第16話 潜入!悪の学園(前編)
加藤隼人は、その恵まれた体格と、異常なほどの運動能力を買われ、よその部の助っ人を務めることがある。本来は剣道部とサッカー部に属しているが、柔道やアメフトの助っ人に行ったこともあるのだ。
今回、隼人はラグビー部の助っ人として試合に出たが・・・(その場合、由香も押しかけマネージャーとなる)
「う、強すぎるぜ・・・」
「隼人君が来てくれなかったら、完封されるところだった・・・」
相手は強豪・奥多摩工業高校。だが、何かと評判の悪い学校であった。都内の不良を奥多摩に隔離し、スポーツによって矯正する、半少年院的高校であったが、それでも黒い噂や生徒の非行は絶えず、このように練習試合では大差で勝利しながら、不祥事のため退会に出場できるのは2,3年に一度であった・・・。・
「この俺がタックルしても倒れないなんて・・・・」隼人も正直驚いた。そして、帰宅した隼人を待っていたのは・・・。
「隼人、ご苦労だった。怪我はなかったかな?」
「はい、僕は大丈夫でしたが・・・彼等は強いだけでマナーの全くなっていないチームで、反則ロータックルや目潰しを平気でしてきます。ヤニ臭い選手も混ざっていました・・・」
「感じたのはそれだけかな?」
「え?」
「香織君!」
「わたしの情報によれば、奥多摩工業高校は最近、廃坑を生徒に掘らせているみたいだわ。ラグビー部も、今日は弱小赤橋高校だったから大勝したけど・・・。山下監督がいた頃に比べると精彩がなかったと思うの。ラグビーに代わる生徒の矯正と新校長は言っているみたいなんだけど・・。」
「香織さん、ちょっと待って?あの廃坑はたしか・・・強度石灰石の・・・」
「どうしたの仁子?」
「新素材の研究をしている私もあの廃坑に目をつけていたのよ・・・。月や火星の鉱物とチタンを石灰石に混ぜると、高性能宇宙セラミックが造れるのよ」
「何ですって?」
「さすがは仁子君だ。そう、ズバリ言おう。グロテスターの匂いだ。それも、怪人軍団の」
「博士!ということは・・・」
「若くて強くて悪どい連中が揃っている上、資材の採掘現場とも近い、私なら必ず利用する」
「なるほど!」
「そこでだ!隼人よ、おまえをあの学校にしばらく潜入させる!必ず尻尾を掴むんだ!」
「はい、判りました!」
「おじさま、由香も・・・」
「ダメよ由香ちゃん・・・。奥多摩工業高校は男子校よ・・・」
「だったら私・・・ちょっと待ってね・・」
由香は部屋に走っていった。
「見て、じゃーん!」
「あ、僕の中学の時の・・・」
由香は髪を纏め、中学時代の隼人の制服を着て颯爽とポーズを取った。
「どう?男の子みたいでしょ?隼人君と離れ離れなんてイヤ!」
「無理よ!だって、服装だけじゃダメよ。あの学校全裸で体育やるみたいだから」
「そんな・・・」
「由香ちゃん、僕が3日で正体を暴いて帰ってくるから・・・待ってて」
「エーん・・・。意地悪・・」
「そうだわ!いい考えがあるの!」
「どうしたの仁子さん、急にそんな大声で・・」
「由香さん、髪の毛切れる自信ある?男の子になりきってみれる?」
「・・・・。」
由香の自慢の一つに、黒くて真直ぐな美しい髪があった。由香は、自らをこの世で最も女らしい存在と考えて日夜努力しており、ことに髪は女の命と考えていた。
「判ったわ・・・・だって由香、男の子になるんだもん。」
「しかし、どういうことだね?」
「わたしを誰だか思い出して!そうよ、ネ・ン・ド・ボー・グ♪」
「そうか、ネンドボーグで体格を矯正するんだな?」
「そのとおりよ。バルディーナに変身すれば、そのときのエネルギーでネンドボーグは剥がれ、女に戻れるはずだわ。逆に素人じゃぜったい見破れない仕上げに出きる自信あるの」
「よし!由香、覚悟はいいね?」
「はい、おじさま・・」
「おい、まてよ由香ちゃん、本気か?」
「わたし言ったでしょ、たとえ海底銀河の果てまでもあなたについて行くって。そのためにはこの体も切り刻んでバルディーナになったわたしだもん。ネンドボーグになって男の子になるなんてそれに比べたら・・・。それに、元に戻ることもできるんでしょ?」
「それはもちろんよ。わたしを信じて」
「でも、どっちにしても・・・アレはお預けだよ・・・」
「そのためにも、2人一緒なら早く解決できると思うの」
「よし、決まったな」
由香の美しい髪に、仁子が鋏を入れる・・・。由香が髪を短くするのはこれが生まれて初めてである。最も、改造手術の際一旦全てそり落としたことはあるが・・・。
「由香さん、ごめんね・・・」
「いいのよ。」そっと瞳を閉じる・・・。いつも由香とともにあった黒髪・・・。サイボーグに変身したときでさえ、可能な限りヘルメットをとって靡かせいていた自慢の髪・・・由香の頬に涙の川が・・・・・。
「まず、頭はこれでよしっ、と。向こうに行ってからこれでも長すぎるって刈られちゃうかもしれないけど・・」
「よし、だったら僕も短くしよう。」
「わたしは由香さんの第二工程に移るから・・・博士、お願いします。」
「判った、・・?おい、由香の体は!」
「私たち女2人でやります!だいたい実の姪に発情するなんて・・・私たちそんなに魅力ないかしら?」
「うう・・しかたない。頼んだぞ」
髪を短く刈られた由香は、続いてベットに横たわる。その前に、注射器で採血する仁子。
仁子は、「ネンドボーグの素」に由香の血を垂らし、満遍なくこねて、それを棒状にして自分の中に入れた。同様に、隼人の血を入れたネンドボーグもこねた。
仁子の胎内に5分入れられたネンドボーグは命が授かり、鼓動を開始した。
それを再びよくこね、由香の胸の上で延ばしていく。
「由香さん、すこし窮屈だけど我慢してね・・・」
由香の豊かなバストは仁子と香織によって押しつぶされ、ネンドボーグで固められた。これで、上半身の男性化が完了した。
今度はこれ・・。出来た出来た・・・かわいい♪でもちょっと貧相かな?隼人君の血で作った割には・・でもこの体には似合っている♪」
ネンドボーグで造ったペニスを、由香の割れ目に刺し込み、尿道と接続する・・・。
もちろん、睾丸はない。勃起すらしない。だがちゃんと立小便のできる優れものである。
実は、本来ならば勃起機能を持たせることもできるのだが、由香のクリトリスがあまりにも小さく、接続できないのだった。実は、仁子と香織は普段から、珠美も交えてネンドちんちんでレズっていたのである。だから、すぐこのアイデアを思いついたのだ。
「それにしても・・・これでどうみても男の子ね・・・。でも高校生には見えないわ・・・」
由香は、ネンドボーグの力で男の子に生まれ変わった。だが、その姿は小学6年生か中学一年生ぐらいにしか見えなかった。
「わーっ!おちんちん!由香男の子になったんだわ」
「良く似合っているよ」
隼人とともに奥多摩工業高校の制服に身を包んだ由香・・・。
「よし、君たちは双子の兄弟、佐藤順一と優二として、早速明日からもぐりこんでもらう」
「了解!」
「グロテスターめ。これからはこちらから先制攻撃してやるぞ・・・地球から追い出してやる」
隼人と細川博士の鼻息は荒い。
「それにしても・・・この作戦はもし仁子君が味方に加わっていなければ出来なかった。ありがとう」
「そんな・・わたし皆さんに迷惑かけたし・・。このぐらいは当然ですよ・・・」
そして翌日・・仁子は登校し、隼人と由香は、都合でしばらく休む旨先生に伝えた。珠美や永田、そしてもうひとりの班メイト、遠藤も淋しがったが仕方ない。
一方、隼人と由香、いや、順一と優二は・・・。
「佐藤順一です」
「優二です・・。ボクたち、2卵生双生児なんです」
「そうか・・・あまりにも体格が違いすぎるな」
ガヤガヤ・・
由香改め優二は、やはり女の子っぼかった。ことにここ奥多摩工業高校にはありえないタイプの生徒だったからだ。
当然、すぐに女だと疑われた。
「え、そんな・・・仁子さんに男の子にしてもらったのに・・もうばれちゃうなんて・・」
「おい佐藤優二!おまえ女だろう?」
「キャー、放して〜ボク男だよ〜」
「女そのものじゃないか。だったら脱げ」
「いや、脱がしてやる・・・」
「!」
「お、男か・・・。しかし小学生並みだな・・・。毛も生えていないぜ。」
「わるかったね!」
由香は死ぬほど恥ずかしかったが、「男」であることが証明され、とりあえずは一安心した。一方、隼人は、早速ラグビー部の1軍に合流した。
「今すぐ使えそうだ」
「だがどっかで見たような・・ま、いいか。」
その隼人を、物陰から覗く影。
「でかい・・・。いい素材が手に入ったぞ、イヒヒ・・・」
そして1日目はそれ以上何事もなく終わり、寮に戻った二人。
「おにいちゃん♪」
「?」聞きなれない呼ばれ方に戸惑う隼人だったが、
「そうか・・ボクは君の双子の兄さんなんだな、ここでは」
「そうよ。ねぇ、【連れション】しない?」
「わたし、一度でいいから隼人君と連れションしたかったんだ〜」
おおはしゃぎで小便器に並ぶ由香。
そのちいさなちんちんから、勢い良く飛び出すおしっこ。
「仁子さんすごい・・・わたし本当に男の子になったんだわ・・」
「由香ちゃん・・じゃなきくて優二、言葉に気をつけろよ。せっかく外見をごまかしても、○○だわ〜」とか言ってるとそのうちばれるぞ」
「はーい♪」
翌日から、厳しい授業が始まった。厳しいといっても、勉学は小学生レベル。鉱山での採掘と、全裸でのラグビーが待っていた。体の小さな優二は相手にされない。そして、順一【隼人】はついに・・・。
おい、おまえ、今日から1軍レギュラーのエイトだ。
しかしそれは、敵の罠に飛び込んだことと同じだった。
「先生、いかがでしょうか、アイツは!」
「中々いい線行ってるわ、あ、あの子は・・・」
「先生」と呼ばれた美女は驚く。幸い隼人には顔を見られていない。
「ふふ、これも計算のうちだわ。早速かぎつけてきたみたいね。でも、あの子と分断してしまえばガス欠になるのはもう判っていること。各個撃破は戦いの鉄則ね」
なんと、それはマリコだったのだ。養護教諭として入り込んでいる。
そして、「校長先生」は、三浦博士だった。
細川博士や香織の読みどおり、怪人軍団と三浦博士は、ここ奥多摩に秘密基地を建設するとともに、怪人用素体を確保し、サイボーグプラントを作り上げて一挙に首都圏を征圧する計画だったのだ。さらに、これを細川博士がかぎつけることも計算に入れ、由香が入ってこれないこの学校を拠点としたのだ。隼人を泳がせ、基地を報告できたと思いこませ油断させた上で複数の怪人を使って長期戦に持ち込み、エネルギー切れに追い込み、あわよくば再改造して怪人化しようという腹なのだ。もっと手っ取り早く、多少の再改造でマリコ=マリーと合体させるという手もある。マリーの設計は元々バルディーナのものの上、実の姉弟なので合体の際の拒絶反応もないはずである。
だが・・・怪人軍団の三浦博士と、超人軍団の工藤博士の横の直接的な連絡がなかったため、三浦博士は見落としていたことがあった。そう、仁子の加入により、理論的には不可能だった、由香のこの学校への潜入が可能になったということを・・・。