59話 冥王星B 黒百合と赤薔薇・・・女の決闘

 

 「ここは私にまかせて!」

「お黙り!」

 真理子の罠に嵌った隼人と由香は、さらにバルボン将軍が鎧を着たレジェンドナイトも交えて激しい戦いを繰り広げ、劣勢にたたされていた。

それを救ったのは、香織であった。

 さらに、段田たちが敵の心臓部に到達したとの報せでバルボン将軍は退却した。隼人と由香は将軍を追って本城へ向かう。

だが、このレーダー管制室では、新たなる戦い〜そう、いまだかつてない壮烈な「女の戦い」がはじまろうとしていた。

 中学でのバスケ以来、15年以上前からの因縁のライバル同士の戦い。

「香織、きょうがあなたの命日よ!」

「真理子、いやマリ、あんたをスクラップにしてやるわ!」

まずはおっぱいビーム対決。

「わたしは以前の戦いの後、再改造を受けたのよ。覚悟しなさい」香織が叫べば、

「わたくしだって威力は以前の3倍よ!」お互い、一歩も譲らない。

「今度はキックよ!」

「わたくしのほうが脚が長いわ!」

2人は惜しげもなく股間を全開にして相手を蹴り上げる。たしかに、言葉どおり脚が長いのは真理子のほうだった。しかし、運動量、機敏さでは香織のほうが上回っていた。香織の蹴りやパンチ、鞭をかわしながら鮮やかなアクロバット運動により跳ぶ香織は、遂に真理子にとび蹴りを喰らわせた。

「キャア」

「ふふ、どうかしら?キックの味は」

「おのれ・・・っ!」

2人は、殆ど同じ構造の改造人間である。最初にプロトタイプとして改造されたのが香織、それを元に完成したのが由香、その図面を奪って改造したのが真理子である。だが、決定的に違っているのは、前二者が地球人の天文学者によって改造されたのに対し、真理子は悪の宇宙人の手下のマッドサイエンティストが改造した、ということである。即ち、怪人としての機能が付加されていたのである。

 外見も、香織と由香は変身後は色以外は全く同じ(ただし、サイズは異なる)全身装甲タイプで肌は全く露出せず、自慢の黒髪もメットに格納され、乳首も隠顕式であるが、真理子の乳首は常に露出し、さらに顔の鼻から下には面頬がなく、黒髪が常に振り乱されているのが特徴になっている。

 そしてその髪の毛と、口こそが香織や由香にない強力な武器なのだ。

 「ギャーーーっ!」悲鳴を上げたのは今度は香織だ。真理子が口から火炎を吐いたためである。

 しかしすぐに態勢を立て直した香織は、真理子に向かって突進した。「いくわよ!」

ガシャーーン!激突する2人。今までの華麗な戦いとはうって変わって男同士の戦いのような、まるで相撲のような激突。

だが、やはり真理子は女の戦い方しかできない。

 激突した瞬間、手を香織の股間に入れたのだ。この部分こそ、彼女たちの本体とも言うべき、存在そのものであり、生命の宿っている部分であった。

パンチやキック、運動量では香織が勝っていたが、狡猾さとパワーでは真理子が上回っていたのである。

 「ふふ・・その程度のタックルでは私は倒せないわ」

勝ち誇って香織を抱き寄せる真理子。

「勝負はまだよ!」その真理子の手を振り解いて、満身の力を込めて蹴り上げる香織・・・ヘルメットが外れるほどの威力だ。

「おのれっ!」

一瞬のけぞった真理子だが、髪の毛を使って香織を転ばせると、押し倒し、馬乗りになって首を絞めてきた。女とは思えない、すごい腕力だ・・・。香織、絶体絶命・・・。バルディニウムX合金製のその赤い体に皹が入る。

「ううーーーーっ」苦痛に歪む香織。容赦なく責める真理子・・・。

 しかし負け放しの香織ではない。

「うっ、またしても・・・」

香織の奥の手、強酸の尿が飛び散ったのである。真理子も、強化改造を受けて顔の皮膚を溶かされないように人工皮膚を張替えてきたが、ダメージがゼロではない。一瞬手を離してしまった。

 一方、香織の股間からは、放尿に伴って差し込んでいたバイブが抜け落ちる。そして・・・

 

「真理子!最後の勝負はこれでつけるわよ!」

「ふふ、望むところよ。でもあなたが作ったということは、あなたに有利なんじゃなくて?」

「なら、あんたにどちらを入れるか選んでもらうわ」

「なら私は、右の青い方を選ぶわ。あなたは赤が似あうことですし」

「決ったわね。いざ勝負!」

「負けないわ。私も本気を出すわよ。」

真理子も仮面を脱ぎ捨てる。

 仮面を脱ぐ、そのことは一見重大な防御力の低下に思われる。だが、真理子、香織、由香の3人にとって、仮面はその迸る女の伊吹、愛、美のパワーをセーブする枷にすぎない。たしかに、宇宙空間では必要かもしれないし、通信機や暗視カメラとしての機能はある。しかし彼女らの脳は、ダイヤモンドの15倍の硬さの人工頭蓋骨で覆われているためメットがなくとも破壊されることはまずない。

 三人は、体のほぼ全てが金属で改造された体だが、乳首、性器は金属化されているとはいえむき出しである。体のラインも女性そのものである。

 そう、彼女等の生命源、最重要回路は小さな二つの卵巣であり、そこから迸る「女」であることそのものがエネルギー源なのだ。つまり、美しさ、女らしさこそが最大の武器であり、美しい顔を晒すことは、むしろパワーアップになるのだ。ただし、前記のとおり、宇宙空間などではメットは必要である。だがここは室内。全く不要であった。

「行くわよ香織!」「覚悟しなさい真理子!」

2人は、香織の作った双頭バイブで結合した。

 2人の卵巣から出るエネルギーを実際に体を駆動するエネルギーに変えるのは人工子宮である。激しい振動により2人の子宮からはすさまじいエネルギーが迸る。そして、その発生したエネルギーを吸い取って自分のものにすれば相手は干からびて仮死状態となるのだ。

 相手より少しでも多くのエネルギーを発生すれば、そのエネルギーのみならず、相手の発生させたエネルギーも吸収して勝利できる。

 このバイブは互い膣に刺さるだけでなく、分岐してクリトリスも吸引する。今2人は、一種の雌雄同体状態になっている。

「イヤーーーーー」

「ううーーーーーっ!」絶叫する2人。

 香織の想定を上回るエネルギーが発生した。赤熱し、白煙を噴き上げる2人。まずい、このままでは2人ともオーバーヒートして爆発してしまう。

2人とも全く互角のエネルギーを発生したため、吸収もできず、バイブそのものがオーバーヒートしてしまったのだ。

 2人のサイボーグボデイの安全装置が働いた。2人は、生身の(正確には、細胞にメカチップが埋め込まれている)に戻った。

 バイブはもう焼ききれて回転も振動もしないが、2人はなおも勝負を続けた。メカに頼らず、互いの腰を使って・・・。

そして遂に・・・2人同時に失神してしまった。

 いったいどのぐらいの時間が経過したであろうか・・・。

先に目を覚ましたのは真理子であった。

 「今だわ。今なら香織を殺せる・・・」

しかし、そのときドアが開いた。

「香織君!」香織の変身が解けたため駆けつけた細川博士だ。

 サイボーグとはいえ、体力を完全に使い果たし、かつ装甲も失った真理子は、今は生身とはいえ男である細川博士に対し勝ち目はなかった。丁度そのとき、脱ぎ捨てたメットの額の非常ランプが点滅する。

「あ、エディが危ない・・・」

真理子はメットを被ると再び変身し、自己電送で逃亡した。隼人と由香が、ついに太子を追い詰めたようなのだった。

 ということは、戦いはいよいよ最終局面に・・・。

しかし香織はまだ動けない。

「香織君、香織君・・・!」「は、博士・・・私は・・・」

「真理子君はたった今、本部が危ない、と叫んで飛び出して行った。隼人と由香のやつが、追い詰めたらしい。我々の勝ちだ!」

「博士・・・」

 香織は構造上、男性との性交を必要としていた。特にエネルギーが切れた時には重要である。細川博士と香織は、勝利の結合を行なった。

「よし、香織君、我々ももう一仕事しよう。この基地の構造や設備を調査するんだ」

「了解!」

そして、その頃隼人と由香は・・・

次回は時計をすこし戻し、この女の戦いが繰り広げられていた間に起きた他の戦いについての記述となる。乞うご期待。

 

つづく。