第51話 日米対決!(その2)漢の戦い!黒船艦隊・アメリカ軍の驚異
激しさの中にも華のある、ちょっとエッチな女子の試合に引き続き・・・。
本日のメインイベント、全日本アンダー21(高校1年〜大学2年)選抜VS、アメリカアンダー21の、「鎧球太平洋戦争」、遂に開戦の火蓋が切られたのだ。
日本軍は、白い鎧に赤いパンツ、胸に日の丸をあしらったユニフォーム。指揮を執るのは老いて益々盛ん、元陸軍総司令官で、現在京都の京極高校の理事長などを務める、山名宗厳監督・98歳・・・。彼の若い頃にはまだ日本ではアメフトは伝来していなかったため、自らがプレーしたことはないが、元柔道五輪金メダリストであるとともに、ラグビーの元全日本主将、陸軍大学校チーム主将などを務めた経験があり、現在自ら京極高校の指揮を執っている。(ちなみに、ラグビー・海軍大学校の主将は、細川隆斉元総統であり、2人はラグビー、剣道、柔道のライバルでもあったのだ。ただし、あらゆる武道を究めた細川も、球技は海軍大学校時代のラグビー・サッカーだけであるに対し、山名はあらゆるスポーツを究めていた)
対するアメリカ軍は、青い鎧に真っ赤なメット、真っ赤なパンツ、そしてあちこちにあしらわれた黄色い星・・・派手なものである。
指揮を執るのは・・こちらも大物である。第2次南北戦争時の南軍総司令官であった、ドナルド=ダニエル=マッカーサー将軍が率いて乗り込んできたのだ。その父、ドワイド=アーサー=マッカーサー元帥も第3次大戦時の米軍総司令官である。彼は、大戦で山名に敗北していた。(その結果、貧困層がニューヨークを占拠しロシア残党と結託して北軍となって、テキサスに本拠を移した合衆国政府と対決したのが第二次南北戦争である。マッカーサーは北部出身だが共産主義を憎むため南軍に身を投じ、見事アメリカの再統一と共産主義の撲滅に成功した英雄になったのだ)
当初は、ニューヨーク=エンペラーズの監督が率いる予定だったが、日本軍の指揮官が山名総帥と知り、名乗りを上げたのである。 マッカーサー将軍は山名元帥よりも50歳も若いが、同じ地位を持っている米軍きってのエリートで、その上、少年時代からその名が轟く名クォーターバック、米陸軍大学校チームを優勝に導いたこともあるフットボールの達人であり、自分こそが史上最強・最高のプレーヤーと確信していた。また、アメリカ人以外の人間がアメフトをプレーすることをバカにしている傲慢な性格の持ち主だった。
ちなみに、「ドナルド」という名前のため、「アヒル」と呼ばれると激怒し「怒鳴る」のであった。
先攻はアメリカと決まった。ということは、キックフはサトミ!
青空に吸い込まれる楕円球・・・。
そして、巨漢センター、ボブ・ゴンザレスのスナップが、♯16番、クォーターバックの「エースのジョー」の手に渡った!
ここからが勝負だ。
ジョーは今回のアメリカ選手の中では一番小柄(それでも182センチ)・・・回りは皆すごい大男である。日本のナンバーワンセンター、西本剛に匹敵する体格の選手がザラにいる。
しかしその一方で、今大会最年少選手でもある、神学館・安東零よりも大きな選手は、アメリカにもいなかった。その零は経験不足からベンチスタート。唸り声を上げて抗議するが、従姉のなつになだめられ、鎖で繋がれておとなしくしていた・・・・。
ジョーの球が今、投じられた!それは、変幻自在の球筋で、日本のディフェンス陣も惑わされる・・。そして、エースレシーバーのクロード=クロマテイの手に渡った楕円球・・・。
日本の誇るディフェンスの鬼、武田信彦を弾き飛ばし、さらに日本最速の馬場鉄平をも上回る速さで突進するクロマテイ・・・日本側でいえば、玄田鉄男と似たタイプだが、サイズもパワーもスピードも更に上を行っていた。玄田はその容姿と実力から、日本最大最強の急行旅客用蒸気機関車・C62に例えられていた。だが、クロマテイは同じ蒸気機関車でも、アメリカ横断鉄道の巨大機「ビッグボーイ」のようであった。
技と体格では、日本も優秀な選手を集めた。だが、スピードでは・・・
そう、実は日本チームには、白人の血を引く選手も多かった。(安東零や東兄妹など)
だが、黒人は一人もいないのだ。白人や東洋人は、どんなに鍛えても、工夫しても、走る速さだけは、構造上黒人を上回ることは出来ないのだ・・・。
そしてパワーも・・・。黒人はスピードを犠牲にすることなくパワーを付けられるのだ。
白人だって負けてはいない。アンデイ=バース、トム=ホーナーなどの選手もジョーのパスを受けてどんどん得点していく・・・。
手も足も出ない日本軍。
マッカーサー監督はパイプを噴かして余裕の表情。一方の山名監督はハゲ上がった真っ赤な頭を茹蛸のようにして激怒していた。
「監督はん、レイ君をだしましょう」
なつの進言にも「まだ早い!」と一喝・・・・とりあえず第一クォーターは捨てて、敵の出方を見ようというのだ。気の短い山名が一番辛いのだ。
山名は信じていた。そして、そのとおりになった。
ガツーン!
遂に、日本の大国柱、西本剛がアメリカ軍の進撃を食い止めた。
「信じていたぞ」
そして、初めて攻撃権が日本に移った。
栄誉ある先発QBは・・・サトルか?頼伸か?安東竜か?・・それとも陽一?
その誰でもなかった。殉教大2年の、新島潔だ。彼は高校3年の時、吉本工業・西山のタックルを喰らい、一時は人事不省に陥ったがその後半年以上に及ぶ必死のリハビリで、見事復活しカムバック賞を受賞していた。その復活ふりを認められての栄誉である。
選手も大幅に入れ替わった。サトミも元気良くサトルとともに飛び出す。だが・・・!
「あっ!新島さん・・・」
いきなりのQBサックだ・・・。
古傷が開いてしまった新島はよい所を全く見せることなく退場・・・。
しかし攻撃権はまだ日本側。代わって、今度こそ真打・・・我等がヒーロー、東サトルが。しかし2回目以降は前に投げられないので、自ら走るしかない。だが、彼の思い描くとおりの位置には、最愛の妹、サトミがいる・・・はずだったが・・・
絶叫が。
「何しやがるてめー!」
サトミの怒声だ。
サトミが女の子だと知ったマークについたアメリカ選手が、サトミのケツを撫でたのだ。
審判から、両者に警告が出る・・・。すっかりペースを乱されたサトルは、結局攻撃権を敵に戻してしまった・・・。そして第一クォーター、日本側は無得点で終ってしまったのだ。
陣地を入れ替えての第2クォーター・・。
ガツーン!さ、さすがだ!日本軍主将・西本剛が、アメリカ軍のラインの中心・ゴンザレスを倒した!
やった!日本の大国柱・西本 剛が
アメリカの大黒柱・ゴンザレスを倒した!
反撃開始!
「さすが旦那!」日本側は大喜び。
「お兄ちゃん、素敵!」みゆきも感激だ。
「よし、西本先輩の作ってくれたこのチャンス・・絶対ものにしてやるぞ・・」
サトルの投じた球は、サトミでも、陽一でも、安東でもなく・・・
この試合、バックスに回っていた島田の手に渡った。
見事に敵のマークを外した。更に・当然怒り狂ってタックルしてくるアメリカ軍。だが、島田には特技があった。それは、自らにタックルしてくる選手のパワーを利用して返り討ちにすることだった。
「ガッデム」
敵をすり抜ける島田。そしていつのまにかボールはなくなっている。彼も元来は頭脳派QB。
パスはお手の物。ではそのパスは誰に?
安東だ。西のエース・聖アンドリューこと、安東竜の手に渡ったのだ。
安東に迫るタックル。しかし、武田信彦がガッチリブロック。
黒人のタックルにも耐えられる彼の肉体はまさしく不死身であった。そしてその隙にボールは、ぼくらのヒロイン・東サトミたんの手に・・・。そして日本の初得点は、サトミが挙げた!
つづいてキックも成功。
勢いに乗る日本・東サトルは、第一クォーターの鬱憤を晴らすかのように、選手たちを自在にコントロールして得点を重ねていく。レギュラーシーズンでは、後進の育成のため正QBを陽一に譲った彼だが、なんといっても現在、誰の目からも彼こそ日本ナンバーワンQBであった。同じポジションのライバル誰もが認める実力。
阪急高校→絶命館大の河原町、武体大1年の馬場、高橋頼伸、そして陽一が得点。
日本人には白人のパワーも黒人のスピードもないが、器用さ、小回りで対抗するのだ。
中でもやはり、サトルとの相性バツグンなのは双子の妹・サトミ・・・。
だが、日本人、それも女の子にいつまでもやりたい放題にさせておくアメリカ軍ではなかった。
選手交代・・・
なんと、エースQBのジョーが守備にも出てきたのだ。そして、マークはサトミ・・・。