57話 激戦!冥王星基地の攻防1

 

 隼人と由香の合体したバルディライナーは遂にグロテスターの前進基地、冥王星への突入を果たした。だが、大気圏外では冥王星と海王星の軌道の交点に巻き込まれ、地球・グロテスター両艦隊は吹き飛ばされてちりじりになってしまった。だが、振り返ってはならない。

冥王星基地を破壊または占領しないかぎり、地球は常にグロテスターの侵攻を受けることになるのだ。

 逆に、冥王星さえ叩き潰せば、地球の平和は8割がた守られるのだ。

バルデイライナーが抱いていたコンテナが切り離されると、上陸舟艇「大発」が発進する。青山重之少将以下の決死隊が分乗して、氷河を突き進み、ダーク城を目指す。

隼人と由香は、敵陣地を空爆する。本来はハルゼー提督の艦載機が攻撃するはずだったが、敵宇宙潜水艦の奇襲と、宇宙気流のため艦載機の発進が出来なかったのだ。

 だが、基地からはガードロボットが出撃してきた。さらに、氷に上手く隠されたトーチカからの猛烈な射撃。敵も必死なのだ。

「うわーーーっ!」遂に3号艇が被弾する・・・。これで戦力は34に・・・。

 ガードロボットは量産型で、かつてイオで闘ったのと同型だが、雪原での戦いのためか白く塗られていた。

 そして遂に、青山隊長の乗る1号艇が・・・。

「危ない」とっさに巨人バルディスター体型に変形した2人は、1号艇を救出。半数の隊員は零れ落ちてしまったが、幸い新雪の上のため大半は助かった。そして、敵の猛攻をかわしながら、先頭を突き進む4号艇・・・。隼人と由香の同級生、段田大輔が指揮している・・・。彼は学徒兵ながらも、イオ基地での鬼神のような活躍から、第4中隊長に抜擢されていたのだ。そしてついに段田艇はトーチカを突破して地底空洞へ。

 「よし、僕たちも行くぞ」「OK♪」バルディスターはガードロボットを全滅させ、その間に2号艇も基地に突入。一方、艇を失った隊長らは徒歩でなおも前進する。それをガードするバルディスター。そして遂に入り口を発見した隊長らだったが・・・。

「うわーーっ!鯔のバケモノだ!」なんと、巨大なトドの怪獣が隊長らの前に立ち塞がったのだ。そして、口から吐く冷たい吹雪で隊長らの行く手を遮り、逆に火焔を吐いて氷を溶かして雪崩を起こす。

 また、強化服ごと隊員をバリバリ食べてしまった。

 そして、困ったことに大きさが中途半端で、バルディスターが攻撃しようとすれば、的が小さすぎて隊長らも傷つけてしまうのだ。

「よし、僕らも分離して戦うぞ」「わかったわ・・・」

 2人は、バルディバンとバルディーナに分離した。

「行くぞ!」

「おお、隼人君、かたじけない」

「隊長は先に突入してください。怪物は我々が倒します」

「任せたぞ・・・」

隼人と由香は、トドの怪獣、トドイツに挑む。だが、とぼけた顔に似合わずトドイツは強く、そした重かった。

 火炎が2人を襲う。とっさに由香を背後に庇う隼人。

だが、今度は雪崩が2人を襲い、一瞬離れた二人・・・。

「キャア」遂に由香(バルディーナ)はその巨体に組み敷かれてしまった。絶体絶命のピンチだ。


 だが、由香を傷つけられたとき隼人の怒りは頂点に達するのだ。

 「このバケモノ!どけろ!」

500トンの巨体を投げ飛ばして由香を助け出した隼人。

「おのれ、とどめだ!」

隼人はバルディソードでトドイツを両断しようとした。そのとき・・・

「やめて!殺さないで!」

「由香ちゃん・・・そいつは・・・」

「そう、たしかに凶暴な怪獣よ。でもわたしの解析回路によれば、頭の角で操られているだけなの。本当は大人しい生き物なのよ。だから殺さないで隼人君・・・角を・・角を折り取るのよ!」

「分かった!じゃあ、奴ににバリヤーを!」

OK♪」由香は胸からバリヤーを照射してトドイツの動きを封じた。

「行くぞ!」隼人はトドイツの角を見事へし折った。すると、本来は臆病なのか、氷の割れ目から、地下水脈に飛び込んで逃げていってしまった。


隼人はトドイツの脳波をコントロールする人工の角をへし折った。

「隼人君、さすが♪」

「でも由香ちゃんはやさしいね」

「うん・・・。だってあの怪獣さん、可愛い顔してたんだもん。」

「それはさておき、隊長や段田が心配だ。僕たちも突入だ」

OK。でも、その前にチャージしなくちゃ。」

「ここで?」

「そうよ。だってこんな激しい戦いの後ですもの。狭い基地の中ではチャージの機会がないわ。」

「よし・・・いくよ」「いいわ」

「バルディ・チャージ」2人は激しく結合してエネルギーをチャージした。機械の体に人間の心、そして男と女の機能を備えた2人はこうして生きるエネルギーを得るのだ。そしてそれは、2人が人間であること、生きていることの証であるとともに、2人が男と女である限り不死身であることも意味していた。

余韻に浸る余裕はない。段田たちが危ない。

 基地の中では、隊員たちと敵兵士の激しい戦いが繰り広げられていた。

そして、その頃七海提督は・・・。

激しい気流で艦隊はばらばらになってしまった。旗艦の比叡についてくるのは霧島だけだ。他の艦は沈没してしまったのか、どこかに飛んでいってしまったのか見当たらない。そしてそれは敵艦隊も同じであった。彼は冥王星を探して隼人たちを追おうとしていた。そのときである。

「お、親分!10時の方向に敵影・・・・。尖塔が4つ・・・!オオ、天佑だ!あれは、あれは・・・!」

「かせ!」七海提督は見張り員から宇宙双眼鏡を奪い取った。

「おお、まさしく天佑だ。貴様等、俺様に命を預けてくれ。霧島にも打電。危険だが装甲を全開にして全砲門を開け!旗艦だ・・・。あれはまさしく敵の旗艦だ!刺し違えてでも沈めてやるぞ・・・」

 七海提督は、はるか暗黒の彼方に、古城のような4本の尖塔を発見したのだ。それは、敵旗艦「アンノン」に違いない。

 比叡、霧島などの、グロテスターR級戦艦はどんな攻撃も弾く厚い殻に守られているが、それがゆえに宇宙空間や水中では4つの砲塔のうち1つしか使えなかったのである。装甲を開くと宇宙空間での航行に差支えがある上、防御力がほとんどなくなってしまうのだ。

だが、敵の旗艦を見てしまった彼等には理性がなくなっていた。

「七海さん、無謀だ」細川博士が止めるのにも聞く耳を持たない。

「探照灯照射!目標敵旗艦!全砲門開け!魚雷戦用意!撃てっ!」

轟然と宇宙の闇に轟く砲撃。

「おお、命中しているぞ!」

 その頃、リバーバッテン卿もまた、高性能宇宙レーダーで比叡と霧島を捉えていた。

「地球人の作ったニセの戦艦め・・・ゴミにしてくれようぞ。全砲門開け!」

ところが、一瞬、ほんの一瞬七海提督の攻撃精神が上回っていたのか、敵弾が・・・。

 しかし、七海提督は重大な誤認をしていたことに気づいていない。

それどころか、崩れ落ちる敵艦の尖塔に狂気する。


「比叡」と霧島」の攻撃を受けて崩れ落ちる敵戦艦の尖塔。

「やったぞ!」

 そして、時を同じくして、両提督は後ろを振り返り驚愕することになる。

 

つまり・・・・。

 七海提督が「アンノン」と思い攻撃していたのは、2番艦の「バウ」だったのだ。そして、これを撃破した七海提督はすっかり油断していた。

だが、一発も被弾していなかった本物のアンノンを目視できなかった。そしてそのアンノンの正確な砲撃が、これも、何故か2番艦の霧島に命中したのだ。隕石のエコーで、比叡が映らなかったためだ。

 大破炎上する、霧島とバウ。

「何故だ?敵旗艦は沈没したはずだ・・・」

まだ信じられない七海提督。

だが、おぼろげなりに浮かび上がる艦影・・・

「なんていうことだ・・・もう一隻いたのか・・・おもしろい。こいつも喰ってやる。」

だが・・・アンノンは小ワープで離脱してしまった。艦隊をまとめようとしているのだ。攻撃精神では七海が若干上回っていたが、理性では山×卿のほうが上回っていたのだ。

 「おのれ・・・しかたない、霧島を曳航しろ・・・艦隊を集めろ・・・・」少しずつ集まってくる艦隊。だがほとんどの艦は敵の攻撃か宇宙気流により損傷していた。

「よし、無傷の榛名の杉野艦長は艦隊をまとめて敵を哨戒せよ。俺様はこれから冥王星に突入する」

「ハっ!」

殻を閉じた比叡は、冥王星の大気圏に突入して行った。

「香織君、君も戦闘用意を」

「了解、博士。いつでもOKよ。」香織は白衣を脱ぎ捨てると、その体は既にプロトタイプ・バルディーナになっていた。仮面をかぶり完全にサイボーグになった香織。


白衣を脱ぎ捨て、プロトタイプ・バルディーナ(プロティーナ)に変身する香織。

香織は隼人と由香の実験台として改造されたサイボーグだ

香織、戦闘準備完了!

 その頃、山×卿も大気圏に・・・

いよいよ戦いは天王山を迎えようとしていた。

 

続く。