第101話 壮絶!女の最後の戦い
戦いはいよいよ最終局面に入った。
グロパレスへ突入した隼人と由香を追って、陸戦隊と香織も突入した。
そして、エドワルドと麻里子も。
隼人は妊娠が発覚した由香を残して独り、敵を求めて突入していったが、由香もマザーガラシャの奇跡の力で戦線復帰し、隼人を追った。
迷路のように入り組み、しかも生体であるグロパレス内部では、一度別れとしまうと、なかなか再会は難しい。
隼人と由香を助けるはずの香織も、また、二人に会うことなく、最強のライバルと対峙しなくてはならなくなつたのだ。
その頃、エドワルドと麻里子は、迫りくるガードロボットや兵士たちを倒しながら宿敵グロムウエルを求めたが、無念にもゾンビナイトの罠に嵌り、囚われの身となってしまった。
十字架に架けられ、グロパレスの神殿に運ばれる二人・・・。
そのことを隼人はまだ知らない。
そして、その隼人も、グロムウエルとまみえる前に、宿命のライバルが立ちふさがったのだ。
ジャガーナイト・・・。その正体は、少年時代からの親友で最大のライバルである、段田大介であることは間違いないのだが、彼は黒豹の仮面に閉じ込められ、闘争本能だけで襲い掛かってくるのだった。
そして、由香・・・。
元々、彼女は戦闘用サイボーグではない。全身を覆う超合金バルディニウムXXも、あくまで生命の維持のためのものであり、戦うためではないのだ。
しかも、彼女は戦士というにはあまりにも可憐で優しすぎる性格だった。
鋭いキックも、正確な射撃も、自慢の薙刀も・・・。
全て、相手の武器を正確に狙い撃ちしたり、急所を外して気絶させ、命を奪うことはなかった。
だが、敵は残忍で執拗であり、その情けが仇になることも多い。隼人が一緒であれば、彼が容赦なく倒してしまうのだが、今彼女は一人だ・・・。
完全にガードロボットの群に囲まれて絶体絶命だった。
そして、場面が変わって、香織・・・。
「待っていたわ。私と勝負よ!」
「フ.あんたの相手をしている暇はないわ」
「そうは行かないわ。あんたにはわたしと同じニオイがする。闘いたい、ヤリたい、そういうニオイが」
「よく喋る女ね。」
「お黙り!」
「やはり、あんたとの勝負は、避けて通れないみたいね。行くわよ!」
身構える2人。
2人の姿は、色こそ違うが、全く同じであった。
そう、2人は、同じ設計図を元に、同じ材質(バルディニウムXX合金)で作られた改造人間なのだ。
最初にプロトタイプとして改造されたのが香織。それを元に決定版として改造されたのが由香。そして、盗んだ図面と、戦いの中切り落とされた由香の腕の金属細胞から作られたのがニジーナだったのだ。
それぞれ、サイボーグとしてのコードネームは、
「プロティーナ」=香織(ボデイカラーは赤)
「バルディーナ」=由香(ボディカラーはピンク)
「ワルディーナ」=ニジーナ(ボデイカラーは黒)
である。アクセントカラーは全員黄色である。ちなみにバルディバンはボデイカラーが紫、アクセントカラーが赤となっていた。
後から改造されたニジーナのほうが性能が良い、と思えるが、自らも開発スタッフである香織は常に自らの体をアップデート改造し、戦闘用にチューンナップしていた。
さらに、スポーツ万能で運動神経抜群な彼女は、格闘能力では宇宙最強の戦士であるバルディバン、隼人にも伍している実力者だ。
隼人のサイボーグとしての能力を引き出すための訓練を施したのも、彼女なのだ。
一方、ニジーナもまた科学者であり、宇宙でも随一の悪知恵の働く悪の華であった。
相手の弱点や心理を衝いた卑怯な作戦と、女の武器を駆使した戦法で、数々の強敵を倒してきた。
隼人に土をつけた唯一の人物でもあるのだ。
そして、2人は、元々の性格、能力に加え、改造人間としての宿命として、異様なまでに性欲が旺盛だった。
彼女たちの肉体は、卵巣から発生する女性ホルモンを元に合成されるのだが、それは性交によって増幅・生成される。
由香は、隼人とだけチャージするため、貞操回路を兼ねたパートナー回路が組み込まれており、隼人以外の男性とはチャージできないが、ニジーナと香織は、相手を選ばずチャージするのだ。
生身の普通の男なら、精力を吸収されてしなびれて老化したり死んでしまうほどの性欲なのだ。
そして、この2人は、由香以外で隼人とチャージした経験をもつ唯二の存在でもある。
元々、バルディバンのパートナーとして設計されているので、当然結合できるのだ。
ぶつかり合う黒い鋼と赤い鋼。
力強く、メカニカルな中にも、妖しげな女のニオイを撒き散らしながら、激しく戦う二人。
「イャー!」
「トォーーーっ!」
上になり、下になり、激しく絡み合い、罵りあい、悲鳴と奇声を上げながら戦う二人。
2人は、同時に同じことを言い放った。
「これって邪魔よね。」2人は、仮面を脱ぎ捨てた。
香織の赤い仮面が取り払われると、中からは高く結んだポニーテールが現れた。
ニジーナは猫科の猛獣のようなしなやかな短髪である。
仮面をとってしまうと、防御力が大幅に低下するほか、機密性が失われ宇宙空間や水中では活動できなくなる上、視界は前方だけになり、視力もせいぜい人間の10倍程度になり、レーダーや通信機も使えなくなる。
だが、(由香もだが)彼女らは、仮面を著しく嫌った。
それは、三人とも自らの顔に絶対的な自信を持っており、その素顔こそが、手にした武器や胸のビームをも上回る、最強の武器であるということを知っているからだ。
また、特に長い髪を持つ由香と香織にとっては、それを閉じ込められるのも苦痛である。
一進一退の勝負が続く。
そして、ついに痺れをきらした香織は、最後の手段に撃って出た。
やはり、後から改造されている上、グロムウエルとチャージし悪の生体エネルギーを持つニジーナに、試作品の香織は苦戦したのだ。
「ニジーナ・・・。女の力では、残念ながら私は貴女には勝てないみたいだわ。だから、私は・・・。男になって貴女を殺す!」
「え、男に?」
「そう、これで・・・」
香織は、膣内に隠し持っていたバイブを引き抜いた。
そして、それをクリトリスにセットしたのだ。
「うううーーーーっ」苦しみもがく香織。
チャンス、とばかり攻撃をかけようとしたニジーナも一瞬のけぞるほどの痙攣と、赤熱・・・。
それがおさまったとき、香織の姿は、赤いバルデイバンに変わっていた。
「これは、私の本来のパートナーだった男の全てを封じたもの・・。その力を借りて、私は今、男になった!覚悟しな雌狐!」
「愚かな・・・!女であればこそ無限のエネルギーを発生できるものを・・・」
「問答無用!」
プロティバンになった香織のパワーは、25倍になっていた。完全に圧倒されるニジーナ。
しかし、心の中でほくそえむ彼女。
「ふふ。香織はやけくそになって男性型サイボーグに強化したつもりだわ。次にやることはわかってる。このわたしを犯すつもりね。でも、同じ図面を使っている以上、私に差し込めば、逆にあのパイプは私のものに・・・。それに私のほうが栗が大きく、男性ホルモンは多く出ているはず。さあ、私を犯すのよ・・・」
だが、香織はそのことを知っていたようだ。あくまで打撃で責めてくる。
「おのれ・・・。嫌が上でも犯させて、あの男の力を奪い取ってやる・・」
ニジーナは自ら挑発するようにしたが、香織は動じない。
「バカね! 体は男になっても、心は女なのよ!」
「おのれ・・・!男になり隊のは、むしろニジーナのほうだった。
ところが・・・。
戦いが長引く中、香織の肉体に異変が起きてきた。
激しい拒絶反応が起きたのだ。
彼女は、元々女だ。それを機械の力で無理矢理男にしたため、拒絶反応が起きたのだ。もしニジーナのように、その力を得て身も心も男になろうとするならいざしらず、香織は自ら、肉体は男になっても心は女のままだと自覚している。
火花と白煙を噴きながら、香織の体はあちこちがプロティバンとプロティーナが混ざった不安定な状態になった。
このままでは、自爆あるいは自己崩壊してしまう・・・。
「もらったわ!香織、あんたの最期よ!」この千載一遇のチャンスに、渾身のパンチを繰り出すニジーナ。肉体や装甲が不安定になっている今なら、その首を落とすことが出来る・・・。
「キャーーーーーーつ!」しかし、悲鳴を上げたのは、ニジーナの方だった。
全てのパワーを振り絞った香織は、ニジーナの陰部を拳で突き破り、内部の人工子宮、彼女たちの、唯一で最大の急所を握りつぶしたのだ。
しかし、香織も仮面を割られ、顔から血を流し、さらに拒絶反応で小規模な爆発が全身に起き、痙攣している。
香織の肉体は、男性型メカ、女性型メカ、そして生身の女性の部分がまだらになって、メカ部分の熱が生身の部分を焼き、生肉の焼ける悪臭を発生しながら激しくスパークした。
ニジーナも、しばらくはもがいていたが、やがて・・・。
2人のサイボーグ女戦士は、そこで焦げたスクラップとなって動かなくなった。
死んだのではない。
だが、もはや自力での再生や再起動は不可能。昏睡状態の脳を残したガラクタ人形と化してしまったのだ・・・。
「耕司・・貴方の力で、勝てたわ。もう、貴方のところに行ってもいいかしら・・・」
香織は、最後にそうつぶやいた。
そして・・・。
「何じゃこれは?」
エドワルドと麻里子を捕らえたゾンビナイトは、生命源とも言える人工子宮を握りつぶされ絶命したニジーナの遺体を発見した。
「・・・・」
ニジーナは、ゾンビナイトに回収されていった。
そして、その直後、細川博士がそこに突入してきた。「香織君!」
抱き起こす博士だが、反応はない・・・。
装甲宇宙服越しにも、熱さを感じる。危険な状態だった・・・・。
そして、その頃、隼人も、由香も・・・。
それぞれが大ピンチだったのである。
続く