第67話 レモネード星の秘密
「革命評議会」のアジトに招かれてしまった隼人。そして、客将・ライガーの言葉を遮り、話し始めたのはエンチョであった。エンチョは国王の側近中の側近・・・。それが革命軍に身を投じるとは・・・。元承相の猿紹・猿術兄弟、学者のサルトルなども含まれている。
「お恥ずかしい話ですが、わたくしは王家を打倒しようとはこれっぽっちも思っておりません。しかし、しかし・・・」エンチョは泣き出してしまった。よほど悔しさを溜め込んでいたのであろう。
「ここからは、わたしが話しましょう」
「猿紹様!」
「はじめまして。わたしは先の承相・猿紹と申します。実は、今から三年前、先代国王のゴリポン1世様が急死され、ひとつぶ種のモンタギュー王子がまだ幼かったことから、私たち重臣の反対を押し切り、弟の2世が跡を継いだのです。しかしゴリポン2世様は,ごぞんじのとおり大変おとなしいお方。その結果、あの忌々しい女が実権を握り、わたしは承相の座を追われました。ゴリポン1世様は、宗主国のロイヤル星に対しても忠誠は誓えども毅然とした態度をとっていましたが、2世になってからは総督の発言力が強くなり、しかもあの女と結託したのです・・・」
「そうだ、あの女、ゴリーを殺せ!」メンバーたちが口々に叫ぶ。ゴリーとは、王妃のことである。
「あの女は、王妃などと言っておりますが、元は奴隷だったのです。しかも、わたしたちレモネード星猿ではなく、ロイヤル星人が連れてきたよその星の猿なのです。そのときからの一味が、あの豚のトンキーなのです。おとなしい2世に取り入ったゴリー、本当の名前はズンダというのですが、見る見る間に寵愛を受け、王妃に納まってしまったのです。そして、毎日派手な宴を催し、庶民には重税を課し、反対する重臣は猿紹様のように追放されたり、処刑されたりしたのです・・・・」
「このままではこの星はおしまいです。そこでわたしたちは革命軍を組織したのです。ところが、旗印に仰いでいたモンタギュー王子が行方不明に・・・。そして前のアジトをゴリー一味にかぎつけられ、壊滅状態に・・・。そこにここにおわすライガー殿がやってきて、力を盛り返したのです。実は、この前の武術大会は、助っ人をスカウトするためにこのエンチョが仕組んだものなのです。」
良く見ると、隼人が戦ったロイヤル星人の騎士や、ワニ剣士の姿も・・。
「そうだったのか・・・だけど僕は巻き込まれたくない」
「ハヤト、見損なったぞ。フ、こうなったら隠してはおけないな。ハヤトよ。このゴリーの背後に、ワルモナイトの陰があったとしても、われわれに協力しないつもりか?貴様はワルモナイトを倒して宇宙を救うとぬかしていたのではないのか!」
「何?ワルモナイトだと?」
「実は、先代が亡くなる少し前、突然空から二つの隕石が落ちてきたのだ。そして直後から、髑髏教という宗教が流行りだし、本来の国教・ピグモン教のエンジー大司教は追放されてしまったのだ。そしてそのドクロ教の巫女が、女官長のラエなのだ。ゴリーやトンキーも信者だ、とすればどうだ?髑髏といえば、ワルモナイトの陰を感じないのか?髑髏教が流行りだしてから、ロイヤル星人の若い娘が攫われたり惨殺される事件が多発している。当初はレモネード星猿による反逆事件と思われていたが、こいつらにはそんな残虐さはない」
「何!由香ちゃんと姉さんが危ない!」
「由香とは、バルディーナのことだな」
「ワルモナイトは以前、僕の同級生の工藤や、エメロード星のエスメラルダ姫を攫って生血をとったり、とろうとしたことがあったのだ。ゴリー王妃の招待で、姉さんと由香ちゃん、それに香織さんが舞踏会に・・・・ま、香織さんはあんな奴らに負けないとは思うけど、姉さんはもう普通の女性に戻ったし、由香ちゃんは弱い・・・。」
「これはグズグスしていられないな。お前たち、夜襲だ」
「オー!」
ところが・・・
「お、サルトビ!」忍びのサルトビが戻ったのだ。
「大変です猿紹様、ライガー様・・・。追っ手が攻めてきます。言いにくいことですが、猿紹様の弟の猿術さまが裏切ったようです・・・!」
「おのれ猿術!」
「猿術は、承相にしてやるとでも言いくるめられたのであろう・・愚かな・・・」
「親衛隊ならともかく、裏切り者の猿術軍など蹴散らしてしまえ」
「まて、とりあえず引こう・・・」
そのころ、由香は縛り上げられ、牢屋にぶち込まれた。その牢の中には小猿がいたが、意識を失っていた由香は知る由もない。
ようやく目を覚ました由香。しかし猿の子は怯えている・・・。
いくら弱いとはいえ、サイボーグであるバルディーナの姿の由香は、縛っていたロープを振りほどいた。そして猿の子に近づく。
「ねえ、君、お名前は?」
「寄るなバケモノ!」
「ばけもの・・・」由香はショックを受けた。だが、思い出した。その昔動物園で戦ったとき、やはりそのように言われてしまったことを。全身メカ鎧の姿では、そう思われても仕方ない。ましてここは猿の星なのである。気をとりなおした由香は、仮面をはずした。はらりとこぼれる黒髪。
「あ、ターニャちゃん?でもちがうお姉ちゃんだ」
「安心して坊や。わたしはロボットじゃないわ。由香っていうのよ。ターニャちゃんて誰?君の名前は?」
「・・・・。お姉ちゃん、本当に怪猿じゃないんだね。僕モン吉。でも本当にターニャちゃんにそっくりだ。ターニャちゃんはね、白い卵から生まれた綺麗で優しいお姉ちゃんなんだ。真っ白くて、歌と踊りが上手で・・・。でも、おばちゃんに恨まれて・・・。あ、今日は何日だろう?大変だ、ターニャちゃんを助けなくちゃ・・・」
「モン吉くん、どういうこと?ゆかお姉ちゃんに詳しく教えて?」
ターニャという美少女は、どうやら異星人らしい。ゴリー王妃の嫉妬によりやはり牢に閉じ込められ、ドクロ神へのいけにえにされるらしいのだ。
「分ったわ、あの子だわ」
由香は歓迎会のとき踊った黄色いドレスの子を思い出した。由香と似ているわけではないが、周りが猿だと、たしかに由香に似ていると思われる。
「なんとかしてここから逃げ出さなくては・・・」
「キャーっ」
鉄格子には電流が。
「無駄だよ。ぼくたちここで飢え死にするんだ・・・」
「モン吉くん、男の子はあきらめちゃだめよ。わたしの彼氏なら絶対あきらめないわ。いいえ、わたしを絶対助けにきてくれる。だからモン吉くんも絶対あきらめちゃだめよ」
「うん、わかった」
そして厳重に包囲され封印された比叡では・・・。
「うむ・・さすがの俺様も陸に閉じ込められてしまってはまさに岡にあがった河童だな・・・無念」
「こんなところで計画がだめになるとは・・」細川博士も弱気。
「博士!わたしに任せて!」
「香織君!」
香織は、エネルギーをいつのまにか注入しプロティーナに変身していた。
「私、女の武器を使ってカナシバル総督を落としてくるわ。じゃあ、行って来るわね」
ヘルメットを被り、ジェットウイングを背負った香織はガラスを割って飛び立って行った。
「無茶な・・・だがこうなったら香織君を信じるしかない・・・頼んだぞ・・」
一方、生身の人間に戻った麻理子は、自分の無力さが悔しかった。
次回、隼人、由香、香織のそれぞれの戦いが始まる!
続く