潜入!悪の学園(後編)
ここ校長室では・・・。
「校長先生。第一陣15名の改造が完了いたしました。」
「よろしい。生徒たちの体格・性格・能力に合わせて、怪人素体・戦闘員素体・奴隷・生体部品に振り分けるのじゃ」
「お父様!バルディバンがここをかぎつけてきたわ。どのタイミングで攻撃しようかしら?」
「何じゃと!」
「ご安心を。あのサイボーグは、例の小娘がいないと15分、長くとも30分しか戦えないことは今までの戦いからわかっていますわ。仮に何らかの改良を施したとしても根本的改良に不可能なはず。ここは全校生徒900名中、15人の怪人化、15名が改造途中、300人が洗脳済み、その他の生徒もろくでなし・・。その上全寮制。袋のねずみですわよ、おほほほ・・・♪」
「わかった。それより人選を急げ。15体×15隊編成して東京と埼玉を火の海にしてやるのじゃ」
「校長先生、最初に完成した第一チームで今すぐどこかを襲撃せよと、本部のワルモナイトさまからの命令です」
「くそ、あのガイコツめ。何もわかっとらん。少なくともあと5チームなければ・・・。じゃが、せっかくだ、試運転を兼ねて、暴れさせろ」
「了解」
翌日、突如巨人が現れ、多摩西部の某市を襲った。
駅を破壊し、学校を潰した巨人。しかもバルディスターは駆けつけず、防衛隊が応戦したが・・・。
なんと巨人は忽然と姿を消したのだ。
「成功じゃ!」
「もっと暴れさせたかったが・・・。しかもバルディバンはこちらの手の中。細川の悔しがる顔が目にうかぶわい、イヒヒ・・・」
隼人と由香は怪人出現すら知らず、隼人と由香はラグビーの特訓と採掘をさせられていた。カチューシャがないので本部との連絡もとれない。
しかし、ようやくことの始末を知った。
テレパシーだ。近くに変身した香織が来ている。由香は、同じ構造による共振により、香織が半径200メートル以内にいる場合、ある程度のテレパシー会話ができるのだ。
「え、わたしたちがいない間に怪人が?」
「でも不思議なことに、防衛隊の戦闘機の攻撃で消えてしまったわ」
「変ね・・・。でも気をつけるわ。」
そして体育=ラグビーの授業・・・。当初聞かされた話では全裸でやらされる、と聞いていたが、「そういったこともある」ということであり、一応服は着せてもらっていた。
しかし・・・体力のない由香=優二はタックルされるまでもなくぶったおれ、保健室送りであった。怪我をしてるわけではないので、とりあえず寝かさせていた。
「あのオカマみたいなチビ、全く役に立たん。なんで入ってきたのかわからんが・・・幸いまだ秘密を知られてはいない。明日にでも追い出してしまえ。」
助手の報告を受けた三浦校長は声をあららげた。貧弱すぎて、怪人・戦闘員の素材になりえないと判断されたのだ。
ここに来て4日間の疲労から、声もたてず死んだ様に眠る優二=由香。
そしてその頃、隼人は一軍AチームVSCチームの試合に臨んでいた。
ナンバーエイトとして活躍する隼人は、間違いなくここで最強の選手だった。
おさらいをしておくが、ラグビーは背番号でポジションが決まっている。
フォワードが1〜8、ハーフが9と10、バックスが11〜15であり、16より大きい番号をつけているのは補欠である。
1・3番が「プロップ」で、スクラムの最前列の左右、2番の「フッカー」(アメフトのセンター)が中央。このポジションは体重が重ければ重いほど良い。4・5番が「ロック」で、背が高いことが条件になる。他のポジションでは、似つかわしくない選手がいるが、ロックだけは、最低限スクラムのとき1列目の胸を掴むだけのリーチが必要で、背が低い者、腕の短いものには向かない。またスローインも原則としてロックが行なう。6・7番が「フランカー」で、スクラムの3列目。(2列目の外側という見方もある)体格とスピードを兼備えた選手が勤める。アメフトで言うタイトエンド。8番がナンバーエイトで、スクラムの最後尾につく。こちらもパワー・スピード・テクニック・体格の全てに優れた者でないとならない。
9番がスクラムハーフで、両軍16名がスクラムで押し合う下にもぐりこんでボールを掻きだし、後方のバックスに送るポジションで、小さくて器用な選手が勤める。
10番がスタンドオフで、9番が掻き出したボールを11番以降のバックスにパスしたり指示を出す、アメフトでいうクォーターバックにあたるポジションで、ナンバーエイトと並ぶ花形ポジションである。大抵キャプテンはこのどちらかである。
11・12番が「センター」、13・14番が「ウイング」、15番が「フルバック」といい、足の速さが体格より優先される。
さて、試合は隼人の活躍もあり、主力中の主力、Aチームを、1軍ではあるが補欠主体のCチームが圧倒する展開になった。
「おかしい!」
Aチームの連中はいぶかしんだ。
なぜなら・・・彼等は全員、サイボーグ=怪人だったからである。
奥多摩工業高校=グロテスター奥多摩基地では、まず改造を終了した者がAチームを造り、続いてB〜Dの3チームを結成させてAチームと対戦させ、その中から優秀なものを選んで新Aチームを造り、最初のAチームは破壊活動又は重作業に投入、最終的に15チーム作って、それが完成すると同時に、総攻撃で首都圏を一気に征圧する計画だったのだ。
「Cチームのエイトが怪しいぞ」試合は荒れてきた。あきらかに隼人1人を狙い撃ち始めたAチーム。
人間離れしたパワーに隼人も悟った。
「判ったぞ・・こいつらサイボーグだ・・・。」
そして、Cチームの仲間、回りにいるBチームの中からも、隼人を攻撃する者が現れた。
監督の指示が飛ぶ。
「今こそ宿敵・バルディバンを倒せ」
「オー!」
Aチームのメンバーたちがサイボーグの本性をむき出した。Aチームの全員と、B・Cチーム、そしてここにはいないDチームのそれぞれ1/3は改造又は洗脳済みであったのだ。
未洗脳の連中も、隼人の味方ではなかった。
「やむを得ない。バルディ・チャージ!」
隼人はバルディバンに変身した。
「博士、変身パルスをキャッチしました。隼人君だけです。もしかすると、由香ちゃんとの隔離されているかもしれません。学校への潜入は成功したものの、体力差から別のコースに分けられているんです。このままでは危険です。私も行きます!」
「よし、エネルギー注入開始!」
細川の車(外見は普通のワンボックスカー)の助手席の香織のシートが、後方に移動する。
そして搭載された変身カプセルにシートごと入り、同時に各部にチューブが接続される。
この車は、香織の変身装置、隼人と由香のバックアップ機能を備えた細川の移動基地なのだ。
奥多摩工業高校手前の農道を疾走し現場に急行する移動基地・・・・。
しかし、基地=学校の警戒は厳重だ。付近を通る自動車が謎の事故を起こしたことが何度かあった。それでも細川と香織は急いだ。
バルディバンに変身した隼人は、15体のサイボーグ相手にたった一人で善戦し、むしろ相手を圧倒しだした。そして、遂に敵の14番を一刀両断、完全に破壊した。すると、Bチームの14番が新たに変身して加わった。倒しても倒しても、常に15人維持している上、1〜8、特に1〜3番の装甲とパワーが非常に強く、バルディソードが折れてしまった。
かつてない大ピンチである。
テレパシーで由香を呼ぶが反応がない。もしや既に捕えられているのか・・・若しくは坑道の奥で採掘されているのか・・。そして遂に恐れていたことが起こった。
頭と胸のエネルギーゲージが点滅する。いや、既に点灯していた。だが、これに備えて、今回は腕と膝のパワーコンデンサー計4箇所に、あらかじめ予備エネルギーパックを充填しておいた。だが、最後の1個も使い切ってしまったのだ。
1人、2人、3人・・次々のしかかってくる巨漢サイボーグたち・・・。
遂に、バルディバンの瞳の光は消え、その巨体は動かなくなった。
「やったぞ!ついに我々はバルディバンを倒したぞ!」
いつのまにか近くに来ていたマリコが監督に指示する。
「作戦が的中したわ。彼は非常に強くて優秀なサイボーグだけど、一つだけ致命的な欠陥があったのよ・・。それはいつも一緒にいる小娘サイボーグがいないと、このようにガス欠を起こすこと。あたくしがわざと情報を小出しに流してここにおびき寄せ、小娘と完全に隔離しておいて、多数のサイボーグで集中攻撃。大成功よ。さあ、彼をお父様のところに運んで。再改造して私たちの手下にしてやるわ。バルディバンがわたしたちの手下になって東京を攻撃・・・考えただけでもわくわくするわ♪」
マリコの判断は全く正しかった。
グロテスターは宇宙全域を支配しようとし、これまでに1000以上の星を征服してきた宇宙最強の国家であったが、地球をなめ、戦力の逐次投入を行なったため、バルディバンに敗れ続けていたのだ。しかし三浦博士は、本国から呼び寄せる怪人では間に合わないと判断し、地球人を改造したりロボットを作って、一斉攻撃することを主張してきた。
だが、彼等から見ると亡命者三浦博士の意見は取り上げられず、また怪人だけではなく、騎士や超人もいることから、なかなか実現しなかったのだった。
しかし、この奥多摩基地の成功により、三浦博士の野望は達成されようとしていた。
しかも、バルディバンを倒して手中に収めたのだ。
高笑いする三浦博士とマリコ。自分たちを見捨てた地球人、そしてグロテスターの両方を見返してやった、という気持になったのだ。
手術台に固定されたバルディバン。
「さあ、我々に忠誠を誓いたまえ」
「誰が宇宙人なんかの手先に・・・」
「勘違いするな。ワシはれっきとした地球人じゃよ。ワシはわけあってグロテスターに協力しているが、やつ等の手下ではない。ワシは改造人間の優位性を証明し、それを否定した地球人類にワシの偉大さを認めさせるのが目的なんじゃ。」
「あなたは間違っている」
「あら、そうかしら。お父様が間違っているというなら、あなたを改造した細川博士はどうなりますの?細川博士の本心は、貴方方を使って宇宙征服をすることなのよ。グロテスターとどこが違って見えて?」
「ウソだ!」
「ウソではない。元々、貴様らの計画を最初に立てたのは何を隠そう、このワシじゃからだ。細川はこのワシから、人体改造を教わったのじゃ。そして奴は野心の高い男じゃった。本来なら、ワシ以上に危険で追放されなくてはならない男じゃったのだ。じゃが、家柄がよかったため追放されず、代わってワシが・・・ワシは奴が憎い」
「それに、聞くところによるとあなた、私のことを姉さんだと思っているみたいね。弟は姉の言うことを聞くものよ。さあ、私たちの僕になりなさい。」
「姉さん!あなたは本当はマリコじゃなくてマリなんだ!僕の本当の姉さんなんだ・・。三浦博士に騙されているんだ。目を覚ましてくれ姉さん!」
「御黙り!言っても判らないようね。じゃあ仕方ない。その脳みそを直接こじ開けて言うことを聞かせてあげるわ。さあ、やっておしまい!」
激怒するマリコだったが、実はマリコは本当のことを全て知った上で、三浦の娘を演じていたのだ。あのときの事故で生死を彷徨った自分を生き返らせ、実の娘以上の慈愛で育ててくれた三浦に、実の親以上の恩義を感じていたからなのだ。三浦も、実の息子を無謀な実験で殺してしまい、そのショックで妻もなくしていたため、その寂しさと罪滅ぼしの意味からもマリコを溺愛した。それに科学者としての三浦に対する尊敬もあった。
だが・・・マリコはやはり、実の弟の隼人を愛してた。そして、最愛の弟を奪った由香を憎んでいた。そしてその叔父の細川博士をも憎んだ。三浦博士から見ても細川は裏切り者だ。マリコは、どんな形でも良いから弟とともに暮らしたいと願っていたので、今回隼人を捕える作戦の成功には別の意味での感慨を持っていた。
「細川春彦、由香・・隼人は返してもらうわ・・・」
丸鋸が隼人の脳に迫る・・・絶体絶命のピンチ。
そのとき・・・。
研究実験室は保健室の隣にあった。騒ぎで目が覚めた優二=由香は、目をこすりながら、騒ぎのほうへフラフラと歩いていった。明確な目的などない。単に普通に寝起きの状態だった。
そして、そこで初めて我に帰り、完全に目が覚めた。
「キャーっ!隼人君!」
「なんじゃあいつは!」
「はっ、校長・・・あまりにも貧弱なので学校から追い出す予定でいた男です。
先ほど授業中に倒れたので、寝かしておきました。」
「ここを見られてしまっては仕方ない、殺せ!」
助手たちがいっせいに銃を構える。
「バリバリ・・・」
一斉に火を吹くマシンガン・・・迸る鮮血。だが、そのひ弱な男の子は、血まみれになりながらも、まだ突進してきた。あのひ弱ですぐぶっ倒れた少年とは思えないような勢いと根性で・・・。倒れる直前、そして何かつぶやいた。
「バ・ル・ディ・・・チャー・・・ジ」
するとどうだろう。少年の体は、一瞬ピンク色に光った。
一糸纏わぬその姿。その股間についていた、高校生とは思えない、小学生並みのちんちんが、ずるりと抜け落ち、ぱっくりと開いた女の部分が現れた。また、胸板が盛り上がり、中から銀色に光る、機械化された乳房がせり出してきた。そして、一瞬のうちに、ピンク色の金属で覆われた、女性型サイボーグに姿を変えたのである。
「まさか、なぜおまえが!」
信じられない光景であった。彼女がここに入って来れないよう、厳重に警戒とチェックを重ね、ここでは下働きを含め、マリコ以外の女性は敷地内に絶対入れないようにシャットアウトしていたのだ。もちろん、佐藤優二も男であることを確認のうえ入れた。入念な身体検査も行なった・・・。
戸籍も調べた。だが細川にとって戸籍の操作などたやすく、男性器も備え、完全に男性化してもぐりこんだ優二=由香に、怪しいとも思わなかった。由香が男であるはずがないという先入観からだった。
「忌々しい・・・。こんなことなら染色体検査もするべきだったわ・・・・」
銃撃のショックで、フラフラとしているバルデイーナの足元に転がる物体。それは、造りちんちんだった。それを拾った真理子は絶句した。
「これは・・・超人軍団のネンドボーグ!お父様、工藤博士が裏切ったみたいよ!」
「いや、そんなはずはない。現に我々が採掘した石灰石は工藤へ送っている」
「ということは・・・あの子だわ。ほら、あのとき私たちが助けた・・・。」
「じゃがあの子はアン王女の命令で超人に変身してバルディバンに敗れ、戦死したはずじゃ。工藤の悲しみようはそれは・・・」
「いいえお父様。細川が生き返らせた、又は隼人が止めを刺さなかった、という可能性も・・。
いいえ。きっとそうよ。えーい、忌々しい!ネンドボーグの技術が漏れるなんて・・。
工藤仁子・・・見つけ次第始末してあげるわ」
マリコはハイヒールでネンドちんちんを踏み潰した。
そして、我に帰り命令した。
「絶対チャージさせちゃダメよ!」
戦闘員たちがバルディーナを襲う。しかし、その間を縫って、バルディーナの胸から一筋のビームが発射された。
それを浴びたバルディバンは、むっくりと上半身を起こした。しかしまだ起き上がることは出来ない。
しかしそれを見たマリコは狼狽した。
「えーい、こうなったらこのわたくしが・・・」
マントを羽織ると・・・マリコは機械魔女ブラッディ=マリーに変身し、由香を押しのけた。
「小娘、よくもわたくしたちを騙してくれたわね・・・。殺してやる」
「来るな、由香ちゃん!君では姉さんに勝てない!」
「待ってて、隼人君・・・今チャージしてあげるわ・・・」
「御黙り!代わりにわたくしがあなたをめちゃくちゃにしてあげるわ!」
そのときである。赤い閃光が迸り、一瞬マリーがひるんだ。
「ブラッデイ=マリー!貴女の相手は私よ!」
「何者!バルディーナが2人なんて聞いていないわ!誰なの!」
「細川め・・・追加改造をしたのか!」
「いいえ三浦先生・・。私はプロトタイプ・バルディーナ。【プロティーナ】とでも呼んでいただけるかしら。それとも・・・」
自らメットを脱ぎ捨てたプロティーナ。中から現れるポニーテール。
「おお、おまえさんは・・・・・」
「覚えていてくださいました?」
「森村君・・・そうか、君か・・・。麻里子、気をつけろ。この子はサイボーグの特性を知り尽くしているぞ。舐めてかかったら怪我をする。ラガー1号〜15号、至急麻里子を援護せよ!」
そして、麻里子と香織の激しい格闘が始まった。
香織のキックが決まったかとおもえば、今度は香織の乳房を握りつぶす麻里子。
一進一退の攻防・・・。
「いけない!しまったわ・・・」
その間に、隼人と由香はチャージ成功!2人とも、これまでの激しいダメージがみるみる回復していく。それに、由香の男装と激しい一日のため、生身の姿を含め4日ぶりの結合である。「うぉーーーーーっ!力が、力が!」「嗚呼、わたしやっぱり女なんだわ・・・」
完全復活した二人。
「おのれぇ・・・ラガー1号〜15号、合体せよ!」
「ラジャー!」
15体のラガーボーグが次々合体していく。
9番を芯に、1・3番が肩幅の広い胸に、2番が胴に6・7番が肩に、8番が腰に。長身の4・5番が腕に。
11・12番が太ももに、13・14番が脚に、そして15番が背中に張りつき、体を丸めた10番が頭に変形して、合体巨人ビッグラガーになった。
「由香ちゃん、僕たちも合体だ!」
「OK!」
2人は建物の外に飛び出すと、再び結合、合体!
奥多摩の廃鉱山で繰り広げられる激闘!ビッグラガーのタックルに一瞬ぐらつくバルデイスターだったが、がっちりと受け止め、反撃開始!
しかしビッグラガーは体が頑丈なうえものすごい怪力の持主だった。剣で斬り付けようとすると。一瞬その部分が分離してしまう・・・。
「なんていう合体技だ・・・。僕たちがしっかりと結びついているのも合体だけど・・彼等の分離合体自在の合体もすごい・・・」
「それに、合体後もそれぞれが自分の役割を果たしているみたいだわ・・・。」
「よし、各個撃破だ!」
バルディスターは、手足をもぎ取って、その切り口を潰していった。脳を潰して命を絶ち、再び合体できないようにするためだ。だが、3体の補欠が現れて代わりに合体した。
20体の完成品のうち、バルデイバンの姿の時2体殺した。これで補充はないはず。それに、先ほど5番を倒した時、代わりの者の背が小さかったため、左腕が短くなっている。
「よし、もう少しだ・・・」
「でも、胴体には全くダメージがないし、手足の追加はまだいるかもしれないわ・・」
さらに、背中に張り付いてた15番が、銃に変形して、すごい砲撃をしてきた。
左手のリーチが短くなったハンデがなくなったかのようだった。
「そうか・・・15番は意味もなく張り付いていたのではなかったのか・・・」
15番は、他のどのパーツにもなれる上、強力な武器にもなれるのだった。
そこで2人は考えた。表面に出ていない、9番が本体なのでは、と。だが、そのためには、特に強固に結合し、装甲も厚い1・3番の装甲をぶち破らなくてはならない。しかしどうしてもそれを破ることが出来ないでいた。
そのときである。
「隼人君、よく見て・・・胸に傷が・・・。いつの間に?」
「あ、あれは、合体前にやった傷だ・・・。よし、剣にエネルギーを集中してあそこを突いてみよう。エネルギーを頼む!そして、中が開いたら、コア・不ラッシャーだ!」
「OK!エネルギーなら任せて♪」
渾身の力を込めて、一寸目にはわからない左胸の装甲の継目目がけて、一瞬の隙をついて切り込む。
グサッ!
初めて確かな手ごたえがあった。
「よし、コア・フラッシャーーーー」
胸の心臓部のハッチが開いて、ものすごいエネルギー・・・良く見ると、裸の男女が絡み合っているように見える・・が、突き立てられた剣目がけて照射された。
一瞬、ビッグラガーがよろめいた。そして・・・。
光の塊はビッグラガーを突きぬけて、地上に降り立った。
いつのまにか、全高20メートルの巨人、バルディスターが忽然と姿を消している!そして、光の降り立ったところに、抱き合ったバルディバンとバルディーナがうずくまっていた。次の瞬間、ビッグラガーは結合が解け、バラバラに剥がれ落ちてきた。地上に転落したラガーボーグたちは脳天を打ちつけ爆発四散、僅かに生き残った者がまだ立てない2人を襲う。ふらつきながらも立ち上がった隼人は、残党の脳天を叩き割り、全滅させた。
そして、そのまま膝を落とした。
「隼人君・・・チャージよ・・」
「いや、もういい・・。戦いは終った。元に戻ろう・・・」
その頃、激しく戦う香織と麻里子だったが・・・。麻里子が優勢であった。だが・・
「麻里子!ラガーボーグMKTがやられた。脱出じゃ」
「判ったわお父様」
「フフ。勝ったつもりかもしれないけど・・・。採掘した資材で工藤博士が秘密基地を完成させたわ。それにラガーボーグMKU、MKVも完成したわ・・・。予定の数は揃わなかったけど、私たちの手にはあと2組のラガーボーグが残っていることをくれぐれもお忘れなく♪」
三浦博士と麻里子を乗せた円盤が飛び立つと、廃坑は大音響とともに崩落した。
そこに細川博士が乗り付けてきた。
「さすが三浦先生だ・・証拠や資料は全て隠滅して行ったか・・・。それにしても15体自在合体のラガーボーグがあと2体・・・しかも、今や三浦先生はグロテスターから半ば独立した第3極となりつつある・・・。グロテスター本体が怪人を繰出した時、同時に三浦先生も攻撃してきたら・・・。我々も隼人と由香、それに香織君だけでは対応しきれなくなるやもしれぬ・・・。国防軍や連邦軍の強化を図らねば・・・」
新たな課題に頭を痛める細川博士・・・。
一方、大技コアフラッシャーを使い、全エネルギーを使い果たした隼人と由香は、そのままうずくまっていた。駆け寄る細川と香織。
「大丈夫か・・・」
「大丈夫です。しかし手ごわかった・・・」
「判った。とにかく帰ろう・・・そしてゆっくり休むんだ・・・」
「はい・・・」
驚くべきことに由香の髪は伸びていた。というより、変身のたび髪は一旦燃え尽き、再び生え揃っていたのだから不思議ではないのだが・・。
「でも、短い髪の由香ちゃんもなかなかキュートだったな・・残念。」
「え、本当?じゃあ、また切っちゃおうかしら・・・」
「任せて!」仁子の眼鏡と鋏が光る。
「そうね、もうすぐ夏だし・・でも、さすがにあそこまで短くする勇気はないわ・・。」
「OK、任せて♪由香さんは髪質がいいから、どんな髪型も似あうから羨ましいわ・・」
ジョキ、ジョキ・・・「出来たわ!」
おそるおそる鏡を見る由香。
「まあ、可愛いわ♪ありがとう仁子さん♪」
「僕も夏の間、短いままいようか」
「ところでみんな・・・ラグビーしない?」
「ちよっと由香ちゃん、君には無理だよ・・・」
「でも面白かったんだもん・・・」
「ハハハ、ならこのスポンジのボールで、ラグビーごっこをしようではないか!」
「お兄ちゃん!」
「よし、わたしも混ぜてもらおう・・・」
結局、女の子や細川博士のレベルに合わせた「ラグビーごっこ」をして楽しむ面々・・。
「キャー、永田君どこ触ってるの、エッチー」
「ピピー!永田君「エッチング!」
「キャー、お兄ちゃん、そこは由香の・・・」
「ピーっ!若もエッチングね♪あっ、わたしは審判よ博士・・・エッチング!」
(エッチングとはこのごっこ独特の反則)
歓声と笑顔・・その中心は、いつだって可愛らしい由香であった。このひと時の平和。だがこの間にも、グロテスターや三浦博士の魔の手は迫っているのだ。
余談ではあるが・・・元々髪が伸びるのが早い由香、一月後にはすっかり元のロングヘアに戻っていたのであった・・・・。