第9話 快進撃!南武高校!

晴れ渡る空の下、南武高校の初戦、(3回戦)k(神奈川商業)を迎え撃つ。

この記念すべき第一戦に、我等がサトミはスターティングレシーバーとして名を連ねた!

おしゃれなk高の生徒たちはバンカラな南武の生徒を普段からバカにしていた。ぎゃふんと言わせるチャンスでもある。

 「お願いしマース!」

先攻は今日も南武。鮮やかに決まるサトルのパス。剛に踏み潰されるk高の選手たち。

そして先制のタッチダウンのサトミ!これが関東高校アメフト界初の、女子選手による得点であった。(以前にも、選手登録された子はいたが、公式戦未出場。また関西では出場記録あるも得点ないので、日本初の女子の得点でもある。)大歓声がまきおこる。

次々決まる南武の作戦。だがこれを立案したのは主将の剛でもQBのサトルでもない。

なんと、ベンチからサインを送っているのは1年生マネージャーの西本みゆきだ。彼女もまた天才といわれた西本剛の妹。さすがに眼鏡をかけた華奢な女の子、サトミのように実際にブレーすることは出来ないが、ルールや戦術は全てマスターしており、その知識を生かして作戦を立て、適切な指示し出しているのであった。文字通り、マネージャーというか、チームの作戦参謀である。飯田監督も目を細めて見守っている。

 この飯田監督は、もちろん南武高校の現役監督だが、みんなからは「ご隠居」と呼ばれている。それには2つの訳があった。

1つは、73歳という高齢であるということ。

もう一つは、本来、南武高校の本体である、武蔵体育大学アメフト部の監督を長く勤め(さらにそれ以前は、日本の高校アメフト創世記に、都立南高校で指揮を執っていた。そのときの主力が、サトル・サトミの父・東七郎と、剛・みゆきの父、西本幸男だったのだ。)、その時代に「鬼」「猛将」と呼ばれていたが第一線を引退し、高校の監督として余生を送っているからなのだ。

 悔しがるK高の選手たちだが、4(ベンチのみゆき含む)の連携についてこれない。ついに、93-0の完勝で初戦を飾った。

 そして月間アスリートには、リコの組んだサトミの独占記事が載り、サトミは他の記者からも取材を受けるようになった。

「ジャンヌダルクの再来!南武高校ゲーターズ・東サトミ選手」という見出しのこの記事は、のちにプレミアがつくようになるのだが、それはのちのちのことである。敵のタックルを引きずりながらの豪快なタッチダウンを決めるサトミの写真、試合前の天真爛漫な笑顔とともに、詳細に載ったのであった。もちろん、前から注目されていた剛とサトルの記事も載ったことは言うまでも無いが、リコの作り上げたこの素晴らしい記事の前には霞んでしまうのであった。この記事がきつかけで、リコはとんとん拍子に出世していく・・。

 続く第二戦、準決勝の鎌倉赤橋高校も、大差で破った。そしていよいよ、神奈川の王座をかけて、旺盛二高との決戦が迫ったのであった・・・・・・・。


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