80話 悲しき姉弟の戦い 再び

 

 隼人と由香はタージ・マヨールを倒し、一方、エドワルド太子と麻理子はムーリン王子の侵攻をなんとか食い止めた。そしてそれぞれがグレートロイヤル本星を目指して進撃したが・・・。

 軌道の関係で、エドワルド一行を乗せた戦艦「アンノン」と隼人たちの「比叡」は、小惑星ザワロで交差してしまった。

 お互い、全く気づかず物資の補給中、鉢合わせしてしまったのである。

先に隼人の姿を発見したのは、エドワルドだった。

「お前はバルディバン!ここで会ったのが運の尽きだ。我が星系を犯す侵略者め。成敗してやる。勝負だ!」

「お前はエドワルド太子・・・!その言葉そっくり返してやる。僕たちの地球をめちゃくちゃにして月を占領し、僕の両親を殺したのはお前たちロイヤル星人だ!僕はそれを許さない。お前たちの間違った指導者を懲らしめて二度と侵略できないようにしてやる。お前がその指導者の一人だということは分っているんだぞ!」

 二人は剣を交わす。

おそらく、この二人のどちらか、いや両者がこの宇宙で最強の剣士であることは間違いない。

 この宇宙の砂漠で、二人の死闘は続く。

 

「キャー、隼人君!」そこに由香が駆けつけてきた。

「由香ちゃん、男の勝負。邪魔だ!」

「で、でも・・・」

 

しかし、その由香の仮面を剣が掠める。

「貴女の相手はわたくしよ!」

なんと、純白の鎧に身を固めた女騎士が!

 すごいすばやい突きだ。宇宙フルーレの名手と見える。

「負けないわ!」

由香もなぎなたを実体化させて応戦する。由香は一見鈍そうなお嬢様だが、こう見えて13歳から18歳まで6年連続なぎなた日本一の実力者なのである。

 全ての武道の奥義を極めた祖父と、長刀の大家である祖母に物心付く前から仕込まれたのだ。

「武家の女子たる者、長刀の奥義を極めるべし」と。

隼人とエドワルド、由香と女騎士が激しく戦う。

 両者とも一進一退。

その間、博士と香織は物資の解析と補給を急いでいた。

 

 戦ううち、由香は気づいた。

「貴女は、麻理子お姉さまね!お願い!戦うのはやめて!私たちは貴女かせ帰ってくるのを待っているわ」

「いかにも、私は麻理子。でも・・・。私はもう向こうの人間なの。貴女なら分るはずよ。

私はエデイを愛しているの・・・。貴女が隼人を愛しているように・・・」

「でも隼人君は貴女の弟よ。そして私は義妹なのよ・・・」

「お黙り!わたしは、わたしはもう・・・」

 

 その会話が偶然耳に入ってしまった隼人は一瞬隙が出来てしまった。

「ね、姉さん・・・」

しかし、かろうじて急所は外す。しかし劣勢に立たされてしまった。

「ハハハ。余の勝ちだ。覚悟しろ!」

「何の!」逆に今度は隼人が太子を投げ飛ばした。

剣では互角だが、パワーは隼人の方が強い。改造されているからではなく元々強いのだ。太子の鎧にも強化人工筋肉が入っているので条件は同じだ。

 

しかし、この戦いを見てほくそえむものがいた。

「今だわ。この小惑星ごと惑星破壊ミサイルで・・・」

そう、ニジーナがこの様子を伺っていたのだ。彼女にとって、地球人とエドワルド太子は邪魔なのだ。両者を一度に葬り去ることができれば、ワルモナイトを喜ばせることが出来るのだ。

 4321・・・発射!

惑星破壊ミサイルが命中。地球クラスの惑星でも24時間以内に木っ端微塵にできる巨大ミサイルである。

 「緊急退避!」比叡とアンノンは脱出を図るが・・・

「待って!隼人様が・・・」チャーミーが絶叫する。

「若!」リバーバッテン卿もぎりぎりまで踏みとどまろうとするも機関長に制される。

その遅れのため、両間とも爆発しつつある星に引き込まれる。

 隼人と太子、由香と麻理子にも絶体絶命の危機が。

改造人間や伝説の鎧でも惑星の爆発に巻き込まれたら一巻の終わりだ。

由香だけは再生能力を持っているが、それでも再生には数年かかるだろう。

「こ、これは、惑星破壊ミサイル・・・・。これを持っている奴はこの宇宙でただ一人・・・

ワルモナイトだな!おのれ、余をたばかりおって・・・・」

「太子、これで分っただろう!僕たちはあいつの陰謀の手のひらの上で戦わされていたんだ。本当に倒さなくてはならないのはあいつなんだ」

「だがお前を倒すことは、ロイヤル星王子としてでなく、一人の剣士としての宿願なのだ。」

「二人とも、今はここから脱出するほうが先よ・・・隼人と由香ちゃんが合体すれば、何とか脱出できるはずよ」

「よし、やってみよう・・・・」

「バルディ・クロス!」二人は合体して、エドワルドと麻理子を収容した。

しかし、その瞬間、小惑星の核にミサイルが到達し、大爆発!

 アンノンと比叡も巻き込まれる・・・。

ところが、そのとき強力なワイヤーで両間は引き上げられた。

それより少し前、バルディスターも、謎のトラクタービームで脱出していた。

 4人は、安全な空域で解放された。

「あ、あれはあのときの幽霊戦艦・・・」
またしてもエドワルド太子と隼人は謎の幽霊戦艦に助けられた。
両者が激突すると、必ずワルモナイトの手先が両者をともに葬り去ろうとし、そして必ず幽霊戦艦が助けるのだ・・・・

別れ際に、麻理子は由香にそっと手紙を渡した。

「由香ちゃん、あなたの船に、エメラルド星人のプラドさんが乗っているわね。この密書を彼に渡して。」

「お姉さま・・・。必ず」

 

「隼人、貴様の言うとおり我々の敵はワルモナイトだと分った。だが、ロイヤル星王子の誇りにかけて、貴様らの手を借りるわけにはいかない。きゃつはこの余が倒す!貴様は地球に帰れ!」

「何を言うんだ。僕だってあいつに恨みがある」

 

真の敵が誰であるか分った両雄だが、互いのプライドのため、手を携えることが出来ないのだ。そして・・・

 

「姉さん!僕の姉さん・・・どうして行ってしまうんだ・・・っ!」

「隼人、許して・・・・」

闇の宇宙を左右に分かれていく両艦。だが目指すは同じロイヤル星。

 そのロイヤル星及びその支配星では、ワルモナイトとニジーナの陰謀が、そして地球でも、着々と進んでいるのだ。

 

急げ、隼人!ワルモナイトを倒すのだ!

 

 一方、手紙を開封したプラドは・・・・。

「博士、これをご覧ください・・・」

「こ、これは・・・」

そこには、グレートロイヤル星植民地であるエメラルド星に対し、エドワルド王子の名において傘下に入り、ワルモナイトを倒すべし、との命令書であった。

 そして、エメラルド星総督は、宇宙一の名将、ウインタービル提督である。

彼は、ワルモナイトの陰謀により地球艦隊に勝利目前で左遷されたのだ。

ブラドの上官でもある。

 「太子は、分ってくれたんだ・・・・」

「自分は、どうすれば・・・」

「ガッハッハ。迷うな。比叡に積んである光速駆逐艦「銀河」、あれを貴様に貸す。

今まで世話になったな。貴様も故郷に帰れ。そして、自分の力であの骸骨野郎と戦え。

さあ、行け!」

「親分・・・・」

銀河は比叡から切り離され、一路連続ワープでエメラルド星を目指す。

 広大な宇宙に点在するロイヤル星の殖民星。

それは、ロイヤル王室が事実上消滅した今、「神聖ロイヤル帝國」のエドワルド太子派と、ワルモナイト(と思われる者が黒幕の)、ムーリン王子派に分かれて、決戦の日を迎えようとしていた。

 そして、それに割ってはいる隼人の比叡。

戦いは今、舞台をロイヤル星系に移してクライマックスを迎えようとしていた。

 

続く