女を捨てた覚悟の再改造
激しかったラガーボーグとの戦いに辛くも勝利した隼人と由香・・・。だが、この奥多摩基地は囮のダミー基地であり、真の新秘密基地は所在不明の地点で、工藤博士が作った石灰石と宇宙鉱物をミックスした新素材で完成し、ラガーボーグが合体したビッグラガーMKTとの激闘は、三浦博士にとっては良い時間稼ぎとなり、その間にMKU、MKVの改造を完了し、新拠点へと逃げおおせたのであった。
合体・変形・巨大化・フォーメーション自在のラガーボーグを、2人の命を燃やし尽くす大技、バルディコアフラッシュでやっと倒したというのに、敵の手にはまだ2組30人のラガーボーグがいるのだ。
グロテスター地球侵攻軍では、これまでの本星から派遣されてきた、騎士団、怪人、超人、獣人の枠を超えて、怪人に協力し、地球人をサイボーグ化して強力な怪人を作る三浦右衛門博士と、超人に協力して鉱物や土から新素材を開発する工藤祐之進博士の、地球から亡命した2人の老科学者がタッグを組んで、独自に攻撃を仕掛けてくるようになってきたのである。また、これにより元々頭数の少ない超人は、怪人と協力するようになった。
然し怪人のボス・ワルモナイトは三浦博士の独走を快く思わず、さらに騎士団の長、エドワルド太子とバルボン将軍は、怪人の存在そのものを遑しく考えており、その上、獣人軍団は団長リザードナイトの復活を待ちつつ、手がらを立てようと必死であった。
超人や獣人たちはグロテスターへの忠誠を条件に母星の自治を認められているのだ。
さて、全エネルギーを使い果たし、細川博士に収容される隼人と由香だったが、あることに気がついた。
「香織さんは?」
香織は、隼人と由香が変身・合体する時間を稼ぐために、マリコの変身したブラッディマリーと激しい死闘を繰り広げていたのだ。
「博士、隼人君由香ちゃん・・・わたしなら大丈夫よ・・・」
指令車に歩み寄る香織・・・。
バルディーナの試作品である香織は、由香とは違い戦闘が終っても、自力で人間の姿に戻ることは出来ない。また、戦闘によるダメージの修復機能も低い(これは隼人も同様)。
三人の見た香織の姿は・・・・。
その、ふくよかで丸く膨らんだはずの銀色のメカ乳房が無惨にも握りつぶされ、特に左胸は抉り取られていた。また、左肩当は外れて中の駆動部がむき出しになり、その他各所に亀裂が入っていた。
そして、これは本人が悪いのだが・・ヘルメットを脱いで戦ったため(どういうわけか香織も由香も、一旦変身しながら、戦闘中いつのまにかヘルメットを脱いで素顔のまま髪を振り乱して戦う癖がある・・・。髪を掴まれたり燃やされると弱点になるはずなのだが・・・。)、左目を殴られ腫れあがり、口から血を流し、高く結んだ髪も解けて無造作に肩から背中にかかっていた。
「香織君、早く車へ・・・・」
基地に戻った4人。すぐに香織の復旧手術が始まった。
一通りの工程を終え、細胞培養カプセルに入れば人間の姿に戻れる、というそのとき。
「博士!私を改造してください!」
「改造といっても、君は既に・・・」
「いいえ、グロテスターの怪人と互角に・・いいえ、ブラッディマリーをこの手で倒せる力が欲しいんです。このまま人間に戻るより、強化再改造を!」
「しかし香織君・・・」
「いいんです・・宇宙開拓の夢は隼人君と由香ちゃんに任せて・・・私は戦闘用サイボーグになりたいんです。・・・・。判ってますよね、博士・・・。」
「香織君・・・。」
「判っていただけましたのね?では私の案を見てください・・仁子さん!あの設計図を!」
「はい!」
「おお、こ、これは・・・・」
「わたしと仁子さんで計画した、私の強化改造図です。主な強化点は、人工筋肉の3割増強と、バストへの超高周波砲の搭載、それと頭蓋骨の強化です」
「こ、これを君たち2人で・・・・。だが、胸を改造したら授乳できなくなってしまうぞ・・・」
「博士・・改造されたこの体、この歳、そして耕司も亡くし・・いまさら誰の子を産んでおっぱいを与えるというのですか?そっちの方は由香ちゃんに任せます。」
「耕司君・・・。」細川博士は実験の犠牲になった最も優秀な弟子を偲んだ。彼は香織の将来を誓い合った相手でもあった。香織は耕司を失った後、博士の愛人のように思われているが、それは好きでそうしているのではない。改造されたその体の維持のためには、男性との結合が必要であったからだ。そのため、複数の男性と交渉を持った香織を非難した由香をぶったこともある。彼女の心にはまだ彼は生きていた。
「博士・・この改造には由香ちゃんと耕司の力が必要です。」
「まず、増設するメカ部分は、アレを使います。」
「うう、アレか・・・。」アレとは、耕司と香織が最初に改造された体で、合体失敗のため結合したまま溶解して半壊し、その際耕司は脳死し、香織の脳と卵巣を取り出すのがせいいっぱいであったのだ。だが、研究資料として保管されていた。それを溶かして、強化資材に回すというのだ。いわば亡き耕司の亡骸の再利用ということになる。
「だが、男性サイボーグ用の人工筋肉を使い、装甲も強化すればその分エネルギーの消費も激しくなり、隼人のように行動時間に制約が」
「そこで私の卵巣に、由香ちゃんの卵子を少し移植します。そうすればデータ上、爆発的に増殖して由香ちゃん並みのエネルギーを発生できるはずです。いいえ、由香ちゃんには及びませんが、強化するとはいえ女のこの身を動かすには十分過ぎるはずです。」
「そして、仁子さんが作ったこれを使います」
「それは!」
香織が握り緊めていたのは、男根状の物体だった。
「変身の時いちいちカプセルに入ったり博士の力を借りたのでは間に合いません。そこで耕司の人工ペニスの残骸をネンドボーグで柔らかくコーティングし、左右のタンクにそれぞれ1回分の変身エネルギーを充填しておきます。これならポケットに入りますからいつでも変身できるようになるはずです。ただ、まだ未充填なので、博士のを戴くことになりますわ。」
「それに・・・変身後もそれは役に立ちます」
口を挟んだのは仁子だった。
「香織さんや由香さんの最大の武器は、人工子宮を中心とする「女メカ」です。いいえ、これがお2人の「本体」でしょうね。ここから私たち女が持つ、「命を生み出す力」を機械で出来た肉体を駆動するエネルギーに変換するなんて、博士は宇宙一すごい科学者ですわ。
ですけど・・・この私もこの手で由香さんを痛めつけましたけど・・・最大にして唯一の致命的弱点でもあるんです。ここを心許さない男に弄ばれる屈辱はそのエネルギーを一瞬のうちに消してしまうのです。しかし、初めからこれが刺さっていれば、他の物体を差し込むことは出来ません。それだけじゃないんです。設計上、あそこはきつく閉じられていますが戦闘中由香さんも香織さんもいつも半開きになっている。それと2人ともヘルメットを脱いだり、ビームランプ(乳首)を露出している・・・。
胎内で発生する強大な女性エネルギーを、消耗しきれず、体の中の「女」の部分から発散する必要があると私は分析しました。そのポイントが、あそこと、乳首と・・・そして髪の毛だったんです。だから2人とも無意識のうちに脱いでしまっていたのね。要するに、改造された肉体の中の「女らしい部分」から発散するのですが、この装置を使うと余分なエネルギーを吸収し、次回の変身エネルギーや追い詰められた時の非常エネルギーとして使えるのです。」
「仁子君こそ、さすが14歳でグロテスターアカデミーに入学した宇宙一の才媛だ・・今の高校の授業はつまらないだろう?」
「いいえ・・わたし、友達と一緒に楽しく勉強したことがなかったから・・・今が一番幸せです」
「そうです博士。頭蓋の強化は、メットなしでもありと同じ強度で脳みそを守るためなんです。メットは私、性にあいませんわ。」
「2人とも・・・ありがとう。」
「早速手術してください。」
「判った。由香、話しは聞いたね?おまえも変身してこのベットに寝なさい。お前の卵子を少しいただく。」
「判りました叔父様。」
ベットに並んで寝かされた由香と香織。2人の機械化美女・・・。
まず、由香の合体装置の安全装置をはずす・・・これをやらないと命がない・・・2重・3重の貞操回路が組み込まれているのだ。それは香織にはない装備で由香の強い希望によって付加され、さらに細川が改造していないのに、進化し続ける由香の改造体(驚くべきことに、由香のサイボーグ体は細川の手を離れて独自の進化改良が進んでおり、その最たる例が背中から生えたエンジェルウイングであった。当初、大気圏内の飛行は合体した状態で行なう設計で単独での飛行は計算外であったが、由香はいつのまにか背中に翼を持ち、飛行能力を身につけていたのだ)におどろきを隠せない細川であった。
【わたしは・・・神を作り出してしまったのかもしれない・・・】
続いて、香織の装甲が剥がされ、内部の回路や電装品、それに生体部品が露になる。細川博士と仁子はそれを手際よく設計図に従って切り取り、また取り付けていく。
一回り大きくなったバストのパーツ。計画が成功すれば、変身を解除して人間の姿になった時も一回り大きくなっているはずである。ここには新たに高周波ビーム砲が組み込まれた。
そして、香織の秘部が開かれ、彼女の「本体」が取り出された。
そして、その本体の生命線である卵巣カプセルに、先ほど由香から取り出した卵子を注入し、静かに、丁寧に元の位置に戻す。
これで本体の改造は終了。続いて装甲の強化が図られた。
全ての工程を終えた香織は、今度こそ培養カプセルに。
「僕にも手伝わせてください」
何もできなかった隼人が進み出る。
培養カプセルの隣のエネルギーカプセルに由香と一緒に入り結合し、そのエネルギーを香織に注入するためだ。
二つのカプセルの中の3体のサイボーグは激しくスパークし、虹色に輝く。そしてそれはだんだんと柔らかく、血の通った人間の姿に変わっていく。
成功だ!
香織の決断、仁子のアイディア、細川の技術、そして隼人と由香の愛が一つに結集し、遂に香織はニュー・プロティーナとして生まれ変わったのだ。
そしてその成果が3日後には早くも発揮された。
石巻港を襲ったグロテスター海軍に、七海大佐の駆逐艦「望」と協力して合体して挑んだ隼人と由香だったが、その間、都内でも、細川博士の友人の天文学者、一色教授の私設天文台が三浦博士の怪人に襲撃されたのだ。
だがそれは、細川博士の罠だったのだ。本物の一色博士を保護して、一色博士に変装した細川博士と香織は、怪人をおびき寄せ、敵の陽動作戦に引っかかったふりをしたのだ。
そして、ついにその真っ赤にきらめくボディを現したニュー・プロティーナ=香織の胸が閃光を放った!
一瞬にして怪人は蒸発し、天文台は守られたのだった。
海軍と協力して石巻を守った隼人と由香も帰還し、5人は耕司の墓に花を手向けたのであった。
「耕司・・・わたしはやったわ。こんな体になったけど・・今でも愛している・・・。」
耕司を想う香織。そして
「ブラッデイ=マリー、いや加藤真理!こんどは私が勝つ番よ・・・。覚えていらっしゃい!」
その頃、三浦博士の基地では・・・。
「お父様・・・わたくし、また記憶が一部戻ったわ。
わたくしは・・・。小学生、中学生の時、バスケの選手だった・・・。中学新人全国大会で、わたくしは東京代表のポイントガードだったわ。そして、優勝したわたしを最も苦しめたのが・・・準決勝で当った静岡のセンターだったわ。そしてその女こそ、細川博士の助手の、森村香織だったことを思い出したの。髪も長くなっていたし背があまり伸びていなかったからわからなかったけど・・・。あの顔は間違いないわ。(注、香織は身長170センチで決して小さくはないが中一のとき既に165cmを超えていた。ちなみに変身前の麻里子もほぼ同じ体格。)わたし、そのためにもあの女にだけは絶対負けられないわ」
同じ頃、香織も同じことを考えていた。
「体格でも実力でもわたしの方が上だったのに、あのときはチームメイトに恵まれなかったわ・・・。それに私を指差して、「男子を入れるのは反則だと想いますわ」とスポーツ選手らしくない長い髪の子に言われた悔しさ・・わたしが髪を伸ばしたのはあのときからよ・・。全中では絶対借りを返すと誓って練習を重ね仲間を鍛え、そして髪も伸ばして男と間違えられないようにしたのに・・・。それなのに事故で死んでしまうなんて・・・と思ったらグロテスターに改造されて生きていたなんて・・。そして隼人君のお姉さんだったなんて・・・。でも、私は負けない!今ではパワーでも戦術でも、改造レベルでも・・・そして女らしさや髪でもあなたには負けないことを証明してみせる!」
香織と麻里子は、お互い中学以来の宿命のライバルであったことを同時に思い出したのだ。
中学時代、バスケットボールでのライバルだった香織と麻里子(当時の名前は加藤真理)。ボーイッシュに鍛えられた香織に対し、女性らしい白い肌と黒髪を持ち、かつチームメートに恵まれた真理に対し香織は激しいライバル意識を燃やす。(注・色白で長い髪ですが由香ではありません。なお、由香の肌は僅かに色を乗せていますがマリコは白を使用しています) |
香織と麻里子・・・2人の美しくも危険なサイボーグ美女の戦いには今後とも目を離せなくなってきた。
終