39話 花嫁は42

 

バン!「いったいぜんたいどういう考えざます!」

机を思い切り叩く女・・。

 

そう、新学期が始まり、3年の2学期ということで、進路指導の三者面談が行なわれていたのだ。両親のいない由香は、兄の隆之が保護者として出席である。

 

「細川さん。もう一度考え直しなさい。」

「先生、由香は大学には行きません。就職もしません。だって・・由香は隼人君のお嫁さんになって、赤ちゃんを産むんですもの。」

「あなた方が婚約していることはわたくしもよーく存じております。しかーーし!貴女の成績なら大抵の大学なら合格圏内。せめて大学を卒業してからでもよござんすか?」

「由香待てないわ。本当は今すぐ産みたいのよ」

「まぁなんと破廉恥な・・いいざますか!女が子を産む道具などとは全時代的考え・・」

「黙れババア!」

「なんざますかあーた!ハバアとは誰ざます!」

「貴様だハバア。由香は子を産む道具だとは思っておらんし、一言も言っておらぬ。正規に婚姻した男女の間に子が出来ることがそんなにおかしいか?そんなに破廉恥なことなのか?だいいち貴様は、進学率だの成績だの・・・さては貴様の成績の維持のために1人でも多くの生徒を大学に進学させようとしているな?貴様のような一生縁のないハバアの考え付きそうなことだ。言っておくがわが細川家は金には困っていないから由香が働く必要はないし、知ってのとおり隼人は軍人になることになっている。それに万が一、由香の気が代わり、又は子育てが一段落したのちに進学する場合は、わが鹿鳴館に無条件で入学できるので受験などはする必要がないのだ。わかったかハバア!」

「まあ、なんと失礼な殿方なのでしょう!あーたではお話になりません。お爺様を連れてきてください!あーたの顔を見ているとおかしくなりそうざます!」

「ほお、たかが教師の分際で我輩の爺様を呼びつけるとはなぁ・・」

「もう結構です!」

 

先生・・方岩哲子(42歳独身、通称ガンテツ先生)は隼人、由香、珠美、永田らの担任で英語教師である。帝都女子大学主席卒業ののち英国留学した才媛ではあるが、硬直した思考の持主で、男性恐怖症、男性蔑視の思想に凝り固まった女性であった。

 

「ほぉ・・・。先生はこのワシを呼べといったのか。」

「爺様、なんと生意気な」

「黙れ隆之。うーん・・・そうか、わかったぞ。その先生は男を知らぬのだ。男の素晴らしさを知ればおのずと女に目覚め、由香の気持もわかるであろう。」

「お爺様、由香もおなじこと考えてたの」

「だが、あの年増の堅物に見合う男はいるのか?あ、我輩は遠慮しておく」

「たわけ。貴様の妻たる女は然るべき家柄から迎えよう。それにまだ早い」

「確かに早いが・・由香はまだ18だぞ。先生の言うとおり早い気もしないでもないが・・」

「由香は特別じゃ。むかしは12で嫁ぎ15で生むのも当たり前じゃっった」

「いつの時代だ?」

「あっ!いたわ!先生にぴったりな人!」

「さすがは由香じゃ。よし、早速上陸命令を出す」

 

 

「七海少将、まかりこしました」

七海少将は、来るべき宇宙決戦を前に一旦帰還し、駆逐艦でパトロールを続けていた。その七海を細川総司令が呼び出したのだ。

「七海よ。今日からしばらく休暇をやる。上陸せよ。三浦島にワシの別荘がある。そこで来るべき決戦に備え心と体を休めるのじゃ」

「お言葉ですが大親分!ワシはフネの上・・わけても駆逐艦に乗っているときが一番身も心も落ち着くんで・・勘弁してくだせい!」

「黙れ!そんな風だからいい年して・・よいか、これは命令じゃぞ」

「わかりやした・・・」

 

そして、三浦島の別荘に着いた七海少将を待っていたのは・・・

「女?何の冗談だ?それにお嬢ちゃんも・・・」

「七海のおじちゃん♪今日はね、いわゆる「お見合い」よ♪こちらは方岩哲子先生。由香たちの先生よ。よろしくね。」

「方岩と申します。」名刺を差し出す先生。

「ほぉ、ガッコの先生か・・。」

赤くなって硬直する先生。海坊主のような少将が怖いのか。それとも男性恐怖症のためか・・。

「あ、あの・・」

2人とも会話にならない。

そこに現れたのは由香。

「おじちゃん、先生、お料理が出来ましたわ。由香が作ったのよ」

なんと由香の手料理である。プロ顔負けだ。

「お魚は隼人君が捌いたのよ。わたしたち、レストラン経営でも食べていけるわ」

「まぁ」

「ごゆっくり♪」

「うん、これは美味い!先生もおひとつどうぞ」

「え、は、はい・・・」ぎこちなさを残しながらも二人はようやく食事を共にすることが出来た。

 

「先生・・・食事も済んだ所で・・・・」

「お帰りになるざますか?」

「いいや、ちょっとその辺を端艇で一回りしませんかのぉ」

「え、あたくしは・・・」

「いいから付いてきな」

「あらら・・」

七海少将は強引に方岩先生の手をとり端艇(モーターボート)に乗せた。

ジュバーーー

「キャーーーー」

「ガッハッハ・・」水しぶきを上げて突進するボート。実は少将は海軍の端艇競争25年連続優勝の実力の持主なのだ。

「先生よぉ、ワシはなぁ、今戦艦の艦長をしとるが、ほんとうは駆逐艦や端艇。水雷艇みたいな小船のほうが性にあっているんじゃ・・見ろ、わしの体同様に自在に操れる。ほら、もうすぐ海神島だ。あそこの景色は絶景だぜ」

「・・・・。」

2人は無人島の海神島に着いた。

「それ、掴りな」

断崖から見る太平洋はまさに絶景であった。

「七海少将、あたくしこんな光景はじめてざます」

「先生も勉強ばかりしてないでたまにはこういうところに来るとよかったんだぜ。俺様は鹿児島のカジキ猟師の倅で、ガキのころから親父の舟でこういうところで遊んで育ったんだ」

「まぁそうでしたの・・・」

「ガッハッハ」

2人はようやくいいムードになってきた。

しかし・・・。

なんと、この島は・・・・。

「キャーーーーー」

先生の絶叫。

なんと、半漁人が先生のブラウスを破り襲っている。

「このバケモノ!」少将は軍刀で半漁人を叩き、怯んだ半漁人から強引に先生の手をとると、端艇に乗せて三浦島に急ぐ。

しかし半漁人軍団は口から火炎を吐いて襲ってくる。

「先生・・・しっかり捕まっていてくれよ」

素晴らしい機動力で半漁人をかわす七海少将。だが、数を増す半漁人。

 

「あ、おじちゃんと先生のボートだわ。?大変!隼人君来て!」

「由香ちゃん、あれはグロテスターの!」

「先生たちがあぶないわ」

「よし、バルディ・チャージ!」2人は変身して、現場に急行した。

 

隼人はジェットウイング、由香はエンジェルウイングを使って空から攻撃する。

「おじちゃん、もうすぐよ」

「おう、任せておけ」

なんとか少将と先生は三浦島に到着した。

しかし先生は傷を負った上に海に飛び込んだとき海水を飲んでいて、また激しい逃避行に気を失ってしまった。

「先生、大丈夫か」人工呼吸して先生の息を吹き返させた少将。

「あ、七海さん・・・」人工呼吸とはいえ生まれて初めて男性の唇を受けた先生は彷徨としていた。

「よかったじゃねーか先生よ!よし、今度は俺様がバケモノをやっつけてやるから、ここでゆっくり休んでな」

少将は、ただちに第一駆逐隊を横須賀から呼び出した。「のぞみ」「ひかり」「こだま」「つばさ」の4隻の駆逐艦が現場に急行する。

一方、半漁人たちを追い散らした隼人と由香は

「由香ちゃん、海神島が半漁人たちの基地になっているに違いない。ワルモナイトの命令でなにか企んでいるかもしれないぞ。もし、地殻変動でも起こされたら大変だ。突っ込むぞ!」「OK♪どこにだって付いて行くわ」

奇岩だらけのこの無人島は一見岩だらけ。見通しは悪い。

「気をつけるんだ由香ちゃん」「平気よ・・・あっ、キャーーー助けて!」

「由香ちゃん!」

なんとバルディーナが半漁人のボスに捕らわれてしまった!

「グロロ・・ワシはシーラカイザー!獣人軍団海底師団のボスだ。この島の秘密を知った以上生かしては返さぬ。死ね!」

「黙れバケモノ!」

隼人の剣がシーラカイザーをなぎ払う。

「おのれ・・海底基地浮上!」

ガガガ・・・

なんと海神島が浮き上がり、グロテスターの新基地が現れたのだ。

半漁人軍団と駆逐艦が現れ、隼人と由香を激しく攻撃する!

海中用の装備はあるとはいえ、これだけの勢力では水中戦は不利だ。しかしあの手この手で2人を海に引きずり落とそうとするシーラカイザーと半漁人軍団。

だがそのとき、沖合いからビームが!

爆発する敵駆逐艦。

「隼人、待たせたな!」

七海少将がのぞみに乗って駆けつけたのだ。形勢は逆転した。

敵の駆逐艦8隻は、のぞみ、ひかり、こだま、つばさの攻撃で全滅し、半漁人も隼人が全て叩き殺した。

「おのれ、かくなる上は・・・」

シーラカイザーは自爆装置と脱出装置を作動させようとした。

もし自爆されたら大地震、大津波が起きてしまう。

 

「よし、自爆される前に基地のメカ部分を吹き飛ばしてしまえ。さすれば地殻は無事だ。野郎ドモ!魚雷戦用意だ!」

「オー」

のぞみには、司令官付き少尉として、由香の兄隆之も乗っている。

「若!俺様が教えたとおりやれば必ず当るぞ。いいか、頼んだぞ」

「うむ。少将、我輩の腕をご検分あれ」

「発射!」隆之が発射レバーを引く。勢いよく飛び出る魚雷。ひかりやこだまからも同様に。

しゅるるる・・・

ズカーーーン!崩れ落ちる基地。

「もはやこれまで!」円盤に乗り込み逃げ出そうとするシーラカイザーだったが・・・

「由香ちゃん、合体だ!そしてすぐ分離だ」

OK。でもどうしてすぐ?」

「いまにわかるさ」

「バルディ・クロス」合体した2人は逃げる円盤を追い、叩き落す。

「うわーーっ」円盤から投げ出されるシーラカイザー。

「よし、分離だ!」

空中で分離した二人。引力に引かれて落ちていく隼人は、姿勢を制御しつつ、シーラカイザーに斬りかかった。

「秘儀・三枚おろし!」

「うギャーーーー」

隼人の剣が見事シーラカイザーを三枚におろしたのである。大勝利だ。由香はエンジェルウイングで悠々と空を飛び、三浦島に戻った。一方海に落ちた隼人は七海少将に拾い上げられた。

 

そして、1月後・・・・。

ホームルームにて、先生は驚くべき発表をした。

「おほん。このたびあたくしは、結婚することになったざます」

「えっ!」「ウソー」

隼人と由香以外の誰もが驚く。そしてもっと驚いたのは結婚式当日。

「えっ、本当に先生?」由香に手をとられ登場した新婦は・・・

「先生、綺麗よ。おじちゃんも素敵」

「てれることをいうなよお嬢・・・」

こうして目出度く七海少将と哲子先生は結婚した。

「七海よ、お前もようやく身を固めることができたな。」

「しかし大親分、俺様はこれから宇宙の海に漕ぎ出す身・・ほんとうによかったんでしょうかねぇ?」

「ガハハ、ワシも忠之もみなそうじゃったが、海の男はそれを気にしてはやってられぬぞよ。それより、得意の魚雷の威力も早く見せてくれ」

「魚雷、ですか?」

「左様、ここじゃ、ここ」

「ガッハッハ、なるほど、魚雷!」

 

そしてさらに3ヵ月後、先生の腹は見事に膨らんでいた。

 

「七海少将、雷撃成功、空母轟沈!」細川元帥からの感状とベビー用品が送られたのであった。

 

「隼人君・・・先生に先こされちゃったわ。早くわたしも隼人君の・・・」

「ごめん・・・その前にグロテスターを倒し、卒業証書をもらわなくては。その二つが済んだら、すぐにでも・・・」

「わかったわ。それまで我慢する。でも・・クロスするだけならいいでしょう?由香我慢できないわ・・」

「僕もだ・・・」2人は激しく抱き合った。

「隼人君・・一日も早くグロテスターを・・ワルモナイトを倒しましょう。そして、男と女の本来の使い方をして、わたしも元気な赤ちゃんを大勢産みたいの」

「うん、誓うよ」

2人は改めて愛を確かめ合い、打倒ワルモナイトを誓い合ったのだった。

 

そして翌年、先生は難産の末無事元気な男の子を出産したのであった。

 

続く