マリーシリーズ 転結!カンガルーアーマー!

 

 ハーイ♪わたしマリコよ!見てのとおり一児の母、フツーの主婦だけど・・・・。

本当は宇宙刑事なの。そのことはナイショよ♪

旦那のケン坊も宇宙刑事。しばらく宇宙出張で留守なの。帰って来たらたっぷり可愛がってあげなくちゃね。

 

 今日は息子のマリオを連れて近所の郵便局へ・・・。お手紙もお金下ろすのも、息子の保険もみんなやってくれるからすごく便利。なんといってもこの山奥ではほかに金融機関もないし・・・。

 

 「いらっしゃいませ」

ガタン 「あ、ごめんなさい・・・お、お怪我はありませんか・・・。」

 お辞儀した拍子にカウンターの書類や預金者にプレゼントするポスト型貯金箱を落としてしまった若い局員・・・。赤や黄色のポストは無残にも砕け散ってしまった。

「オギャー、オギャー」泣き出してしまったマリオだけど・・・・

 このマリコ様の微笑で一発で泣き止んだわ。

「ちょっとハルコちゃん、これで何個目?もうポストの見本ないわよ!」

 叱り付ける局長さんも女性。

「あら局長さん、大丈夫よ。今日はあれとこれと・・・それからあれもお願いね」

「かしこまりました。はい、ハルコちゃん、はい、それ!」

 本当、郵便局って便利よね。

 このドジっ子はこの春高校を卒業して採用されたばかりの、塩崎遥子ちゃん。局長さんは小野田征子局長。若い頃は郵政省のアイドルだったんですって。今でも面影があるわ。まあこのわたしには全然かなわないけどね。

 

 さーて、用も済んだし・・・。かーえろっと♪

 

ところが、帰路についた途端・・・。

「キャー!」局長と遥子ちゃんの悲鳴が・・・。

強盗だわ!

 急いで駆け戻ると・・・・。

 

 強盗なんて生易しいものじゃなかったわ。真っ赤な茹蛸みたいな怪人が・・・。

 

 

 怪物が遥子ちゃんを、白髪の悪人が局長を捕らえている。

 「待ちなさい強盗さん!要求はなんなの?」

「何だこのアマは?局長やこのガキよりこっちが美味そうだな・・イヒヒ」

「おいタコラザード、目的を忘れるなよ」

「ヘイ、ボス・・・」

 「我々は強盗などというチンケなものではない!この世から郵便局を無くすために天から使わされた神・ダークコズミック様だ!郵便局が民業を圧迫し、官僚の利権になっているとこの神であるわたしに通報があったのだ!」

 「ふーん、だったらなんで霞ヶ関の郵政省を襲わないのよ?大宮や八王子にだって本局あるわよ!」

「そ、それは・・・・」

ダークコズミックは、たまたま宇宙船で降下したとき直近にあった郵便局がこの山奥郵便局であることは恥ずかしくて言えなかった。

「黙れ、まずは目に入ったところからつぶしていくのがセオリーだ!やれ、タコラザード!」タコラザードは遥子ちゃんをホールドしつつ、客やマリコをも攻撃してきた。

 マリコにとって、この程度の敵は本来はチョロイ。しかし・・・。

「オギャー、オギャー」泣き出すマリオ。

赤ん坊を庇っては、戦えない・・・・。絶対絶命・・・・。

 そしてその触手はマリコにも・・・・。

 からめとられるマリコ・・・。

「マリオだけでも・・・・」

 ところが、そのときマリオのガラガラが光った。

 「あ、このガラガラはこの前幹冶クンが届けてくれた・・・・。ピンチの時はわたしも使えと言っていたわ・・・。よーし、一か八かやってみるわ・・・転結!」

 マリコは転結して触手を振りほどいた。すると・・・・。マリコの転結と同時に、マリオも光に包まれた。

 お腹をさすってみると・・・。なんと、宇宙刑事マリーのコンバットスーツの腹に、カプセルが張り付き、マリオが収納された!

 「宇宙刑事マリー・カンガルーアーマー!」

形成大逆転!お腹が大きいとは思わせないマリーの活躍で人質は解放された。しかし、タコラザードは人質を手放したことにより、よりマリコに攻撃を集中してきた。

 「マリオ、ママにチカラをちょうだい!」

「母は強いのよ!覚悟!マリー・マドンナフラッシュ!」

 マリーの腹から放射された神秘の光がタコラザードを包む。

「うわーーーっ」

 

「今だわ。マリー・レイピア乱れ斬り!」

全ての足を切り落とされたタコラザード。

「こんどは自称神様、あなたの番よ!」

「わたしをなめるなよ!」剣を身構えるダークコズミック。

 ところが・・・

「貴様も用済み、道連れだ!」瀕死のタコラザードが猛毒の墨を吐いてきた。

「うう・・・」苦しむダークコズミック。

「イヒヒ。神様気取りで気分が良かっただろう。死ね!」

「許せないわ!マリー・ピンクバスター!」

マリーは大型バズーカでタコラザードの弱点の口を貫き、絶命させた。

 「大丈夫?マリー・スイートシャワー!」

「かたじけない・・・。」

そこに、新手の円盤が現れた。

しかし疲れきったマリコはもう戦えない。

だが、その必要はなかった。

「父上、ご無事でしたか!」

「おお、息子よ!」

「父上、この浄化依頼は偽書です。地球政府は郵便局の破壊は依頼していません。ワルモンダーの陰謀だったのです」

「何だと?それはすまないことをした。ただちに郵便局を再建しよう」

「父上、間違いとは言えワルモンダーに加担した罪で隠居していただきます。これからは私が宇宙の正義神として悪を懲らしめます。宇宙刑事マリー殿、再建の手配はとりました。このたびは大変失礼しました。しかし、宇宙の神は私ということはお忘れなく。貴女たち宇宙警察の手を借りるまでもなく、ワルモンダーはこのぼくが全滅ざせますから子守でもしていたまえ。」

「あかんべー!」

爽やかでイケメンだが、父親以上に傲慢なこの青年はいったい?

 何はともあれ、駐在所のとなりの仮設で営業を再開した郵便局。

遥子ちゃんはあいかわらずドジで局長に叱られてばかりいるけど、その笑顔は村人たちを癒しています。

 あ、ケン坊が帰ってきたわ・・・。それから、マリオのオムツも替えなくちゃ。

 

じゃあ、またね♪バイバーイ

 

続く。