第90話 スクラム!フィーメル・ラガーボーグの挑戦!
自らを改造し、ワルディーナとなったニジーナを退け、さらにその置き土産のケジラミンCをも倒した隼人と由香は、囚われの身の麻里子と、国王夫妻、それにチャーミー姫の母を救うべく、ワルモナイトの傀儡・新皇ムーリン王子の支配する新拠点グロパレスを目指していた。案内するのはチャーミーの父、リバーストン公爵だ。さらに、身分を隠してエドワルド王子も乗り込んでいる。
グレートロイヤル帝国で最名門のリバーストン家の船だけに、さしたる妨害は受けずに進んでいたが、突如暗闇から攻撃を受けた。
「あ、あれは・・・ラガーボーグ!」
楕円形の爆弾を蹴り飛ばしてくる兵士たち。
グロテスターの合体兵士・ラガーボーグの襲撃だ。ラガーボーグは怪人時代の麻里子とその養父の三浦博士(現・ゾンビナイト)が開発したサイボーグで、15人の改造人間が自在にフォーメーションを組んで襲いかかり、さらに合体して巨大化する強敵だが、過去に2組倒した経験があった。しかしもう一組残っているはずで、いつかはその挑戦を受けることは覚悟していたのだ。
「おのれ・・・」いきり立つ太子を公爵はまたも引き止める。
「若の存在は絶対に秘密なのです。自重ください」
「では、僕たちが迎え撃ちます。行くぞ由香ちゃん!」
「OK♪」
宇宙に飛び出すバルディバンとバルデーナ。二人がこの船に乗っていることをなぜラガーボーグは知っているのか。だとすればワルモナイト一味の本格的襲撃があってもおかしくないはず。一縷の不安を胸に送り出すリバーストン公爵と細川博士。
「何度襲い掛かってきても僕たちの敵ではないぞ!」しかし、戦艦リバーストンをかばっているうちに、小惑星へと誘い込まれてしまった。
飛び掛って猛烈なタックルをくらわしてくるラガーボーグたち。
だが、隼人と由香は違和感を感じた。
「まさか・・・。女?」
そう、今回襲ってきたラガーボーグたちは全員女性だったのだ。もちろん、全身を機械化され、顔もシールドで隠されていたが、全員胸に半球状のふくらみがあり、そこからビームやめくらましを発射して撹乱してきた。これは男性型ラガーボーグにはない新装備だ。
その上、隼人は女戦士との戦いではつい手加減や油断をしてしまうことがある。ついに組み付かれた隼人。女ラガーボーグは怪力で首を絞めるだけでなく、バストをドリルのように回転させて攻撃してきた。
一方、由香もまた苦戦する。
同じ女性サイボーグとはいえ、元来戦闘用ではなく、体格も劣るバルディーナ=由香に対し、フィーメルラガーボーグはバストがついている以外は男となんら変わらぬ体格とパワーだった。圧倒される由香。
やっとのことで女ラガーを振りほどいた隼人は、逆にキャプテンと思われる女ラガーにタックルをかまして引き倒した。
すると、その外装が割れて、立ち上がってきたのは・・・
なんと、ワルディーナ、つまりニジーナだった。
「ホホホ。驚いたかしら?このわたしが組織した最強の戦隊・フィーメルラガーズは?ラガーボーグのもつ機動性・パワーに女ならではの装備とエネルギーを加えた私の自信作よ。今度こそ死んでもらうわ、お二人さん。いいえ、隼人君のほうは私の奴隷になるのよ。ホホホ・・・!」
「ほざくな!」
「お黙り!フィーメルラガー1〜5はバルディバンを、6〜9はバルデーナを襲うのよ!11〜15は、私と一緒に船を襲うわよ!」
ニジーナの号令で、一糸乱れず攻撃するフィーメルラガーボーグたち。
彼女らは不死身で、倒しても倒してもゾンビのように立ち上がってきた。
「船を襲わせるわけにはいかない・・・」
隼人を襲うのは重量級、由香を襲うのは中量級、ニジーナが率いるのは軽量級だった。
中量級とはいえ、隼人よりやや小さい程度の並みの男性より大きな体格で、しかも改造され武器まで仕込まれているフィーメルラガーボーグの猛攻に、逃げ惑う由香はついに8の強烈なタックルをうけて倒されてしまった。
畳み掛けるように攻撃してくるエイト。エイトは重量級といっても過言でないほど体格がよく、現に隼人を襲う重量級グループの2よりも大きかった。ただ、機動力や合体後の役割の関係でこちらのグループに入っており、かつそのリーダーらしかった。
衝撃で仮面が外れ、豊かな黒髪と美貌があらわになった由香。それを見たエイトは激高してつかみかかり、引き上げて締め上げた。
「苦しいわ…離して・・・」
「黙れ!その顔、その髪、その女らしい声、しぐさが憎い!見ろ!俺の・・・いや、わたしのこの顔を!」
「あっ・・・」絶句する由香。
バイザーを上げたラガーボーグには顔がなかった。眼球を除くと不気味な機械の塊だった。
「お前もサイボーグ・・・わたしと同じ醜い機械のはず・・・。その清ました顔を剥ぎ取ってやる・・」
「お願い・・やめて・・・許して・・」
「黙れ黙れ!女でありながら、女でなくされた悲しみが貴様にわかるか?男にされたのなら、まだよかった。この胸が、わたしは女だと苦しめるのだ!改造されてなお完璧な女でいる貴様が憎い・・・!死ね!」
「隼人君助けて・・・」だが隼人も女でありながら自分より大きくて重い5体のラガーボーグを相手に苦戦し、かつニジーナたちを牽制しなくてはならなかった。絶体絶命のピンチだ。
しかし、そのとき赤い閃光が走った。
「ニジーナたちは追い払ったわ。さあ、反撃よ!」
「香織さん!」
プロティーナ=香織が、ニジーナを追い払い、由香を締め上げるエイトにとび蹴りをくらわせて助太刀にきたのだ。
「よし、もうここまでだぞ!」船の安全を確認した隼人は全力を出した。
一度に3人、そして二人とまとめて跳ね飛ばした隼人は、由香を抱き起こす。
「由香ちゃん、もう大丈夫だ。クロスしよう」
「ええ」
「バルディ・クロス!」
丁度、香織を追ってきたニジーナは、それを見て叫んだ。
「スクラムよ!わたしたちも合体するわ!」
ニジーナの号令で、フィーメルラガーボーグたちは次々巨大ロボットの手足や部品に姿を変えた。
それは男のラガーボーグとほぼ同じだが、男の場合、1〜3が横に並んで合体するのに対し、フィーメルラガーボーグの場合は胸は1・3で2はウエストの部分になり、全幅が狭く、かつ、合体前の1・3のデベソ太鼓腹が、合体後のクイーンラガーの豊かなバストに代わる点がちがう。 そしてニジーナ自身は、巨大な性器にその姿を変えた。これは、バルディスター(ワルディスター)の中心核と同じであるが、バルディスターの場合は心臓の部分に収まるのに対し、本当の股間に合体した。
合体のジョイントは、原則として性器に頭を突っ込む形である。
全てのフィーメルラガーボーグが合体すると、女性型巨大サイボーグ・クイーンラガーとなった。クイーンラガーにはなぜか赤い燃えるような頭髪が生えており、スタイルも合体前より女性的でグラマラスな魅惑的なものになった。そしてそれは、ニジーナの意思によって行動した。つまり、ニジーナが他の14体を借りて、バルディスターに匹敵する体躯をえたことになるのだ。15人分の女性エネルギーならば、通常時の由香に匹敵するエネルギーとなる。
「勝負だニジーナ!合体したところで僕たちの敵ではないぞ!」
「お黙り!わたしの力をみせてあげるわ」
力比べでは互角だったが、やがてバルディスターが圧倒した。すると、クイーンラガーはバストをミサイルにして攻撃した。これを掴み取ったバルディスターは炸裂により両手首を失った。
狂喜するクイーンラガーはさらに攻撃してくるが、新たな手首が再生されると形勢はまたも逆転した。今度は髪の毛で攻撃してくるクイーンラガー。合体前の力任せの攻撃とは異なり、髪や胸などの女の武器を駆使し、かつしなやかな動きで翻弄するかのような戦いぶりだ。
だが・・。所詮は宇宙最強のバルディスターの敵ではない。宇宙最強の戦士であるバルディバンが、無限の生命のエネルギーをもつ愛の戦士バルディーナと結合し、10倍の体格と∞大のエネルギーを得た無敵の戦士、それがバルディ
スターなのだ。
投げ飛ばされひっくり返ったクイーンラガーに、バルディスターはとどめの剣を突き刺そうとする。
そのとき、クイーンラガー、いやニジーナは叫んだ。
「卑怯者!巨大サイボーグとはいえ、丸腰で倒れている女に剣を突きたてようというの?ホホホ・・・宇宙最強戦士の名が泣くわね。さあ、刺しなさいよ!わたしはここよ!」
クイーンラガーは脚を全開にし、性器をむき出しにした。その栗の部分には、まぎれもなくニジーナの顔が。
「怖気づいたの?なんならもう一度勝負する?この私自身と?さあ、隼人、あなた自身の剣を抜きなさいよ。勝負よ!」
クイーンラガーは、バルディスターに性交を要求してきた。
「だ、だめよ隼人君・・罠だわ。嫌よ嫌よ・・・」
由香はブレーキをかけようとする。隼人にも罠であることはわかっていた。戦艦から見ていた細川博士もすぐ見抜いた。
ニジーナは、合体して隼人を吸収し自分の肉体に加え、由香をはじき出すつもりなのだと。
だが、それをわかった上で隼人に勝負を促す声がする。
「隼人君、その勝負受けるべきよ。私との特訓の成果を見せるときよ!それから由香ちゃん、あんたも隼人君をもっと信用しなさい!そして・・・貴女自身の愛もね!健闘を祈るわ」
「由香ちゃん、もし負ければ僕はあいつに吸収され体の一部にされてしまう。そして君や博士を襲うかもしれない。だけど、僕は絶対負けない。だから、僕自身を武器として使うことを許してほしい」
「もう何も言わなくてもいいわ。信じてる・・・」
前話でもあったが、宇宙最強といわれる隼人には2つだけ弱点があった。ひとつは変身後全力を出すとガス欠になり、由香が一緒にいないと真の力を短期間しか発揮できないこと。もうひとつはフェミニストで女戦士との戦いに躊躇することだった。これに関連して由香の異常なまでの嫉妬深さと隼人に対する執着心、独占欲が加わり、隼人は由香以外の女性との性交を嫌い、また女性との接触そのものを避ける傾向があったのだ。だが、女戦士の多いグロテスター相手に苦戦が続き、はるかに格下の相手に苦しめられていた。さらに、バルディバンの宝刀は、武器として使用すれば、女戦士など一撃で倒せる。それをふがいなく思った香織は一肌脱いで、性交と格闘の特訓を施した。百戦錬磨の香織の性技にたじろぐ隼人だったが、なんとかこれに耐えた。耐えられなかったのはむしろ由香。格闘も真剣そのもので、しかも機能の弱点を熟知している香織は強敵だった。結果、隼人は香織をついに破壊してしまった。細川博士と由香によってすぐ修復されたことは言うまでもないが、そうしなければ隼人が倒されていたほどの勝負だったのだ。
「行くぞニジーナ!その勝負買った!」
バルディスターとニジーナの巨大サイボーグ同士の壮烈な結合がはじまった。
「チャーミーは部屋に戻っていなさい」
あまりものすさまじさに公爵はチャーミーを部屋に隠した。
隼人の精神力、体力は今限界に近づいていた。なにせ、結果的に一度に16人の女性と性交していることになるのだ。
だが、彼が愛する女性は由香ただ一人。そして由香も彼を信じて命をかけた。
「ウギャーーーーーーーーっ」
勝負はあった。隼人のイチモツはクイーンラガーの人工子宮、すなわちエネルギー発生装置を突き破り、さらに背中まで貫通した。
大爆発して四散するクイーンラガー。ニジーナの最期だ!無残に飛び散る残骸。
機械の中からわずかにはみ出す内臓や血、そして脳みそが改造人間の最期の悲惨さを物語っていた。そしてその脳自体が半分以上取り除かれていたようである。ニジーナのパワーアップのためだけに捕らえられ、改造され、女の部分までもが彼女のパワーアップに利用され、そして死んでいった女たち・・・・。
由香と香織は、改造される女性は自分たちでたくさんだと改めて思った。
帰ろう・・・。
そのとき・・・。
「待って!ここに生きている脳みそがあるわ!」
由香が生命反応を発見したのだ。由香はその残骸に生体活性化光線を浴びせて脳死を防ぎ、これを持ち帰るよう提案した。
報告を受けた細川博士は、ラガーボーグの秘密を探る資料として重要と判断し、許可した。
「しかし、ニジーナだったら・・・」
「誰であろうとも、生きている可能性がある命は殺せないわ。それに叔父様も研究したいって・・・」
そのとき、残骸の陰から脳髄カプセルに昆虫のような節足のついた物体が這いだした。裏に女性器がついている・・・。
実は、これそがニジーナ、いやワルデイーナの本体だったのだ。由香の優しさと細川博士の探究心の隙をついてみすみす巨悪を逃してしまったのだ。そのとに隼人と由香は気づかない。
そして二人の行く手に、また新たな強敵が待ち伏せしていたのだ・・・。
続く。