85話 嗚呼グレートロイヤル星

 

 サダフィ大佐とニジーナの度重なる妨害を排除し、隼人と由香はついに敵の本拠地、グレートロイヤル星にたどり着いた。

 だが・・・・・。

そこで見たのは、荒涼とした廃墟のたちならぶゴーストタウンであった。

無人ではない。しかし活気、生気がなく、人々は隠れるようにしてひっそりと生きていた。

 また、本国艦隊や国防軍の迎撃もまったくなかった。

そう・・・・。二人が到達する前に、グレートロイヤル星は滅ぼされていたのだ。

 しかし、隼人はそれでも戦わなくてはならない。たった一人の肉親・真理子に会うためにも。

 二人はアーク・ロイアル城を目指した。

城は徹底的に破壊されていたがかろうじて原型をとどめていた。

 二人は無人の城を探りながら進む。迎撃はない。しかし彼は信じた。エドワルド王子と真理子はこの城にいると。

 そして、ついに二人は敵の襲撃を受けた。意外なことに、城の中に待ち伏せしていたのではなく、二人を追って侵入してきたのだ。なんなく蹴散らす隼人。

そしてついに。

 

 「待っていたぞ隼人。ここで余と勝負をしようではないか!」

「貴方はエドワルド王子・・・。無論、貴方との勝負はいずれつけなくてはならないと思っていた。その前に、姉さんを返してもらおう!」

「・・・マリーは、ここにはいない。ここにいるのは、余だけだ」

「どういうことだ?」

「問答無用!」いきなり兜をかぶると王子は挑みかかってきた。

激しくぶつかる剣と剣。

「隼人君、がんばって・・」

由香には祈ることしかできなかった。

 「腕をあげたな!」

「そちらこそ・・」切り結ぶ二人には、強い男にしかわからぬ浪漫とともに熱く燃え上がっていた。

だが、突如爆発が起きる・・・。

 「来たな」

「?」

「太子、覚悟!」

完全武装した兵士の大群が隼人と王子を襲う!

 兵士ごときに負ける二人ではない。由香もけなげに応戦する。

しかしきりがない。

「王子、どうして兵士たちが貴方を襲うのですか?」

「余はもはや王子ではない。余の叔父、ムーリンが皇帝になったのだ」

「では皇帝や姉さんは?」

「父上と兄上は殺され、母上と伯母上、そしてマリーは連れ去られたのだ」

「何!」

怒りに燃えた隼人は、ターボチャージャーに点火して敵をけちらした。

だがそのとき、敵の隊長の機関銃が火を噴いた。

「やめなさい!」その直後現れた貴族らしき人物の制止も間に合わない・・。

エドワルド太子は蜂の巣に・・・・と思われた。

 「あ!」

「チャック中佐、なんということを・・・わたしは太子を捕らえろと命じたはずだ。」

「グヘヘ。悪いけど公爵さま、私はムーリンさまの命令で王子を殺せと言われているんでね」

しかしその瞬間、一人の兵士が立ちふさがり、代わりに全弾を浴びて倒れた。

「・・・・!」

その場にいた全員が棒立ちになった。

そしてそのとき、チャーミーと七海大佐が隼人たちを追って城にたどりついたのだ。

「パパ!」

なんとチャーミーは、総司令官と思しき人物にとびついた。

「チャーミー」

この人物こそ、皇帝の弟であるリバーストン公爵その人である。

「パパ、どうしてエディにいちゃんにひどいことするの?バカバカ・・・」

「・・・これには・・・」

その間、隼人と由香は王子をかばって倒れた兵士を介護する。

「まだ息があるわ。あ、この人は・・・」

その兵士に見覚えがあった。オアシスの攻防で隼人に叩き潰された戦車に乗っていた若い士官だ。

そのとき、重傷をおった彼に止めをさそうとする隼人を制して由香は献身的な手当てをして、一命をとりとめたのだ。

「絶対死なせたくないわ・・・・」

 

だが、それをあざ笑うかのようにブキミに笑うものがいた。

「イヒヒ。エドワルド王子を殺せば少将にしてもらう約束が、バルディバンとバルディーナ、その上チャーミー姫まで一網打尽にできるとはな。俺はついているぜ」

「下郎が!」

「下郎だと?おっさん、俺を怒らせるんじゃねーぜ」

チャック中佐の頭がぱっくり割れると無数の触手が現れ、太子、チャーミー、由香、公爵らを襲う!「キャー!」

「貴様は!」

「そうよ、イッヒッヒ・・・。怪人に改造してもらったのよ。怪人はいいぞ。怪人は無敵だ。怪人は不死身だ。イッヒッヒ・・・」

なんとチャック中佐は怪人イゾギンチャッカーに改造されていたのだ。

「おのれ化け物め!」

「笑わせるな。これからは俺たち怪人があたりまえになり、貴様ら人間が化け物扱いになんだぜ。われらの神・ワルモナイトさまはそういわれた。イッヒッヒ・・・」

「由香ちゃん、脱出するんだ!そして合体だ!」

「わかったわ!」由香は全身からエネルギーを放出して触手から逃れた。捕らえられていたみんなも逃れた。
「合体・バルディクロス!」二人は合体した。

「おのれ・・・」チャック中佐も巨大化する。

バルディスターとイゾギンチャッカーの死闘が繰り広げられる中、チャーミーは由香に代わり兵士の手当てをした。

「姫様、もったいない・・・」

「いや、おぬしのその忠義、このリバーストンこの目で見たぞ。名は?」

「わたしは、近衛戦車師団のリョナサン少尉です・・・」

「リョナサン、余のために・・・すまん」

 

イゾギンヂャッカーは触手でバルディスターのエネルギーを吸い取ろうとするが、愛と怒りで無限大のエネルギーを発生するバルディスターの敵ではなく、あえなく敗れ去った。

 

戦いは終わった。

「皇后陛下と私の妻がムーリン一味に捕らえられ、太子を連れてこなければいけにえにすると脅かされていたのです。」

「叔父上も気の毒だな。なら余をつれていくがいい。ムーリン叔父などなにするものぞ」

「太子!」

「僕も助太刀しよう!姉さんをとりもどすんだ」

「地球人の手などかりぬ!」

しかし、そのとき・・・。虫の息のリョナサン少尉がつぶやいた。

「リバーストン公爵様・・・。わたしの首をムーリン様に届けてください。

わ、わたしは、僭越ながら太子と顔がよく似ていると言われます。わたしの首を太子の首として届けて、どうか皇后陛下、公爵夫人、そしてマリー様を助け出してください・・・おねがいです・・」

「な、何を言うのだリョナサン!」

「わたしはあのとき、由香さんに助けられました。そして由香さんと隼人さんが愛し合っていることも知りました。そしてかねてから忠誠を誓っていた太子のおもわれ人・マリー様が隼人様の姉君と知ったとき、囚われたマリー様を助けて太子への忠義、由香さんへの恩を返すためには、わたしが太子の身代わりになるしかないと考え、太子捕縛作戦に志願したのです・・・」

「死なないで、リョナサン少尉・・・・」必死に細胞活性光線を浴びせる由香。

しかし、リョナサンは息絶えた。

由香は見てしまった。リョナサンの胸のペンダントを。

いつか必ず・・・」由香はある決意を胸にしまった。

「叔父上、こうなったらリョナサンの死を無駄にできない。余はこれからリョナサンと入れ替わる。連れて行ってくれ、怪人の巣へ!」

「若・・・。」

「パパ、私もつれていって!隼人さまたちも。パパならできるでしょ、ね?」

「よし、わかった。隼人殿。わたしが必ず囚われたみんなを救い出そう。」そういうと公爵は、ムーリンから授けられた勲章をむしりとった。

 リョナサンの遺体は、わずかに異なる髪の色をそろえるため脱色したあと、立派な棺に入れられた。隼人と太子は一般兵士に変装した。由香は給仕女に姿を変えた。

 

 

ちょうどその折、地球から第一宇宙艦隊主力が出港し、比叡は途中のレモネード星で出迎えて先導せよとの命令が届いた。

「親分、お世話になりました。思う存分の艦隊決戦で暴れてください。」

「おめーらもがんばれな。よし、敵は化け物の親玉のワルモナイトだな。絶対に勝つ!」

こうして、比叡はレモネード星へ引き返していき、隼人と由香、そして太子ら一行はリバーストン父娘の戦艦リバーストンでワルモナイトが陰で支配するムーリンの本拠地に向けて出港していった。

こうして隼人と太子は手を結び、悪の張本人に戦いを挑むことになったのだ。

悪のワルモナイト、覚悟するがいい!

 

 

続く