平安京エ○リアン

 

宇宙刑事ケインこと篠田健一です。僕がケンタウロス星でマグダレナ姫を救出していたとき、妻のマリコは郵便局を襲った怪物を倒していました。

久しぶりに家族三人水入らずです。

そんなとき、親友で宇宙刑事犬使いの酒井幹冶が訪ねてきました。

「おい、健一、上手くやっているようだな!もっと上手く行くように、俺が来たんだ。

夫婦二人で休暇とってこいよ」

「でも真理男が・・・」

「大丈夫だって。この子ら連れてきたから」

「あ、ターミーとミーナちゃん!」

「こんにちは」

「でも、大丈夫?」

「あらケン坊、ターミーはともかくミーナちゃんならあんたより上手よ」

「おい、マリコ、オレだって出来るよ!」

「そ、そうね・・・」

「というわけだ。もし悪者が来たときは俺とシャルルが倒す。ほら、チケットだよ」

「ありがとう幹冶クン!せっかくよ、ケン坊、行くわよ」

 

 こうして僕とマリコは一路京都へ・・・。修学旅行以来。マリコは初めてだそうではしゃいでいます。

 

そして御所や五重塔、梅小路の蒸気機関車、二条城、清水の舞台を見て・・・。夜は舞妓さんの登場です。

 「おいでやす・・おっとと・・・・」

少しぎこちないが初々しい舞妓さんだ。

席が終わった後、思いがけずその舞妓さんと出くわした。

「あ、さっきは・・・・ごめんなさい」

「いいのよ。嗚呼わたしも舞妓さんになりたいなあ」

「だめどす!」

「どうして?」

「・・・うちより美人はんどすから!」

僕は何もいえなかった。

「お客はん、うち、けいどす。横谷けい。「おけいはん」と呼んでな。」

 

 

そしてホテルでの一夜。シャワーを浴びて、さあ合体、というとき・・・・。

 僕には聞こえなかったが、マリコは突然僕を突き放し、立ち上がった。

拒絶の意味と捉えた僕は一瞬悲しかったが、真理子の野生の感が事件をかぎつけたのだった。

「行くわよケン坊!」

静まった夜の京都。誰もいないはず。物音ひとつしない。

だが、そこに恐怖はあったのだ。

「キャー!」こんどは僕にも聞こえた。

「ケン坊、あの悲鳴はおけいはんよ!」

旅館から寮に戻る途中のおけいはんが、怪物に襲われていたのだ。

「待て、化け物!」

僕とマリコは連係プレーで怪物を倒し、おけいはんを助けた。

しかしおけいはんはおびえている。

「おおきに・・・。やけど、うちだけやないんや!さっきも・・・。うち、みたんや・・・。地面から手が出て尻尾が出て・・・。ほかに何人か穴に・・・・」

「なんだって!」

そういっている先に、マリコが地中からの手に捕まった」

「キャー、ケン坊、助けて!」

だが、僕も・・・。

しかし、僕はこれを振りほどくと転結した。

「化け物め、宇宙刑事ケインが相手だ!マリコさん、つかまるんだ!」

間一髪マリコを掘り出した僕は、暗視バイザーを駆使して闇に潜む敵を倒す。

そして、マリコも転結した。マリコはおけいはんを抱きかかえて五重塔の4階にジャンプして戻ってきた。

「ケン坊、敵の本体は地面の下よ!こんど捕まれたら、わざと引きずり込まれるわよ!」

「了解!」

僕たちはわざと敵に捕まった。そして見たのは驚くべき光景だった。

それは、京都の地下に、もうひとつの大都市が建設中だったのだ。

 

 「よく来たな宇宙刑事の諸君。我々はマジソン星人だ。我々の星は事故により宇宙船4機に同時に突っ込まれ消滅した。そこでここに移住することにしたのだ。地面深く君たち地球人には迷惑をかけないよう静かにくらすつもりだが、秘密の入り口を見てしまった者はかわいそうだが始末した。諸君らにも死んでもらう。」

「ふざけるな!」

「交渉決裂だな。仕方ない・・・。宇宙刑事の相手だ。我々の中の最強の戦士と戦ってもらおう。いでよアドニス!」

 

「おう、ボス!」

他の怪物よりは人間に近いシルエットで、長髪にチェーンを振り回す大男が現れた。

「オレはバイオレンスソルジャー、エイリアン=アドニス様だ。覚悟しろ!」
相手にとって不足はない!真理子さん、行こう!」
「OK、ケン坊♪」


だが、アドニスは強かった。

アドニスのチェーン攻撃は僕たち二人を同時に攻撃できる。それだけではない。彼はパンチやキックも強烈だった。
「ケン坊、たすけて・・・」そのうち、ついにマリコが捕まってしまった
「はい!」すばやく真理子を救出した僕。そして、マリコも転結!


 
しかし・・・。変身してもアドニスのほうが強かった。絶体絶命・・・。。

「ケン坊、私ごと自慢の剣で刺し貫くのよ!」

「それは出来ない。でも僕はアドニスを倒す!」

「ならわたしも戦うわ。ケン坊、わたしのパワーをあげる!」

マリーのヘルメットの額のハート型のメカが激しく光り、僕に向けてビームが発射された。それを浴びた僕に力がみなぎった。

「いくぞアドニス!」

斬りかかる僕の剣にアドニスのチェーンが絡まる。だがそのチェーンを粉砕して、僕はアドニスの脳天に剣を突き立てた。断末魔を上げるアドニスはマリコを離した。だが、マリコは僕に全エネルギーを与え力尽きている。コンバットスーツも解除され、地下のため転送装置が働かず元の衣装が転送されないので全裸になってしまった。

 「アドニスがやられるとは・・・・」

「市長、今度は貴方の番だ!」

「待ってくれ・・・マジソン星人800万の命を君たちは見殺しにするつもりか!」

「ここは僕たちの星だ。侵略者の言葉は聞かぬ!」

「ならはこちらも地球人を皆殺しにしてこの星を乗っ取るまでだ!」

そのときである。

 「待ってケン坊!木星の衛星エウロパ。地球人は住めないけど、彼らなら住めると思うわ」

「わかった。多少不便そうだがここでアドニスを倒した君たちと戦えば、我々も大打撃を受けるであろうから、議会に諮ってみよう。しばし猶予を与えてくれたまえ」

「わかったわ。」

僕たちは市長の指示した抜け道をとおり、地上に出た。

「いけない、おけいはんを五重塔に置いたままだわ」

「じゃあ、僕が下ろしてくる。待っていて」

「だめよ。わたし裸よ。はだかのわたしをおいてくの?」

「わかった・・・じゃあ、こうだ!」

僕はマリコを抱えたままジャンプして五重塔に行き、おけいはんとマリコを両手に抱えて飛び降りた。

 そして夜明け・・・・・。

 

「みてケン坊、まるでかぐや姫の牛車みたい」

それは、朝日を浴びて木星へ向かったマジソン星人たちの円盤の列だった。

 もう夜の京都を歩いても彼らに襲われることはない。

後でわかったのだが、マジソン星が消滅した事故は、ワルモンダーの陰謀だった。彼らもまたワルモンダーの犠牲者だったのだ。

 

そしてその日。

「見て見てケン坊♪」

マリコさんの艶やかな舞妓姿にぼくも見とれてしまいました。でも、僕たちは宇宙刑事。

関東の留守を頼んだ幹冶から緊急連絡があったのです。

でもつかのまだけど有意義な京の旅でした。思いがけない交戦で疲れも残りましたが・・・。

 

 

続く。