99話 大海戦!主力VS主力

 

サダフィ大佐とニジーナが合体したワルディスターを倒した隼人と由香の前に現れた大艦隊。それは、グロムウエル終身護国卿(=ワルモナイト)の親衛隊長でもある、ホーソン提督率いる、グロムウエル軍主力艦隊であった。

 そして、二人の背後にも大艦隊が現れた。それは、地球から派遣されてきた主力、第一艦隊と、リバーストン公爵派の中小領主たちの連合艦隊であった。

 今、両軍の決戦の火蓋が切られる。

グロムウエル軍は、最新鋭の貝獣戦艦を繰り出してきた。これは、悪女ニジーナの駈る宇宙艇アンモナイザーを元に巨大化改良したもので、重装甲と、半重力&慣性動力による機動性、速射ビーム砲を備えた強敵である。旗艦の戦艦ノーチラスはサザエのような姿をした巨艦で、若き指揮官ホーソン・レスリー提督が不敵に指揮していた。


ホーソン・レスリー提督

一方地球も、海上の戦艦を模した最新型戦艦である相模級戦艦を主力とした第一艦隊を指揮するのは、海軍のプリンス、源義徳提督であった。プリンスというのはあだ名ではなく、彼は実は、今上陛下の御弟君であられたが、この戦いにあたって臣籍降下し、新たに源氏を名乗ったのである。最も新しい源氏であり、のちに父帝の名を採り、「新武源氏」と呼ばれるようになるのだ。


源 義徳提督

第一艦隊第一戦隊を提督が直接指揮する。

若き提督による最新兵器による、一大決戦が今始まる。

前の戦いで疲れ果てた隼人と由香は、戦艦リバーストンに収容された。

 

先に砲門を開いたのは、ホーソン提督であった。

「地球のむしけらめ。われらの科学力を思い知るがよい」

その一斉射撃に光る宇宙。

だが源提督は落ち着いて反撃する。指揮下の提督・艦長たちも「若大将を討たすな」とばかり、奮起する。

激しい打ち合いの均衡を破ったのは、あの猛者だった。

「野郎ども、俺様に続け!」

七海提督の水雷戦隊が、貝獣戦艦の発砲のタイミングを見計らって肉薄し、次々魚雷を命中させたのである。

 「あのハエどもをなんとかしろ!」

ホーソンの叫びもむなしく、次々炎上する戦艦。そこに源提督の砲撃が決まり、趨勢は地球側有利に運んだ。

しかし、数で勝るグロムウエル軍は倒しても倒しても減らず、また、ノーチラスは頑丈な上、巻貝型なので装甲の隙間がなかった。

 それでも、地球側の闘志は圧倒的だった。ついに、ノーチラスを追い詰めた。

だがそのとき、ノーチラスの触手攻撃が始まった。次々捕まり握りつぶされていく地球艦隊。

もはやこれまでか・・・・。

 多くの艦が沈没したり、損傷して脱落する中、非情の命令が下った。

地球防衛軍海軍部総司令官の、綿貫恒夫司令長官が、

「地球武人の誇りにかけて、刺し違えてでも敵旗艦を倒せ」と命令したのだ。

綿貫長官は、その名前や性格から「タヌキツネ」と呼ばれて忌み嫌われている野心家だった。


綿貫恒雄長官

若く有能な上、元皇族である源提督に、その地位を奪われるのではないかと思い、その抹殺のチャンスをうかがっていたのだ。自らは絶対安全な後方から命令だけを下している。

 

相模以下、満足に戦える戦艦はほとんど残っていなかった。

しかし、

「諸君、わたしと一緒にあの夕日に向って走ろう」夕日とは、敵艦の後方に浮かぶ敵の本星の薄暗い太陽である。

「若、やりましょう」伊豆艦長の伊東大佐。

「わしは年ゆえ、もう十分生きた」下総艦長の関川少将。

「いざ、ゆかん」上野艦長の岩松大佐。

第一戦隊の他の艦長たちは、源提督と運命を共にする覚悟ができた。

 触手と砲撃に加え、円盤の襲撃まで受け絶体絶命の艦隊。さらに隼人と由香は戦えない。

それを救ったのは、なぞの航空隊だった。それは、空母「飛龍」から飛び立ったものだった。飛龍は、綿貫長官の旗艦畝傍の護衛のために派遣されたが、司令官の川口提督と家久来艦長の独断で突進し、源提督の援護に駆けつけたのだ。むろん、空母であるから本体には武装がなく、防御力もゼロ。攻撃隊に訓示する川口提督。

「貴様らは何度でもここに戻り、魚雷が亡くなるまで何度でも敵を叩け。貴様らだけを決して死なせはしない。わしも必ず逝く。飛行機も魚雷もなくなったら母艦ごとぶつかるつもりだ」

「はっ!」

円盤を蹴散らす航空隊。

 「今だ、T字戦法、全主砲発射!」源提督の指令で、全砲門がノーチラスへ。

確かな手ごたえがあった。だが、ノーチラスはまだ沈まなかった。

「ハハハ、貴様らごときに撃沈されるこのノーチラスではないわ!」ホーソン提督は開き直った。

 一方、源提督たちは、青ざめた。というのも、後方からも大艦隊が接近つつあり、それは地球のものではない確証があったからだ。

「みんな、これより艦そのものを魚雷にしようと思う。」源提督は悲痛な決断を下した。

だが、後方から接近した艦隊は、味方信号を送ってきたのだ。先頭には緑色の軽巡洋艦がいる。

「ウインタービル総督以下、エメロード星艦隊は、リバーストン公爵の指揮下に入り、地球軍を援護する!」

 ウインタービル総督以下の植民地艦隊だった。使者として派遣した、プラド大佐が間に合ったのだ。さらに、リバーバッテン伯爵の艦隊も合流した。

 「う、裏切り者め・・・」狼狽するホーソン。

「裏切り者は、貴様だ。こちらは、正統なる皇族・エドワルド王子を擁するリバーストン艦隊だ。貴様もロイヤル星人なら、我々に投降しろ」

 リバーバッテン伯爵は、ホーソン提督に投降を薦めた。

だが、

「黙れ!この宇宙の正統な支配者は、グロムウエル様ただ一人だ。そして、全宇宙艦艇はこのオレ様が指揮しなくてはならないのだ!」

「仕方ない!」

地球艦隊、リバーストン艦隊、リバーバッテン艦隊、ウインタービル艦隊の十字砲火を受けたノーチラスは、遂に轟沈した。

「グロムウエル陛下バンザイ・・・」

勝った!あとは、グロバレスだけだ・・・。

 

しかし、そのとき、そのグロバレスが目の前に現れたのだ。その眼から発射される惑星消滅光線の直撃で一度に数隻の戦艦が消滅する。

「一時退却しよう!リバーストン公爵は反転を命じた。」

だが、後方にいる綿貫長官が、「ロイヤル星やエメロード星の諸君は別として、地球の誇る第一艦隊が敵に背を向けてはならぬ」と、あくまでグロバレスへの突入を指令したのだ。

「ムハハハ・・・。これであの邪魔な若造は死ぬ。そして、ワシが地球に戻る頃には、眼の上のたんこぶの細川のクソジジイも老衰で死ぬ。地球防衛軍は、このワシの私兵になるのだ。イヒヒヒ・・・」

 これが、綿貫長官の野心だったのだ。そして、それをそそのかしたのは・・・。

なんと、地球にも侵入していたニジーナこと、虹村彩子だったのだ。

綿貫長官は、自分だけ退却しようした。

 しかし、畝傍は、謎の宇宙気流に巻き込まれ、完全に粉砕された。断末魔の叫びを上げることなく、綿貫長官は消滅したのだ。

「綿貫長官!」源提督らは絶叫した。

その宇宙気流の正体は、グレートロイヤル星の機動要塞ホワイストンだった。

 ホワイストンは、ロイヤル星の重鎮・コジュロム男爵が指揮していたが、なぜか地球艦隊の通過を許し、以後の戦いにも加わらず、いぶかしまれていたのだが、それが突然ここに現れたのである。

「コジュロム!貴様は、今まで何をしていたのだ。」

「我々の同士、地球防衛軍の長官の旗艦を沈めるとは、まさか貴様までグロムウェルに・・・」

 

「ハハハハ・・・」

「何がおかしい?」

「みなさん、私はあなた方や地球の皆様の味方です。ですが、わがホワイストンのコジュロム男爵家は、ロイヤル王家最後の盾。今までどちらに正があるかを見極めておりました。そして、先ほど叩き潰した地球艦隊の長官こそが、グロムウエルに買収された裏切り者であることは、すでに宇宙忍者の報告で承知。さあみなさん、今こそ我らロイヤル帝國獅子身中の虫、そして全宇宙の敵、グロムウエルを倒すときです。一旦、ホワイストンの影に退避してください、そして、わたしの策どおりに行動するのです」

 宇宙一の軍師といわれるコジュロムは、落ち着きはらって答えたため、半信半疑の地球艦隊や、貴族たちの艦隊も従わざるを得なかった。

 

「グロバレスの唯一の弱点は、あの目です。しかし、全部で8つある眼を全て叩き潰すことは、不可能です。ですが、どれか1つだけでも潰せば、そこに隙ができ、内部に侵入できるとともに、死角にある中小砲台を潰すことができます。

     ・・しかし、それは我々の砲では難しい・・・」

「では、オレ様の駆逐艦を魚雷の代わりにしてくれ。」七海提督が提案する。

「それは無謀です。このホワイストンごとぶつかる必要があるかもしれません。」

絶句する一堂。

「いや、出来ます。私たちに任せてください。」

「何、その方法は・・?」

「それはここでは明かせません。ですが、この私に任せてください。皆さんは、全力で援護頼みます。」

会議は終わった。

 細川博士の秘策とは・・・。

博士は、死んだように絡みながら眠る隼人と由香を起こした。

「お疲れのところ済まぬ・・・。敵艦隊は全滅した。だが、ついにグロパレスとの対決。お前たちはそのためにここまで来たはずだ。頼む。」

「わかりました博士。」

「叔父様、任せてください・・」

「だが、危険すぎるぞ。命の補償はない」

「グロムウエルを倒し、宇宙の平和を手に入れ、両親の仇が取れれば、悔いはありません」

「わたしは、隼人君と一緒なら何も怖いものはないわ」

「よし、では、頼む・・・」

隼人と由香は、宇宙に丸腰で飛び出した。

 そして、バルデイスター用のビームライフルが投下された。

「隼人、由香、お前たちの合体パワーを、その銃身から撃つんだ。

あの瞬間の超エネルギーを、ぶつけるんだ。」

「了解!」

チャンスは一度である。

 由香の全身にケーブルが接続された。隼人はバックから由香に重なる。

そして2人は引き金に手をかけつつ、激しく交わった。

 赤熱する2人。体が溶けてしまいそうだ。本来は、ここで2人は溶け合い、巨大化するのだが、そのエネルギーを、グロパレスの眼に向けて今発射するのだ。

「今だ!」

真っ赤な炎は、一直線にグロパレスの眼に。

一瞬傾くグロパレス。

「何事だ!」グロムウエルは怒鳴る。

「よし、一斉射撃!」

艦隊とホワイストンの猛攻に、さしものグロパレスも、戦力が半減した。だが不死身の生体惑星グロパレスは外部からの攻撃では絶対に滅びない。

しかし、隼人と由香はまたしても、全エネルギーを使い果たしてしまった。漂う2人は、グロパレスに流れ着いてしまった・・・。

絶体絶命。

「博士、私が行って来ます。」

「香織君・・・!」香織は2人の緊急充電装置を持って、飛び出していった。

 

風雲急を告げる大決戦。次回からはついに、グロパレス内部での最終決戦。ご期待ください

 

続く