102話 由香、絶体絶命(前)

 

まるで怪物の胃袋のような迷宮を疾駆する、バルディーナ=由香。次々襲い掛かるトラップや兵士。

「ごめんなさい。許して・・・」仮面の下の涙や恐怖を隠しながら戦う由香。

由香は兵士らをなぎなたや銃で倒しながら進む。だが、心優しい彼女は彼らの命を奪うことがどうしてもできない。

 武器を狙い撃ちしたり、腱を切ったり、鳩尾を長刀の石突で突いて気絶させたりしていた。

 だが今日の彼女は、それでもいつもよりは激しく戦った。愛する隼人を追うその心が、邪魔なものを排除しようとするのだった。

 しかし、そんな彼女に強敵が現れた。

「キャーぁ!」思わず悲鳴を上げる由香。

それは、巨大な男根と触手、それに機械のマジックハンドを持つ不気味なガードロボットだった。いや、ロボットではない。半透明の半球状のボディには脳みそと不気味な機械がたっぷり詰まっていた。それも、1体だけでなく、何体もいる。

 「あっちへ行って、お願い!」銃撃を試みる由香だが、まったく効果がない。そしてついに、接近を許してしまった。

「キャー」

由香は思わず敵に後ろを見せ、必死に逃れようとする。しかし前方に別の個体が待ち伏せしていた。

「嗚呼・・!」怪物は、その巨根から白い粘液を発射した。

「キャァ、動けないわ・・・」絡めとられ身動きが出来ない由香。それだけではない。彼女の仮面の中に警報音が鳴り響く。胎内に侵入を許せば、由香は絶命するのだ。

必死に全身の機密回路を閉じる由香。だが怪物は、今度はマジックハンドで由香の秘部をこじ開けようとする。絶体絶命だ!

 「隼人君・・・」観念した由香は、爆風を感じて振り返る。

自分を襲っていた怪物は粉々に粉砕され、脳みそと機械を散乱させていた。

「由香さん、大丈夫か?」

「あなたはリズちゃん!わたしを助けてくれたのね!」

「話は後よ。他にも怪物が!」

由香を襲った怪物は、リズのおっぱいミサイルで粉砕された。また粘液はリズの股間の聖水で洗い流した。

 だが由香とリズは知らなかった。同じ怪物の群れが要塞の別の場所でエドワルドと麻理子をすでに捕らえてしまったことを・・・。

 やはり、凄腕の剣士で硬い鎧を着ていても、生身の人間がかなう相手ではなかったのだ。

 リズの怪力&強力おっぱいミサイルの助けで窮地を脱した由香。

「由香さん、こっちよ」リズは由香を案内する。

「リズちゃん、どうしてこの迷路がわかるの?」

「・・・私は、奴隷としてこの要塞を作らせられていたからよ・・・・」

そうであった。リズはもともと奴隷として働かされていたが、その体格と戦闘力を見込まれてニジーナによってフィーメル・ラガーボーグに選抜され、改造されていたのだった。

 そして激しい戦いの末隼人に敗れたリズは、細川博士により再改造され、己の自我と顔を取り戻したのであった。そして、二人はついに・・・。

 ふ、待っていたぞ小娘!

「貴方は・・・」

なんと由香とリズは、グロムウエルの玉座の間に突入してしまった。祭壇に立てられた十字架にはエドワルドと麻理子が・・・。

しかし先に突入したはずの隼人はいない。

 「由香とやら。貴様はそのまま破壊するには惜しい。いけにえに加えてやるから、しばらく待て。むむ、そっちは・・・。

姿が多少変わっているが見覚えがあるぞ・・・。

「グロムウエル様、そいつは奴隷女です。」

「無礼な。博士、こいつをワシの視界から消せ。破壊してしまえ」

「承知!」

「おのれゾンビナイト!わたしを改造し全てを奪った憎いやつ。殺してやる!」

黙ってやられるリズではない。猛然と反撃した。

 「わたしだって!」由香も戦う。

だが、ゾンビナイトはさらに怪物を大量に繰り出してきた。

 ミサイルで次々破壊するリズだったが・・・。

カチ、カチ・・・

ついに弾切れになってしまった。リズの大きなボデイには何発ものミサイルが収められていたが、撃ちつくしてしまった。最後にはミサイルではなく、ビーム砲のついた乳首が出てくる。これが彼女の本来の乳房だ。

 そのビームも強力だ。細川博士は、リズの顔は人間に戻したが、脳以外に生身の部分が存在しなかったため肉体を元通りにすることが出来なかった。そのため、隼人と由香、それに香織をサポートする強力な武装を施した純戦闘用サイボーグに改造したのだ。

 怪物たちを血祭りに挙げるリズ。

しかし、

「そこまでよ!」

「その声は?」

聞きなれた女の声だが、心当たりの姿が見えない。

だが、それはすぐわかった。なんと、怪物の中に1体だけ、女の怪物がいたのだ。

「貴女はニジーナさん!でも貴女は・・・どうしてそんな姿に?」

「ふふ、由香ちゃん、いいことを教えてあげるわ。この姿はね、わたしの本当の姿なのよ。そして貴女の正体も、そうなのよ」

「ちがうわ!」

「いや、違わぬ。バルデイシステムのそもそもの発案者であるワシが言うのだから間違いない。人間にとって本当に必要なのは、脳と生殖器だけなのだ。手足や胴体は代用品でも良いのだ。だが人間の姿でなければ何かと不便。そこでバルディバン・バルデイーナの姿を細川は作った。じゃが、原型の設計はこれなのじゃ。そして冥土の土産にもうひとつ良いことを教えてやろう。由香、貴様は敵を殺したくない、と情けをかけるらしいが、それは無駄だぞ。我々グロテスターでは敗北して生き残った者は死刑なのだ。だが、生きているものの生体部品を捨てるのは惜しい。貴様が情けをかけて敗北したやつ等の脳みそや陰嚢を再利用して、怪物軍団を作ったのだ。そして、ニジーナ様は香織と相打ちになってしまったが、肉体の再生に時間がかかる。だがニジーナ様は我々の軍団に不可欠。そこで怪物のボディを流用しているのだ。元々の設計が同じなので、拒絶反応もないのだ。ハハハ。」

 「奴隷女、覚悟!」ニジーナと怪物軍団の一斉攻撃で、ボロボロになるリズ。由香はゾンビナイトによって縛り上げられ手も足も出ない。

 しかし立ち上がったリズは、「おのれグロムウエル、せ、せめて一太刀・・・」

グロムウエルに突進した。

だが、玉座に取り付けられている重砲が一斉に火を噴き、リズの体は崩壊した。

「お、のれ・・・・」

「ガッハッハ・・・おろかな。奴隷サイボーグの分際で宇宙の覇王であるワシに逆らうとは片腹痛いわ。ガッハッハ。」そして・・・
「こいつも一応は女・・・。せめて最後の情けをかけてやろうかのぉ」
グロムウエルは首のないリズのサイボーグ体を、自らの生まれながらの矛で貫いた。完全に破壊されるリズ。さらに・・・。

「おや、これはワシの大好物の脳みそじゃないか。サイボーグなので少し油くさいが、最近食ってなかったから我慢するか。ガッハッハ」グロムウエルは、リズの破壊された頭部から脳を取り出し、食べてしまった。

「リズちゃん!」

「博士、このガラクタを片付けろ」

「了解」ゾンビナイトはリズのボディを溶解して回収した。

「次は小娘、お前の番だ。が、お前は奴隷女とは違い、美しい。ただで殺したり食ったりするのは惜しい。まずはその無粋な仮面をとれ。さあ、そのかわいい顔をワシに見せろ。

イヒヒ。そして股を開くのだ。さあグロムウエル様とひざまずけ!」

「嫌よ!隼人君助けて〜!」由香の絶叫が玉間に響く。

急げ隼人・・・。

 だが隼人は、今宿命のライバルとの決着をつけていたのだ。(101〜103話は時系列上同時進行)

続く。