鉄の女の挑戦
ある日の帰り道。チラシを受け取る隼人と由香。
「ねぇ見てみて隼人君!今度できたスポーツクラブよ♪女性会員はお菓子食べ放題、専門インストラクターが親身に指導ですって!」
「稽古ならうちの道場で僕がつけてあげるよ。それにお菓子なんて食べたらトレーニングの意味がないんじゃない?」
「もーいじわる!ね、覗くだけ覗いてみない?」
「そうだね、行こう!」
こうして二人はグロリアスポーツクラブ鎌倉に出向いたのであった。
「無料体験コースは女性のみとなります。そちらの男性の方はゲスト会員料金をお支払いください。」
「何?まあいいか・・・。でも由香ちゃん1人で大丈夫?」
「平気よ!」
ところで何故由香が突如体を鍛えようとしたかというと、ブラディ=マリー(その正体は隼人の姉・マリコ)との戦いで、スタイル、髪など自身を持っていた全てがマリコに劣っていることに気付いたからなのであった。しかし全細胞にバルディチップが埋め込まれている由香は、バルディーナに変身したあと解除すると、必ず改造された日の生身の体に再生されるため、鍛えても、逆に怠けても本当は無駄なのであった(食べ過ぎれば太るし、鍛えれば絞れるのだが、前記の理由により、変身すると元に戻ってしまう。逆にずっと変身しないでいれば体型も変化するし、歳もとる。ただし一度変身すれば若返ってしまう。このことは、のちに二人が戦いが終わり、宇宙に旅立つ前に地上で実験もかねて子供を産み育てた時苦労することになる。(定期的に変身して若さを保つとともに月面火星での生活を数年置きに過ごし、やがて外宇宙に飛び立つ準備をしていたから。結局、隼人は歳を重ね、由香は特殊メークで少し老けたふりをすることになる。これはずーっとのちのお話)
さて、男女別コース、隼人と別れた由香は、女性体験無料コースへ進んだ。
「絶対マリコさんより綺麗になってみせるんだから!全く隼人クンたら実のお姉さんなのにマリコさん見て大きくなっちゃって!許せないんだから!隼人君は誰がなんと言っても由香だけのもの。そして由香も隼人君のものなのよ!みてらっしゃい!」
中にはすでにどうがんはっても無駄なオバハンも含め数名の女性たちが不似合いなレオタードを着て指導を受けていた。由香はレオタードではなく、体操服とブルマに着替えて参加した。
「オス!あれ、元気がないな!」
「は、はじめまして・・・。よろしくね♪」
インストラクターは、男性顔負けの日焼けした発達した筋肉に意思の強そうな大きな目、大きな口、巨大な乳房、そして燃えるような赤い髪をした野獣のような女性だった。
「アタシは兵藤敦子。ここの専門インストラクターだ。ボディビルミス日本チャンピオンだ。よろしくね!」
「わたしは細川由香です。高校三年生です。」
「由香ちゃんはお人形さんみたいだけどなにかスポーツは?」
「はい、薙刀を嗜んでおりますわ。」
「薙刀ねぇ・・・顔に似合って古風な子だな。よし、まずはエアロビからだ。さあそちらに並んで・・・」
色とりどりのレオタに身を包んださまざまな年齢層の女性たちの中にあって、やはり一際美しく輝いているのは由香だったが、何故かブルマ姿だった。なぜなら、由香には「おてんば(スポーツや野外活動など)をするときには、きちんとブルマを穿く。それ以外の時は、着物かスカートを穿く」と祖父母から言いつけられているからなのだ。そして誰よりもブルマが似あう体型をしている。
激しいダンスに、由香のブルマは食い込んでゆく。
「可愛いわね」
突如敦子は、由香のブルマの股間を撫でた。
「先生、なにするの!ここは隼人君のものなのよ。触らないで!」
「ごめん、ごめん・・・。キミがあんまりにも可愛いものでつい・・・。ところで隼人クンってのは彼氏?」
「彼氏じゃないわ。許婚よ♪」
(オバハンたち)「やーね、あの子、まだ高校生なのに許婚だなんて・・・」
「最近の若い子は大胆ね。それにあの先生もすごいわ。」「ヒソヒソ・・・」
「ハーイ私語は謹んで!次は筋トレよ〜」
まあセクハラまがいの事件もあったが、由香は満足げだった。
「隼人君、由香通っちゃおうかな♪」
「由香ちゃんは僕と一緒じゃないとすぐ飽きちゃうからな・・・。」
「いじわる!お仕置きよ!」『チュ!』
由香は、全細胞・全神経が隼人を愛しているのだ。
そしてそれからしばらくしたある日の朝
「おいこれを見ろ!」
細川博士が朝刊を見て隼人と由香を呼ぶ。
「この近辺の主婦が、突如家事放棄したり、亭主や子供に暴力を振るいだしたんだ。殺人及び未遂も3件ほど起きているぞ!グロテスターの陰謀かもしれぬ。心当たりはないか?」
「あーーーっ!叔父様、この人しってるわ。由香が通っているスポーツクラブで一緒のおばさん!」
由香が指差したのは、寝ている亭主をビール瓶で滅多打ちにして全治6ヶ月の重傷を負わせ殺人未遂で逮捕された女であった。
「まさか・・・偶然だよ。」
「いや、僅かでも可能性がある限り油断は出来ない。隼人も今日からはスポーツクラブに通うのだ。」
そして隼人も、通うことになったが男女は完全に隔離されているのだった。
そして由香は。
「ハーイ、ここまで。今日は山本さん、小池さん、篠田さんは居残りね。あと細川さんも」
「先生ごめんなさい。隼人クンと待ち合わせしてるの」
「何、先生の言うことが聞けないの?困った子ね。じゃあ今日は帰ってもいいわ。明日特訓があるから彼氏に断ってきて」
「はーい」
そして事件は起こった。
翌日、山本凛子(45歳)、小池木綿子(39歳)、篠田瑞穂(29歳)の三人が、いずれも暴行事件を起こして逮捕されたのだ。
「やはりあの女があやしい。」
「先生のこと?あの人ね、女の人なのにすごくエッチで嫌な人なのよ。いつも由香のお尻なでたりブルマに触ったりするのよ。やーね!あ、そういえば明日特訓があるっていってたわ。」
「由香、昨日特訓した人が誰だかわかるか?この中にはいないか?」
「あーっ!この三人昨日居残りになった人たちだわ!」
「よし、決まった。今日は由香はその特訓を受けるんだ。そして隼人はいつでも変身できるように。」
「はい!」
そしてその日の放課後・・・・。
「由香ちゃん、何かあったらすぐ呼ぶんだ。」
「わかったわ。」由香は危険が迫った時テレパシーで隼人を呼ぶことができるのだ。実はいつもつけているカチューシャに、テレパシー増幅装置がついているのだ。
今日も激しいエアロビクスが始まった。水泳、筋トレ。
「さて、今日の特訓は・・・」
「はーい!由香でーす。先生よろしくお願いします」
「じゃあ今日は細川さん1人ね。解散!」
そのとき敦子の眼が怪しく光った。
「さて由香ちゃん、特訓ルームはここよ。」
エレベーターに載せられた由香。
「ずいぶんと下に行くのね。」なんと地下5階だ。というより、何故スポーツクラブに地下が5回もあるのか。
「さあついたわ。」
なんと、そこはグロテスターの基地だったのだ。
おばはんがヘッドギアを点けられて縛られている。
「フフフ。由香ちゃん、キミもこのヘッドギアを付けて!そして男どもを全滅させるのよ。
まず手始めにあんたの彼氏の隼人クンとやらから始末させてあげるわ」
いきなり由香を裸にして、拘束しようとする敦子。
抵抗する由香。だが回りの者たちがみな襲い掛かってきた。よく見るとグロテスターの戦闘員だ!やはりここはグロテスターの秘密基地だったのだ。
「敦子先生、あなたはグロテスターの怪人だったのね!なら遠慮はいらないわ!バルディ・チャージ!」由香は腕を突き上げ、変身ポーズをとった。すると由香の体は一瞬のうちにピンクの炎に焼き尽くされ、その中からピンク色に輝く金属ボディのサイボーグ・バルディーナが現れた。
「怪人?失礼ね。アタシはこれでもグロテスターの正規軍人・騎士の1人・アイアンレディ様よ!」そう言うと、敦子も漆黒の鎧姿に変わった。
「いざ勝負!でもまさか、我々グロテスター軍団をさんざん苦しめたという伝説のサイボーグ・バルディーナがこんなに華奢で可愛らしいお嬢さんだったとは知らなかったわ。でもアタシの好み・・・絶対調教してやるわ!覚悟!」
「覚悟するのはそっちのほうよ!えーい・バルディ・バトン!」
バルディーナの腰のポシェットから、2本の細い棒が飛び出した。それは彼女が手にするとみるみる大きくなった。そしてそれを2本接続すると長い柄となり、その先端から短い刃が飛び出し、薙刀になった。
凛々しく薙刀を構えるバルディーナ。
対するアイアンレディは鞭を取り出した。
「えい、やーっ!」勇ましい掛け声とともに切り込むバルディーナ。幼い頃から祖父・細川隆斉に仕込まれた自慢の技だ。
一瞬たじろぐアイアンレディ。だが・・・。オーラビームでコーティングされた刃が、アイアンレディの鎧は全く通用しないのだ。
「こんどはこっちの番よ!」うなる鞭。何度も何度も叩かれる。「キャー!」
しかしバルディーナもサイボーグ。鞭で打たれれば痛みは感じるが、傷は全くおっていない。だが!鞭が、バルディーナの胴に巻きついた。そのときである。
「それっ!どうだっ」
「キャーーーー・・・・!いやーん!隼人君助けて!」
なんと鞭から、超高周波電流が放電されたのだ。
体内に電子回路を持つバルディーナにとってこの攻撃は非常に有効だ。だがそれだけで致命傷にはならない。しかし、弱ったバルディーナにアイアンレディは馬乗りになり、殴る蹴るの暴行を加えた。
そして・・・・。
無理矢理引き起こされたバルディーナの仮面に、アイアンレディ、いや敦子は手をかけると、無理矢理胴体から仮面をむしりとった。
はらりと現れる由香の黒髪・・・。由香は失禁し、失神して変身を解除してしまった。
その由香を無理矢理ビンタしてたたき起こした敦子は、自らも裸になり、さらに由香を痛めつけた。
その頃、SOSを受けて現場に急行しようとした隼人は、敵戦闘員の襲撃や、建物内のトラップのため由香のもとにまだ駆けつけられないで居た。変身すればトラップや戦闘員などものの数でもないのだが、彼の変身するバルディバンには、最大出力を連続発揮すると15分しか戦えないという欠陥があり、怪人、騎士、怪獣らと闘うまでギリギリ生身で戦わなくてはならないのだ。そしてやっとの思いでアイアンレディのアジトにたどり着くと同時に変身したバルディバンの見たのは、丸裸にされて洗脳台に縛り付けられている由香の姿だった。
「おのれこのクソブス!よくも由香ちゃんを!オレが相手だ!」
すぐに鎧を纏い、反撃するアイアンレディ。
鞭が唸る!だが、その鞭をバルディバンの剣がバッサリと寸断した。
焦るアイアンレディ。「とどめだ!」
アイアンレディに切り込むバルディバン。
「ズババっ」
確かな手ごたえがあった。しかし!
真っ二つに割れたのは鎧だけ。中からは筋肉の塊の女が、眉間から血を流して現れた。
「バルディバン!いやハヤトくんとかいったわね!みてのとおりアタシの鎧はアンタに真っ二つにされてしまったわ。でも戦いはまだこれからよ!」鈍器を手に、バルディバンに襲い掛かる敦子!だがバルディバンは一方的にそれを受けた。いくら筋肉の塊とはいえ、生身の女性に殴られた程度では全くダメージはないのだ。
「卑怯者!何故戦わない!アタシが女だからか!」
「いやちがう。」「ならば何故!そうか、わかったぞ!裸の女は殴れないんだなっ!ならばおまえも脱げ!言うことを聞かないとおまえの大切な娘をこうしてやる!」
動けない由香に短剣を突きつける。
「待て!わかった。勝負してやる!」
隼人は変身を解除した。身につけているのは白い褌一本のみ。(隼人は、下着は褌を着用する)
「行くぞ!」
「おう」
勝負は一瞬だった。
隼人は敦子のタックルを難なく交わすと、彼女を抱え、脳天から膝に逆落としした。
「ぎぇーーーーっ!」不気味な叫び声を上げ、ゲロを吐き失禁し脱糞した敦子。それを投げ捨てると隼人は由香を揺り起こした。
「由香ちゃん、だいじょうぶ?」
「隼人クン・・・。怖かったわ・・・。でもやっぱり来てくれたのね・・・。ありがと」
それを苦しい息から見た敦子は「クソっアタシはまだ負けてない・・・と這いより、立ち上がって二人を鉄アレイで殴ろうとした、が力尽き膝を落とした。
「畜生!殺せ!でなければ犯せ!」泣き叫ぶ敦子。
「あいにくだが僕は傷ついた女の人を痛めつける趣味はないし、由香ちゃん以外の女じゃ起たないんだ。」
「あれ、隼人君うそつき!このまえマリコさん見て起ったでしょ!」
「え、そんな・・・・。」
「ところで隼人君、チャージしないと・・・。」
「そうだったな。実はもう少しでガス欠になるところだったんだが敦子先生が生身での勝負を挑んでくれたおかげで助かったんだ。お礼を言っておくよ。じゃあ、機会があったらまた会おう!「バイバイ♪」
「待て!勝負はまだ・・・」絶叫する敦子。
二人は変身してチャージすると、一挙に建物を駆け上がり脱出した。と同時に、地下室が崩れ落ちた。自爆装置が働いたのだ。
敦子は、間一髪バルボン将軍に救出された。
敦子(仮名)はグロテスターのふつうの少女であったが、怪人にレイプされ、その復讐のため体を鍛え、ついには騎士に取り立てられたのであった。グロテスターの地球侵攻には積極的に加担しているが、本当に倒したい人物は、彼女の青春を奪った怪人軍団の長・ワルモナイトなのだ。また、ワルモナイトに限らず、弱い女性を痛めつける男性そのものに憎しみを感じるようになり、そのことを知ったグロテスター上層部は、彼女に女性を鍛えさせて洗脳し、社会を混乱させる作戦を指揮させたのであった。グロテスターのエリートともいうべき騎士となったのも、ワルモナイトに近づき復讐の機会を得るためだったのだ。 そしてそのことを知っているバルボン将軍は、彼女を間一髪救い出したのであったのだ。将軍もまた、バルディバンとの戦いの際、怪人の裏切りで左腕を失い醜い義手にされてしまったのだ。
(7話参照http://megaballer.schoolbus.jp/valdy2008/v_story0007.htm)
グロテスターの地球侵略は続く。だがその陰で暗躍する怪人軍団長ワルモナイトの野望が、徐々に明らかになりつつあったのだ。
だがバルディバンや細川博士は、そのことをまだ知らない。
バルディバンよ!一日も早くワルモナイトを倒すのだ!そして地球に、そしてグロテスターにいや全宇宙に平和を取り戻すのだ!
なお、グロリアスポーツクラブの爆発事故は、地下から温水をくみ上げるポンプが故障して熱湯が噴出し、その熱がボイラー燃料に引火したためということにされ、細川総統の親友で、日本の全私鉄を影から支配する、帝急電鉄総裁・武藤敬太氏によって「帝急スポーツクラブ横須賀」として再スタートすることになった。