84話 悪魔の瓶魔神

 

 砂漠の星を後にした隼人と由香。ついに目指すグロテスター本星を目にする地点まで迫った。

だが、その前には、ロイヤル星の月に当たるグロムーンを突破しなくてはならない。

 しかし、戦いのプロ、七海提督はどうしても分らないことがあった。それは、敵の本国艦隊の迎撃がないということだった。

 この艦には、グロテスター王族の一人・チャーミー姫が乗っているからか?いや、皇太子を殺害し、国王夫妻とチャーミーの両親を幽閉し、エドワルド王子をも狙っているムーリン・グロテスター一味にチャーミーなど関係ないはずだった。

 何はともあれ、目指す本星はもうすぐそこだ。

本国艦隊の迎撃はなかったが、隼人と由香にとってはもっと手ごわい強敵がそこに待ち伏せしていたのだ。

 海獣艇アンモナイザー・・・。そう、あの悪の華・ニジーナと砂漠の鬼将校・サダフィ大佐が待ち受けていたのだ。

 アンモナイザーは、小型ながら、硬い殻をもち、伸縮自在の触手と、目からのビーム、口からの煙幕や毒ガスなどを用い、その上、内部に納めた特殊回転ジャイロの力で、自在にワープできる優秀な艦だ。緒戦では、対エスパーコーティング装置の作動が間に合わなかったためバルディスターに敗れたが、対策を施した2号艇は、死角のない無敵の海獣挺すとなっていた。

 隼人と由香は、合体してこれに立ち向かう。

絡みつく触手に苦戦するも、一進一退の攻防が続く。

 バルディスターが格闘しているため、比叡は援護できない。

ニジーナは、バルディスターをグロムーンへとおびき寄せた。

 そこには、サダフィ大佐の戦車部隊が待機していた。

戦車を踏み潰そうとしてもアンモナイザーに邪魔される。二人は、分離することによってアンモナイザーの触手から逃れた。

 サダフィ大佐はとその部下は、戦車を乗り捨てて格闘を挑んできた。

形勢が逆転した。大佐と隼人が切り結んでいるため、ニジーナは援護できない。もっとも比叡は完全に蚊帳の外に置かれている。

 隼人と大佐の実力は、ほぼ互角であった。大佐は、生身の人間だが、左腕と左目は激しい過去の戦闘で失っており、左腕は義手に改造されていた。そのアイアンクローは強力で、しかもアタッチメントで他の武器にも換装できた。

 しかも、この月も砂漠に近い。彼のホームグランドだ。

 だが、隼人も宇宙最強戦士としてのプライドがある。由香も、バリヤーや牽制射撃を行い隼人を援護する。

 手下たちが近づかないよう、彼らの武器を正確に狙い撃ちする由香。

 心優しい彼女は、敵であっても、命を奪うことはよほどのことでない限りない。

だがその一方で、針をも通す精密な射撃で確実に敵の戦闘力を奪うのだ。

 遂に、隼人は大佐を追い詰めた。

「サダフィ大佐、覚悟しろ!」

 「おのれっ」

そのとき、大佐は懐から取り出したブキミな小瓶を宙に投げた。

「おお、わが遠き爺様・瓶魔神よ・・・我を救いたまえ!」

 

すると、瓶の中から、恐ろしい魔神が現れた。

 魔神は、大佐の遠い先祖だという。

魔人に挑む隼人。その間、ニジーナは大佐を救出した。

 魔人は、ものすごい怪力と、口からの火炎、そしてサーベルで激しく攻撃してきた。

切り結ぶ隼人。

 だが魔人は、隼人の一瞬の隙をついて、由香を襲った。

「助けて、隼人君!」

「由香ちゃん!」

隼人は、由香のピンチには怒りが頂点に達し、異常な強さを発揮する。

 「バケモノ、由香ちゃんを離せ!」

「ウワーーーッ」真っ二つになる魔人。

「由香ちゃん、もう大丈夫だ。よし、ニジーナの艇を倒すぞ」

「わかったわ。私は大丈夫よ。」

だが・・・。

「ムハハハハ・・・・」

なんと、真っ二つになったはずの魔神が、再びくっついて、しかも巨大化したではないか!

「おのれ魔神!由香ちゃん、僕たちも合体だ!」「ええ!」

「バルディ・クロス!」

二人は合体して、バルディスターになった。

 だが、やはり魔神は強く苦戦を強いられた上、こちらの会心の一撃も、すぐに回復してしまうのだった。

「隼人君、きりがないわ・・・」

「畜生・・そうか、あの瓶だ。あの瓶を破壊しなくてはならないんだ。」

 「じゃあ、分離して海獣艇に乗り込む?」

「いや、この状況では・・・」

 

「ガハハハ・・・わが遠き爺様・瓶魔神は無敵だ・・・!」ほくそえむ大佐。

 

しかし、その隼人と由香の心の会話を傍受することが出来る戦士が一人居た。

「博士、隼人君と由香ちゃんが苦戦しています。あたし、ちょっと行ってきます」

「香織君!」香織は漆黒の宇宙に飛び出していった。

 

 なおも苦戦する隼人と由香。

一方、香織は油断したニジーナたちの裏をかき、見事アンモナイザーに突入した。

「こんばんは。仲いいのねお二人さん」

「貴様は・・・森村香織っ!」

「あら、私の名前、フルネームで覚えてくれていたのね。さすが汚い工作をしているスパイだわ」

「おのれーーーっ」

逆上したニジーナは香織に襲い掛かる。

 ニジーナは、強かった。だが、百戦錬磨の香織のほうが一枚上手だった。その上、香織はプロティーナに改造されている。最初こそ激しい戦いだったが、香織はニジーナをやがて圧倒した。『麻理子・・・あんたのほうが10倍ぐらい強かったわ・・・・』

 「ニジーナ、瓶を渡しなさい!」

「だれがあんたなんかに・・・」だが苦しいニジーナ。

 しかし、香織はもう一人の強敵の存在を忘れていた。

「あっ!」

突如背後から香織をわしづかみにする大きな手。

「ガッハッハ・・・」そう、サダフィ大佐だ。

では、何故はじめからニジーナを助けなかったのか、といえば美女同士の激しい戦いに興奮して見とれていたからである。

 「貴方は、サダフィ大佐・・・」

「ガッハッハ・・・」大佐は香織の胸と股を執拗にまさぐり、また肩アーマーやヘルメットなどを剥ぎ取ってしまった。ダメージと性感で、変身が解除されてしまった香織。

 こうなれば生身のか弱い女。さらにニジーナも仕返しとばかり蹂躙に加わる。

大ピンチだ。外では魔神に追い詰められるバルディスター。

 「おお、今まで見た全ての女の中で一番の上玉だ。このニオイもたまらない。そして激しく抵抗するのもまたたまらんわい」香織が

抵抗すればするほど大佐は興奮してパワーアップするのだ。

 香織の必死の抵抗もむなしく、香織は陵辱の限りを尽くされ、ついにその肉棒を女の部分につきたてられた。

「イヤーーーーーっ」

「ガッハッハハ・・・」悦にひたる大佐。

「こ、このときをまっていたのよ・・・」

香織は、大佐が性的に興奮して油断するのを待っていたのだ。香織は由香と違い、貞操観念などはない。その女の部分は彼女にとっては単なる武器に過ぎないのだ。

「瓶はもらったわ!」

大佐を蹴り上げ、瓶を手にした香織。

「おのれ、女!」

香織は、計器に瓶を叩きつけて割った。

「何をする!」粉々になる瓶。

しかし・・・外の魔神は何事もない。瓶も元に戻ってしまった。

「ガッハッハ・・・・。魔神は不死身なのだ。よくも俺様をコケにしたな。殺してやるっ」

しかし香織は冷静だった。再びプロティーナの姿になると、瓶を再び奪い取った。

「隼人君、由香ちゃん、魔神を倒すためには、魔神と瓶を同時に倒さなくてはならないわ。私は今から瓶を叩き割るわ。そのタイミングで魔神を斬るのよ」

「了解」

だが・・・。

何度やっても香織は瓶を破壊できなかった。

「無駄だ。その瓶は1000年前の王家の聖なる姫の魔力によって封印されていたのだ。貴様ごとき半分機械の異星人ごときにはどうにもならないぞ。ガハハハ・・・」

「王家の姫?」

「危険だけど仕方ないわ。博士、チャーミーに鎧と命綱を付けて打ち出して、早く!」

「香織君!そういうわけです。姫、お願いします。」

「任せて♪お姉さま、今行くわ」

 香織は、瓶を外に投げた。

「チャーミー、バルディスターが魔神を斬ったら、あなたのフェアリーフルーレで瓶を突くのよ」

「そうはさせるか!」

 ニジーナは、触手でチャーミーを捉えようとする。しかし、先ほど瓶を叩きつけられてショックで上手く触手が伸びない。

「畜生、貴様を殺してあげるわ」

「ワシも手伝うぞ」

二人に蹂躙される香織。だが、香織は耐えた。勝利を確信したからだ。

「今よ、魔神を倒せっ!」

バルディスターが魔神を切り裂くと同時に、チャーミーは瓶を突いた。

 すると・・・。

瓶は粉々に砕け散り、星屑となった。

切断された魔神も、紙のように燃え尽きてしまった。

 バルディスターは、アンモナイザーに剣を突きつけた。

「ニジーナっ!香織さんを返せば、今日のところは見逃してやる。さあ、すぐに香織さんを放せ」

「畜生、この借りは絶対1000倍返しにしてあげるわ!」

 バルディスターは、宇宙にただよう香織とチャーミーを拾い上げると、比叡に戻った。

「隼人、由香、香織君、そして姫・・・。よくがんばった!」

「魔神を倒したのはわたしよ♪」

「そうね、チャーミーすごいわ。」なでなでする香織。

「隼人様からもご褒美が欲しいわ。ねえ、チューして♪」目を閉じてキスをせがむチャーミー。

 激怒する由香と、その手を掴む香織。

「チュ」

隼人はチャーミーの頬に口をつけた。

「まぁっ!でも今日の活躍に免じて、ほっぺなら許してあげるわ。でも、隼人君、おしおきよ。わたしにもキスして!」

 「えっ?」隼人は由香を強く抱きしめ包み込むように口付けした。

「これで許してくれるかい?」

「うん♪」

「あ、由香ちゃんずるーい!」

 こうして、最強戦士と3人の愛の戦士の活躍により、宇宙の魔神は葬りさられたのだ。

だが、七海提督の危惧どおり、ここまでたどり着けた裏には、ワルモナイトとムーリン王子の陰謀によって追い詰められたエドワルド王子と麻理子の悲劇があったのだ。

 急げ隼人、麻理子と太子を救うのだ

 

 

続く。