48話 出撃・連合艦隊

 

 さらば地球、また帰る日まで・・・。細川博士と香織を収容したバルディライナーは月に到着した。

月では、「比叡」以下の日本艦隊を中心に、米英独仏の地球防衛軍連合艦隊が編成されていた。

 「比叡」のハッチに収容されたバルディライナーは、博士と香織を降ろすと、あっという間に消滅し、バルディバンとバルディーナに分離した。タラップを駆け上がる4人。

「おお、良く来たな!待ちくたびれたぜ!」この荒くれは、第一宇宙艦隊司令長官七海玄八中将である。駆逐艦のりとして歴戦の勇者で、さらに地球人で初めての宇宙艦艇での戦いも経験した猛将である。それを買われての抜擢であった。

「七海のおじちゃん♪」

「よろしくたのみます」

「まあ、堅いことはよせ。作戦会議まで少しあるから、ゆっくりしていけよ、ガッハッハ・・」

「せっかくですが、時間があるのでしたら僕は両親の墓参りに・・・」

「お、そうだったな。俺様も付き合うぜ」

隼人の両親は、この月で命を落としていたのだ。また、七海中将と隼人の父は九州の同郷であった。そもそも、隼人の名前は、「薩摩隼人」に由来しているのだ。

「加藤よ、お前の息子はこの俺様が必ず一人前にしてやるぞ、南無阿弥陀仏・・・」

 

そして、作戦会議。

エメロード星人のプラドが、太陽系航路について詳しく話をする。

「グロテスターでは、惑星間、恒星間の主要航路にはワープゲートを設けています。このため、ほとんどの艦艇が特別な装置なしで短期間に宇宙航行できるのです。しかし、太陽系内にあるワープゲートは、冥王星にある基地で制御されているため、迂闊に利用すると、封じ込められたり、目的外の地点にワープアウトさせられる可能性があります。また、出口での待ち伏せもあります。従って、冥王星を抜けるまで、火星〜木星、木星〜土星、土星〜冥王星のゲートは利用できません」

「月〜火星はどうだ?」

「多分大丈夫ですが、たいした距離ではありませんし、これから冥王星までの航海を考えれば訓練のためにも自力航行が望ましいと思います。」

地球艦艇は、皆火星以遠に行ったことはないのだ。

 「了解した。だが・・難関はここだ!」

それは、火星と木星の間の小惑星帯「アステロイドベルト」だ。かつて、火星と木星の間に存在していた惑星が爆発した破片なのだが、大は月と同じぐらいから、小は小石程度までの無数の岩石が漂っていたのだ。

 惑星間航行では、恒星から見て放射状に進まないと軌道に流されてしまう。この光の通り道に乗れば、光速での移動が可能なのだ。だが、これに逆らって進むためには、光速を突破できる性能をもたなくてはならない。しかし、地球側には光速を突破できる艦艇は「金剛」と「比叡」だけであった。

「金剛」は、敵から分捕った艦、「比叡」「霧島」「榛名」はそのデットコピーだが、「比叡」は、「バルディエネルギー」を接続できるため、金剛よりも性能がよいのだ。しかし、榛名と霧島は、イオニウムが不足しているため光速突破できない。それを可能にするためには、木星最大の衛星、イオを奪還しなくてはならないのだ。

 何はもあれ、火星と木星の間に立ち塞がるアステロイドベルト。これを初めて艦隊行動をとる者が突破するのは至難であった。

「ガッハッハ・・・宇宙も海もおなじだ。野郎ども、俺様に命を預けてくれ!」

 七海少将の闘志に、勇気100倍の各艦長たち。

そして、それに続くレセプション。

「おい、吉村!」

「やぁ、七海君」

宇宙戦艦「扶桑」を指揮する、吉村裕治中将とは、同期で親友であったが、タイプは正反対の大人しい紳士であった。

彼が指揮する「扶桑」は、そもそも、地球人類初の宇宙戦艦として建造された。しかし、建造途中で「金剛」を分捕り、さらにそれを元に各国で優れた宇宙戦艦を量産したため、完成前に旧式化してしまったのだ。さらに不幸は続き、建造中に昆虫軍団に襲撃され大破し、さらに、建造途中で、新技術を後から取り入れたり、設計時にはなかった兵器や宇宙レーダーなどを取り付けたため不安定な形となり、そのままでは打ち上げられなくなってしまい、完成後一旦分解してロケットで打ち上げ、月軌道上で再び組み立てなくてはならなかったのである。

 だが、貴重な戦力。性能の悪さを圧して今回の作戦に参加したのであった。酒を酌み交わす2人。

(吉村・・貴様死ぬ気だな・・・俺様が許さないぞ・・・)

穏やかな表情の中にも、悲壮感を秘めた吉村提督に不吉な影を感じた七海提督・・・。やがてそれは・・・。

 「扶桑」には、イオ奪還のための陸戦隊が乗船していた。そしてその中には、意外な人物が含まれていたのだ・・・。

 

「あっ!」

「どうしたの由香ちゃん?」

「ううん。ちょっと似ていると思っただけ」

「誰に?」

「ひ・み・つ♪」

「まさか中川と永田じゃないだろうな」

「それは違うわ。あの2人だったらとっくに飛びついてくるし、私たちに追いつけるはずはないもの」

いったい、それは誰なのか・・。

 それは、イオ上陸作戦の際の壮烈な戦いの時明かされよう。

 

地球防衛軍連合艦隊は、今月から抜錨した。

そして火星を掠め、はるか木星を仰ぐ。

眼下に広がる荒涼とした真っ赤な砂漠の星、火星。

 ここは去年の戦いでワルモナイトがハイパー放射能ミサイルで基地を自爆させたため、濃厚な放射能が漂い、また、その影響で原生生物が巨大化・凶暴化して棲みついてしまい、地球もグロテスターも利用できない星になってしまった。放射能の除去には、最低3年はかかる見込みである。

「おのれワルモナイトめ・・・」

戦いを思い出した隼人は、ワルモナイトへの闘志を掻き立てていた。

「隼人君・・」そんな隼人によりそう由香。

 そして艦隊は光の航路に乗って、いよいよ太陽系最大の難関、アステロイドベルトに到達。

そこで待つ敵は?困難は?負けるな隼人、根性と闘志で切り抜けろ

 

続く