キグナス大戦4話 堕天使ユビーノ!

 

クリスタルパレス侵攻部隊を撃退し、傷ついたサエッタを救出したマリコは、この星の調査を開始した。

 おぼろげながらに、自らにキグナス星人の血が流れている、そうでなければ自分はこの星には入れなかったはずだ。と考えたマリコの推理。

であれば、間違いなくキグナス星人ではないヲーキー将軍一味がどうやってこの星に入り込んだか。つまりは、誰か内部に手引きした者がいるに違いない。それを突き止めれば、おのずと敵の侵攻ルートを遮断できる、と考え、戦火の中ではあるが、街の中を歩き回ったり、キューティアローのコンピューターを駆使して情報を収集するマリコ。

 現地人に変装して情報を集めるマリコ。とりあえずロングヘアのウイッグをつけてみた。というのも、サエッタ以外に短髪の女性は存在せず、マリコの短髪はその長身もあいまって、目立ちすぎたからだ。

 

 その頃、自室のモニターで交信する一人の少女。モニターの中にはかなりのイケメンが。宇宙一般では十分美少女の部類だが、この星の女性たちは美人揃いのため、地味に見える。

 ニヤニヤとしながら貧乏ゆすりしてオナニーにふけりながらモニターの中の男との会話に夢中。話が終わると、少女は屋上に上った。

 背中のジッパーを静かに下ろすと・・・。彼女の背に小さな翼が生えていた。そう、通称「先祖がえり」だった。風に吹かれると静かに空に舞い上がった。それだけではない。翼から発するオーラの力で、宇宙へも飛び出すことができるのだ。

そう、バード星へ使者としてやってきたあの美少女と同じように。ただしその容姿は雲泥の差があった。もちろん、この彼女が不細工なのではない。あの美少女が美しすぎたのだ。

 彼女が飛び立った先は、ブラックホール外周の磁気バリヤに包まれた小型宇宙船だった。

「エロイカ様♪」「ユビーノちゃん・・・・」抱き合う二人。

キグナス星では男性の絶対数が少ない。よって大多数の女性は、他の星の女性より格段に美しいにもかかわらず、一生女の幸せ、女の快感を味わうことなく生涯を終える。年頃の女の子にそれはつらいことだった。そしてこのユビーノは自らが「先祖がえり」であることを悪用して、こうして異星人との逢瀬を重ねていたのだった。

本来、生まれつきのエリートであるはずの「先祖がえり」は、優先的に女官や侍女に登用されるはずである。モチーナとアキーシャも先祖がえりである。逆にサエッタは、武力も知力もあり、美貌も持ち合わせている上、将軍の娘でありながら、先祖がえりでなかったため侍女になれなかったのだ。

 だがユビーノは頭が悪く、要領も悪く、またこの星の基準では非美人のため登用されなかった。いわば、「落ちこぼれ天使」だったのだ。翼もやや小さく、大気圏内での飛行速度は遅く、外宇宙へも飛び立てなかった。

快楽にふけるユビーノだったが、その行動は宇宙刑事マリーに目撃され、監視の対象になっていることを本人は気づいていない。

そしてユビーノが帰った後、エロイカはその邪悪な本心をあらわにした。

「マキシマ様。次期降下部隊の降下地点を確保しました」

「よくやったぞエロイカ。帰ってきたら褒美をとらす」

「ははあ。マキシマ様のためならこのエロイカ、どんなことでも・・・」

そして翌日、マキシマ軍団の第二陣がワープしてきたのだ。ユビーノの羽を刺した塚の上に。その隊長の胸にも羽が。そう、ユビーノの羽を利用してマキシマ軍団を引き入れるスパイ、それがエロイカだったのだ。

 しかし、そのことは宇宙刑事マリーに察知されているのだ。

攻寄せる軍団を迎え撃つ、マリーと傷の癒えたサエッタ!戦いの火蓋は今、切って落とされたのだ。

 

つづく。