71話 虹のかなたの敵本拠(ロイヤル星系編)

 

 グロテスター本星への殴りこみの途中、食料・物資の補給のため立ち寄ったレモネード星の革命騒ぎに巻き込まれてしまった隼人と由香。だが、悪の王妃・ゴリーは追放され、黒幕であった女官長ラエは、実はワルモナイトの分身であったが、これも倒され、レモネード星は幼い新王・モンタギュー(幼名・モン吉)のもと再建された。

 一方、修理と資材の積み込みを終えた母艦「比叡」だが、この星で1月のロスタイムを食ってしまった。また、星の周辺にはグロテスター本星へ通じるワープトンネルが存在するが、当然その出口は厳重に塞がれ。無理に突入すれば、永久に異次元に封じ込められてしまう。

 打破する方法はただひとつ。「自力強行ワープ航法」を取るしかない。

ワープ航法とは、宇宙に存在する次元の裂け目を通り、空間を短絡して一瞬に遠方の星へ到達する航法で、1500年の宇宙進出の伝統があるグロテスターでは、1000年前に当初偶然にその存在を知り、これを「天然ワープゲート」と名づけた。さらに300年前、人為的にワープゲートを(小惑星を自爆させたり、既存の天然ゲートを接続したり)作ることにも成功した。これによって、宇宙に広がる広大な植民地と本星は、最長でも1年あれば行き来できるようになったのである。

 そして、最新鋭戦艦「デュークオブダーク」「アンノン」「ガウ」と怪獣戦艦は、その強力なエネルギーで一度到達したことのある地点もしくは、ある地点から直線距離を指定した場所へは、自在に到達できる「自力ワープシステム」を備えている。

 だが、グロテスターの旧式艦を分捕って使っている「比叡」には、その機能がない。しかしその一方で、隼人と由香が合体した「バルディスター」には、その能力があった。そこで、二人を合体したまま巨大化させず、機関室に封印することにより、比叡を自力ワープさせる試みが試されたのである。失敗すればそれまでだが、いつかはやらねばならぬこと。細川博士と七海提督は、二人の超エネルギーに全てをかけた。

 機関室に取り付けられたエネルギーカプセル内で激しく絡み合う二人。

エネルギーは飽和状態になった。機関長も安全カプセルに避難する。

「これより、自力強行ワープテストを行う。総員防護宇宙服・身体拘束具着用・ショックに備えよ。5秒前・4321・・・ワープ!

 一瞬、比叡は虹に包まれた。以前ワープトンネルを通ったときと同じだ。だが今回は、そのときの100倍の衝撃がのしかかる・・・。

 その時間は、地球時間にして10日ほどであった。だがそれは永遠にも、1秒にも感じられる不思議な体験であった。

 一瞬、暗黒に包まれたかと思うと、ぼんやりとした星の光が見えてきた。

「成功です!」

一同、バイザーを上げ狂喜する。

水先案内人のプラドは、興奮して叫ぶ。

「親分、あれはロイヤル星系の外周惑星、ドンワールです!目的地はすぐてす!」

「おお、やったな!おい、誰か隼人と由香を呼んで来い」

ところが・・・。

 

「親分!あ、あれは・・」

なんと、星に気を取られていたが、目の前に敵艦が。

それも、リバーバッテン卿の旗艦・アンノンが・・・。

ワープアウトしたばかりで、砲塔へのエネルギーが回らず、不意の事故に備えてワープ中魚雷も装填していなかった今の比叡は、まさに丸腰だった。その上、隼人と由香はカプセルに封印され、疲労もピークになっている・・・。

 

 そのときである。一機の艦載機が飛び出した。

「誰だ!無謀だ・・・引き返せ」

 「誰か、追え」

「ダメです。全滅するのが落ちです」

「じゃあ、私が行くわ!私は宇宙用改造人間。飛行機よりスピードは落ちるけど機動力と戦闘力は上だわ。」

「香織君、頼んだぞ」

香織もウイングを装着して追う。

それにしても、一体誰が・・・・。

 

一方、アンノンでも、突如目の前にワープアウトした比叡に衝突しないよう非常制動をかけ、攻撃は出来ないで居た。

そして、たった一機で突入する艦載機に戸惑う。

「無謀な。叩き落せ・・・いや、捕えろ」

川×卿の命令でマジックハンドが飛び出し、UFOがこれをとりまき追い込む。

ついに艦載機は、マジックハンドに取り付かれてしまった。

 遅れて到着した香織が必死にハンドを破壊しようとするが、歯が立たず、逆に被弾して重傷を負ってしまった。大ピンチだ。

「香織君!」

ちょうどそのとき、カプセルから出て目を覚ましたハヤトと由香が。

「香織さんが危ないわ!」

「待て二人とも、その体では無理だ」

「いや、僕たちは行く。ところで、姉さんは?」

「麻里子君なら安全カプセルじゃないかな。彼女は一応、非戦闘員扱いだから・・・」

「大変です!格納庫から艦載機を奪って出撃したのは、麻里子さんのようです!」

「なんだって!姉さんと香織さんが危ない!」

隼人と由香は、止めるのも聞かず宇宙空間に飛び出して行った。

 

 二人の射撃はUFOを撃墜または撃退し、アンノンに接近した。

「香織さん!」

「わたしは大丈夫よ。死にはしないわ。それより・・あの戦闘機には麻里子が」

香織はUFOの光線で、手足を失い、腹からも臓器がはみ出していたが、サイボーグであるため、頭脳と人工子宮さえ無事なら、なんとか助かるのだ。

 由香は、傷口に胸からのビームを当て治療する。

「香織さん、僕のウイングで帰ってください。あとは任せて」

「わかったわ」

 

隼人と由香は、アンノンに侵入した。

 

その頃。

 

捕えられた艦載機は、収容され、パイロットが引きずり出された。

 装甲パイロットスーツを着用したパイロットは、性別も年齢も階級も分らず、見た目はロボットのようだった。

「武器を持っていないか調べろ。そしてヘルメットを剥ぎ取れ」

パイロットは、捕えられたときのショックか、気を失っているようであった。

兵士は、そのヘルメットを剥ぎ取った。

 

「お、女!」中からは、非常に長い髪の毛が出てきて、その毛のため顔が見えない。

川×卿自らが、その髪の毛を払うと・・・

「お前は、ブラッディ=マリー!たしか冥王星で戦死したはず・・・」

 武骨な宇宙服の中から、赤いドレスを纏った麻里子が現れた。

 

そこに、

「何を騒いでいるのだ叔父上!」

「わ、若・・・」

「マリー!生きていたのか!」

おもわず駆け寄り、抱き起こす太子。

「エディ・・・?エドワルド黒太子?」

「おお、気がついたか。しかし何故?」

「わたしは、・・・わたしは貴方が好き。故郷も弟も捨ててきたの。」「おお、マリー」

「若、しかしその女は敵星人。しかも元怪人ですぞ。スパイかもしれません。すぐに牢へ」

「黙れ!叔父上とて許さぬぞ。この女は今日より、余の世話係りとする」

「さあ、マリー、余の部屋へ。良く生きていてくれた。」涙を流し抱き合う二人。

「むむ・・若が・・・ここまでとは。」

 

 しかし、そのやり取りの隙をついて、バルディバンとバルディーナが侵入してきたことに気づかなかった川×卿。

 「待て、エドワルド黒太子!姉さんを帰せ!」

「お前は、バルディバン。いつの間に。よし、ここで勝負しよう」

「望むところだ」

「叔父上、それから貴様たちも手出しは無用だ」

剣を抜く二人の勇士。

だが

「やめて!」

「隼人、やめて・・姉さんは、自分の意思でここに来たの。私はこの人が好きなの。あんたは、由香ちゃんと幸せになるのよ。いいこと、姉さんの言うことを聞きなさい」

「しかし」

「隼人君、帰りましょう。わたしが麻里子さんの立場ならきっと同じだわ。

女は・・・。女は、好きな男が何より大事なのよ」

 「由香ちゃん・・・」

「待て、それと勝負は別だ!」

「おお!」

しかし、勝負はここではならなかった。

「若、大変です。一足遅かった。たった今、バイキンダム城がワルモナイトの怪人に占領されたとの知らせが・・・われわれは、帰るべき城をなくしたのです。

かくなる上は、わたしの領地・ゲルガストか、ホエールズ城に入り体勢を立て直さなくてはなりませぬ。王様たちはすでに避難していると思われます。この者たちは放りだして、いそぎましょう」

「わかった。隼人、勝負はおあずけだ」

「望むところだ。太子、僕と貴様で、どちらが先にワルモナイトを倒すか、それも競争だ」

 

隼人と由香は、麻里子を連れ戻すことが出来ずむなしく引き上げた。

 だが、由香は言い切った。「麻里子お姉さまには、あれでよかったんだわ」
「姉さん・・・・。」隼人は、いくら由香の言葉でもそれには納得できなかった。いや、したくなかった。
しかし由香は、自分が正しいと確信していた。それは、「女」だからであった。
ここが、男と女の考え方の違いなのである。
しかし考えてみれば、由香の存在そのものが、「女とは、好きな男のためだけに行動する」という理屈を体現しているのであった。

 

アンノンは、秘密基地へワープしていった。

 

一方、小規模自力ワープが出来ない比叡は、これから7つの星を突破してワルモナイトのいる本星を目指さなくてはならない。そこにはどんな試練が待ち受けているのか。

そして、ついに本性をあらわし、ロイヤル星の本城に入ったワルモナイト。

次回、そのおそるべき正体と、グロテスターの歴史が明らかに。

 そして、新ライバル登場。

ロイヤル星系編、請うご期待。。。

 

続く