74話 危うし!リバーストン城の攻防

 

 隼人と由香は、グレート・ロイヤル系第14惑星リバーストンに降り立った。

だが、ワルモナイトの傀儡・ムーリン摂政宮王子はリバーストン城を怪人軍団の基地にしようと接収しようとしていた。ちょうどそのとき降り立った隼人の活躍で、接収部隊のカゲーユ隊長は怪人を倒され、退却した。

 城主の公爵夫妻は本星に住んでおり、城には姫君・チャーミー姫が住んでいたが、偶然にも怪人の手から救われた形になった姫は隼人に一目ぼれ。

 当然、由香は面白くない。隼人にはその気がなくとも、超わがままで強引な姫のアプローチに、心中穏やかではない。

 そんな中、地球艦隊一同の歓迎会が催された。

美しく着飾ったチャーミー姫と由香はここでも激しい火花を散らす・・・。

 

 しかし、その間にも事態は恐るべき方向に進んでいた。隼人によって撃退されたカゲーユ隊長は、このことをリバーストン家の王家に対する謀反としてムーリン王子に報告したからたまらない。元々思慮が浅い上にワルモナイト?に操られているムーリン王子は直ちに公爵夫妻を幽閉するとともに、カゲーユ隊長に戦闘ロボット軍団を与え、再攻撃を命令したのだ。その際、一つだけ念を入れて命令されたことがある。それは、城、場合によっては星ごと破壊してもいいが、チャーミー姫は無傷のまま捕えよ、ということであった。

 ちなみに、公爵は先代皇帝の次男、ムーリン王子は末弟で実の兄弟に当たる。チャーミーは姪に当たるのだが、かねてより是が非でも我が物にしようと企んでいたのだ。

「イヒヒ・・・。ボクちゃんはチャーミーを后にしてグレートロイヤル帝國皇帝になるのだ・・・」恐るべき王子の野望・・・。

 

 隼人の手をとりにっこり笑うチャーミー。由香は隼人の足を踏む。香織は衛兵たちを軽くあしらう。名門公爵家に相応しい?宴が続く。

 だが突然響き渡る非常のサイレン。

 

カゲーユ隊長のロボット軍団の来襲だ!

 騒然となる場内。宴は中止され、直ちに応戦体制に入った。

だが・・・。名門の胡坐の上に甘んじた上に城主を欠くリバーストン軍は、グロテスターの中でも最も弱く、士気も低かったため、たちまち退却してしまった。

そのとき、紫色とピンクの疾風が走る。

 隼人が変身したバルディバンと、由香が変身したバルディーナだ。二人は、銃弾の雨の中を突進する。

 敵のロボットは、顔が回転速射砲、両腕がキャノン砲になっている。

その火力は、一体で戦車10台分ぐらいあり、それが3機スクラムを組んで襲い掛かってきたのである。

「行け、バルカン、ガトリング、ファランクス!」カゲーユ隊長は絶叫する。

 由香はバリヤーを張り、光線銃でけん制する。そして隼人はわずかな砲撃の切れ目を突いて、まずガトリングを一刀両断!次いでファランクスを破壊したとき、不意に城から火の手が上がった。

 傷だらけのムッシュマン氏が這い出してくる。

「大変でございます。ひ、姫が、姫が・・・」

なんと、隼人が外で戦っている間に、ものすごく強い狂戦士が城に乱入し、その間に姫が攫われたというのだ。

 「姫が危ない、城に戻ろう」

由香の返事はない。

「由香ちゃん!」

「分ったわ・・・」

 バルカンの猛射撃からムッシュマン氏を庇いつつ、城に戻った二人が見たのは・・。

「離してムー兄ちゃん!」なんと、ムーリン王子自らが姫を捕え、結婚を迫っていたのだ。

激しく抵抗するチャーミーはムーリンの手をかじった。

「イテーっ」

激怒したムーリンはチャーミーを磔にして脱出して行った。そこに迫る兵士たち。

理性を失った彼らにチャーミーは無防備・・・。

 そこに突入したのが隼人と由香・・・。だが!

黒い影が飛び出してきた。

影は、磔になったチャーミーを引きずり落とすと、隼人に向かって突進してきた。

 その間、由香はチャーミーを介抱する。

 

ガシッ!がっちり組み合う隼人と狂戦士。

 狂戦士は黒尽くめで、ジャガーのような顔をしていたが、獣人ではない。そしてサイボーグでもなかった。生身の人間が、黒豹のマスクを被り黒い鎧を着た姿のようだった。

 激突する2大戦士!

しかし!


「お、お前は!!」

組み合った瞬間、隼人は悟ったのだ。この感触は初めてではない。姿は変わり、黒い鎧に身を固めてはいるが、忘れることの出来ない感触だったのだ。

 15年前から、拳で語り合う相手。狂戦士ジャガーナイトの正体は、あいつに違いない。

一歩も引かない隼人とジャガーナイト。ジャガーナイトは一言も喋らない。感情が消されているようだ。戦う本能だけで襲い掛かるそのパンチとキックは改造された隼人であっても堪える強烈さである。しかし、その癖を隼人は見切っていた。いや、はじめから知っていた。そして、それは彼もまたそうである。隼人の剣やパンチは全く通用しないのだ。

 

そして、その間、逆に城外が騒がしくなった。

なんと、バルカンが、破壊されたガトリングとファランクスの残骸と合体して、合体ロボ・ザンバルカンになって激しく砲撃してきたのだ。崩れ落ちる城壁。

 

隼人は、ジャガーナイトに背を向けて城を守ることに躊躇した。だが、驚くべきことにジャガーナイトは、突然高くジャンプして姿を消してしまった。

 「そうか、分ってくれたんだな・・・」

「行くぞ、由香ちゃん!」

「バルディ・クロス!」

隼人と由香は激しく抱き合った。

だが・・・なぜか合体できない。由香の心に、嫉妬の炎が燃えていたため平常心が保てず、心を一つに出来なかったのだ。

 ザンバルカンの砲撃で吹き飛ばされる二人・・・。

城にも被害が。

 「ごめんなさい、もう一度・・・」

「いや、悪いのは僕だよ。じゃあ、行くよ」

そのとき、チャーミーが叫んだ。

「頑張って、二人とも!私に怪我させたら承知しないからね!」

 

「バルディ・クロス!」

今度は成功だ。

 合体成功した二人にもはや、ザンバルカンは敵ではなかった。その重砲もバルディスターには無力。ザンバルカンは叩き潰され、操縦していた隊長も戦死した。

 こうしてリバーストン城は落城は免れたものの、美しかった姿はすっかり崩れてしまった。もはや、グロテスター帝國最前線要害としては役に立たなくなってしまった。

期せずして、この城を無力化することに成功してしまった。これで次の星に向けて進撃できる。

 「どうもお騒がせしました。」

領空通過の許可をもらった比叡は、次の星、ワーテルロー星へ向かって飛び立った。

「隼人君、隼人君が好きなのは、由香だけよね。由香だけの隼人君だよね?」

「もちろんだよ由香ちゃん。」由香の肩を抱き寄せる隼人。

「抱き合えば分ることよね」

ところが・・・。

「そうは行かないわよ」

「どうして貴女がここにいるの!」

なんと、チャーミー姫が密航していたのだ。いつの間に・・・。

 しかしこのことは、今後の闘いに大きな影響を与えることになってしまった。

期せずして、地球側はグロテスターの王位継承5位にあるチャーミー姫を人質にしたのと同じ結果になったからだ。本人にはそのつもりはないけれども。

 また味方を変えれば、姫は拉致された、とも捉えられ、また別の視点では、比叡はリバーストン公爵家のお召し艦になった、ともとられる。そして今後、そのいずれの立場でも事件に巻き込まれて行くのだ。

 そして、由香の神経は逆なでされ続けることに・・・。

 

 

続く