キグナス大戦 7話 さらばキグナス星

 

 キャー

 エロイカが操縦するイカロボに捕らえられたキリカ姫、モチーナ、アキーシャ、サエッタ・・・・。

 その触手に姫たちが捕らえられているので、宇宙刑事マリーやクラーク将軍は手も足も出ない。

 触手から胴体に姫たちを取り込んだロボは、ぐんぐん上昇し脱出しつつあった。

 その先には、女帝マキシマの旗艦が・・・。収容するつもりらしい。

 

 そして、姫が捕らえられてから、突然暗雲が・・・。

 そう、姫の存在と、歴代女王の精神体の反応がこの星の太陽がわり・・・。

姫がいなくなれば、暗闇の星になり、草は枯れ、鳥は死に、人々は闇に封じられる。

 そして姫の生き胆を食べれば不老不死になり、若返ると言われている。

 エロイカを通じてそのことを知ったマキシマは、ヲーキーに命じて侵略の魔の手を伸ばしてきたのだ。

しかしこの星に出入りするためには、「天使」または「先祖がえり」といわれている星人の娘の手引きが必要だった。 

 そこで目をつけられた娘が、男性との交際や性交を夢見ていたユビーノだった。

 例外的に突入できたマリコはキグナス星人の血を引いていると思われた。

 

 イカロケットを打ち落とせば、姫も死んでしまう。絶体絶命だ・・・・。

ところが・・・・。

 

「待って!わたしも連れて行って・・・!」

 白い翼を広げ、ロボイカを追いかける一人の少女・・・。ユビーノだった。

「ユビーノちゃん、やめろ!」

 

 ユビーノは翼が折れるほど羽ばたきロボイカに追いついた。

「うわーーっ、定員オーバーだ!」

定員オーバーになったロボイカはゆっくりと降下してきた。

そして墜落・・・。投げ出される姫たちだったが翼を広げて軟着陸。翼のないサエッタはマリコが受け止めた。

 

 「おのれ・・・おまえのせいで・・・」エロイカはユビーノに斬りつけた。

「エロイカ様・・・」

「許せない!」マリーはロボイカに挑みかかった。

しかし、ロボイカは飛べなくとも戦闘力は強く、マリーは触手に絡め取られてしまった。

 しかも、マキシマ艦までが降下して攻撃してきた。

だが・・・。

 「ものども、今こそキグナス戦士の意地を見せろ!」

 クラーク将軍や郷士たち、また駆けつけてきた正規兵士の生き残りたちが勇敢に立ち向かう。モチーナも石を投げて応戦、サエッタも戦う。

 アキーシャは姫にぴったり寄添い盾になろうとしている。

だが、機械化されたマキシマ軍団に、古代的装備のキグナス軍は大苦戦。

 

そのときである。

 空がきらりと光った。

真っ白い鳥が羽ばたいてくる。

「はーい、みんなお待たせ♪アユユが宇宙刑事ギャバン隊長とシャリバンさん、シャイダーさんを連れて来たわよ♪」

 使者としてバード星に派遣された天使アユユは意識を取り戻し、最強の宇宙刑事を連れてきたのだ。

形勢大逆転、マリーはイカロボの触手から脱出、これを破壊した。

 「畜生・・・ババア、貴様を殺してやる・・・」

 しかし、メカに頼りすぎたエロイカはマリーの敵ではなかった。

「エロイカ君!貴方だけは絶対許せないわ!覚悟!」

「黙れババア!」

「マリー、処刑の許可を与える!」

「OKギャバン隊長!」

「「マリー・レイピア!」

「うわーーーーっ!」

マリーのビームレイピアがエロイカを貫く。断末魔をあげたエロイカ。

それを見たマキシマ母艦は脱出した。

「おのれ、このわたくしが生きている限り、いつか必ず姫を食ってやるからな・・・。それとうちの旦那も取り返してみせる!」

 ドルギランが追うも、ワープした後だった。

 戦いは終わった。

 

 「お父さん!」父に駆け寄るモチーナ。高いが終わり感情を抑えきれなくなったモチーナ。

「モチーナったら、お父さんやお兄さんを亡くしたサエッタが見てるのに・・・」と皮肉を言うアキーシャだったが、誰にも止められなかった。

 

そして、倒されたエロイカにすがって泣きじゃくるユビーノ。

「エロイカ様・・・。本当に好きだったのに。連れていって欲しかったのに・・・」

 

 そして、戦いの後・・・・・。

「みんな、わたしのために・・・ごめんなさい」

「姫、そんなことはありません。姫あってのキグナス。そのためならわしらの命など・・・」

しかし、あまりにも犠牲は大きかった。ただでさえ少ない兵士の過半数は戦死し、特に二人の将軍のうち、マッキー将軍は戦死し、跡継ぎのライデン少佐とサンダー大尉も戦死した。居城クリスタルパレスも崩壊し、美しい山野も蹂躙された。

 だが、クラーク将軍は、

「姫、このサエッタの働き、男にも勝るものでした。亡きマッキーに代わり、将軍に任じてはいかがでしょうか?」

「でも、あたし、女だし・・・。まだ子供だし・・・」

「しかし今、この星にそなた以上の戦士はおらぬぞ。」

沈黙がしばし。

そのとき、口を開いたのはマリコだった。

「姫様、将軍・・・。お願いがあります。サエッタちゃんには、宇宙刑事としての素質があります。バード星で訓練を受ければ、わたしより強い宇宙刑事になれます。その上で、キグナス担当の宇宙刑事として着任させたいのです。」

ギャバン隊長も、「それは名案だ。その間、交代で宇宙刑事を派遣しよう」

「かたじけない。姫、いかがでしょうか?」

「サエちゃんとお別れするのはつらいわ。でもきっと立派な宇宙刑事になってわたしのところに帰ってきてね」

 サエッタに抱きつく姫。

 また、モチーナはその活躍により侍女から女官長に昇格し、その後任にはアユユが選ばれた。

 また、ユビーノは、犯罪人として死刑になることになった。しかし、

「ユビーノちゃんは利用されただけよ。許してあげて」

と姫の声がかかった。

「しかし、マッキー以下この女のためにあまりもの多くの犠牲が・・・。死刑は取りやめるにしても、何らかの罰を与えなくてはなりません。姫、ご決断を!」

結果、ユビーノは翼を切断された上、月(キグナス星の)へ追放されることになった。

 だが、ブラックホールに飲み込まれる前、宇宙への玄関口だった月は、実は本星より発展しており、ユビーノはそこでアイドル的存在になってしまったのだった。

 

 こうして、しばしの平和が訪れたキグナス星。ギャバン隊長らは一足先に帰還した。

そしていよいよマリコがバード星へ帰ることになったその日・・・

姫、モチーナ、アキーシャ、アユユ、クラーク将軍らに見送られたキューテイアロー。ナビ席にはサエッタ。コンテナにはヲーキー将軍の檻を入れて引きずっていった。

 

そして・・・・。のちにサエッタは激しい特訓に耐え、宇宙刑事フィルゴーレになったのであった。

平和が戻ったキグナス星。クラーク将軍父娘を中心に、復興に全力を挙げている。

蘇れ愛の星・・・・。

 

 

しかし・・・。

 悪の張本人、女帝マキシマがまだ生きている。キグナス星はともかく、また他の星が狙われる恐れもあり、彼女は早速、ヲーキー及びエロイカに代わり、宇宙犯罪組織ワルモンダーと密かに手を結んでいることをマリーは知らなかった。

 

 

 

 

「オギャー、オギャー」

「マリコさん、真理男が・・・・」

 

現実に帰る篠田夫婦。「マリオちゃん、よしよし・・・」

授乳するマリコは聖母のようであった。こんな彼女が全宇宙を舞台に戦い抜いた宇宙最強の女であることは、今の健一には信じることはできなかった。

しかし、サエッタの壮烈な過去も知ることが出来、心のつかえもとれた健一。

そんな健一に、

「ケン坊、マリオは寝付いたわ。さあ続きよ・・・」再びマリコに強く求められる健一・・・。

 

しかし、そのときSOSをキャッチしたのだった。

「マリコさん、ごめんなさい、出動です!」

「がんばるのよケン坊♪」

 

宇宙刑事ケインの活躍はまだまだ続くのだ。

 

キグナス編 完

次回から通常編。お楽しみに。