106話 不滅の愛と不滅の悪(後)

 

グロムウエルからおぞましい過去の物語を聞かされる一堂。

 

「ワシは、グレート・ダンデイ家17代にしてグレート・ロイヤル帝国初代帝王・ジョーズ2世の末子として生まれたのだ。ジョーズ2世は、独自に支配権をもった惑星領主たちを総てきり従え、さらに外宇宙にもその支配を広げた偉大な帝王であった。それに最後まで抵抗したのが、宇宙山賊ワルガーだったのだ。全ロイヤル系及び、アンドロメダ星雲の北半分を支配下に置いたジョーズ2世は、この最後の敵を、完膚なきまで叩き潰そうと大軍を繰り出し、多くの犠牲を払いながらも、これを殲滅した。そして、1人残らず皆殺しにしたのだ。しかし、最後の1人、つまり首領を見てジョーズ2世は驚いた。それはうら若き少女であったからだ。その不敵なまなざしに打たれたジョーズ2世は、処刑を中止し、傍に置くこととなったのだ。以後の宇宙遠征にも付き従ったその女傑は、やがてジョーズ2世の子を産んだ。それが、このワシなのだ。

 だが、側室を置くことが禁じられているロイヤル星人貴族社会では、ワシは帝王の子でありながら、正室や兄たちを憚られ、グロムウエル公の名跡を継承して臣下の列に加わることとなったのだ。

 そして、父や兄に従い、数々の軍功を立てたワシだが、その秘訣は、元々罪人や奴隷を環境の悪い惑星の開発のため改造した怪人を、戦闘用にしたことによるのだ。

 ワシと怪人軍団の力により、銀河系やマゼラン星雲にもその版図を広げるに至ったのだ。

ところが、偉大な父が死ぬと、凡庸な長兄のジョーズ3世が跡を継ぐと、有能なワシを恐れ疎んじるようになり、ついには役職を追われ銀河系偏狭探索隊長に任じられて左遷されてしまったのだ。しかし、そこでもワシは怪人たちを活用して大きな功績を挙げたが、あるとき宇宙船の故障で漂流し、ある星に流れ着いた。それが地球だった。ワシはそこでワシを介抱した娘を妻とし、連れ帰ったのだ。ま、それはおいておいて、帰還したワシは、重大な転機を迎えたのだ。長兄・ジョーズ3世が亡くなり、跡を嫡男の4世が継いだのだが、これがたいへんなバカ殿だったのだ。しかし、ジョーズ2世の長男の長男であり、3世の弟たちもまた皆無能であったため、他に代われる者はいなかった。いや、一人いた。そう、このワシが跡を継げば、グレートロイヤル帝国はさらに繁栄すると考えたワシは、同志をつのり、甥や従兄弟たちを手なづけて、ジョーズ4世の排斥を企み、酒漬けにしてそれに成功したのだ。

 しかし、ワシの意見に賛同した甥たちは、ジョーズ4世が倒されると、自分たちこそ皇帝だと主張し、ワシは母の身分が卑しいので皇帝になる資格がない、とほざいたのだ。

 結局、ワシも甥たちも皇帝になることは認められず、生まれたばかりのジョーズ5世が皇帝になり、ワシがその後見となり、終身護国卿になったのだ。権力を握ったワシは、自分の即位や護国卿就任に反対した者たちを次々粛清し、さらに怪人たちを正式に軍に編入して重用したのだ。そして、アンドロメダ星雲南半分と銀河系への侵攻を開始したのだ。そのとき、兵士不足と宇宙での戦闘の便宜のため、それまでは罪人や奴隷を改造していた怪人を、徴兵の中からも改造するとともに、征服した星の非人間型宇宙人、つまり獣人も編入したのだ。さらにエスパーやミュータント部隊の超人軍団を創設したのも、このときなのだ。そして、絶対的な権力を握ったワシは、ジョージ5世暗殺計画を2度にわたって画策したが、いずれも失敗した。そこで5世を守り立てる領主間を対立させるため領地争いを画策し、ワシの判定に逆らったという理由で各個撃破し、遂にワシは完全な独裁者になったのだ。


アクベエ署長とゴードン

ガイフィールド、アクベエ、ゴードンら腹心と怪人たちを使ったワシの政治には誰も口出し出来まいと思ったが、忌々しいセブンスターとアキレスがジョージ5世を押し立てて逆らい、ついにワシは、流刑になってしまったのだ。流刑と言っても実態は餓死を目的とする死刑・・。しかも、ワシが流されたのは、廃棄処分された怪人たちのスクラップ置き場だったのだ。

 数年たち、さしものワシの肉体も朽ち果てたが、その執念は生き続け、やがてワシのドクロは、怪人たちのスクラップを取り込んで甦ったものの、今度は流刑地が宇宙気流に巻き込まれてワープゲートを通り、銀河系に流れ着いてしまったのだ。そこで、ワシは地球人の三浦博士というジジイと出会い、再改造を受けワルモナイトとして生まれ変わり、ロイヤル星に戻るや、実力があれば怪人でも出世できるワシの作ったシステムは生きており、すかさず軍団長にのしあがり、ジョーズ5世の跡をついでいた6世に、銀河系、なかんづく太陽系侵攻を進言したのだ。そしてその後の結果は知っての通りだ。

 ワシが太陽系を狙ったのは、貴族たちの関心を外に向け、その間に手薄になった憎いロイヤル王族を根絶やしにすることと、亡き妻の故郷である地球をワシの別荘にすることにあったのだ。

 全てはワシの筋書き通りに行った。じゃが、意外な邪魔が入った。それが、バルデイバン、貴様だ。たった二人のサイボーグの前にワシの計画は次々打ち破られ、地球侵略は中断せざるを得なくなってしまつた。じゃが、ワシの真の狙い、ロイヤル王家の滅亡とその完全支配だけは、必ず成し遂げてみせる。そのためには、ワシはどんな姿になろうとも、どんな手を使ってでも、何度でも甦るのだ。ガッハッハ・・・・。

 

「そんな勝手が許されるか!そんなくだらないことのために、僕の両親は殺され、地球や宇宙の罪のない人たちが怪人に蹂躙されたというのか!」


隼人の両親

「ガッハッハ・・・そのとおりだ。ワシの前には全ての命は虫けらなのだ」

 そこに、由香が割って入った。

「グロムウエルさん、貴方のお話は一通り聞いたわ。でも一つだけ教えて?段田君と貴方はどういう関係なの?どうして段田君の体を取り込んだの?彼は私たちのお友達よ。返して!」

「何?そうか・・・ダンは段田と名づけられていたのか。教えてやろう。あいつは何を隠そう、このワシの1人息子なのだ」

「しかし、それでは年代が合わない!貴様が地球に来た年からしても、ロイヤル星から追放された年から見ても」

「ガハハハ・・愚か者。ワシの妻は体が弱く、何度も流産し、ワシが失脚する直前、あいつを産み落として亡くなったのだ。ワシは失脚直前、息子を脱出ミサイルに入れて打ち出した。それが、燃料切れで自然にワープゲートを通り、19年前に地球に着いたのだ。確証はないが、そうとしか考えられない。わしはこいつと戦い、すぐにワシの息子であることがわかった。同じ血が流れているからな。それに若いころのワシと瓜二つだ。

 はじめ、肉の体を欲していたワシは、この体に乗り移ろうと思ったが、あまりの戦闘力に、別個に戦力化したほうが得策と考え、仮面で意識を殺してジャガーナイトとしたのだ。その後ワシは、ムーリンとチャーミーの初夜の血で甦ったが、なぜか晩年の醜い姿でよみがえってしまったのだ。若い頃は、ワシもああいう姿だったのじゃぞ。」

「酷いわ。お父様なら、息子を自分の道具のようには使わないはずだわ」

「そうかな。そこにいる貴様の叔父も、姪と親友の息子を実験台にして切り刻んでロボットに変えたではないか。その前には、そこにいる女とその相方もな」

そう答えたのは、三浦博士の人格であった。

 長い間、博士とグロムウエルは肉体を共有していたため、今では一体不可分なのだった。そして、実の息子である段田と三位一体となり巨大化したのだ。

 「話はここまでだ。貴様たちを殺せば、ワシの悲願は達成される。死ね!」

「そうはいかないわ。叔父様、香織さん、義姉様、義兄様・・・私たちの中に避難して!」

由香はバルディスターのコアに4人を取り込んだ。

「グロムウエル!これで姉さんたちは僕たちが保護した。ロイヤル星滅亡は不可能になったぞ!」

「そうかな。ワシが貴様を倒せば、一網打尽、6人殺すのが一体倒すだけで済むようになり、感謝するぞ。」

「黙れ、滅びるのは貴様だ!」

「吼えるな若造。今バラバラにして、生体部分を引きずり出して喰ってやる。それでジエンドだ!」

「グロムウエル様!そのためにも、わたしもその偉大な肉体にお加えください!」

ニジーナは、その秘部を押し広げ、合体を促した。だが、巨大グロムウエルのイチモツは、彼女自身より大きかった。

しかし、グロムウエルは、そのまま挿入した。まるで、カバーのように全身を貫かれるニジーナ。口から血を吐き、その口からイチモツの先端が貫通した。

普通に考えれば絶命だ。だが、次の瞬間、巨大グロムウエルはさらに一回り大きくなり、角が生えた。

そして、ニジーナの声で、「これで私たちは一つになったわ。覚悟をし!」

 ついに4つの悪が合体し、パーフェクトグロムウエルになった。

 グロムウエルの野心と生命力、三浦博士の頭脳、段田の戦闘力と闘争本能、さしてニジーナの姦計と妖艶が加わった最強の巨人。その圧倒的な力に、バルディスターは圧倒される。剣もミサイルもキックもパンチも通用しない・・・。絶体絶命だ。

 そのとき、胎内に取り込まれた麻里子、エドワルド、細川博士、香織に、マザーガラシャの声が助けを求めた。

「邪悪な執念に勝てる唯一のチカラは愛のチカラ。私の可愛い娘・由香を助けてあげて・・。貴方たちの愛のチカラを、貸してあげて・・・」

 その言葉を聞いた麻里子はエドワルドと、博士は香織と激しく交わった。

また、隼人と由香の思念もより激しく絡みつつ、さらに由香は生まれたばかりの娘・恵(亡くなった隼人の母の名をつけた)に乳を与えた。

 すると、バルディスターにもチカラが漲った。

「愛は悪に勝つ!」3組の男女の愛と、ガラシャ、由香、恵の三代の母子愛により、超絶生体エネルギー、愛のチカラを得たパーフェクトバルデイスターと、全ての悪と全ての破壊本能が結びついたパーフェクトグロムウエル。

今、愛と悪の最終決戦が・・・。

 

次回、本編最終回(+エピローグ)残り2話、ご期待ください。