44話 古都の戦い(修学旅行編後編)

 

 由香の大伯父、山名総帥の助力を得て、1000年ぶりに現れた物の怪「鵺」を退治した隼人と由香は、翌朝山名氏も加えてバスに乗り換え、奈良に向かった。

 

まず、明日香の巨石文明を見学・・・。石舞台、鬼の雪隠、亀石、酒船石、猿石等、正体不明の巨石群を見て回る一行・・・。

 中でも、「土」や「石」に関する知識と技術と関心が強い工藤仁子は、ここにしばらく逗留して研究を続けてみたいと思えるほどの謎と関心が・・しかしハードな日程のため後ろ髪を引かれる思いで次の目的地に・・・。

 だが・・・。彼女はのちにその謎といやおうなしでも戦うことになるのであった。

 元祖ツインタワー「薬師寺東塔・西塔」、正倉院、大仏・・・。

彼等の住む鎌倉の大仏は露天だが、こちらの大仏は巨大な建物に鎮座していた。

「うわー、こっち(鎌倉)のよりでかいぜ」

「金色に光っているわ」

「この大仏さまは聖武天皇様が、行基という偉い坊さんに作らせたのです」

「たしか、苦しいから体を舐めてくれと言った乞食を舐めたら、黄金の仏像に変って・・・」

「不思議なこともあるものだ。南無釈迦尼仏・・・・」

 

 そして・・・春日大社で鹿と戯れ、興福寺の「阿修羅像」を見た一行。

「うわーーっ!これが阿修羅か!3つの顔と3組の腕を持ち、それでいて端正な中性的な顔をしたこの阿修羅像は世界一美しい仏像とも言われていた。

 

「グロテスターの怪人みたいだわ。私がやっつけてやる!」

「あっ、タマちゃん!重文に対してなんと言うことを!」

「中川さん・・・」哲子先生は失神してしまった。

 そのときである。にわかに暗雲が立ち込め、辺りは暗闇に包まれた。そして稲光が・・。

「阿修羅の祟りだ!」

「何を。このワシがついておる、阿修羅如きこの閻魔の化身、山名宗厳が返り討ちにしてくれようぞ!」

無理矢理ついてきた山名総帥だが、こういうときは頼りになる。

しかし・・

 稲光を見た全員が,その場で失神してしまった。

「キャーーー」

珠美の悲鳴だ。しかしこの子は、なんと言う罰当たりなトラブルメーカーなのであろう・・・。18歳でありながらやることは全て小学生並みであった。

見ると、阿修羅に珠美が捕まっている!

 由香は、カチューシャに埋め込まれた特殊回路の働きで唯一意識を保っていた。

 「隼人君、タマちゃんが!」隼人を揺り起こす由香。

「あ、阿修羅が・・・!」

だがよく見ると、阿修羅像はそのまま安置されている。

珠美を捕まえているのは・・・よく見ると女性の阿修羅であった。

「やはり、グロテスターの!」

「うん。」由香も頷く。

「バルディ・チャージ!」2人はバルディバンとバルディーナに変身した。

「タマちゃんを離しなさい!」

しかし、阿修羅は珠美を捕えつつも、他の腕に持った武器で2人を同時に攻撃し、さらに胸と口から熱線と火を放って激しく攻撃してきた。

「このままじゃ興福寺が燃えてしまうわ」

2人は上手く阿修羅を建物から引き離すが、珠美が捕えられている・・・

「手も足も出ない・・」

そのとき

「隼人、姫、リーダーは俺たちが助けるぜ!その間に怪物を」

「永田!」永田、遠藤、山田、秋山の「バルディレンジャー」の4人が目覚め、助太刀に。普段は足手まといの彼等だが、ここは助かった。

4人の活躍で珠美はなんとか解き放たれた。

阿修羅は、一度に6つのターゲットを攻撃できるが、7人となったため珠美を放してしまったのだ。

「よくやったぞ遠藤君!あとは僕たちに任せるんだ」

「リーダーは僕たちが守ります。頼みましたよ隼人君」

2人は改めて阿修羅と対決した。

だが・・。

「隼人君、おかしいわ!阿修羅には生命反応がないの」

「ではロボ怪人か?」

「いいえ、エネルギー反応や機械音もしないわ・・・」

そこに仁子が現れた。

「隼人君、そいつは超人軍団のくぐつよ!そう、私の作ったネンドボーグのような・・・」

「何!」

ということは、動力も命もないこの怪物を倒すには、操っている者を倒すか、操ることを妨害するしかない。

しかし、命も動力もないはずの阿修羅は隼人と由香を追い詰めていく。

「隼人君、助けて!」

「由香ちゃん!」

 

「汚い手を離しやがれ!」隼人は由香のピンチに、出力をマックスにして阿修羅に挑み、遂にその腕をへし折って由香を助けた。

そして・・・「木!」なんと阿修羅は木でできていたのだ。

 仁子が「土」を操るように、グロテスターには「木」を操る超人がいることを暗示していた。

しかし由香の救出に力を使い果たした隼人・・・大ピンチだ・・・。

 

 そして阿修羅の腕は何事もなかったかのように再びくっついた。絶体絶命。

 

 

 丁度そのとき、集団行動を嫌う段田は、1人脱走して、山中で時間つぶしをしていた。

 その彼が、祭壇に供えられた鏡に向かって呪文を唱えているブキミな巫女を発見した。

「むむ、アイツは地球人ではないな!」

段田は石を投げた。それが鏡にストライク!

「おのれ!」巫女は、全身に蛇を巻きつけた魔女に姿を変えて鞭を振りかざして段田を襲う。段田はバルディブラックに変身して応戦するが、蛇鞭に打ちのめされて倒されてしまった。

「止めじゃ。殺してやる」

しかし・・・「御前!阿修羅が止ってしまいました。第二作戦に移りますので・・」

「まあ、そんな男1人どうってことないわ」

 山が割れたかと思うと、巨大な頴娃の形をした戦艦が現れて空高く舞い上がった。

これが、グロテスター超人軍団旗艦「クイーン・エイザベス」、そしてこの蛇使いの魔女こそが、その主、魔女メデューサ・アンであった。

 

 その頃隼人と由香は絶対絶命。だがぴたりと動きが止まる阿修羅。

「あ、どうしたのかしら・・・隼人君、チャージする?」

そのときである。空を覆う黒い影。

「あ、あれは・・・」

「エイの化け物・・」

そしてそのエイの化け物から放たれた稲光を浴びた阿修羅は、巨大化して再び動き出した。

「隼人君、合体よ!」

2人にとってはかえって渡に船だった。合体する2人。

だが、阿修羅はやはり手ごわい。さらにエイ戦艦もこれを援護。

「隼人君、その戦艦は超能力コーティングされているから撃墜不可能よ。でも、何とか遠藤君たちに引き離してもらうわ」

仁子は実はこの戦艦に乗って地球に帰ってきたのでよくわかるのだ。唯一の弱点は尻尾の付け根であった。だが、乗組員全員が超能力者で攻撃は弾かれてしまう。

だが、バルディレンジャーたちのパーソナルメカがバルディスターとの間に割って入った。失神した珠美に代わり、ハートソーサーには仁子が乗っている。

しかし、正規の搭乗員珠美が乗っていないため、バルディロボに合体できなかった。

 仁子が乗り組んでいるのにはもう一つ理由がある。アン王女に見つかったら殺されてしまうからだ。

 

「おのれ化け物め・・・神仏よ!神国日本を守りたまえ」

山名元帥が神仏に祈ってあてずっぽに矢を放つた。

すると、雷がクイーン・エイザベスの尻尾に命中した。丁度そこに、緊急連絡を受けて硫黄島から飛来した東大佐の飛行隊が襲撃!

唯一の弱点を攻撃されたクイーン・エイザベスは、姿勢の制御が困難となり(尻尾によって姿勢を制御していた)、ふらついた。

「もう一押しだ」しかし、超能力バリヤーを張ってこれを防ぐエイザベス。触れれば墜落・・・ミサイルも機銃も跳ね返す。

しかし、バリヤーを張ったため、阿修羅のコントロール派が弱くなった。

「よし、今こそ見せてやる・・・稲妻斬り!」

雷鳴とともに斬り付けた隼人。真っ二つになった阿修羅は燃え尽き、興福寺は守られた。

「おのれ・・覚えておれ・・そしておそらく、あの裏切り者のドクター・ジーンめがあの中にいたに違いない・・

工藤博士もそろそろ用済みじゃ。ふふふ、あの爺をエサに裏切り者の小娘を始末してやる。」

クイーンエイザベスは撤退して行った。

 

 隼人、由香、仁子、バルディレンジャー、山名元帥、東大佐の航空隊、そして段田の偶然も重なった連携で、何とか手ごわい敵を倒し、修学旅行を続けられることになったのだ。

しかしみっちり叱られる珠美・・・今日はまったくいいことナシだった。

 

 

 修学旅行は最終日の3日目。大阪で買い物や食事をして帰ることになったのだが・・その途中隼人たちが見たのは・・

「あ、あれは!」

巨大な古墳群をバスから見学したとき、思い出したのである。

「ワルモナイトのイセキダー」

イセキダーは前方後円墳をモチーフとしていた。

そしてそのイセキダーが飛来した。

絶体絶命か・・・バスに乗っているところを襲撃されたら・・・

だが、イセキダーは古墳群になにやら照射して、そのエネルギーを吸い取って飛び去っていった。

 

「やはり、あの形は古代エネルギーを吸収するための秘密の形だったんだわ」

仁子は確信した。だが、その彼女こそがグロテスターの次なるターゲットということにまだ誰も気づいていない。

3日目は、何事もなく、一行は鎌倉に向けて帰還した。

そして休むまもなく、文化祭に向けて準備・・グロテスターの襲撃により、1学期に行事が何も出来なかったためスケジュールが詰まってしまっていたのだ。

受験を控えた彼等には痛手だが・・・楽しみにしていた修学旅行、遠足、文化祭は中止したくなかったのだった。

 

 

次回から文化祭編

お楽しみに。