78話 博士、わたしを改造して!
戦いの中、チャーミーは隼人と由香が肉体を金属で改造したサイボーグであり、また合体巨大化できることを知ってしまった。
二人は、一瞬のうちに人間からサイボーグに変わり、常人の限界を絶する能力を発揮し、怪人や悪人と戦った。
それだけではなく、香織もまた同様の改造人間であることも分った。地球人は皆改造人間なのか、とさえ思ったほどである。
チャーミーたちロイヤル星人の概念では、改造人間といえば、すなわちバケモノ、怪人のことであるが、三人は普段は全く人間と同じであった。
三人の強さ、優しさ、そして改造された力を見るに付け、野蛮人だと思っていた地球人のほうが優れていて、怪人が大手を振って威張っているグロテスターの方が野蛮なのでは、という悪い予感が体をよぎった。
隼人には、助けてもらった恩があり、しかも隼人は力強く男らしく、しかも女性には優しかった。(ただし、醜く改造された女怪人には容赦なかった)
是が非でも隼人を我が物にしたいと思った彼女は、あることを思いついた。
細川博士が部屋に戻ると・・・・大変な光景が入ってきた。なんと、治療台の上にチャーミー姫が下着一枚で横たわっている!
目が点になる博士だが、口からはよだれがたれていた。
「姫、一体?」
「博士、あなたが隼人様と由香ちゃんを改造したんでしょう?お願い!わたしも改造して!わたし、由香ちゃんの代わりに隼人様と合体したいの!」
「・・・・。」
「どうして黙っているの?その目と口元と、手にしたメスがわたしを改造したい、って言っているわ!」
「・・・出来ないんだ・・・。」
「どうして?」
「ここは宇宙船の中で、材料もないし、機材もない。それより前に、誰でも改造できるわけじゃないんです・・・」
「だったらその辺の星に降りて!近くの星の領主はみんなわたしのおじさんや遠縁だから、わたしの結うことは何でも聞くわよ」
「できないものは・・・」
そのとき、香織も部屋に帰って来た。この部屋は博士と香織の相部屋である。
「おねえさま!おねえさまからもお願いしてっ!わたしもおねえさまや由香ちゃんみたいにサイボーグになりたいの、お願い!」
ビシッ!
「キャア、何するの・・・・」
「チャーミー、ごらん!」
香織は白衣を脱ぎ捨てプロティーナの金属の体をさらした。
そして、チャーミーをまさぐる。
「チャーミー、あんたはその柔らかい肌と、この硬い鉄の体、どっちがいいの?」
「両方!だっておねえさまも由香ちゃんも、人間の姿にもなれるじゃない」
「甘ったれないで!この際だから、わたしたちの体の秘密を教えてあげるわ。」
香織は、自分や隼人たちがどういう経緯で改造されたかを説明した。(12話参照)
特に、香織は二人のプロトタイプとして先行改造されたこと。試作のため、不具合があり、由香のように自由自在には変身できないこと(生身からサイボーグへの変身のときは、エネルギーを充填したバイブを挿入、サイボーグから生身のときは栄養カプセルに入るか、合体した隼人と由香(バルディスター)に収容されるかのどちらであるということ。
バルデイニウム合金(動物の細胞と結合する超合金)との相性が悪く、また性ホルモンの純度がわずかに不足したため、パートナーとの合体実験に失敗し、彼氏を亡くしたことなどを包み隠さず話し、サイボーグ、ことにバルデイーナタイプになることは奇跡であることを理解させようとした。単に体を機械化したり、動物と合体させることは出来るが、それでは怪人になってしまう。
その悲劇に、チャーミーは泣き出した。
「分ってくれたのね」
ところが・・・
「お姉さま、辛かったのね・・・
でも・・・じゃあどうして由香ちゃんは合体できるの?」
それに対しては博士が答えた。
「二人は、はじめから改造するつもりで小さい頃から一緒に育てたのだ。香織君の改造の成功と失敗も取り入れることが出来た。バルデイニウムを幼い時すでに体内に注入しなじませておいたし、二人は合体に必要な本当の愛を持っている」
「じゃあ、わたしの愛はニセモノなの?お姉さまもなの?納得できないわ」
ただをこねるチャーミー。
そのとき、隼人と由香がやってきた。
「ダメ、隼人君は帰って」香織は隼人を部屋に入れなかった。チャーミーが裸で暴れているからである。
「由香ちゃん、この子が・・・」
「チャーミー姫、聞いて・・わたしと隼人君は、こんなに小さい頃から、ずっと一緒に、そして一つに結ばれることだけを考えて大きくなってきたのよ。だから誰にも間には入れないのよ」
「お黙り!愛は期間じゃなくて質だわ」
「フ・・・困ったわね。由香ちゃん、あのことを話してあげようか・・・。」
「だめ・・わたしから話すわ。隼人君もいた方がいいわ。姫、早く服着て」
隼人も入ってきた。
そして、隼人と由香はある戦いを振り返って語った。
その前に、博士が一言話した。
「実は、由香の設計図は、ワルモナイト一味に盗まれてしまったんだ。しかも、ワルモナイト一味には、わたしの恩師で、地球人で初めて改造人間を提唱した三浦先生がいた。
バルデイバン・バルディーナはわたしが全頭脳、全財産、全権力を結集して作ったサイボーグだが、その原案を考えたのは三浦先生だったのだ。だから図面一枚あれば、三浦先生は同じ性能のサイボーグをすぐに改造できるし、さらにすごいサイボーグも作れるのだ。
わたしたちの前に、2体のそういったサイボーグが現れた。
一人は、この隼人の姉、麻里子さんを改造したブラッデイ=マリー・・・。バルデイーナの基本性能を元に、全身に武器を組み込み、生まれ付いての運動神経も加わって、三人は大いに苦戦した・・・。彼女は今は生身の人間に戻ったが、わけ合って別の惑星にいる。
そして・・・もう一人、図面に忠実に作られた女性がいたんだ・・・。
「ここからはわたしたちが話すわ。
あれは・・わたしたちがまだ地球で戦っていたとき・・・。ある基地が、戦闘ロボと怪人に襲われたことがあったの。わたしたちはすぐに基地に急行したけど、敵の攻撃はあっさりやんでしまったの」
「しかし、基地の警報装置は作動していたため、僕たちは二手に分かれて基地の中を捜索したんだ。すでに隊員たちは戦死したか避難していて無人だった。だが、そのとき突然、再びロボットが襲ってきたんだ」
由香は急に不機嫌になった
「隼人、続けなさい」博士が促す
そのとき、タイミングよく由香ちゃんが部屋に駆け込んできて、「隼人君、合体しましょう!」と誘導ビームを出してきたんだ。窓の外にはロボットが迫っているし、ためらうことなく窓を突き破り、空中で体を交えたんだ・・・・。でも!」
由香はますます不機嫌になる
「そいつは、由香ちゃんじゃなかったんだ!」
「どういうこと?」
「由香ちゃん、いやバルデイーナと寸部たがわず作られていて、声も由香ちゃんの声だった。でも中の人は別の女だったんだ!」
「どうしてわかつたの?」
「僕と由香ちゃんの体は、お互いと接合されたときに真の力を発揮するように造られている。いわば、すでに僕たちは個人としての命は持っていないんだ。一つの命を二人で持っているようなものなんだ。それに戦いの中、そして普段の生活で何百回も体を交えている。
差し込んだ僕の本体が、突然縮んだんだ・・・。
しまった、こいつは由香ちゃんじゃない!気づいたときは遅かった。がっちり絡み付かれて、振りほどけない・・・。本物の由香ちゃんもそうだが、合体するときバルディーナは、普段はセーブされているパワーが解放されるからすごい力がでるんだ。しかし、それにしては由香ちゃんではありえないほどの強い力で抱きしめられ、しかも、装甲の継ぎ目から粘液が出てきて・・・あの時僕は、死を覚悟した。そして由香ちゃん以外の女に抱かれて死ぬことを恥じた・・・」
「ふふ、この子ったら、由香ちゃん以外の女の子はからっきし苦手なのよね。博士だったら、いや大抵の男なら女から抱きつかれたら、よほどのブスじゃない限り受け容れちゃうのにね」
香織が意地悪そうに言う。シリアスな場面なのに・・・。しかしこれで張りつめられていた空気がわずかに和み苦笑が。
「そのとき、女の声が変わった。由香ちゃんじゃないけど、よく知っている声だった。」
「隼人君、覚えている?あたしよ・・・。ずっとあなたが好きだったの・・・そう、貴方は今、わたしに抱かれて一緒に」
「お、お前は・・・」
「その頃、本物の由香ちゃんが地上からそれを見て叫んでいた」
「まさか、あの子だとはわたしも思わなかったわ」
「そのニセモノの正体は、僕たちの同級生だったんだ。」
「そう、お二人さんがあんまり熱々だからだれも割っては入れなかったけれど、見ての通り美男美女だから、憧れていた子は多かったはずよ」
「茂木・・・茂木なんだな・・・。頼む、離してくれっ」
「ダメよ、もう貴方はわたしのもの。あの子には返さない。そのためにもお願い、わたしと一緒に死んで!」
「何を言うんだ。俺は死にたくないし、お前だって死なせはしない!」
「ダメよ。貴方はわたしに抱かれて大爆発することになっているのよ!」
「し、しかしオレはもう起たない・・・・」
「勃たせてみせるわ」
茂木は全身から性感オイルを流してきた。
「畜生・・・・」無理矢理起たされた隼人の本体は茂木の本体に再び加えられた。
「死んでも出さないぞ」
「どうせ死ぬんだからわたしに出して」
「うわーーーっ」
しかし隼人はふんばって中身を出さなかった。だが、彼女はなおも絡む。
そのとき・・・
「何故なの・・・わたしまだイッてないのに・・・。博士なのね・・・」
大爆発を起こす茂木。
衝撃で落下する隼人。すかさず本物の由香が駆け寄る。
「は、隼人君・・・。」
だ、大丈夫だ。それよりロボットが基地を攻撃している・・・。合体しよう・・・」
しかし、由香はためらう。
「でも、隼人君、他の女の人と・・・」
「すねている場合じゃないぞ」
・ ・・・「仕方ないわ」
ところが、今度は隼人に異常が。
「由香ちゃん、勃たないんだ・・・。エネルギーを吸収されてしまった・・・。」
しかし、エネルギーをチャージするには挿入が必要だ。
「分ったわ、今そのオイルを洗い落としてあげる。じっとしてて」
由香は、おしっこをかけた。サイボーグ状態の由香のおしっこは、隼人にとっては聖水だ。
再び元気になった隼人は由香と合体する。
しかし、今度は由香の反応が鈍い。
どんな理由があるにせよ、隼人が他の女性と結合したのがゆるせなかったのだ。
「きいてくれ由香ちゃん・・・あいつは、僕たちの同級生の茂木だったんだ・・・。三浦博士に無理矢理改造されたんだ。それに僕は、ニセモノとは気づかなかった。君と全く同じ形、声、メカニズム。だけど、人間としての僕はちゃんと分ったんだ。改造されたメカニズムより僕の男の本能が打ち勝ったんだ。誓って中身は出していない。だんら許してくれ」
「信じるわ」
二人はようやく合体に成功した。
ところが、ロボットは弱かった。派手に破壊されたと思った基地も意外と損傷は軽かった。
ロボットははじめから陽動で、敵の狙いはニセバルデイーナを使ってもともに隼人を爆死させることだったのだ。
「茂木を探そう。改造人間ならまだ生きているかもしれない。そのときは・・・キミの力で生き返らせよう」
「分ったわ・・・でも史子さんが・・・」
二人は、全力で飛び散った残骸を探した。しかし木っ端微塵に吹き飛び、しかも溶解した部品は見つからず、さらにロボットや基地の残骸も混じっていた。しかし、同級生を救いたい、という二人の執念は、ついに・・・。
「茂木、わかるか、隼人だ。きみはグロテスターに捕まって改造されたんだな。今由香ちゃんが君を助けてやるぞ」
隼人は茂木史子の頭部を探し当て話しかけた。
「隼人君・・・気持ちよかった。中身はもらえなかったけど、わたし、十分満足だわ・・」
「しっかりしろ!」
「もういいの・・・わたし細川さんに助けてもらいたくなんかないし、わたしの脳には腫瘍があるから、肉体を再生しても1月ぐらいしか生きられないのよ。」
「でも・・・」
「わたし、攫われたんじゃなくて、自分から三浦先生に頼んだのよ。」
体調不良で病院で検査を受けた茂木は、脳腫瘍が発見されてしまった。だが、その医師は三浦博士だった。
通院するうち、三浦博士がサイボーグ技術を持ったマッドサイエンテイストだということがわかった。最初、彼女はサイボーグになれば病気を克服できると考え、頼んでみたが脳に損傷がある場合は無理だという。
悲しみのあまり、隼人への思いを語り、助からないならすぐ死にたい、と漏らした彼女に、三浦博士はささやいた。
「改造してやろう」と。そして隼人と由香がバルディバンとバルディーナだということも話した。
そして、由香に成りすまし、はじめからあの部屋で待機して隼人を誘い込み、もろともに爆死しようとしたのだ。
受精すれば、エネルギーが暴発しもっとすごい爆発(隼人と由香は、お互い以外の精子・卵子とは拒絶反応を示すように作られている)を起こすはずだったが、隼人の「男」の部分は茂木のニセバルディーナにが精巧に作られていながらわずかな違いを察知し発射しなかったため、三浦博士が自爆スイッチを押したのだ。こんなこともあろうかと、人工子宮内にはあらかじめ高性能爆薬を仕込んでおいたのだ。
由香と違い、高純度女性ホルモンが分泌されない(なお、この時点では分らなかったが、由香の常識離れした女性エネルギーは、白鳥座スワン星人の末裔としての隔世遺伝によるものだった。したがって地球人女性を改造しても、由香のような奇跡のパワーは出ない。)
また病身のためもあり、再生能力は乏しかった。
「隼人君、細川さん、わたし、ずっと貴方たちがうらやましかったの。ずっと見ていたの・・・。
わたしの分も幸せになって・・・」
そういい残すと紫色に変色して、茂木史子の頭部は息絶えた。
号泣する隼人と由香。
「おのれグロテスターめっ!こんな悲劇は二度と繰り返させないぞ」
誓いを新たにする二人。
この壮烈な物語を聞いたチャーミー。
「どう、誰でも改造できるわけじゃないし、出来たとしても拒絶反応が起きたら死ぬのよ」
「分ったわ。わたし改造されなくてもいい。
でも、逆に隼人様が変身しなければいいのよね」
「分ってないなこの子は・・・」
一同呆れ顔。
しかし由香はほくそえんでいた。
「ふふ、生身の隼人君だってすごいのよ。貴方の幼いあそこで受け止められるかしら・・・」
そう、生身の隼人のアレはとてつもなく強力だったのだ。
深く長く切れ込み骨盤の大きな由香は、これを難なく受け容れることが出来るのだった。
隼人と由香は、これからも愛の力で戦い続ける。だが、チャーミーのちょっかいやわがままに振り回されることもあるだろう。
それでも二人は決して離れることはない。宇宙で一番深い愛で結ばれているからなのだ。
続く