姉さんが生きていた・・・。それだけでも、うれしかった。いつの日か、きっと助け出して元の優しい姉さんに戻して見せる、隼人は新たな誓いと目的を持って戦いに望む・・・。そんな彼を、そっと支える由香・・・。

 ここの所しばらく、グロテスターの気配はなかった。隼人と由香は、とりあえずつかの間の普通の高校生活を楽しんでいた。しかし、静に、密かに、グロテスターの魔の手は迫ろうとしていたのだ・・・。
 
 さて、待ちに待った夏休み・・・・。隼人と由香は、伊豆の別荘でバカンスを楽しむことに・・・。だが、なんとも邪魔なことに、由香の実兄、隆之も一緒だったのだ・・・。
 「お兄ちゃん!邪魔しないでよ」
「由香!そんなことをいうと車に乗せてやらないぞ!」
「意地悪!」
「いいじゃないか。隆之さん、御願いします」
隼人は居候の身をはばかり、この義兄にはいつも気を使っていた。隆之も、この好青年に好意を持ち、ボディガード代わりにしているところがあった。この男は、細川総統の嫡孫であり、将来の権力委譲候補者として育てているため尊大で傲慢なところが祖父にそっくりだが、性格は優しく、動きは鈍い憎めない男であった。
 また、隼人や細川博士、細川総統夫妻同様、由香を溺愛していた。内心、なんで兄に生まれたのだ!とさえ思っている。しかし由香の隼人を思う気持ちを察し、二人の間を見守っているのだ。
しかしその一方、由香の裸や体操服、さらには隼人との絡みの写真を密売して金儲けしている、とんでもない一面もある。今回も、二人の絡みを盗撮しようと、別荘行きを提案したのだった。
 さて、隆之の運転するキャデラックセビルは、箱根の山を超え美しい海岸を走り、伊豆の細川別荘へと到着した。そこは、祖父の築いた素晴らしいホテルのような別荘だった。
海は目の前、それも、誰にも邪魔されない細川一族専用ビーチだ。早速水着に着替えた隼人と由香は、おおはしゃぎ。その二人を、隆之のカメラが狙う・・・・。
 そのうち、由香は、「隼人君!ここは私たちだけの海よ!こんなの、脱いじゃえ!」というなり、すっぽんぽんになってしまった。真っ白く輝く肢体・・・。隼人は、超ビキニの海パンを脱ぐまでもなかった。巨大化した彼の物は、それを破り突き出してしまったのだ。もう、覆うものは何もない。それを見た由香は、


「もう隼人君ったら!こんなところで、いいの?」というなり、迫り、合体してしまった。
 それを見ていた隆之は、あまりもの大胆さに足を滑らせ、海に転落してしまった。彼は全く泳げないのだ・・・。
 しかしセックスに夢中の二人は気づかない・・・・・。
 中だしのあと、ふと我に返った二人は、隆之が居ないことにやっと気づいた。
「隆之さーん!」「お兄ちゃん!」
 どこにも居ない・・・。由香は、遂にカチューシャについているテレパシー増幅器を使って、隆之を発見した。ブイにしがみつき、溺れている・・・。隼人は、泳ぐのは得意だったが、重い隆之を引っ張ってくるのは大変なので、変身して助け出すことにした。やっとの思いで助け出した隆之は、海水を大量に飲み込んでおり、由香が人工呼吸で助け出した。そしてやっと目を開けた隆之だが、なんと突如、二人に襲い掛かってきた!
 水を飲みすぎておかしくなったのか!隼人は、(既に変身解除)、可愛そうだがせっかく蘇生したばかりの隆之の鳩尾にパンチを叩き込み、再び伸びさせて、別荘へ運んだ・・・。こうして楽しいはずの1日目は台無しになってしまった。
 しかも、さらに最悪なことが起ころうとしていた。電話がけたたましく鳴る・・・。細川博士からだった。
なんと、近くのビーチで、隆之同様凶暴化した人間が多数発生し、乱闘や破壊活動を開始したというのだ。グロテスターかもしれない。そして、電話する由香の背後から、再び隆之が襲い掛かる・・・・・。
 隆之の目は、赤く光っていた。はじめは充血かと思ったが、間違いなく怪しく光っている!
 今度こそやられる・・・。場合によっては、隆之を殺さなくてはならないかもしれない・・・。
 石膏像を由香の脳天に叩きつけようとした瞬間、隼人が殴るよりも早く、再び隆之は座り込んでしまった。まるで全身の力が抜けていくように・・・・。目も元に戻っている。よく見ると、彼の首に干からびた海月がへばり付いていた。
 その様子をテレビ電話から聞き取った細川は、悟った
「判ったぞ!クラゲだ。そのクラゲが隆之や他の人々を凶暴化させたに違いない!急いでビーチに向かえ!」

 夕日が傾く時間だったが、隼人と由香は、バルディバンとバルディーナに変身し、ビーチへと向かった。そこで見たものは、阿鼻叫喚、破壊された海の家、殴りあう人たち、レイプ、逃げ惑う者・・・。そこに降り立ったバルディバンとバルディーナにも、狂人化した群集が襲い掛かる。相手は生身、それも水着をつけただけの丸腰・・・・。武器どころか、サイボーグ体では殴っただけでも殺してしまいそうだ。
 しかし、由香は知っていた。クラゲさえ干からびさせればいいのだ。胸から拡散ビームを放射し、群集を包む。
次々剥がれ落ちるクラゲ、我に帰る人々・・・・。
 「バルディバンだ!」歓声が響き渡る。しかし、人々を正気にしただけではダメだ。それに、まだ何人か狂ったままの奴が暴れている。臭いものは根本からたたねばならなのだ。
 「よし、行くぞ!」「Ok!」頷きあう二人は海に飛び込むや、海中で合体した。
 すると、そこに居たのは、直径が100メートルもある巨大なクラゲだったのだ。
 「あれだな!」
慣れない海中戦いだが、既に経験はしている。姿勢を上手く制御しながら、クラゲと戦うバルデイスター。バルディソードで次々腕を切断するが、全く無駄だった。次々再生する上、切った腕が新しいクラゲとなり、電気ショックで攻撃してくるのだ。遂にバルディスターは、巨大クラゲの腕に鹹め捕られ、激しい放電を受けた。
「ウワァァーーー」絶叫する隼人の思念。だが、放電はまだよかった。次第に、エネルギーを吸い取られていく。
 今度は、エネルギー発生を担当する由香の思念も苦しみ出す。
「こんなのってウソよ・・・。わたしのエネルギーは無限大のはずだわ・・・」
しかし、そのエネルギーさえ吸収し、巨大化していくクラゲ・・・。先に切り落としたものも、合体して行った。
 絶体絶命のピンチ・・。
 「隼人君、由香もうだめ・・・・」思念が意識を失いかけたとき、隼人の思念が叫ぶ。

「由香ちゃん!君の、いや僕たちの愛の力はこんなものじゃない!無限大だっていつも言ってたじゃないか!もう少し、もう少しがんばれ・・・」という隼人も苦しそうだ。
 しかし、由香が、「あっ!隼人君!分離して!早く、今すぐ!」
「何を?そんなことしたらエネルギーがなくなってしまうじゃないか!」
 「いいから由香の言うとおりにして!さっき無限大の愛を信じろと言ったのは隼人君よ!」
半信半疑、言われるままに分離した二人・・・。既にエネルギーがほとんどなく、動くことも出来ない。
 今まで巨大なバルディスターを捉えていた触手は、分離した二人を鹹め捕ると、本体の真下の口に持っていった。嗚呼、遂にバルディバンとバルディーナはクラゲに食べられてしまったのだ・・・・。透明なクラゲの中に二人が捕らえられたのが判る・・・・。このまま溶かされ、吸収されてしまうのだろうか・・・・。
 しかし、二人が中心核に取り込まれ、まさに消化液がネバネバと出されたそのときである。
「隼人君、ここでもう一度クロスよ!」
しかしバルディバンはもうエネルギーが殆どない。しかし最後の力を振り絞り頷くと、その股間のパイプはかろうじてバルディーナのハッチに差し込まれた。そしてその次の瞬間である。まばゆい光とともに、二人は再び合体し、クラゲを突き破りその勇姿を現したのだ。突き破ったというより、クラゲは海中で燃え尽きてしまったかのように消滅した。
 バルディスターの運動中枢を司る隼人の思念も、逆に驚いた。「こ、これは・・」
「隼人君、やっぱり私たちの愛の勝ちよ!説明はあと。敵はもういないわ。お兄ちゃんのところに帰りましょう」

 二人は(合体した状態)、海から飛び出すと別荘上空へ一とび、そこで変身を解いて兄の元へ帰ったのだった。
クラゲの本体を倒したので、狂っていた人たちも全員正気を取り戻していた。または、乾燥によりそれより前に。

 「しかし由香ちゃん、何故クラゲを倒すことが出来たの?それに、あんな危ない賭けなんてらしくもない・・・」
「だから言ったでしょう、由香の力は無限大だって。合体している間は無限大のエネルギーが出るはずなのに、それでも吸い取られて、クラゲは大きくなったでしょ、正直あの時はもうだめと思ったの。でも、死を覚悟したそのときひらめいたの。私たちが最も大きなエネルギーを出すのは、何時かって。そうよ、合体するその瞬間。
 そのエネルギーを使えば絶対また合体してエネルギーも甦ると思ったの。でもまさか、そのエネルギーをクラゲが吸収しきれずに燃え尽きちゃったのはラッキーだったわ」
 「そうか!やっぱり僕たちは無敵だね」
「そうよ。じゃあ、その力を養うためにも、また・・・」
 しかしそのとき隆之が起きてしまった。
 「はぁ・・よく寝た。クラゲでも喰うか?」
「お兄ちゃんのバカ!クラゲなんて嫌いよ」
「・・・どうしたんだ?わからん娘だなぁ・・・。」と大あくびした隆之。自分が凶暴化していたことなど全く知らない様子だ。
 そんな兄妹のほほえましいやり取りを見るに着け,隼人は思うのであった。
「姉さん・・・」

 次回も別荘篇