サイボーグ戦士・バルディバンとバルディーナになった隼人と由香・・・。二人は、ふだんはとても仲のいい高校生カップルだ。どこへ行くのも何をするのもいつでも一緒。戦うときも、一緒である。
 二人は既に婚約しているので、住んでいるのも一緒なのだ。
 さて、二人は赤橋高校のサッカー部のストライカーとマネージャーでもあるが、隼人は、実は剣道部も兼ねており、試合の日だけ剣道部に行くのだ。幼いころより、由香の祖父・細川隆斉元帥に剣術の秘儀を仕込まれた隼人は強すぎるため、剣道部にはあえて入らず、さして強くも無いサッカー部でのんびりと部活をエンジョイしているのだ。そして、今日は、その試合の日である。
 「隼人君、由香も行く!」
「ダメだよ由香ちゃん。前と違って君にもマネージャーの仕事があるだろう?ごめんね」
以前はどこに行くのも何らかの理由をつけてくっついて来た由香。サッカー部ももともと、由香がやりたくて入ったものの、女子プレイヤーは募集していないので強引に隼人を誘い、自らはマネージャーに納まったのだ。
というか、隼人専属マネージャーだったのだが・・・。
 「意地わる!」
隼人の試合は、仙台で行われる。哀れ由香は置き去りにされてしまった。
 「ねぇ、山本君!今日の練習は終わりにしましょう。たまには休息も必要よ」
隼人のところへ飛んで生きたい由香は、主将の山本に、練習を軽く切り上げるよう頼んだ。
 究極の美少女である、由香に頼まれて首を横に振れる奴はいない。もともと、強豪でもないチームで、なんとなくキャプテンの山本にとっても、たまに休むのも願っても無い事だが、立場上言いづらかったのだ。
 鎌倉駅でキップを買い、自宅に戻って支度をしようと心をときめかせ家路を急ぐ由香。もう心は隼人の元である。ところが・・・。
 キャー!住職がいない荒寺の前である。女の子、それも幼児の悲鳴だ。はっとわれに返り、走り出す由香・・。
なんと、グロテスターの工作員が、4歳ぐらいの女の子と猫を、攫おうとしている!
「あっ!エリナちゃん・・・・!」なんと、女の子は由香の従姉妹(細川博士とクラブのママの間に生まれた子で、離縁されている)の、エリナだ。
 エリナが、父である細川博士と毎月面会していることを知ったグロテスターは、博士を攫ってバルディバンの秘密を奪おうと、狙っていたのだ。
 「待って!ちいさい女の子を攫うなんて許せない!」由香は、敵の工作員に向って、拾った木の枝を持って突進した。しかし、全く効果がない。しかし、エリナの前では変身しづらい・・・。
 逆に追い詰められる由香。絶体絶命のピンチ。しかも、頼りの隼人は今仙台にいる・・。
工作員の汚い手が、由香に迫る・・・。そのときだ。エリナが気を失った。猫のあっくんが、テレパシーで由香に知らせたのだ。由香は、猫の意思を理解する特殊能力を生まれつき持っていたのだ。
 「こんどは、こっちの番よ!バルディ・チャージ!」まばゆいピンク色の光に包まれ、由香は全身メカのバルディーナにその身を変えた。
 「いくわよ!薙刀をとったバルディーナは、次々工作員をなぎ払い、エリナとあっくんを助け出した。しかし、そうはいかない・・・。
「ちょこざいな小娘め。ワシが相手だ」
 鉄兜をかぶり、豊かな口ひげを蓄えた武人が、巨大な木槌を振りかざして、襲い掛かってきた。
それを、薙刀を上手に使って受け流し、勢い余って姿勢を崩す武人に衝きかかるバルディーナ。武人の肩当が片方外れた。
 「むむ、やるではないか。ワシはグロテスター騎士団・兵団長のバルボン将軍じゃ。婦女子に敗れたとあっては名折れ。本来女子供の殺傷は好まぬが、覚悟いたせ」
 腰から短剣を抜き取った将軍は、その強力でバルディーナに迫る。ついに、彼女の細腕が掴まれ、強化繊維でできた首の部分・・・比較的装甲が薄い・・に、まさに短剣が突き立てられようとしたときだ。
 「うわっ」うめき声を立てたのは、バルボン将軍だ。背後から、異形の戦士が切りつけてきたのだ。迸る鮮血・・。
「き、貴様は怪人軍団の・・・」
「ハハハハ・・・貴様のような老いぼれの出る幕ではないわ。バルディーナをいたぶり殺す栄誉は、俺様のものニダ、ハハハ」
「卑怯な・・・」なんと、またしても同士討ちだ。あと一歩でバルディーナを倒すか、捕らえることができた味方の将軍を、怪人がいきなり切りつけたのだ。
 「おじいさん、大丈夫・・・?」さきほどまで追い詰められ、もう少しで殺されるところだったのにもかかわらず、将軍の身を案じる由香・・・。
 「えーい、敵の施しはいらんわい!余計な事をするな」
「キャア」将軍は、重傷を負っているにもかかわらず、バルディーナをけり倒すと、
「貴様、太子にこのことをとくと伝えておくぞ・・・」捨てセリフを残して、部下たちとともに、引き上げていった。
(部下たちは、みなバルディーナの峰打ちで気絶していたのだ。彼女は、よほどのことが無い限り、たとえグロテスターであっても命をとることはない)
 ハハハハ・・・・。今度は俺様が相手だ。尻尾の生えた、一つ目の機械人間は、ブキミな笑いとともに、バルディーナに襲い掛かる。必死に反撃するが、薙刀を折られ、光線銃も通用しない。
「いや、離して!」
「さっきの威勢はどこだ?俺たち怪人はさっきの生身のクソジジイと違って、貴様の武器など何一つ通用しないぞ・・ハハハ・・・俺様は不死身のロボ怪人・グビラザード様だぁー」
 ついに、背後を取られ、捕まってしまったバルディーナ。その汚い爪を、バルディーナの体に伸ばす。
「いや、いや、イヤーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」 
 背後から、バルディーナの丸い胸のふくらみの部分をわしづかみにする。
「いい形だ・・・。この下にある本物の胸はさぞや柔らかいのだろうな、グヒヒ・・。いや、俺と同じサイボーグだから、ただのメカかもしれんがな。」
 キシギシ・・・軋む音がする。そしてついに、もうひとつの手が、これも後ろから、彼女の一番大切なところへ回された。もっこりと盛り上がった、ピンク色の装甲板・・・。その形は、いうまでも無く女性自身をかたどっている。いや、事実改造されたこの姿においても、その機能を保っている。ここを破られてしまうと、理論上は不死身のはずの彼女も、死か、もしくは再起不能の大損害を出す事になる。全身の力を、このハッチを開閉する人工筋肉に集中し、必死でここをこじ開けようとする敵の爪に抵抗する・・・。しかし、そのためただでさえ非力なほかの部分の力は抜けてしまい、逆に上半身は全く無防備になってしまった。
 「ああん、いやーーー、やめてよーー・・・は、隼人君、助けて〜」
バリっ。遂に、胸の装甲が破られた。中から露出する回路。ここには、バリアー発生装置、そして本来の乳腺から母乳を搾り出す装置などが収められていた。母乳タンクが破られ、こぼれだす・・・・。
 「あっ!あたしのおっぱいが・・・・」
ショックのあまり、ヘナヘナとなり、同時に今まで堅く閉じられていた股間から、エネルギーを勢いよく逆流させるバルディーナ。
 「うおおおおおおおっ」その直撃を受けたグビラザードは、一瞬ひるんだ。

 そのころ・・・。仙台での試合に圧勝し、仙台空港から飛び立とうとした隼人の元へ、由香のピンチを知らせるテレパシーが届いた。「由香ちゃんが危ない。よし、変身してワープだ・・」バルディバンのワープ機能は、非常に限定されている。行き先は、バルディーナの半径1メートル以内と細川博士の研究室内の転送装置の2箇所だけだ。というより、ワープ装置が、研究室と由香の体内の2つしかないからだ。
 ところが、空港に警報が鳴り響く。なんと、グロテスター円盤の空襲だ。隼人は、躊躇無く変身すると、バルディシューターで円盤を全期撃退し、混乱を避けようとオーバーランしそうになった飛行機を受け止めて助けた。しかし、その間にも、バルディーナからの悲鳴が届く。変身前はかすかに感じるテレパシーも、変身後はヘルメット内の増幅装置により、情景まで克明に映し出されるのだ。
「由香ちゃん・・・ごめんな、今すぐ行くよ・・」腰のワープボタンを押したバルディバンの姿は忽然と消え去り、そして今まさに、正気に帰り動かなくなったバルディーナに、醜い一物を衝き立てようとしたそのとき、ワープアウトしてきたのだ。
「なんだお前は!」「問答無用っ!」一閃とともに、あっけなく真っ二つに両断されるグビラザード・・・。
 それを捨て置き、バルディバンは、バルディーナに駆け寄り、抱き起こす。そっとヘルメットの解除装置(これを入力しないと、メカむき出しの顔が出てくる)を作動させ、やさしく仮面をはずすと、中から生気のない由香の美貌が現れた・・・・。「ゆ、由香ちゃん・」自らもヘルメットを脱いで、その顔を抱き寄せ、口づけした隼人。すると、うっすらと目を開けた由香が、開口一番、「エリナちゃんとあっくんは・・・・」
 「?」見ると、エリナは気を失っているものの、縁台の上におり、猫はその顔をペロペロなめていた。
「大丈夫だよ。おそくなってごめんね・・・」
「よかった・・・。」しかし、そのとき、死んだはずのグビラザードが蘇り、さらにロボ兵士も湧き出てきて、再び二人に襲い掛かってきた。
 「由香ちゃん、立てるか?もし大丈夫なら、エリナちゃんを頼む。こんなザコ、僕一人で十分だ」
「オーケー。まかせて」
ヘルメットをかぶりなおした二人は、それぞれの任務につく。そしてあっけなくロボ兵を全員爆死させたバルディバンは、再びグビラザードを追い詰める。
 「無駄だ。俺様は不死身なのだ」「試してみるか」「ぐわぁーーー」
大爆発する、グビラザード。やった。だが、やはり奴は不死身だった。なんと、その火柱の中から、巨大化して蘇ったのである。そして、バルディバンもまた、エネルギーが尽きかかっていた・・・。
 バルディーナが、こちらを見て頷く。彼女もまた、弱っていた。だが、しかしである・・・。
 「バルディクロス」二人が最後の力を振り絞り、空中高く飛んで、そこで男女の交わりをかわす。まばゆい光につつまれ、二人は融合巨大化し、戦闘巨人バルディスターになった。
 「グロロロ・・・無駄無駄・・俺様は不死身だ」
 口から火を吐き目から怪光線を出して暴れるグビラザード。手やしっぽを切り落としても、またくっついてしまう。苦戦するバルディスター。そのとき、由香の声がバルディスターの運動をつかさどる隼人に聞こえた。
 「心臓を狙うのよ。口から火を吐くとき、その口の中から剣を突き立てて、こじってみて」
「よし、やってみる。」だがそれは、火炎の直撃を受ける事を意味した。
「由香ちゃん、熱いけど我慢してね。」「いいえ、こうしてあなたと合体していればどんなことも平気よ。さあ、いくわよ」
 二人は、覚悟を決めて、敵が火を吐くタイミングを狙った。しかし、こういうときに限り、手持ち武器や尻尾、目からの光線を使う。あせる二人・・・。しかしついに、そのときがやってきた。バルディソードを、ランスに変化させ、一瞬の隙を着いて突撃!5000度の熱を浴びながらも、ひるむことなく突っ込んだ二人の正義の鑓は、ついに不死身の怪人サイボーグの喉を貫通し、心臓に達した。
「グロロロ」そして、そこに更に、剣の先から、渾身のエネルギー波を送り込み、焼き尽くす。
「ソンナバカナ・・・グロロロロロ・・・」断末魔の叫びをあげて、崩れ落ちるグビラザード。
 いつしか、夕焼けに変わっていった景色・・。二人は合体変身を解き、エリナとあっくんを家に送り届けると、いつものように手をつないで、何事も無かったかのように家に急ぐ・・。
 「由香ちゃん、今日はごめんね」
「いいのよ。気にしないで・・・。でも怖かったな。怪人さんと一人で戦ったの初めてだから・・・。あ、試合は?」
「もち、5人抜きさ。余裕余裕・・・
「あ、思い出した!今度から、由香をおいてきぼりにしたら、お仕置きだからね」
「どんな?」
「こう」「チュ」
「・・・・?」これって、いつものご褒美じゃ・・・」
 いいの、由香は隼人君にはおしおきもごほうびもこれなの」
・・・照れるなあ・・・。人が見てるよ。いいじゃない。そんなこというとまたよ」
「・・・まいった。よし、今日寝るとき、久しぶりに生クロスしよう」「当然よ」
「まいったなぁ・・。」「エヘ♪」
激しい戦いがうそのように、屈託ない愛を語る二人であった。

 そのころ・・・
「爺・・。大丈夫か?おのれバルディバンめ・・・余が、いずれ直に倒してやる・・・」
パルボン将軍は、武人の誇りで、味方を売るようなことはしなかったのだ。この傷をバルディバンから受けたものと思い込んだ、エドワルド黒騎士太子は、ますますバルディバンに対する憎しみとライバル心を燃やすのであった。そして、
「あ・・。そういえばあのおじいさん、大丈夫かなぁ」
思い出したかのように、由香がつぶやく」
「誰の事?」「えーと、バカボンじゃなくて、バルボン将軍。えりなちゃんを攫おうとした悪いおじいちゃんよ。でも、由香をいじめていたときに、さっきの怪人に後ろから斬られて、大怪我をしてたの・・・」
「・・・・そんな奴のことまで・・・・!」
隼人は、従姉妹を攫い、そして自らを殺そうとした敵将の傷の心配までする、由香の優しさに、半ばあきれ、半ば感動したのだった・・・。

 太子たち騎士の意地、怪人たちの悪意、謎の超人、そして野蛮な獣人・・・次に二人に襲い掛かるのは、誰だ?
続く

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