43話 修学旅行・京の夜の怪奇

 

 

 10月末・・赤橋高校の修学旅行である。ずいぶん遅いが、これは予定していた期間に、グロテスター海軍との豪州沖大戦争があり、延期されていたのである。

隼人と由香の活躍もあり、グロテスター残党の活動も収まり、一旦は中止やむなしとされた旅行も、決行されることになったのだ。

 行き先は、京都・奈良・・・・。

「チェ!中学生じゃあるまいし・・・」そう、いまどきの関東方面の高校生の修学旅行といえば海外、沖縄、北海道、近くても広島だったのである。

 しかも、鎌倉と京都・奈良では、結局のところお寺だらけという点ではたいして変わらず、しかも鎌倉の寺のほうが立派だと皆信じているのでしかたなかった。

 のぞみ号は快走する。わずか2時間で京都である。

一行はバスに乗り換え、二条城、本願寺、東寺、延暦寺、清水寺、宇治平等院などを足早に見て回った。そして、西寺近くの旅館「西陣」に泊まることになったのだ。

「キャー!」

枕投げをする隼人と永田たち。

「こら!何時だとおもっているざますか!」

見回りに来た哲子先生に叱られてしまう・・・そして由香と珠美は女子の部屋に渋々帰っていった。

 

だが、その後由香はこっそりと侵入して隼人の布団にもぐりこんだのは言うまでもない。

 

そして事件はその後起こった。

 

「ヴォー、ヴォー・・・」

不気味な唸り声に目を覚ました由香。

「隼人クン・・・何かしら・・?鳥や虫にしては変だわ・・由香怖い・・」

そしてそのときである。

「キャーーー!」

「タマちゃんの声だわ!」

隼人と由香は引っ掛けてあった制服に袖を通して飛び出した。そこで二人が見たものは・・・。

 

「あっ、あれは・・・」

なんと、猿の化け物が珠美を捕え、宿の隣の西寺の五重塔によじ登っているではないか!

「由香ちゃん・・あんな種類の猿は見たことがない。それに見ろ、尻尾が蛇になっていている・・・」

「よく見ると小さな翼もあるわ」

「グロテスターの獣人に違いない!」

「バルディ・チャージ!」

「いいか由香ちゃん、みんな寝ているからサイレントモードにするんだ。」サイレンとモードはメカの音を抑えるとともに、話し声もメットを通じて行い外に声を漏らさないモードである。

「行くぞ!」

宿の屋根に飛び乗って銃を構える2人に、化け物は反応した。

 珠美を屋根に置くと、すごいジャンプ力で飛び掛ってきた。

猿に似ているがはるかに巨大で、赤と黒の縞模様の体に不気味な唸り声を上げて二人を襲う獣人・・・。尻尾は蛇になっていて自在に攻撃してくる。

 隼人は剣でたたききろうとしたが、剛毛と柔らかい肉に阻まれ斬れない・・・。そして遂に・・・

「キャーーー!」由香が捕まってしまった。

絶体絶命だ。

隼人は必死に応戦するが・・・

 やがて化け物は思い出したかのように由香を放すと、珠美を再び捕えて五重塔に登っていく。

どうやら改造されて硬い由香の乳房がお気に召さなかったようだ。

「大丈夫か由香ちゃん・・」

「大丈夫よ・・・それよりタマちゃんを助けなくちゃ・・・」

「しかしアイツは・・・。よし、こうなったらバルデイシュータークロス撃ちで」

「ダメよ、五重塔が壊れてしまうわ・・・」

「しかたない・・僕がよじ登って中川を助ける。援護を頼む」

OK、気をつけて・・・・」

だが、片手で珠美を捕えた怪物は、よじ登る隼人を尻尾で攻撃し寄せ付けない。更に目から光線を・・・。

由香もたまらず飛び込むが・・。

そのとき、突然野太い叫び声がした。

 

「見つけたぞ物の怪め!覚悟いたせ!」

「あ、大伯父様・・・」

なんと、由香の祖母の兄、山名宗厳京都府知事兼陸軍総司令官が、鎧兜に身を固め弓を構えている。

「伯父様、危ないわ!」

由香は仮面を脱ぎ捨て制止しようとする。

「おお、由香ではないか。ということはあちらの武者は隼人じゃな・・・。そいつは鵺といって、1000年前にもこの京都を襲った物の怪じゃ。その時は源三位入道頼政公が見事退治したのじゃ。

腕や剣では倒せぬ。5人張りの弓でのみ倒せるのじゃ。1月前から現れておなごを襲っていたのじゃが・・・軍も警察も手におえなんだ。

そこで、このワシ自らが先祖の山名宗全様が逆賊赤松満祐を討ち取ったとき使った伝説の弓を使って討ち取ることにしたのじゃ。

隼人、今じゃ、鵺に飛びかかれ」

「わかった!」

隼人が身をかわすとともに、放たれた矢は見事鵺の右目を射抜いた。

 隼人は素早く珠美を受け止めて由香に託した。

「隼人、止めを刺せ」

「了解」

しかしそのときである。

「待て!貴様の相手は俺だ」

「お前はプリンスライガー」

剣を交える2人。

「腕を上げたな」

「貴様こそ」

「ところで勝負はお預けだ。鵺蔵を返してもらおう」

「怪物を使って京都を襲っておきながら虫がいいぞライガー!俺が貴様もろとも怪物を叩き殺してやる」

「待て、オレの話を聞け。たしかにそいつは凶暴で女好きな野蛮な奴だが、オレにとってはかけがえのない友達だ。

そいつの一族は長い周期の彗星に住んでいたのだが・・・その爺さんの話だと1000年前にもこの星に先祖が来たようだが・・・その彗星が、邪魔だというだけの理由でワルモナイトに爆破され、行方不明になってしまい探していたのだ。頼む、目玉一つと引き換えにそいつを許し、オレに返してくれ」

「隼人君、この子以外と大人しいわ・・ライガーさんの言うとおりにしてあげて。タマちゃんも無事よ」

「ライガー、本当に地球から去るのだな」

「当たり前だ。俺はワルモナイトを討ち取るための同志を集めて修行しているのだ。だが貴様たち地球人の手は借りない。貴様たちは憎いグレートロイヤル星人と同じ姿をしているからな!さらばだ、貴様との勝負はいずれ小惑星で誰にも邪魔されずにしよう。」

 ライガーは鵺蔵を背負い、UFO馬に乗って去っていった。

 

「隼人、腕を上げたな。」

「山名元帥・・・お達者で」

「ハハハ、実はのぉ、その宿はワシの経営なのじゃ。そして入道したワシは西寺の住職でもあるのじゃよ。貴様の活躍は細川から聞いておる。ゆるりと休むが良い・・・いや、見ろ、もうすぐ日が昇るぞ・・・」

「綺麗・・・」京の山々を赤く染めて朝日が昇った。

「しかし伝説の怪物が宇宙人だったとはのぉ・・長生きはするものじゃ。ところで今日の奈良行きはワシも同行いたすぞ!」

「わーい、伯父様♪」

「由香はこのワシが怖くないのか?」

「うんうん、だってお婆様のお兄様なんですもの」

「そうか、そうか、嬉しいことを言ってくれるのぉ・・」

 

 

こうしてみんなが安眠をむさぼる間に、隼人と由香は由香の大伯父、山名元帥の力を借りて怪物を退治したのであった。

そして修学旅行は2日目・・奈良に向けていざ、出陣!

 

続く