第66話 地獄の宴
王妃らのしつこい誘いに連日連れ出される由香。たしかに着飾ってのダンスと歌、そして山海の珍味は魅力的ではあったが、それが毎日早朝から深夜に及ぶとさすがの由香もグロッキーである。しかも、寄航予定は大幅に超過してしまっていた。
一方、隼人は格闘大会に出場し、順調に勝ち進んでいた。バルディバンに変身すれば、まさに宇宙最強の力を発揮できるのだが、由香がいないと、エネルギー切れになってしまう。そのため隼人は褌一本で戦い抜いたが、それで正解だった。猿人、獣人、グロテスター騎士など、隼人の鍛え抜かれた肉体の敵ではなかったのだ。そして決勝。
だが、愛する由香の応援はない・・・。
そして由香は、ついに3日目。この日、なぜか香織と麻理子は呼ばれなかった。
様子がおかしい。華やかな舞台はない。そこには鬼の形相の王妃とラエが待ち構えていた。
「由香とか言ったね!お前の本当の名前をいってごらん!」由香を小突く王妃。
「ほそかわゆかよ!」
「お黙り!」鞭で叩かれる。
「キャア」
「ラエ、水晶玉を」
「はっ」
実は、昨夜こんな出来事があったのだ。
「水晶玉よ、この世で一番美しいのは誰?」魔女であるラエが呪文を唱えると、水晶玉は「この世で一番美しいのは、王妃ゴリー・アンタハアッポ様でございます」と答えるのであった。ところが、水晶玉は、昨夜「この世で一番美しいのは、地球の戦士バルディーナでございます」と答えたのだ。激怒した王妃は水晶玉を叩き割ろうとしたが、ラエが必死で止めた。
「お静まりください」
「水晶玉よ、バルディーナとは誰?」ラエが尋ねると、なんと水晶玉は由香の姿を映したのだった。
「貴様の本当の名前がバルディーナだということはわかっているのよ、ちょっとあんた、このあたしより美しいなんて、どういうわけよ、説明しなさい」
「知らないわ」
「お黙り!そうだわ。あんたをこの世で一番醜くしやる!」
王妃とラエは、由香を鞭で叩き、棒で叩き、大きな足で踏みつけてきた。
「キャー・・・隼人君助けて・・・」
しかし王城から試合会場までは遠い。しかも、テレパシーが水晶玉のダークオーラでさえぎられているようだ。
踏みにじられる由香。絶体絶命。
「えーい、まだ伸びないか」
そのとき、由香の体が真っ赤に光り、一瞬燃え上がった。
のけぞる王妃とラエ。
燃え尽きると、中からバルディーナの鋼のボデイが現れた。
「う、鋼の猿!」
「おのれ〜」さらに攻撃を加える二人だが、サイボーグであるバルデイーナに、怪力のゴリラとはいえ歯が立たない。
由香は、生命や貞操の危機が迫ると、自らの意思と無関係で変身してしまうのだ。
歯が立たないと思った王妃とラエは、奴隷闘士ゴリゴリを呼び出した。
「ゴリゴリ、このブリキのメスザルをやっておしまい!」
「うーーーっ」
ゴリゴリは、由香の乳房をわしづかみにし、のしかかり、徹底的に痛めつける。
先ほどとは逆に、サイボーグとはいえ巨大な雄ゴリラのパワーの前に歯が立たない。
ついに、バルデイーナに貞操の危機が・・・。
ゴリゴリの汚い腕が由香の秘部をこじ開ける。だが、由香は全エネルギーをそこに集中して必死に閉じた。その代償に、全ての動力を失う。
「隼人君、サヨナラ・・・」由香は失神した。
そして、なおも迫るゴリゴリだったが・・・。
わずかに開いた股間から、濃縮アンモニア原液が飛び出す。由香と香織は、体内の老廃物、有害物質を分解して無害化し循環しているが、貞操を守る最後の手段としてこれらを放水できるのだ。
「ギャー」
ゴリゴリは顔面にまともにこれをくらい、白骨化して死んでしまった。
「ゴリゴリ!」
「えーい、忌々しい、そのブリキのサルを牢屋にぶち込んでおしまい!」召使に命令した王妃。
動かないバルデイーナ(由香)は、牢屋にぶち込まれてしまった。
悪いことは続く。
なんと、この日グロテスターの戦艦、「オンワード」が入港してきた。そして、艦長はカナシバル総督に驚くべき事実を告げたのだ。地球がグロテスターと交戦状態にあることを。
今まで、王妃も総督も、地球人をその姿から、グロテスターの殖民星のひとつと誤認していたのだ。
比叡は、武装解除の上抑留されてしまった。閉じ込められた七海提督や細川博士・・・・。
そのころ、隼人は決勝戦を戦っていた。相手は・・・
なんと、プリンスライガーだった。二人の勝負は全く互角だった。
ついに勝負はつかず、両者優勝となり、賞品のバナナ10年分は山分けとなった。
「おい、貴様バルディバンだろう?」
「何故分った?」
「太刀筋だ。しかし、お前は裸のほうが却って強いのでは?」
会場のみんなは、二人の勇者を褒め称えた。そして、ライガーは、比叡に戻る隼人を見送った。
ところが、港は兵士が封鎖し、砲塔には封印が・・・。
「しまった」隼人は、変身して強行帰還しようとした。だが、ライガーに引き止められた。
「まて、今日のところは俺のアジトに泊まって行け。明けない夜はないという。明日、対策を練ろう」
「わかった」
隼人は、ライガーのアジトへ。
「エンチョさん!」驚くのは無理もない。そこにはエンチョもいたからだ。
そればかりではない。舞踏会で同席した猿人貴族や学者もいる。
「隼人さん、実は・・・」
「エンチョ、お前には立場があろう。ここからは俺様が話そう」
なんと、ここの面々はレモネード星革命評議会のメンバーだったのである。
しかし、その中に国王の小姓のエンチョ、のみならず公爵の猿紹までいるとは・・・。
一体どうなっているのか。
かくて、牢に閉じ込められた由香。抑留された比叡。そして隼人は分断されてしまった。
そして由香に新たな危機が迫る・・・そしてこの星の暗部が明らかになりつつある・・・。
続く