・・・」唯理は失神寸前。
担架で運び出される義信は昏睡状態に・・・。
「嗚呼、義信さん・・・」
「大丈夫、きっとよっちゃんは助かるわ・・・泣かないで唯理ちゃん・・・」
「唯理ちゃんとみゆきちゃんはよっちゃんに付いてあげて!」
佐藤義信は、安東と須田の攻撃で首を痛め、昏睡状態に陥ってしまったのだ。
しかも、時を同じくして、もう1人の守護神、武田信彦までが・・・
「うっ、やられたぜ・・・」
須田をマークした義信に対し、信彦は方岩をマークしていたが、逆襲を受け腕をやられてしまった。
「信彦!」
「宏美、心配ない、折れてはいないさ」
絶体絶命の南武高校・・・。そして迎える最終クォーター。得点は伯仲・・・。だが、南武高校にはもうまともに戦える選手はほとんど残っていないのだ・・・。大ピンチだ・・・!