75話 廃墟の城にたたずむ魔物
ついに敵の本拠地・グレートロイヤル系に突入した隼人と由香は、その最初の要衝・リバーストン星で、ひょんなことからワルモナイトの傀儡・ムーリン王子による強引な城の接収の魔の手から、領主の一人娘・チャーミー姫とその執事・ムッシュマン氏を救った。
だが、次の星の攻略に向かう隼人たちを乗せた戦艦「比叡」に、チャーミー姫が密航してしまったのだ。姫は、自分を助けてくれた隼人に一目ぼれし、婿に取って公爵を継がせる、と宣言し、由香の神経を逆なでした。しかも、密航者でありながら、自らがあるじであるかのように振舞っている。
そんなチャーミーは、隼人と由香に不意に質問した。
「ねぇ隼人様、どうして貴方たちは一瞬のうちに鎧を着れるの?それから、由香の着ている鎧、いかすじゃん。それ譲ってよ」
「・・・・。」
隼人と由香は、体内の細胞一つ一つにバルディチップというナノマシーンが組み込まれており、生身の細胞と組みかえることにより宇宙用サイボーグ体型であるバルディバンバルデイーナに変身するのだが、どうやって説明してよいのか分らない。
そうこうしているうちに、一行はワーテルロー星に到着したが、そこで見たのは、一面の廃墟であった。
この星も、ムーリン王子派の接収を受け、抵抗したため滅ぼされたのだ。
「味方の城を平気で焼き払うとは、狂気じみている・・・・」
リバーストンは、チャーミーが住んでいたため完全な破壊を免れたに過ぎないのだった。
チャーミーは、もう何がなんだか分らなくなっていた。誰が敵で、誰が味方か・・・。
それは隼人と由香、そしてエドワルド黒太子も同じ思いであった。
そして、影をちらつかせながらもここのところ沈黙を守っているワルモナイトの消息がつかめないことも、皆をいらだたせる原因であった。
そんな中、一人この世の春を謳歌して威張っているのが、ジョーズ6世の末弟・ムーリン王子であった。彼は摂政宮に就任すると、気に入らないものを投獄し皇帝気取りでいた。
隼人と由香は、廃墟と化した城に降り立ち調査を開始したが、そこで何か人影を見た。
「生存者かもしれないわ」
「よし、念のため銃を抜いておこう」
二人は用心深く影の見えたあたりに。するとそこには、白い頭巾をかぶった女性が。
「すみません、貴女はこの城の方ですか?」
返事はない。その代わり、突如女の手足が伸び、由香は絡め取られてしまった。
「助けて隼人君!」
女は、みるみるイカの姿に変わった。
その頃、比叡もまた、突如暗黒に覆われ、巨大なイカに飲み込まれてしまった。
「畜生、何も見えない」七海提督が絶叫する。
「助けて、わたしこんなところで死にたくない!」
チャーミーも泣き叫ぶ。
隼人は、すばやく剣を抜き、イカ女を輪切りにして由香を助け出したが、輪切りにしたリングによって締め付けられてしまった。
何度切っても再生し、分裂する敵に苦戦する二人だが、由香はその探知能力で弱点を見つけ出した。
「隼人君、とんびよ、とんびの部分が本体だわ」
とんび、別名カラス口とも言うイカの嘴。この怪獣のそれは、まるで女性のクリトリスのようであった・・・を隼人の剣が突き刺す。
イカは、見る見るしなびれていった。二人は危機を脱した。
「博士たちが危ない」
二人は合体して、巨大イカに挑もうとする。だか、あえてすぐには合体しない
この手の生体怪獣に対する有効な手立ては、今までの闘いから分っている。
自らがその内部に飛び込み、エネルギーを暴発させることだ。だが失敗すれば、自分たちが吸収・消滅する両刃の作戦。しかし二人は今まで、この方法でくらげ・ヒトデを倒してきた。
わざと巨大イカにつかまった二人。巨大な烏口に飲み込まれた瞬間、満を帰して二人は体を重ねた。
その頃比叡はエネルギーを吸収され、館内の空調がきかなくなり苦戦していた。
「うう、死ぬ・・」
だが、比叡は突如吐き出された。より大きなエネルギー体である隼人と由香を吸収したからだ。
しかし、ヒトデやクラゲほど単細胞ではないイカは、エネルギーを吸収するだけではなく、独立した手足や目玉を持った凶暴である程度の知能を持った怪物である。
電気を流したり、触手を自らの口の中にも入れて攻撃してきた。
だが、体の各部がクラゲやヒトデより分化して進化しているのがあだとなった。
起死回生の一撃で、烏口を破られ、巨大イカもまたしなびれて巨大ノシイカになってしまったのだ。
こうして隼人と由香は、愛の力でまたピンチを切り抜けた。
だがその頃、リバーバッテン卿の城は怪人軍団の攻撃を受けて、エドワルド黒太子、真理子、川×卿の三人はまさに危機一髪にさらされていたのだ。
そして、隼人と由香の行く手にも、巨大な強敵が待ち構えていたのだ。
次回、宇宙最強の女丈夫が行く手に立ちふさがる!乞うご期待。