最強戦士バルディバン 第3話
冥王星の冷たい氷の海に、4隻の宇宙戦艦が降下してきた。
一隻は、中世ヨーロッパの城郭のような艦橋をもつ戦艦タイプ、1隻はくじら、1隻はエイ、そしてもうひとつはさめの形をした宇宙船だ。
これこそ、宇宙の覇者・グロテスター帝国の誇る4大軍団、グロテスター騎士団、怪人軍団、超人軍団、獣人軍団の母艦なのだ。
解説しよう。まず、騎士団とは、グロテスター帝国正規軍である。みな中世風の甲冑をまとった人間で、艦隊や航空機、ロボに乗り込み戦う。
みな、騎士としての誇りをもち、グロテスターが悪だとは思っていない。母艦はデュークオブダーク。グロテスター太陽系方面総司令官エドワルド黒騎士太子自ら指揮する。
怪人軍団とは、ロボットやサイボーグ、アンドロイド、強化服を着た悪人からなる軍団で、国籍はさまざまである。巨大メカを操縦する者のほか、巨大化するもの、自らが巨大メカの一部に変形して合体するものの3タイプある。彼らのほとんどは悪人もしくは悪のプログラムを持つ。リーダーは不気味なドクロのサイボーグ、ワルモナイトだ。旗艦はプリンス・オブ・ホエールズ。
獣人軍団とは、グロテスター支配下の星のうち、獣人型宇宙人の部族の部隊で、野生の力をもつ凶暴な軍団だ。幹部クラスは人間と変わらぬ知能を持ち、故郷へのプライドを秘めているが、グロテスターに支配されているため従っている。一方、下級兵士は本当に凶暴な手の付けられないような野獣人間である。自ら巨大化する場合と、別に怪獣を差し向ける場合がある。旗艦はキングジョーズ5世だ。
そして超人軍団とは超能力を持った宇宙人(主に人間・妖精タイプ)またはミュータントの軍団でさまざまな魔術をつかう。この軍団には自前の下級戦闘員がいなく、怪人軍団のアンドロイド兵と同タイプを使用。リーダーは魔女メデューサアンだ。クイーンエイザベスを母艦とする。
「ワルモナイト!まだ地球を攻略できないのか?」
「若!申し訳ございません。とんだ邪魔がはいりまして・・・。」
「何?地球人にも合体巨大化できるサイボーグ戦士がいるだと?そんなバカな。事前調査では地球の技術力はわれわれより500年遅れているはずだ。
「それが・・。」
「そうだったのか・・。ではわれわれも本腰をいれねばな。よし!わたし自身が出陣しよう!」
「お待ち!」
「あ、姉上・・・。」
魔女メデューサアンは、エドワルド太子の腹違いの姉だが、幼い頃より口も利けず病弱だった。しかし、祈祷師に願を賭けたところ不気味な超能力を発揮する魔女となつてしまい王族から除籍され、超人軍団のボスとなってしまったのだ。
「いや、オレさまだ!」
次の指揮権をめぐって4大軍団が対立しているのだ。
結局、今回は獣人軍団が出陣することになった。
場面変わって、今日は日曜日。隼人と由香は、動物園に来ていた。
「ね、ね!見て!おさるさんよ!」由香はおおはしゃぎ。「子供じゃあるまいし・・・」と内心思う隼人だが・・・。
「あーーーーーーっ!ライオンさん!ぞうさんも♪」
由香は17歳なのに、まるでおこちゃまのようにピンクの声を挙げている。
そのときだ。
「ピンポンパンポン!ご来場中のみなさん!ただいま羆の檻に小学生の男の子が入り込んでしまいました・・・」
大変だ。
「よし!僕が助けるぞ!」「由香も!」
ふたりは警備員を振り切って檻に近づいた。蹲って震えているガキに熊の巨大な腕が振り下ろされた!と思った瞬間、クマはもんどりうって倒れた。その間にガキは、由香に助けられた。
隼人の木刀が、クマの眉間を砕いたのだ。
「おい、ガキ・・・。いつまでくっついているんだ!」ガキはどさくさにまぎれて由香の胸に顔をうずめていた・・。
「あ、ありがとうございます・・・・。」母親や園長に感謝される二人・・・。
「隼人クン♪かっこよかったわ。チュ♪」いきなり由香はキスをした・・。
「・・・。照れるじゃないか・・。」「いいじゃん。私たちフィアンセなんだもん♪」
こうして一躍ヒーローになった二人だが、あとは以前と変わらずシマウマやきりんを見て、ソフトクリームたべてデートを続けた。
そんなとき・・。
「キャー!」また新たな悲鳴が。それも、一箇所ではない。園内各所から悲鳴が・・!
なんと、動物たちが檻を突き破り、客たちを襲っている!しかも、檻は動物たちの力では破れない強度があったはずだ・・・。
そして、隼人と由香にも、クロサイが突進してきた!
「きゃぁ!」突進をよけきることは、超人的体力を誇る隼人でも不可能だった。由香の前に立ちふさがり、彼女を守るので精一杯だった。
サイの角が隼人の厚い胸板につきささる・・・。迸る鮮血・・・。(注、変身前は血がでる)
「くそっ!」しかし僅かに急所をそれ、命に別状はなかったが、大きなダメージを負ってしまった・・・。
ふたたび返してきたサイをなんとか倒した隼人が見たものは、信じられない光景だった。人間ほどもある大きなサルが、動物たちを指揮して、人間を襲い、施設を破壊しているのだ。そして、こんどは二人にコヨーテの群れが襲い掛かる!
もう、躊躇はできなかった。どうせ、周りは混乱している。
「バルディ・チャージ!」二人はバルデイバンとバルディーナに変身した。バルデイシューターでコヨーテを駆逐した二人は、象やライオンより早く出口へ急ぎ、避難路を切り開き客たちを避難誘導した。陸軍もかけつけてきたが、その背後からはなんと巨大なキングコングのようなゴリラ型怪獣が!後ろに猛獣、前に巨大ゴリラ。そして逃げ惑う客たち。二人は絶体絶命のピンチに。
とりあえず、ゴリラは戦車隊の砲撃で足止めさせ、バルディバンが猛獣を倒し、その間にバルデイーナは避難誘導とけが人の手当てをすることにした。バルディーナの胸からは、傷を治すビームも出るのだ。
「なんなんですか、あなたは?怪物の仲間ですか?」心無いおばさんが、バルディーナに汚い言葉を投げかける。無理もない。こんな全身装甲に覆われたロボットのような姿だ。由香の心は深く傷ついた・・。だが、今はそれどころではない。このおばさんのように感じる人もほかにもいるだろうと判断した由香は、ヘルメットを脱ぎ捨てた。はらりと長い黒髪が現れる。
「あっ。」先ほどのおばさんも目を丸くして驚いている。むろん、由香の美しさにだ。
「軍の看護婦さんが来てくれた!」客たちはそう解釈したらしく、誘導はスムーズに進むようになった。だが、隼人と戦車隊は・・・。
戦車隊の砲撃はゴリラに通用しなかった。一台、また一台踏み潰され、投げ飛ばされる戦車。飛来した戦闘機もゴリラが口から吐く硫酸のツバを浴びて撃墜された。奇跡的にも避難救助活動がスムーズなのは、ゴリラが戦車の破壊を楽しんでいるからだった。しかし戦車は過半数が破壊され、残りも撤退を開始した。
そしてバルディバンは猛獣あいてに格闘を続けていたが、殺すわけにいかず得意の剣が使えない。格闘をつづけるうちに、先ほど変身前に傷めた胸が痛み出してきた。サイボーグ体を構成するメカ細胞には、変身前の生身の細胞核がひとつひとつ埋め込まれているため、変身前のダメージは変身後にも反映するのだ。しかも、エネルギーのタイムリミットも迫る。全身のアラームランプが点滅する。
しかし、由香は救助活動中でエネルギーチャージできない。動物たちはつぎつぎと襲い掛かってくる。ついにバルデイバンはパンダの巨体に組し敷かれてしまった。
そして戦車を全て破壊したゴリラが、避難民たちに迫る・・・。
エネルギーも尽き、全身にダメージを負ったバルディバンは、いま巨大なパンダに弄ばれていた。しかし、彼は見た!動物たちを操る黒幕を!「動物園の動物たちは何も悪くない。だから殺さずに戦ってきた・・。でも、あいつはちがう!」
最後の力を振り絞り、バルディシューターを発射!その光の束は、あのボス猿を貫いた!
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」奇声を上げ倒れるボス猿。するとどうだろう?いままで暴れていた動物たちは急におとなしくなり、とくに草食動物などは何事もなかったようになった。そして凶暴なトラ、ライオンなどは粗方倒したため、軍や消防の職員でもなんとかなるようになった。そしてたったいままでバルディバンを手玉にしたり嘗め回したり殴りつけたりひっくり返していたパンダくんは、その場ででんぐりかえって遊び始めた・。・。
そこに長い髪を振り乱し駆け寄るバルディーナ!「隼人君!」
しかしその背後には、ゴリが迫る!
「ゆ、由香ちゃん、後ろ!」「かまわないわ!さあ、早く!」いきなり合体誘導光線を照射したバルディーナ。
あと10歩ぐらいに迫ったゴリ。自ら足を広げて促すバルディーナ。しかも、その顔はいかつい仮面ではなく、由香の顔だ。
「バルディ・クロス!」起き上がる力が残っていないバルデイバンは、バルディーナの腕をつかみ、その反動で引き倒すと同時に自らの体を引き起こし、その体が交わる瞬間に挿入に成功した。ゴリがそこに迫ったとき、二人の体は巨大なピンク色の火の玉となり、ゴリがたじろいだ・・。
その光が消えたとき、合体巨人バルデイスターが出現した。
すると、一機の円盤が敷地内から飛び立ち、ゴリの頭に帽子のようにかぶさった。よく見ると、さきほどのボス猿が操縦している!
ボス猿は、グロテスターの獣人軍団のコードナンバー99、オッカームーラ少佐だったのだ。そして、同時にゴリの体を装甲パーツが転送されてきて包む。無人となった動物園は、巨大戦士の決闘場へと変わった。
今日はじめて剣を抜くバルディスター。しかし、硬い鎧にはばまれ、なかなか切り裂くことができない。
そのとき、体の制御をする由香の意識が戦闘を司る隼人の意識に語る。
「隼人クン・・。今あのゴリラの体をスキャンしてみたの・・・。あれはメカじゃないわ。ここで切ったら、血がたくさん出て動物園がだめになってしまうわ。どこか急所だけを一突きするか、焼き尽くすしかないの」
しかし、焼き尽くす武器はあるものの、それでは一面すべて廃墟になってしまう。急所らしきところは全てプロテクトされている。
そうしているうちに、ゴリに間合いをつめられ、殴られてしまった。パワーでは、向うのほうが上だ。ボコボコにされるバルデイスター。
「!」敵に致命傷を与えられるかどうかは別として、奴を操っている頭脳、つまりボスざるのオッカームーラを倒せば、コントロールを失ってあるいは弱点が見えてくる、それしかない!
「(心の中で隼人は叫んだ。「由香ちゃん、僕にもう少し力をくれ!」(由香の心)「わかったわ・・。あああっ・あーん」
由香の心が、生命エネルギーを開放する。すると全身に力がみなぎり、ゴリを跳ね除けた。
渾身の力をこめて、バルディーソードを脳天にたたきつける。「グロロロ・・・・・・・・つ」断末魔の叫びをあげてオッカームーラは戦死した。するとどうだろう。全身を覆っていた鎧は剥がれ落ち、体毛が剥き出しになった。しかしゴリはますます凶暴化して襲い掛かってきた。
「思ったとおりだ!よし!」ゴリは胸を叩いて雄たけびを挙げると、突進してきた。しかし、そこが狙いだ。
バルデイソードをランスに変形させたバルディスターは、その一瞬を逃さなかった。
「グェェェェェェェェェェェェェェッ」ゴリの心臓に寸部たがわず突き刺さるバルデイランサー!あまりの見事さに血も噴出さない。
もんどりうって倒れたゴリを、バルディスターは超重戦闘機バルディライナー(本来はバルデイバンたちが宇宙空間を移動するための体型)に変形すると抱えて海へと投棄した。
そして、いつものとおり、細川家の財産によって動物園は復興し、翌日何事もなかったかのように隼人と由香は登校していったのだった。
その途中、一匹の猿が飛び出してきた。
「きゃー!」悲鳴をあげ隼人の袖に隠れる由香。もう猿は嫌い。
「マチャミちゃん待つざます!」どうやらこのオバハンのペットの猿らしかった。そのおばさんは、なんと昨日バルディーナを化け物よばわりしたあのオバハンだった・・・・。
サルのマチャミは、隼人によって捕まえられ、オバハン(羽柴江里という名前だった)に引き渡された。
「あら、おにいさんありがとうざます・・。あっ?そちらのお嬢さんどこかで・・・・」
「はじめまして。細川由香です」
「あら?細川さまの・・・。レレレ、これは失礼いたしました〜!」オバハンはマチャミを掴むとあわてて走り去っていった。
「サルは去る、か・・」
「キャハ♪おもしろい!隼人君大好き!」(ほかの人が聞いたら凍るギャグなのだが、この子にとっては隼人の口から出た言葉は全て感激するのであった・・・。)
第3話おわり。