103話 さらば強敵(とも)

 

バルディバン=隼人は、悪の根源、グロムウエル終身護国卿=ワルモナイトの首を取るため、機動生体要塞グロパレスを進んで行った。立ちふさがるものは全て斬り捨てながら。

 だが、玉間を目前に立ちふさがった黒い影・・・。

そう、最大のライバル、ジャガーナイトこと段田大輔を倒さないうちには、グロムウエルとの対決は出来ないのであった。

 段田は隼人とは幼馴染で小学校から高校までずっと同級生で、ライバルであった。

また、その戦闘力、パワー、闘争心も全く互角、というよりも宇宙最強の男・隼人に匹敵しうる唯一の男でもあり、友情と闘争を繰り返した間柄だったのだ。

しかし不気味な黒豹の仮面に隠された彼は、その意識を封じられ、戦う本能だけで生きる生物兵器になっていた。

 しかも、どうやら彼は、グロムウエルとの浅からぬ因縁があるようなのだ。

 組み合っただけで、わかる感触。

二人はがっぷりと組み合い、蹴りあい、殴り合い、力の限り闘った。

 しかし隼人は、その改造人間としての性能上、あまり長期間戦うことが出来ない。いや、出来うることなら変身を解いて生身のまま戦いたかった。だがそれでは、ジャガーナイトの硬い鎧に無力だった。隼人の仮面の中の警告音が響く。

 もう時間がない・・・・。

すでに全力発揮が難しくなり、装甲の重みでパワーが相殺されてしまっている。逆にのしかかられ、鋭い鉤爪で鎧に傷がつく。大ピンチだ。

「段田・・・さらばだ・・・。成仏してくれ」

隼人は剣を抜き、突進するジャガーナイトの突進力を利用して、剣を突きたてた。

「ガシャー」

金属が切り裂かれる音がした。

次の瞬間、ジャガーナイトの体は崩れ落ち、その不気味な仮面が割れた。

「やはり、貴様だったんだな・・・」

 

口から血を流し、絶命した友。もし、改造されていなかったら、口から血を流して斃れていたのは、自分だったかもしれなかった。

「さよなら・・・」

 隼人は友のなきがらを柱に立てかけ、先を急いだ。

「由香ちゃん、グロムウエルは僕が倒す!」

しかし、彼は知らなかった。グロパレスを作った奴隷だったリズに導かれた由香が、すでに目指す玉間にたどりつき、グロムウエルの猛攻を受け風前のともしびになっていることを。

そして、リズはもうこの世のものではなかった。唯一の生体部分である脳もグロムウエルに食べられ、もはや生き返らせるとはできなかった。

 しかも、由香やリズだけではない。香織もまたニジーナと相打ちになり機能を停止していた。そしてエドワルドと麻里子はすでに囚われ、磔にされていたのだ。そのことを隼人は全く知らない。広く迷路のような要塞の別々の場所で、別々に戦っていたからだったのだ。そう、いまやグロムウエルと闘えるのは、隼人ただ1人だったのだ。

 要塞の外では、艦隊がグロパレスの砲台をつぶすため砲撃を続けていた。要塞側からも迎撃機が飛び立ち攻撃を加える。彼らもまた死力を尽くしていたのだ。

 

 一方、隼人、由香、香織を追ってきた細川博士は、機能停止した香織を発見した。

「香織君」

香織はかつてのパートナーであった耕司のエネルギーとメカを圧縮したバイブの力を借りて、一時的に男性型サイボーグ・プロティバンになり、プロティーナの25倍のパワーを発揮して、ニジーナを倒したが、ニジーナの攻撃に加え、男性化の副作用で激しい拒絶反応を起こし、男性型サイボーグ、女性型サイボーグ、そして生身の女性が混じった不安定な状態になっていた。そしてメカ部分が生身の部分を焼いていたのだ。

 助ける方法はただひとつ・・。

そのバイブを、口で咥えて引き抜くしかない。だが生身の博士がそれをやれば口中を中心に顔に大やけどをおうことになる。

だが博士はためらわず実行した。

 シューーー

水蒸気を上げて急速に冷却された香織は元の姿に戻った。

「おお、気がついたか・・・」

「博士・・・」

「香織君、君を死なせるわけには行かない。私が殺してしまった耕司君のためにもな。

さあ、帰ろう。そして・・・。」博士は指輪を取り出した。

「博士・・・。それはしまっておいてください。それより・・。今すぐここで私とチャージして!わたしはまだ闘える。グロムウエルを・・倒さなくちゃ」

「しかし、君の体は・・」

「チャージすればある程度復活するように「造った」のは誰かしら?さあ、時間がないわ」

「・・・。わかった」

二人は激しく交わった。博士が力尽きると、香織は再びサイボーグ体にチェンジして、奥へ走り去った。途中振り向き、「もし生きて帰れたら、・・・。いいえ、なんでもないわ」

「香織君!」

博士も、船には帰らず後を追った。

もちろん生身の人間で重い旧型の宇宙服を着ているので改造人間の香織には引き離されてしまったが。

 

 

 そして、隼人は、ついに・・・。

「グロムウエル!由香ちゃんを放せ!」

「隼人君・・・」

隼人は剣を抜き、グロムウエルに飛び掛った・・・・。

 

ついに、正義と悪の最後の戦いが始まる!

 

 

続く