重機動警察ポリスボーグ

新武6年。高度に機械文明が発達した日本。そのころ、花札総理大臣は「ジャパンイズオンリーワン」を掲げ、反日的政党を非合法化し、すべてのテレビを1年ごとの入札による認可制として、またそれらと繋がる清国、金氏朝鮮との国交を断絶し、大西洋の覇権を目指す英国と同盟して太平洋の覇権を目指していた。しかし、非合法化された、それら日本を否定し、大陸・半島の意のままに日本を作り変えようとする者たちは、闘争民主党を名乗り、地下に潜り、やがて自らの肉体を改造して蜂起したのだった。彼らは普通の人間の姿で突然貴金属店、銀行、警察署、公共機関に入り込み、突如サイボーグ体に変身して殺戮と略奪を行い、その神出鬼没の暗躍に政府も頭を悩ませていた。
闘争民主党の実質的リーダーの汚沢悦郎議員は、日本をテロリストの支配する国に作り替え、その後ろ盾として清国への朝貢をして属国になろうと企んでいる、極悪非道の人物で、悪いことしか考えない人間の屑で、議員特権をかさにこれまでも悪事を重ねてきた。
 しかし、あまりにもあくどく、また出自が卑しいので党首になれず、また清国からも相手にされなかった。
 そこで、かつて全保守政党を合併して大日本帝国党を結成し首相を務めた鳩ケ谷太郎を父方の祖父に、世界のタイヤの90%のシェアを持つ、ウエストンタイヤ創業者の西橋欽一郎を母方の祖父に持つ、大金持ちで人を疑うことを知らないイエスマンで能天気な理想主義者の元友愛党代表の鳩ケ谷百合夫氏を傀儡とした。

しかしその一方で、一般市民の生活は現在とさほど変わらず、大都市以外では平穏無事な時間が流れていた。
都会とて、毎日テロが起きるわけでもなく、たまにニュースになる程度であった。

 そんなある年の夏、帝急高井戸線の花田山駅前交番に一人の新人婦人警官が配属された。
「おはようございます。今日からお世話になる、桜木由香巡査です。よろしくお願いします
長い髪が魅力的な、美しい少女であった。


「ワシが所長の新納博元警部じゃ。よろしくな」白髪の老警官が挨拶する。
「オレは有村俊。警部補だ。」筋肉質でこわもての警官だ。
「自分は小松学。巡査部長であります。」メガネをかけたまじめそうなおまわりさん。
「アタイは入来沙織・・・あ、由香じゃないの!」
「先輩」ボーイッシュな入来巡査長は由香の高校の先輩であった。
「おお、入来くんは桜木君とはしりあいじゃったのか。同じ女同士。しばらくは入来くんが桜木君の面倒を見てやってくれ。あと今日非番の連中があと4人いるんでそのうちぼちぼちな。」
 警察学校の訓練を終わったばかりの初々しい由香だったが、勤務態度はまじめで、その上何かと気が利き、見た目も美しかったのですっかり評判になった。
 ある時、有村が暴漢を逮捕した。その時制服のボタンがはじけ飛んでしまった。
「有村さん、制服をこちらへ。わたしがボタンつけておきますわ。」
「所長、肩をおもみしましょう。」
また、沙織と組んでの痴漢撲滅運動や交通指導にもまじめに取り組んでいたが、その一方で、
「あの~先輩。スカートの制服で勤務してもいいですか?」
「え?今時スカートなんて誰も穿いててないけど・・・てかあんたの代で支給されてんのかよ?」
「希望者だけ支給になってましたけど、誰も穿いてないんで怖くて。じゃあ明後日から着てきます
 由香の唯一の欠点というか、不思議な点は、異常なほど女らしいところであった。次の勤務日にスカート姿で出勤してきた由香はまるでアイドルの1日署長のようであった。
そんな姿を見て、「入来と桜木、足して2で割ると丁度いいんだけどな」と同僚たちはぼやいていた。
 

 

そんなある日のこと、由香と沙織は婦人警官対象の射撃訓練に出かけた。射撃訓練といっても、拳銃ではない。対サイボーグライフルの実技訓練だ。女性とは言えいつサイボーグと戦うかわからない。そのための訓練であった。
「ズキューン」「やったぜ!」沙織は訓練用アンドロイドを見事打倒した。一方、由香は反動でしりもちをついてしまった。「いやん」
 それを見て、教官が駆け寄ってきた。
「いいかい、腰を落として、そうすれば反動を最小限にできるぞ」由香の腰に手をまわし、手取り足取り指導するのは、インターポール帰りのエリート、島津隼人警視だった。
「由香ばっかりずるい!」他の婦警から一斉にブーイングがおきる。
 由香は隼人の指導でようやくアンドロイドに命中弾を与えた。だが、それは手首に命中した。
 「なんだよ由香。せっかく島津様に指導されてそのざまかよ」
「君、それはちょっと違うな。えーと長い髪の毛の君、この銃でもう一度やってごらん。」
島津は、由香に拳銃型のビームガンを渡した。すると、またしても由香の射撃はアンドロイドの右手首を吹き飛ばした。
「君ははじめから右手首を狙っていたんだね。」
「ええ。悪者さんでも、命までは奪いたくなくて。でも武器を持っている右手を狙えば、攻撃できなくなると思ったんです。」
「君はなんと優しい子なんだ。その気持ちを忘れてはいけないよ。だけど、テロリストに対しては時として非情な決断をしなくてはならないことも覚えてほしい」
「その銃はきみにプレゼントしよう。」
「ずるいなお前」こうして再び日常の勤務に戻った由香と沙織だったが・・・。

 運命の日はやってきた。由香と沙織は、花田山第三小学校で自転車教室の指導をしていた。
その時、花田山第三小学校に、ゴリラボーグが襲い掛かってきたのだ。
 逃げ惑う子供たちを庇い、必死に応戦する沙織と由香だったが、ゴリラボーグには全く効果がない。
交番から駆け付けた有村も逆に投げ飛ばされ、骨折してしまった。そしてついに、逃げ遅れた1年生の男の子を庇うため覆いかぶさった由香は、ゴリラボーグに締め上げられてしまった!キャーーーーー」


校庭に響き渡る由香の悲鳴。全身の骨が折れ、口から血を流して失禁・脱糞

してその命は風前の灯火だ。しかもテロリストの銃撃まで加わる。




「ああ、わたし死ぬんだわ。五郎ちゃんの世話はどうしよう・・・・。」
実は由香の父・桜木次郎警部(死後警視に特進)も警察官だったが数年前殉職し母は幼いころ亡くなり、由香は高校生の時から小学生の弟・五郎を養っていたのだ。
その時、ひときわ大きな爆音。
ヘリが到着し、特殊部隊が駆け付けたのだ。そして超大型対サイボーグライフルが火を噴き、ゴリラボーグは左肩から先を吹き飛ばされ、撤退していった。
「おい、しっかりしろ!」由香は何者かに抱き起されたが、その意識は薄れていった。
島津だったような気がする。


 翌日の新聞には「美人警官、テロリストの襲撃で重体」との記事が載り、日本中がその回復を祈ったが、やがて事件は風化していった。由香が助かったのか、死んだのかはもう誰もわからなかった。
 そして2か月後、左腕を完全に機械化したゴリラボーグが再び現れ、銀座の宝石店天宝堂を襲った。
ショーケースを叩き割り貴金属や時計を奪い取るゴリラボーグ。
 その時である。
「悪党!もうそこまでだ!白衣の男が叫ぶ。
胸を叩ていて興奮したゴリラボーグは、白衣の男を含む特殊部隊の方へ突進してきた。その時!
「行け!ポリスボーグ!」

 

 

濃紺とシルバーメタルの装甲を身に着けた、ロボット警官が現れる。
テロリストの銃弾を跳ね返し、ゴリラボーグに向かって突進していく。
そして、胸の桜の代紋が開くと、5連装ガトリング砲が現れ、バリバリと火を噴いた。


ゴリラボーグは肉片と壊れた機械の残骸の混じった生ごみになりはてた。
 これが、警視庁の誇る、「重機動警察ポリスボーグ」の初陣であった。そしてこれが、闘争民主党との果てしない戦いの始まりでもあったのだ。