第54話 開幕!最後の秋!
9月・・・・いよいよ高校アメフトの開幕だ。ここ神奈川県では、天才児東サトル率いる武蔵体育大学付属南武高校が本命視されている。
昨年関東大会準優勝、一昨年全国制覇、その前も関東大会準優勝と、ここ1数年神奈川を制し、関東2位以上の成績を納めて来た。
しかも、今年はキャプテンの東サトル以下、例年になく充実したメンバーが揃い、期待はいやおうになく高まっていた。
その主力は、
キャプテンの「天才」、東サトル(QB/DB他、3年)、
その双子の妹の「炎のジャンヌダルク」、東サトミ(WR/K、3年)、
「不死身の鉄人」武田信彦(DB/RB/TE、3年)、
「西郷隆盛の再来」大河原 清(C/DL、2年)、
「仏蘭西生まれの小公子」岬 陽一(WR/QB、2年)の5名であった。
その中でも、話題を集中させるのはなんと言ってもサトルの双子の妹、東サトミ・・・。
全国唯一の女子選手であり、一昨年の新人賞とMVPを獲得した脅威の女の子である。しかも、天才のサトルの双子の妹ということもあり、全国大会出場経験ともあいまって、今や南武高校グランドには連日ファンが押しかけ、ファンクラブまで作られている有様。本人は別に気にもかけていないようだが・・・。
そんなサトミだからもちろん、マスコミからの取材もある。だが、南武高校お抱え報道機関、「週刊アスリート」記者兼、「月刊アスリート・レディス」編集長の西尾リコが他を圧倒して密着取材をしており、「東兄妹の情報が知りたいキミ!週刊アスリートとアスリートレディスを買ってネ♪」とのキャッチコピーで発行部数も鰻登りである。
今日も取材だ。次号の特集。【男の子になんて負けない!炎のジャンヌダルク・・・南武高校3年、東サトミさん(アメリカンフットボール)】と題した特集号。「レディス」では、南武高校女子バレー部キャプテン、田中久美子に続き、2号連続での表紙に。南武高校は今年、松崎大介投手が甲子園5連覇を達成しており、まさに当り年であった。
リコ 「ハーイ♪サトミちゃん、リコよ♪あたしはサトミちゃんのこと他の誰より早く注目してたけど、いよいよ最後のシーズンだね?」
サトミ「なんか改まって聞かれると困るけど・・ま、優勝しかないっしょ!」
リコ「でも、すっかり女の子らしくなっちゃったわね。最初会った時はどーみても男の子だったのに」
サトミ「悪かったわね!でもホント、アレには困っちゃう」
リコ「そうよね〜。アレは衝撃的だったわ。おかげでアタシは大もうけだったけど」
玲子「ちょっと姉さん、これ記事になるのよ・・」
リコ「いっけね♪そうそう、ライバルになりそうなチームは?」
サトミ「そうね・・京王、殉教、神学館かな。それ以外に負けたら即引退ね」
リコ「おー強気!でもそうじゃなっきゃサトミちゃんじゃないわね。」
「えーと、これがサトミちゃんの練習メニュー・・・ひぇーー!まじ?男だってきついよ」
サトミ「子供の頃からやってるんで慣れてますよ。サトルも一緒だし」
リコ「そういえば、サトル君は来年からアメリカに・・・」
サトミ「あたしも行きたいんだけどね・・・」
リコ「ま、チャンスはあるかもよ。最後に何か一言」
サトミ「全国制覇するぞ!首を洗って待ってろよ零くん!」
リコ「零くんって?」
サトミ「神学館のセンター。小学生の頃からのライバルよ。奴を倒してこそ本当の日本一だわ。絶対に負けないからね!」
リコ「サトミちゃんならきっと勝てるわ。おっと、零君か・・こいつも要注意人物だわ。それでは読者の皆さん、次号もお楽しみに♪」
さて、いよいよ開幕。
だが・・満員の観客からはブーイングが・・・。なんと、サトミが欠場しているからだ。
パンフを叩き付けて受付嬢を詐欺師呼ばわりして怒鳴るファンも・・。サトミ目当ての野郎たちの中には帰ってしまう者も・・。
今日は9月23日・・・そう、サトミは「アレ」の日なのである。決勝戦などの重要試合なら無理してでも強行出場するところだが、弱小川浜商業相手に無理をすることはない。
また、この試合は、陽一の公式戦QBデビュー戦でもあった。
本日はマネージャーの西本みゆきも模擬試験のため欠場。
そして・・・。
帰らなくてよかった!と思わせる出来事が。
なんとサトミは、試合には出ないが、マネージャーとして出場していたのである。というよりサトミは元々、本年はマネ長兼副将という肩書きであり、マネージャーも元々兼ねていたのである。そして嬉しいことに・・・。
南武高校の女子マネたちは真冬でもブルマ姿なのは有名で、その筋のファンも沢山いるのだが、サトミは選手兼任のため、通常はマネとして出場する際もスタイルしており、そうでなくとも彼女は、日頃から男子用の体操服を愛用しているため、ブルマ姿は中々拝めないのだが・・今日はしっかりとブルマを穿いている。日頃短パンなので日焼けのあとがくっきり。さらにタンポンの紐もぶら下がるというオマケつき。そのいきさつは、試験のため試合に来れないみゆき、生理のため試合に出れないサトミ。そしてサトルの三人の友情と愛の物語だったのである。即ち、この試合サトルはサトミのフッパンと防具とメットを着用し、サトミはみゆきのブルマを穿いてマネをしているのであった。サトルはサトミの分も2人分活躍し、サトミもみゆきの分がんばる、という意気込みである。
またサトルは、ポジションも普段サトミが入るレシーバーとなり、下級生の陽一に投手を委ねた。
試合開始!いつものサトミではなく、サトルのキックオフだ。陽一は、最初の1回こそ失投してしまったが、2球目以降は難なくQBの任をこなし、サトルとの息もぴったり、守っては武田と、佐藤兄弟の活躍で川商を完封して、見事緒戦を飾った。
そしていよいよ準決勝(シード校のため、1回勝つといきなり準決勝)。相手は県内では最大のライバル、旺盛二高・・・。川商のようには行かないぞ・・。そして今期のサトミのデビュー戦!ファンならずとも注目のカードである。試合は一週間後・・・請うご期待!