第60話 氷の城の死闘
香織と真理子の壮絶な女の戦いの繰り広げられていた時、バルボン将軍を追って城の心臓部に向かった隼人と由香。
そして、2人よりも前に段田と青山隊長らが進んでいた。
襲い掛かる敵兵士やトラップを、段田の鬼神のような働きで突き破り、ついに艦橋部へ突入した。
それより先、バルボン将軍は艦内特殊通路で先回りして、太子や参謀等の待つブリッジへと到着していた。
「爺、何事だ?」
「若が危うしとの連絡で・・・」
「馬鹿者、たしかに不利な状況ではあるが、余は左様な指示はしておらぬ。見よ、この塔は何事もない。」
「はっ!しかし・・・」
「まあよい。敵がここに攻め込んできたら余の刀の錆びにしてくれようぞ・・・」
そこに、香織を振り切った真理子も到着した。
「おお、マリー、その方も・・・」
「ええ、太子が危険だと・・・」
しかし、司令塔は無事であり、太子も参謀もそのような命令はしていなかった・・・・。一体、誰が?
そのとき、着実に地球の戦士たちは彼等の足元へ迫っていた。
「工作兵、発破!」青山隊長の命令で隔壁を吹き飛ばし、奥へ進む特殊部隊。
だが・・・「ギャー!」
断末魔の叫びを上げた工作兵。
「あ、怪人ロボだ・・・」
なんと、グロテスターの怪人ロボが現れたのだ。
怪光線とドリルで次々倒される隊員たち。気づくと、この第一塔に侵入した隊員で生き残っているのは隊長と段田だけになっていた。
しかも、隊長は以前の戦いで肩を負傷している上に、再び怪人の攻撃を受け再び重傷を負ってしまった。
だが、相手が強ければ強いほど燃える漆黒の戦士、段田。怪人の光線発射装置を叩き潰した。
「隊長、今のうちに逃げろ!」
「しかし私は隊長だ!」
「うるせー!」段田は、隊長の鳩尾を一発殴りつけると、隔壁の外へとほおりだした。
だが、いかに無敵の強さの段田とはいえ、生身の人間である。怪人の不死身の機械のボデイとの格闘には無理があった。
ついに絡めとられ、巨大ドリルで顔面を貫かれる・・・寸前。そのとき!
「待たせたな段田!」隼人が間に合った。
怪人は両断された。
「誰が助けろと言った?」
「今は喧嘩している場合じゃない」
「隼人君、隊長さんは命には別状はないわ。栄養剤を注射しておいたわ。」
「段田、貴様は隊長を連れて帰れ!」
「黙れ。貴様こそ女と一緒に帰れ!」
しかし、隊長は目を覚まし、言った。
「分かった。私は一旦突入地点に戻り、他の塔へ向かった分隊へ集合をかけ、戦力を整えてから再突入する。隼人君と段田君にこの場は任せよう。」
「わかっているじゃねーか。よし、隼人、行くぞ」
「おう!」
「由香も行くわ!。あ、待って隊長さん。これを」
由香は万が一に備えて、栄養剤と止血キットを隊長に渡した。
そして三人は遂に、敵の本丸へと乗り込んだ。
「ふふ、来ると思ったぞ。余と勝負だ」
「望むところだ!」
「皆の者、手出し無用。爺もな」
隼人と太子は、剣を交える。2人とも一歩も退かない。
敵も味方も、固唾を呑んで見守る・・・・。
ところが!突如として、床を突き破り、先ほど倒した怪人より巨大な怪人が現れた。そして、その怪人は、敵味方かまわずに襲いかかってきたのである。
「何事だ!」
隼人も由香も、太子も将軍も、段田も真理子も、怪人のパワーの前に叩き伏せられる。丁度そこに、細川博士と香織も到着した。
そして、聞き覚えのある、不気味な声がする。
「イーヒッヒヒヒ。おそろいだな諸君。俺様は、諸君がこうして揃うのを待っていたのだよ」
「その声は!」
「左様、イヒヒヒ。そう、怪人軍団長・・・ワルモナイト様よ」
「すると、ニセの命令でワシをここに呼び戻したのも?」
「余とバルディバンの勝負に、怪人を使って水を差したのも」
「ご明察。そうよ、全てこの俺様よ。イーヒッヒヒヒ」
「何故だ?」
「冥途の土産に教えてやろう。グロテスターに地球侵略を仕向けたのは、全てこの俺様の策略だ。そして、この俺様の真の狙いは、エドワルド太子、貴様をグロテスター本星から引き離し、弱体化した本星を征圧し、現王家を打倒してこの俺様が皇帝になり、怪人王朝を築くことなのだ。
さすれば、銀河系の2/3を支配しているグロテスターの基盤をそっくり戴き、代わって我々怪人がそれを足がかりに全宇宙の支配者になるのだよ。イーヒッヒヒ。だが、一つだけ誤算があったのは、地球にバルディバンを造った細川博士が居たことだった。だが、もはや地球などどうでもいいのだ。細川博士とバルディバンもここでこの冥王星ごと、太子もろとも纏めて氷付けにして抹殺するのだからな」
「なんと言うことを!」
「そんなために俺たちの地球を!」
「ハハハ・・無駄無駄・・・。行け、怪人ボッキーマ!太子、今ごろ本星でもクーデターが起きて貴様の両親とウスノロのアニキもあの世に行ったか、よくて石牢の中だぞ。そして、貴様にはここで死んでもらう。死ね!」
怪人ボッキーマは、隼人と由香、段田、太子、将軍を一度に襲う。しかし、それはフェイントだった。ワルモナイトの髑髏剣は、太子を正確に狙っていた。そしてただ1人、それに気づいていたのは・・・真理子だった。
「キャーーーー!」
バルデイニウム=ワルモ合金製のそのボデイを難なく貫いた悪の剣。
「マリー!」「姉さん!」「真理子さん・・!」
「真理子!」止めを刺そうとした2刺し目のとき、三浦博士が割って入ったが、博士も絶命・・・・。
「フ、邪魔な爺め。貴様も用済みだ。なぜなら・・・・」
そして、ボッキーマはその隙に、段田を捉えていた。
「おお、わが息子よ。お前は俺様の新たな肉体となるのだ。」
「イヒヒ・・・今、南極と北極に仕掛けた高性能爆薬が同時に炸裂したぞ。あと10分でこの城は水没し、さらに30分後にそれは凍って貴様等の墓となるのだ。さらばだ・・・」
「待て、ワルモナイト!」力を振絞り切りかかる隼人だが・・・「無駄無駄無駄・・ワシは不死身だと何度言えば分かるのだ」
ワルモナイトは、段田を連れ去って消えていった。
そして、ボッキーマは分裂して隼人たちを襲う。
こうなったら敵も味方もない。隼人と太子、バルボン将軍は必死に戦う。由香と香織と細川博士は懸命に真理子を介抱する。
必死の防戦の結果、ボッキーマは左右の睾丸を隼人と太子に潰され絶命した。
そのときである。宇宙内火艇と脱出ミサイルが同時に到着した。
そして床にはみるみる冷たい海水が・・・。
「若、助けに参りましたぞ」
「隼人に由香、助けに来たぞ」
リバーバッテン卿と、七海提督が決死の救出に来たのだ。
「叔父上、無用ぞ。敗戦の責任をとって余は・・・」
「若、御免!」バルボン将軍は、太子の両肩を斧で叩き、腱を痛めつけた。
「何をする爺!」
そして、隼人と由香は真理子を抱き上げて引き揚げようとする。
「マリー!、爺!」
しかし、将軍は最後の力を振絞り、太子を無理矢理抱きかかえ、川×卿へと渡した。
「伯爵殿、若を・・・若を・・・」
「爺、マリー!」
「若、堪えてください。ワルモナイトの言葉はこの叔父も聞きましたぞ。今若にもしものことがあれば・・・バルボンの忠義に応えるためにもここはこの叔父とともに引き揚げてくだされ!」
脱出ミサイルに点火され、アンノンに向かって突き進む。一方、重態の真理子を乗せた内火艇も脱出。
バルボン将軍1人を残し、ついに戦艦ダークロイヤル改めダーク城は海没し、やがて凍って行った。
そして冥王星全土に異変が起き、嵐が巻き起こる。
しかし、それを追い討ちをかけるかのごとく、新たな怪人ヒョーザーンが現れた。
「よし、ここは僕たちが合体して食い止めよう」
「OK」
怪人、というより怪物は氷の怪物で、氷の剣で襲い掛かってきた。
だが、隼人と由香の合体したバルディスターの前には敵ではなく、難なくヒョーザーンを倒した。
その間に・・・
「全力離脱!」
戦艦比叡と、アンノンは間一髪脱出に成功した。
こうして、冥王星の激しい戦いは終り、グロテスターの基地は機能しなくなった。もう、新たな怪人や惑星間弾道弾が地球に送り込まれることはない。
しかし・・・。犠牲はあまりにも多かった。一時は一命を取り留めた青山隊長も、脱出の際に再び負傷し、比叡艦上で帰らぬ人となった。
艦隊もほぼ壊滅状態で、比叡も太陽系離脱不能の損傷を受けた。香織も戦闘不能に陥り、やっと再会し、取り戻した隼人の姉、真理子も生死を彷徨っている。そして隼人の親友、段田大輔はワルモナイトに攫われてしまった。
一方、グロテスターも基地のほか、名将バルボン将軍を失い、艦隊も半減してしまった。そして、ワルモナイトの言によれば、本星が危ういという。
彼等にとって、本来の敵は、地球ではなくワルモナイトであることが分かった。だが、彼等のほうから侵略の魔の手を伸ばしてきた以上、地球側が降伏するまで戦いをいまさらやめられない状態にある。今、グロテスター、グレートロイヤル連合王星は最大の危機に見舞われたのだ。
ワルモナイトの野望は、ついに明らかになった。だが、まだそれは氷山の一角に過ぎないのだ。
そして、彼は段田を「息子」と呼んだ。一体、彼の正体と野望の全貌は・・・・。
続く。