激闘!ハニワ軍団
「隼人に由香!」
「おにいちゃん♪」
「おまえたちにこの切符を授ける。2人で鑑賞するがよかろう」
「わーい、何?」
「あ、世界の土器展ですって・・・」
「古代の浪漫ってやつですね」
「そのとおりである。」
隼人と由香は、隆之に「世界の土器展」のチケットを渡された。
会場の某百貨店催事場・・・。
「わーつ見て見て隼人君!この埴輪、ハートの形してるわ」
「埴輪じゃなくて土偶って書いてあるよ」
「どっちでもいいわ。へぇ〜、土偶って女の人なんだ〜」
「土偶には、二つの説があるのです。一つは、古代に飛来した宇宙人を模したという説。この遮光器土偶の顔が宇宙服に似ているからそういわれています。もう一つは、このハート型土偶のように、乳房がついているため、安産祈願の道具という説。遮光器土偶にも良く見ると乳房らしきものがあるので、こちらが有力です。」
と学芸員が解説した。
「でも由香ちゃん、この遮光器土偶って、どことなくバルディーナにも似ているね」
「えっ、ひどいわ・・わたしこんな顔していないもん・・・」
土偶のコーナーを一通り見た2人は今度は埴輪を見た。
「あ、大魔神!」
「この馬もよくできているね・・・船もある」
「でも土で出来た船じゃ、かちかち山の狸の船になっちゃうわ・・」
「ハハハ・・」
「きゃは♪」
そのときである。いきなり照明が消えた。
「キャー」悲鳴が飛び交う・・。
暗闇の中、光る不気味な光。
埴輪、土偶の目が・・・。
巨大化し、等身大になり、人々を襲う土偶、埴輪・・・。
「由香ちゃん、グロテスターだ!」
「いいえ、これは・・・きっと仁子さんの仕業だわ・・。そうよ、これはネンドボーグ・・・」
「ネンドボーグ!」
「ええ、間違いないわ。どこかに仁子さんがいるず・・」
「しかし、ネンドボーグは僕たちが焼き尽くしたし、弱点もわかっているから楽勝なはずだよ。」
「でも、この数・・それにたくさんの人がいて混乱しているわ・・・。なんとかしなきゃ」
「よし、変身だ!」
「OK♪」
「バルディ・チャージ!」
2人の体が一瞬炎に包まれ、金属の体のサイボーグ、バルディバンとバルディーナに変身した。
その2人に襲い掛かる、ハニワ軍団。
「由香ちゃん、分析回路で弱点を調べるんだ」
「OK・・見たところ、材質は普通の土や粘土みたい。」
「よし、バルディ・ソード!」
次々とハニワ騎馬武者を倒すバルディバン。
「わかったぞ!このハニワはネンドボーグを特殊な熱線で焼き固めたものなんだ。だから堅くて丈夫になった分、割れれば真っ二つなんだ!」
「ネンドボーグの持つ、柔軟性という特性が死んでいるわけね。」
ハニワ騎馬武者、ハニワ兵士たちを次々と打ち破るバルディバン。
しかし・・・粉々にしたはずのハニワたちが、いつのまにか復活してしまう・・。いや、割れたそれぞれが増殖して増えてしまったのだ。しかも、客が阿鼻叫喚の叫びを上げながら逃げ惑う・・・。
由香(バルディーナ)は、彼等を安全な場所に避難させた。
ところが・・・。
「女、おまえのあいてはこのわたしだよ」
「あ、あなたは・・!」
なんと、由香が最初に見たハート型土偶が喋ったのだ。そしてみるみる巨大化し、より女性的なフォルムになり、色もいやらしいピンクに変わった。
「ネンドボーグの特性の柔軟性が失われたですって?笑わせないで」
ハート型土偶戦士は、腕の一部を鞭に変えてバルディーナを打ちのめし、ヘルメットを脱がせた。
「わたしはおまえのその美しい顔が憎い。わたしと同じように醜く変えてやる!」
「キャー、隼人君助けて〜」
大ピンチだ。
だが、その隼人も増え続けるハニワ兵士に苦戦していた。だが、打撃や剣ではなく、バルディシューター(銃)を最大出力にして焼き尽くせば、なんとか倒せることがわかった。
しかし、あまりにも数が多い・・・。そして、エネルギーの消耗が・・・。
そのときである。
「隼人君、ここはわたしに任せて。由香ちゃんを助けてあげて・・・。
非常用エネルギーカプセルよ。これを飲んで」
「香織さん!」
プロトタイプ・バルディーナ(今後、プロティーナと命名)こと香織が駆けつけ、エネルギーカプセルをくれたのだ。一旦メットをとり、これを飲み込んだ隼人は、チャージしたほどではないが、一時的に体力を回復した。本当は香織とチャージすればもっと回復できるのだが・・由香が怒るので、細川博士とともに新開発した飲み薬タイプのエネルギー源だったのだ。
「ありがとう香織さん!」
屋上では、バルディーナこと由香が、ハート型土偶相手に大苦戦していた。
「今助けるぞ」
「隼人君、来ちゃだめ・・・この人強すぎるわ・・・」
「僕のほうが強い。僕を信じるんだ」
その頃、香織は必死の誘導で客を避難させ、国防軍と警察に引き渡したが、自らはハニワ軍団に囚われてしまった。そのことを隼人と由香は知らない。
ハートは、由香の言うとおり、焼いた陶器の堅さと、やわらかい粘土の両方の特性を併せ持ち、斬っても砕いても平気で、不気味な笑いを浮かべながら2人を襲う。そして遂に、2人ともその触手に捕らわれてしまった。だが、奇跡が起きた。
バルディーナのエネルギーが、ハートを通してバルディバンに伝わったのだ。エネルギーゲージが全開になったバルディバンは触手を振りほどき、全身に気合を込めてハートを両断した。
「今だ由香ちゃん!切り口をバリヤーで固めるんだ!」
「わかったわ!」バルディーナの乳首から、バリヤーが照射される。本来は身を守る武器だが・・・。
「うわぁーーつ、くっつかない!」
「よし、バルディシューター全力合体照射!」
バルディシューターは、2人のエネルギーを発射する銃だ。そして、2人で同じ目標を狙うと、光線が螺旋状に合体し100倍のパワーになるのだ。
半分にされたハート土偶は、それぞれが焼き尽くされて消えた。
「やったぞ!」
「隼人君、でもどうして?チャージしていないのに・・・。もうとっくにタイムリミットのはずよ。」
「それが・・・香織さん」
「また!」
激怒する由香。
「ち、ちがうよ・・・。香織さんがエネルギーカプセルをくれたんだ。それを飲んで・・。でも、もう動けない・・。やっばり君と・・」
「そうよね。ハイ。さあ早く・・・」
2人は、エネルギーチャージを行なった。重なり合う体。漲るパワー。その要領は、普通の男女の結合と何ら変われない。ただ、その体が金属化しているだけである。
だが・・。
「あっ、そういえば・・!」
「どうしたのよ隼人クン・・由香まだイってないわ・・・」
「香織さんは?香織さんがお客を避難させたと連絡したきり、通信が途絶ええている・・」
「きゃあ、大変・・」
2人は、結合の余韻を楽しむまもなく、階段を飛び降り、催事場に急いで戻った。
すると・・十字架に貼り付けられたプロティーナを、ハニワ軍団がいたぶっていた。
その指揮を執るのは、あの学芸員。
「仁子さん、よね!」
「フフ。よくわかったわね。」
学芸員は、ロングヘアの鬘と黒ブチめがねをとった。そして、すぐに銀ブチめがねをかけた。
なつかしいクラスメイトの顔・・・。だが、彼女は粘土を操る超能力者、グロテスターの超人軍団のひとり、ドクター・ジーンなのだ。
「ところで、あなたたち、まさか・・。」
「土偶か?あれなら僕たちの愛の力でぶっこわしてきたぞ工藤!」
(工藤=仁子の苗字)
「そんな・・・。わたしの分身・・・わたしの細胞とネンドボーグで作った最強の作品が・・。」狼狽する仁子。
「さあ仁子さん、香織さんを解放して降参しなさい。お友達の誼で、香織さんを返してくれれば、見逃してあげるわ」
「何をいうのよ。わたしを誰だと思って!さあ、ハニワたち、やっておしまい!」
襲い掛かるハニワ軍団だったが、チャージを済ませた2人の敵ではなかった。
「おのれ・・・あなたたち、この女がどうなってもいいのね?」
短刀を香織に突きつける仁子。
だがそのとき、香織の胸からバリヤーが発射された。最後の力を振り絞って・・・。
バリヤーは集束すれば、打撃にもなる。
「キャア」
吹っ飛ぶ仁子。運悪く、打ち付けたところはネンドボーグコントロールボックスだった。
動きが止る土偶・ハニワたち。
「さあ、降参しなさい」
ところが・・・。
そのとき、天から不気味な女の声がした。
「ふがいないぞよドクター・ジーン。おまえ自身が闘ってバルディバンを殺すのじゃ。さもなければ・・・。おまえの祖父の命はないぞよ。さあ、やれ!」
その声は、遮光器土偶からだった。
「わかりました・・・。闘います。王女メデューサ・アン様・・・」
観念したような独り言をつぶやいた仁子は、その不気味な遮光器土偶を叩き割った。
すると、その遮光器の部分だけが壊れずに残った。そして彼女は裸になった。
次いで、めがねを外し、代わって遮光器をつけた。さらに、粘土で作ったペニス型の物体を自らの秘部に挿入した。すると・・。
仁子の体は、真っ赤な遮光器土偶型の戦士に変った。
仁子は土偶戦士に変身した。 |
「さあ、かかっておいで!」仁子は鞭を振り回し2人を襲った。
「仁子さん、やめて・・わたしたち友達でしょ!」
「お黙り!わたしはグロテスターの超人よ。あなたたちを殺すのが役目よ。覚悟!」
変身した仁子は、今まで戦ってきた全てのネンドボーグの長所を併せ持ち、粘土のもつ柔軟性、陶器のもつ堅さ、そして砂の能力、泥の能力など、「土」の特性を駆使して2人を苦しめた。そしてついに由香が捕まり、その秘部を嘗め回されてしまった。大ピンチだ!
だが、これまでの戦いを経ていた二人はその猛攻を防いだ。
「由香ちゃん、香織さんにエネルギーを照射してくれ。彼女の力を借りたい」
「OK、香織さん、行くわよ!」
由香の胸から発射されるビームを浴びた香織のエネルギーゲージが点灯した。
「よし、2人で土偶に全力照射を!」
2人の女戦士の愛の光を浴びた土偶戦士。
「ギゃー・・・固まるっ」
今だ!
バルディ・唐竹割っ!
「やめて隼人君・・・その土偶は仁子さんなのよ・・・」
だが一瞬早く、隼人の剣は土偶を叩き割った。
真っ二つになった土偶戦士。
「仁子さん!」駆け寄る由香。
だが・・・。
なんと、真っ二つになつたのは、土偶スーツだけであった。
中からは、傷ひとつない裸の仁子が出てきた。そして、その股間、尻の穴からは大量の粘土が噴出してきた。
「フッ。友達は殺せないさ、由香ちゃん・・・」
「仁子さん・・」必死に介抱するが、仁子の目は堅く閉じられたままだ。
「嗚呼、仁子さん・・・また勉強教えてもらいたかったのに・・・」
「泣いている暇はなさそうだよ由香ちゃん!工藤のことは、香織さんに任せて、僕たちは合体だ!」
なんと、UFOからの怪光線を浴びた土偶・ハニワたちの残骸・粉が、全て合体し、巨大化して巨大な遮光器土偶に変わったのだ。
「隼人君・・・わかったわ。香織さん、仁子さんをたのんだわ」
「任せて。さあ、君たちは早く合体よ」
「バルディ・クロス!」
2人は、バリヤーの中で結合した。その場合、乱反射して増幅された超絶エネルギーに、2人の体を構成している金属細胞は人型を維持できなくなり、まず隼人の肉体が由香に吸収され、由香の体も、人工子宮以外が退化・縮小し、その中で融合・巨大化して戦闘巨人バルディスターになるのだ。
「行くぞ!」
バルディスターVS巨大土偶の戦い。
巨大土偶の最大の武器は、乳房そのものを飛ばしてくる巨大ミサイルだ。直撃したらバルディスターといえども危険。しかも、材質が土のため、次々発射してくる。
目からの光線も強力だ。また体は非常に堅い。
「由香ちゃん、相手は一応女だ・・・僕を許してくれるかい?」
「えっ?」
「男の武器で」
「・・・いいわ。だって本物のあなたはこうしてわたしと繋がっているのですもの」
「じゃあいくよ・・・力を貸して」
突進してくる土偶を受けとめたバルディスターは、そのまま土偶を締め上げた。
そして・・・。
股間のラジエターを下にずらすと、そこにはドリルがあった。これは本来、宇宙開拓の際、地中を掘り進むための装備である(その場合、足をV字に上げて掘り進む)
「行くぞ!」
グイーーーン
高速回転するドリル。そのドリルが、土偶の下腹部を貫いた。その振動が全身に伝わる。
実際には、バルディスターの、ドリルが、土偶の下腹部(中は土の塊)を貫いているのだが・・・。
隼人と由香は、既に合体して一つになっているにもかかわらず、再び結合したような感覚を覚え、それにより超エネルギーが発生した。ドリルの回転とともにそのエネルギーが土偶にも伝わり、粉砕された破片を溶解していく。そして、最後に、バルディソードで二つの目を潰し、脳天に突き刺した。
最後は一片も残らず蒸発して消えた土偶戦士。
「由香ちゃん、元に戻ろう・・」
「ええ。」
そのとき。
「待って。この子を・・この子を助けるには・・」
「わかったわ香織さん」
バルディスターの胸のカバーが開く。そこはバルディスターの心臓部だが、元々は由香の人工子宮だったところである。この中で融合した2人が飛び出したのがバルディスターだが、人工子宮そのものはそのまま残り、心臓としてセットされているのだ。
そこに人間や動物を入れると、一旦胎児化し急速に成長して元に戻り、再生できるのだ。
仁子と香織を収容し、合体を解かないまま研究所の秘密基地に帰ったバルディスター。
そして30分後・・・仁子と香織は再生され生まれ変わった。隼人と由香も、合体を解いたが、2人は合体するたびこの要領で新しい肉体を得ているため不老不死なのであった。
「仁子さん、気がついた?」
「ここは?・・ああ、良く見えない・・めがね・・わたしのめがね・・・」仁子は極度の近眼だった。ほんとうはかなりの美少女なのだが、このため分厚いめがねを欠かせずかなり損をしている。また髪型も無造作なショートカットだった。
「あ、忘れてた、これこれ。」
由香は仁子にめがねをわたした。
「あ、隼人君に由香!それに細川博士・・・。そっか・・・あたし敗れて捕虜になったんだわ。そしてお爺様はアン王女に・・・」
「待ちたまえ。捕虜ではない。悪いが君の肉体組織を調べさせてもらったが、君は地球人じゃないか。それに・・工藤祐之進博士も祐之介博士も私は知っている・・・。きみは祐之介博士の娘さんだね?」
「そうよ・・。でもわたしは栄光あるグロテスターの超人。」
「でもあなたは人間じゃない」
「ふふ。グロテスターでは地球人でも超能力があれば超人として認めてくれるのよ。わたしは小学校を卒業するとすぐお爺様と一緒にグロテスターに留学し、14歳で宇宙ドクターの称号を受けたのよ。
おじいちゃんは・・・土偶は、宇宙人でも安産のお守りでもなく、古代サイボーグだと主張し、学会を追われたわ・・・。パパは事故で亡くなり、ママはおじいちゃんにあいそをつかして出て行ったわ。でも、私はこの土を操れる能力と頭脳でネンドボーグを開発し、グロテスターの士官としてこの地球に帰ってきたのよ。おじいちゃんを馬鹿にした地球人に仕返しに・・・」
「それは間違っている。祐之介博士を殺したのはグロテスターだ」
「そんなのウソよ。証拠はないわ」
「だがあの事故を起こせるのはグロテスターだけだ。」
「そんな・・パパが・・・。許せない・・でもおじいちゃんが・・」
「安心したまえ。いつかきっと祐之進博士は隼人と由香が助け出して見せる。それに・・これは楽観的願望かもしれないが・・わたしがもしグロテスターの幹部なら、祐之進博士の頭脳を抹殺するのは惜しい。まだまだ利用価値があるはずだ。それに博士自身が自ら彼等に協力的だ。おそらく、殺しはしないだろう。」
「甘いわ!アン王女は残忍で冷酷なのよ・・・」
「アン王女?」
「そうよ・・。エドワルド太子の姉君なんだけど・・・呪術師の呪いでへび女になってしまった怪物で、残忍で冷酷で・・・ああ、思い出しただけでも見の毛がよだつ・・。その王女が、お爺様を殺すと言ったのよ」
「うーん。だが大丈夫だ。その証拠が、あの巨大土偶だ。あれを造り、操ったのは間違いなく君のおじいさんだ。ということは、アン王女は祐之進博士をまだまだ利用しようとしている証拠だ。そして彼もまた・・・。だが、いつか必ず助け出し、間違いを正してあげたい。そこでなんだが・・・君のその頭脳が私の研究に加われば、グロテスターへの勝利や、宇宙開拓の夢、そして君のおじいさんの救出も早くなると思うのだが・・どうだろう。そこにいる香織君と同様、このわたしの助手になってはくれないだうか・・・。
「でも、そんなことがアン王女にばれたら・・お爺様が・・・。それに、ここに出入りしていることを珠美が知ったら・・・あの子、わたしに襲われたことがあるのを覚えているはずよ・・・」
「うん、おぼえてるわよ、仁子さん」
「あっ、珠美」
「えへ。わたし、香織お姉さまのペットになったのよ。そしてこの基地の一員よ。仁子さんも、仲間になろうよ・・」
「珠美、わたしを許してくれるの?」
「許すも何も・・仁子さんも姫も、香織お姉さまも・・みんな珠美のお友達じゃない。」
「珠美!」
「博士!喜んで助手にさせていただきます・・ところで・・(顔を少し赤らめ)助手ってことは、もちろん・・」
「エヘン」咳払いののち・・「ま、そうゆうことになるかな、ね、香織君」
「フフ。博士ったら。あたしが最近タマちゃんばかり相手してるから・・・・」
「こら、口が過ぎるぞ。」
「ごめんなさい・・・」
「まあ、良いではないか。何はともあれ、この研究所に新しい所員が誕生した。歓迎パーティだ。所員と隆之を呼べ!」
「了解」
そして楽しい歓迎会。
「タマちゃん、嬉しいわ・・・」
「博士・・・隼人君、由香さん・・・本当にごめんなさい。私、私・・・」
「もういいのよ仁子さん・・」
「違うのよ・・。わたし、本当は・・・隼人君が好きだったの。だから本気で貴女を殺そうとしたのよ・・・。そして自分が粘土の力で隼人君と合体しようと思って、転校して来たのよ・・・もちろん、王女とお爺様の命令もあったけど・・・」
「ゲっ!そんなこと企んでいたのか!」
「でももう安心して・・・・とてもあなたたち2人の間には入っていけないことがこの戦いで良く分かったわ・・・・」
「ありがとう仁子さん」
「ところで仁子君、わたしは、君のお爺さん、工藤祐之進博士同様、古代にサイボーグが作られていたという学説を信じているよ。私自身、自分で言うのもなんだが宇宙最高のサイボーグ研究家だ。それに、グロテスターとの戦いで、その怪人の技術で、地球外知的生命やサイボーグの存在、そしてそれが地球に飛来した事実が確認できた。そして、それが時空移動の際の時差等で古代にも来たということは否定できない。」
「それじゃあ、お爺様に賛同したただ1人の若い学者というのは・・・」
「そうだ、この私だよ」
「ありがとうございます博士・・・。博士のためにも、かならずおじいちゃんを取り返して見せます。そのためには、隼人君と由香さんのパワーアップの研究をさせて手伝わせてください」
「よく言ったぞ仁子君。これからは香織君と力をあわせて私に協力して欲しい」
だが、隆之は・・・
「おい隼人。あの女、もしや敵のスパイでは?」
「ええ、でも盗聴器や通信機は見つかりませんでしたし、体は由香ちゃんが産みなおしているのでサイボーグでもないはずです。」
「一応、目を離すなよ。仮にあの子がスパイでなくとも、敵の目が光っていることはくれぐれも注意して由香を守ってくれ」
「わかりました・・・」
さて・・なにはともあれ、粘土を自在に操る超能力を持った天才少女、ドクター・ジーンこと工藤仁子が細川研究所の一員となった。グロテスターに身を置いたことがあり、地球外惑星での生活経験もある彼女の加入で、細川博士の宇宙開拓並びにサイボーグの研究は、一挙に10年分進んだのであった。仁子は、天才であったが、その中でも、古代史、地質学、天文学、物理、化学、美術が得意であった。それは祖父・工藤祐之進博士の薫陶によるものだった。それに加え、彼女はおそらく、地球人で初の、宇宙留学経験者でもある。そして、父を亡くし、母に去られ、祖父が未だにグロテスターに味方していて身寄りのない彼女は、研究室に住み込み、再び赤橋高校に転入してきたのであった。13〜17歳まで宇宙で過ごした彼女にとって、残りわずか2学期だが、普通の女子高生としての生活は楽しいものになるであろう・・。そして初めて、友達も出来た。
もちろん・・・細川博士のあっちのほうの指導も・・・。
グロテスターに味方する地球人科学者といえば・・・
三浦博士とその養女(実は隼人の実姉)マリコの動向も気になる・・・。
隼人は一日とてマリコを忘れたことはなかった。
「姉さん・・きっと助けてみせる・・待っていて・・」