98話 決戦!バルディスターVSワルディスター

 

ツジーナを倒した隼人と由香に、七海提督が合流した。目指すはグロバレス。

待ち受ける敵艦を蹴散らし、突き進む戦艦リバーストンと七海提督の水雷戦隊。はるか後ろには、地球防衛軍第一艦隊と、リバーストン大公を慕う領主たちの艦隊が続いている。

 だが、その前に立ちふさがる機動要塞。駆逐艦の魚雷では、太刀打ちできず、戦艦もリバーストン一隻ではどうしようもない。

「僕たちに任せてください。この体は・・・。そのために改造されたものです!」隼人は、機動要塞へ突入して内部から破壊することを提案した。

「よし、わかった!援護は任せろ!」

「由香も連れて行って・・!」

「もちろんだとも。さあ、行こう、由香ちゃん。」

手を取り合って宇宙に飛び出す二人。2人は、宇宙での生命維持を目的に改造されたサイボーグだ。隼人の言うように、闘うために作られたサイボーグではないのだ。だが、その強靭な装甲と、機動力、それに隼人に生まれながらに備わった戦闘力と闘争本能は、純然たる戦闘用サイボーグやロボット、獣人たちをはるかに凌駕していたのだ。

 しかし、由香はそうではない。改造されたとはいえ、彼女の武器は護身用にすぎず、その力も非力である上に、彼女自らがその力をデチューンして弱めている。それは、出来るだけ相手を傷つけないようにするのと、巻き込まれた小さな命を救うための気配りであった。彼女は,戦士と呼ぶにはあまりにも清く優しい心の持ち主であり、そして、か弱い存在だった。だが、そんな彼女も、愛する隼人のためなら、どんな危険もいとわず、桃色の鎧と仮面に身を固め、勇ましく闘うのであった。

迎撃するミサイルをかわしながら機動要塞に近づく二人。

七海提督の新型駆逐艦「島風」も、2人を援護するためギリギリまで接近して魚雷を放ち、機銃で敵のミサイルを打ち落とす。

 こんな曲芸のような鮮やかな操艦が出来るのは、宇宙でただ一人、この七海玄八少将だけなのだ。

 「よし、艦首巨大魚雷発射!」敵艦に止めを刺すため装備された、一撃必中の魚雷。これは艦首部分そのものを飛ばすものだ。万が一の場合は、発射せずに体当たりする驚異の特攻兵器でもある。また、発射した場合、抵抗が増え速力が低下するため、そのまま体当たりしても、発射しても、どちらにしても命がけの最終兵器だ。

 「撃て!」七海の号令で放たれた魚雷は見事要塞の基部に命中した。

「隼人!お嬢!あとは頼んだぜ!」

「ありがとう親分!」

隼人と由香は破孔から要塞に突入した。

 だが・・・。

「キャア!」侵入者警報装置の触手に絡め取られた由香は、隼人の前から消え去ってしまった。

「由香ちゃん!触手が出てきた壁を叩いてももはや何の反応もない。

「おのれ・・・だが、中心部に突入して敵の指揮官を倒せば、由香ちゃんも解放出来る!」気を取り直した隼人は、敵兵士やトラップを打ち破りながら、奥へ奥へ進んでいった。

すると・・・。

 「待っていたわ坊や♪」

「貴様はニジーナ!だが貴様は、この僕がこの手で、いや、この僕自身で貫いて倒したはず・・・」そう、隼人は、フィーメル・ラガーボーグたちと合体してクイーンラガーになったニジーナを、自らの男の武器で貫いて、絶命させたはずだったのだ。

「オホホ。あたしは、貴方やあの小娘と同じ。つまり不死身なのよ。さあ、私に降参しなさい。そして、わたしの僕になるのよ。わたしのほうが、あの小娘よりテクニックが上なことは、あなたも経験済みのはず。あなた自身は正直なはずよ」

「フ、誰が貴様なんかに!二度と騙されないぞ」

「言ってくれたわね。なら死んでもらうわ。言っておくけど、あたしは小娘と違って、女だからと言って弱くはないわよ!」

 (口数の多い女め・・・・)

隼人は、ニジーナの姦計に敗れたことがあった。女の武器に敗れ去ったのだ。それは彼の唯一の黒星であった。しかし、彼は香織の命がけの特訓のおかげで、女戦士恐怖症を克服し、女相手でも容赦しない心を身につけたのだ。由香の愛と、香織の献身のおかげで・・。

 何のためらいもなく、ニジーナに斬りかかる隼人。彼自身も彼女に反応しない。

ニジーナもただで斬られるほど愚かではない。香織と並んで、この宇宙で1,2を競う、最強の女であることは間違いない。鋭いキックやジャンプで翻弄する。

 しかし、所詮は隼人の敵ではない。女を本気で斬れないという弱点を克服した隼人の前に、なすすべもないニジーナ。

「止めだ雌狐!覚悟」

「おのれ・・・」振り下ろした剣が彼女を真っ二つ・・の直前、マントを翻した彼女はテレポートして逃げ去った。

「必ず追い詰めてやるぞ・・それより、由香ちゃん・・・」

 

 一方、由香は・・・。

「イヒヒ。久しぶりだなあお嬢ちゃん・・・」

「貴方は誰?」

そこで待ち受けていたのは、禍々しい色の鎧に身を固めたサイボーグ騎士であった。

仮面の形や、色が違うので由香は気づかなかったが、その姿はバルディバンそっくりである。

「忘れたかこの声を・・残念だな。それよりお嬢ちゃん、ワシと一発やらないか?イヒヒ」

「嫌!」

「気が強いんだな。どれ、その無粋な仮面をとってくれよ。」

「嫌よ!」

「そうか・・。だがワシはお嬢ちゃんより強い。力づくでもやらせてもらう。イヒヒ」

その言葉どおり、悪の騎士の前に由香は無力であった。あっという間に仮面を剥ぎ取られ、胸をわしづかみにされる由香。

「おお、その顔、かわいいのぉ・・。さて、やらせてもらおうか・・。たしかお嬢ちゃんは鎧のままでもヤレる体のはず。だが、ワシはやはり、こっちのほうがいい。」

「あ、貴方は・・・」

悪の騎士は、変身を解除した。その正体は、サダフィ大佐だったのだ。

 「あ、貴方も改造されたのね・・・」

「そうよ、お嬢ちゃんとヤルため、そして憎きバルディバンを倒すためにな。イヒヒ」

「離して!」

 しかし、変身を解いて生身になったのにもかかわらず、大佐はサイボーグである由香より強かった。押し倒され、秘部をこじ開けられる由香。

「助けて隼人君!」

 絶対絶命の叫びは、ちゃんと隼人に届いた。

「ゆ、由香ちゃん・・・!やめろサダフィ大佐!貴方も軍人なら、卑怯な真似はやめて僕と勝負しろ!」

「嫌だと言ったら?」

「問答無用!」

斬りかかる隼人に、生身のままでは不利と悟った大佐は、再びワルディバンに変身した。

 ぶつかり合う鋼の肉体。隼人の剣と大佐の斧が火花を散らす。

だが、由香を弄ばれた怒りに燃えた隼人の一撃は、大佐の首を切り落とした。

「ギャーーーー!」断末魔の叫びを上げて崩れる大佐。ぴくりとも動かない。

勝った!しかし、まだ勝利はまだだ。この要塞を内部から爆破しなくてはならないのだ。

その前に・・・。

「由香ちゃん、大丈夫だよ。怖かっただろう?」

「いいえ、隼人君が助けてくれると信じていたわ。」

由香を抱き起こす隼人。

「さあ、基地を爆破して帰ろう」

「ええ。」

だが、そのとき・・・。

「ホホホ。生きて帰れると思って?」

「ニジーナ!それは僕のセリフだ。覚悟しろ!」

「あわてないで。どちらが正しいかは、勝負してからよ。さあ、隼人、小娘とクロスしなさい。わたしと勝負よ。」

「何?」隼人と由香は目を疑った。ニジーナは、大佐の首なし死体に向かって胸からエネルギーを照射した。すると死んだはずの大佐のイチモツが起動した。

 そして、その上に乗って激しくチャージした。

「何見てるのよ、さあ、あなたたちも!」

「由香ちゃん、行くぞ」

「OK」「バルディ・クロス!」

2人は、合体してバルディスターになった。崩れる要塞。

と同時に、向こうにも巨大サイボーグが・・。

「隼人、勝負よ。このワルディスターと!」

「望むところだ!」

バルディスターの剣と、ワルディスターの斧が激しく打ち合う。

 バルディスターと全く同等の力を持つワルディスターに苦戦する隼人と由香。

ついに、両腕を切り落とされてしまった。

 「次は、首の番よ。大佐の仇、思い知るがいいわ」

「由香ちゃん・・・」

「隼人君、諦めちゃだめ。由香は隼人君を愛しているわ。そしてバルディスターは2人の愛の結晶。でも、ワルディスターは、大佐の死体をニジーナさんが操っているに過ぎないわ。わたしの命を貴方にあげる。さあ、燃やしましょう、わたしたちの愛を。」

「由香ちゃん、行くぞ」

「バルデイ・コアフラッシュ!」

コアから、まばゆい光の帯が照射された。これこそ、隼人と由香の愛のエネルギー、2人の命そのものをぶつける必殺技だ。

 勝利を目前にしたワルディスターは、その光に包まれ、分解して消滅した。

一方、この技を使うと、バルディスターも消滅する。なぜなら、バルディスターそのものをエネルギーに変えたからだ。そのあとには、絡み合ったままぴくりとも動かないバルディバンとバルディーナが・・・。

 「隼人、お嬢!」

「香織君、2人にエネルギーを」

「了解」

 香織のエネルギー照射で息を吹き返した2人。だが、

「勝ったつもり・・?わたしは不死身。何度でも貴方たちを妨害してあげるわ。オホホ。また会いましょうね・・・。シーユー♪」

「い、生きていたのか・・・」

2人とも、今は休むことよ・・・」香織に手を引かれやっと戻った二人。だが、ワルディスターを葬り去ったものの、ニジーナは不死身であり、その命を絶つことができなかった。

 しかし、目の前の障壁、機動要塞は消滅した。残る敵の拠点は、グロバレスだけだ。

そして、戦いの中、ついに味方主力艦隊が追いついた。

だが・・・目の前には、敵の主力艦隊も現れたのだ。

 

次回、両軍主力同士の大海戦。お楽しみに。

 

続く。