第2話 勝ち取れ!栄光のユニフォーム!
屈強の男たちがぶつかる戦場、アメリカンフットボールの世界に殴りこみをかけた美少女・東サトミ・・・・。いろいろあったがともかく入部を認められ、1月がたとうとしていた。
キーンコーンカーン。終業のベル。と同時に、グランドに急ぐ。ここは部室。
「早く着替えてグランド整備しなっきゃ!」サトミたち1年は練習前に入念なグランド整備を義務付けられていた。
「おいサトミ!困るよ・・・」
「いいじゃん、オレたち仲間だろ?そ・れ・に♪キャプテンだってオレのこと男として扱えって言ったじゃん。気にしない気にしない!」
なんと、サトミは堂々と、男子更衣室に入ってきて着替えている。しかもその着替えも大胆だった。
南武高校には一応男子ガクラン(通年、真夏でも)、女子セーラー服の制服があるが、カリキュラムの半分が保健と体育であるこの学校では、式典の時を除き、大多数の生徒は白シャツに男子は紺色のナイロン製短パン、女子は同色ブルマの体操服姿(冬用ジャージの着用は認められていない)、なかには部活のユニフォームを着放し(朝錬のあとそのまま授業を受けるため)のものも多く、レオタードや武道義姿の生徒も校内をうろついていた。サトミは、女子でありながら、男子用の短パンを着用しており、短い髪、小麦色の肌、そして筋肉質で平らな胸からは、どうみても男の子にしか見えず、また双子の兄のサトルとはウリ二つ、間違えられることもしばしば。むしろ、性格が穏やかなサトルのほうが女の子と間違えられることすらあった。そのサトミだが、おもむろにTシャツを脱ぎ去り、短パンもずり降ろしてフッパンを穿き、防具をかぶって、戦士の姿に早変わり。この防具は5キロもあり、さらにヘルメットは2キロもある。しかし驚いてはならない。西本主将らラインの防具はより頑丈で重く、10キロもあるのだ。とても普通の人間、まして女の子が着けるようなものではない。しかし小学校から防具をつけてプレーしたサトミにはお手の物、素早くスタイルして一番乗りでグランドに飛び出していった。
それにしても豪胆。回りの部員たちも、勃起するのさえ忘れるほどの豪快さだった。全く膨らんでいないとはいえ、ぽちっと起った乳首、乳児のペニスほどもある大きなクリトリス、そしてその先端からぱっくり割れた『女』の部分を惜しげもなく、隠すことすらなくさらけ出して、けろっとしているのだから。マネージャーや他の部活の女子選手の着替えを覗くような彼らだが、美少女のほうからマンコと胸をむき出しにして自分たちの更衣室に入ってくるのに、驚きと呆れから、呆然とするだけだった。そしていつの間にか、サトミが一緒に着替えるのは当たり前のこととして、特に誰も何も感じなくなっていったのであった。
「おーいサトル!早く速く!」手を振りサトルを呼ぶサトミ。ローラーを二人で引こうというのだ。双子だけあって、息のあったコンビネーションでグランド整備もてきぱきこなしていく。そんなサトミに、当初入部を反対していた先輩たちも、信頼を置くようになった。もはや、彼女は南武高校アメフト部の一員として完全に受け入れられていた。
そして今日は、いよいよ始まるゴールデンウィーク合宿に備えての、総点検と、1年生のポジション確定の日でもあった。
10ヤード走、タックル、パント、パス、ベンチブレス、選手たちの特性や能力が試されていく。驚くべきはサトミ。女子でありながら、全ての項目で男子の平均を大きく上回っていた。
「見たか!」といわんばかりにウインクするサトミ。だが、もっと凄いのは彼女の兄、サトルだった。全ての項目で、新入部員17名中最高値を示した。だがそれだけではない。彼はまさしく天才だった。「関東高校最強」を自認する剛も、「最強はオレ様だが、最高はこのサトルと認めざるをえないな。よし、決まった。」
「集合!」
剛の号令が轟く。
「みんなよくやった。例年に無くみんな素晴らしい。特に今年は2年生の層が薄いから、俺様たち3年だけではなく、1年のお前たちにもチャンスがあるぞ。では発表する。
サトル。お前にはこのユニフォームを授ける。攻撃ではQB、守備ではRBを務めてもらう。それと2・3年生に言っておくが、サトルは今シーズン、原則としてスターティングQBとして起用する。判ったな!」背番号1、エースQBに相応しい背番号だった。
歓声がおきる。ポジションを奪われた上級生や、狙っていた同級生たちも、サトルの実力からすれば納得だった。
他の部員たちもそれぞれ、ほぼ希望のポジションが与えられた。そして最後にサトミが呼ばれた。
「サトミ・・・・。正直お前の実力と、根性には俺様も脱帽だ。今日からこれを着てくれ。」
手渡されたのは真新しいユニフォーム。背番号はサトルと連番の2番。くしくも出席番号と同じだった。
「サトミよ。お前はサトルとのコンビプレーに期待する。レシーバーを務めてくれ。だがお前は一応女、守備は万が一ということもある。攻撃にだけ専念してくれ。だが一応ランニングバックの練習もしておけ。それと、もう一つ。お前は脚が誰よりも高く上がる。キッカーも務めてもらうのでその練習もしてもらうぞ」
「ありがとう剛ちゃん!じゃなかったキャプテン♪」
「よかったなサトミ♪」「うん、サトル♪」手を取り合い喜ぶ双子。
だが、サトミにキッカーを委ねた剛の真意は別のところにあった。
(サトミよ・・・。たしかに今のお前は素晴らしい。10年に一度の逸材だ。サトルにだつて劣らない。だが、だが・・・・やはりお前は女だ。いつか必ず、通用しなくなる日が来る。それも今年中には。だが俺様はお前を部から出したくない。いつかこの俺様の決断が正しかったことが証明される日が来よう。お前は女であるがゆえに、いつか胸が膨らみ脂肪がつき、まともには当れなくなる。だが女だからゆえに、邪魔するものがないから脚が上がる。今にお前が高校アメフト界史上最高のキッカーだと呼ばれるようになるのを楽しみにしている。それにしても、惜しい。お前が本当に男だったら・・・・)
チームドクター西本の子でもある、剛は、サトミがまだ初潮を迎えておらず、2次性徴が発現していないことを知っていた。通常、小学5〜中学の間に発現し、男子は男らしく、女子は女らしく体が変化し、かつ大きく成長する次期である。そして女子のほうが若干早いため、小学校高学年では一時的に女子の体力が男子を上回ることも多い。だがその後すぐに脂肪がつき、体が丸くなって男子に抜かれ、ニ度と抜くことは出来なくなるのだ。だがサトミはその運命の日をまだ迎えていなかった。ゆえに男子のような体つきで男子顔負けの体力を誇っていたのだ。