キグナス大戦2話 迫りくるマキシマ軍団

 

 ブラックホールの中の楽園、キグナス王国・・・。それがこの星の名だった。数億年前ブラックホールになったが、多くの住民は他の惑星に逃れてそれぞれの星の猿人と交わり劇的な美的進化をもたらしたと伝説には言われている。ほとんどが美しい女性で、白い翼を持っていた。他の星では、彼女たちは「天使」と呼ばれていた。

 しかし、女神とも言うべき女王の奇跡で、星に残った者たちも生き延びていたのだった。

 翼は退化し、男性の割合も増えた(それでも人口の2割以下)が、長い間ブラックホールにさえぎられ、他の星とのかかわりを一切もたず、平和に生きてきた。

 他の星の攻撃もなく、猛獣も存在せず、ほとんどが女のため、争いや武器はほとんど存在せず、実にのどかな星だったのだ。

 ところが今、その愛の星は滅亡の瀬戸際に立たされていた。

 数億年ぶりにこの星に攻め込んできたカークランド星の女帝マキシマと、その夫ヲーキー将軍の魔の手が、殺戮と暴力の限りを尽くしていたのだ。

 この星にも一応軍隊は存在し、数少ない男性のほぼ全員が戦士を職としていた。が、この星には戦車も航空機も存在せず、それどころか銃も大型の刀剣も存在せず、存在するのは銅剣と細身の剣、弓矢ぐらいで、他には投石しか攻撃手段は存在しなかったのだ。

 そこに迫るマキシマ軍団の機械化師団。一方的な殺戮に、抵抗することはほぼ無意味であり、戦士たちは次々力尽きていった。

 そしてここは、兵団長マッキー将軍の露営。

傷ついた兵士が、よろめきながら棺を引きずってきた。

「閣下・・・。申し訳ございません。ライデン少佐も戦死されました・・・」と言い残すと力尽きた。彼が引きずってきた棺には、将軍の長男、ライデン少佐の遺体が・・・。

「ライデンも逝ったか・・・」

ライデン「も」というのは、既に次男のサンダー大尉は女官たちの盾になり、壮烈な戦死を遂げていたからだった。

 「お兄ちゃん・・・」泣きながら棺にすがる少女。

 だが、将軍はその少女の髪を掴むと、「泣くな!」と一喝し、その服を剥ぎ取ってしまった。そして、息子の遺体から鎧を剥ぎ取ると、少女に無理やり着せ、

「今日からはお前がワシの三男として、姫のために戦って死ね!お前は今日から男だ!」

「おとうさん・・・」

「泣くな娘よ。お前には何一つ娘らしいことをさせてやれなかったが、これが武門の定めだ。明日の総攻撃はワシが直接指揮をとる。あとはお前が男になって姫と、我家の名誉を守ってくれ。」

 そして翌日、マッキー将軍もまた壮烈な戦死を遂げた。もう一人の将軍、クラーク将軍は重傷を負い、後方へ搬送され、そこに爆撃を受けて行方不明になってしまった。

 そしてヲーキー将軍の軍団はキリカ姫のいるクリスタルパレスに迫る!

だが男になった少女は勇敢に立ち向かう。

 かつて父・マッキー将軍はアクロバット・マッキーと呼ばれた軽業師だったが、それを髣髴とさせる華麗な連続攻撃で、マシンガンや斧で武装した敵を倒していく。

 「俺が、俺があいつを・・・。キリカを守らなくちゃいけないんだ・・・。そして父さんとお兄ちゃんと兄貴の仇を・・・」

 しかし多勢に無勢、ついに取り囲まれて集中攻撃を受け、鎧を剥ぎ取られ、貞操の危機にさらされる。まさに絶体絶命。

 貞操を奪われることは死ぬより辛いことなのだ。


「畜生、離しやがれ!」

「おい、こいつは女だぞ!」
「イヒヒ・・・」

「畜生、殺せ!この首をくれてやるから、それだけは・・・。俺みたいな男おんななんてお前ら興味ないくせに!くされ外道!」

「イヒヒ・・・」

嗚呼、絶体絶命・・・。


美少女騎士をまさに犯そうとした敵兵士の顔面が炸裂!

撃ったのは?

そのとき、「うっ」と声を挙げて敵の兵士は息絶えた。続いて蹴散らせされ逃亡する兵士たち。

「大丈夫、君♪」

 「あ、あんたは・・・」

 メタリックピンクのロボットのような戦士に抱き起こされる少女。

 ひどい傷を負っている。

だが、「離しやがれ悪魔!」

 その金属質の姿に、敵意を燃やす少女。すると、一瞬やわらかい光に包まれたロボット戦士は、背の高い短髪の美しい女性に姿を変えた。

 「大丈夫。わたしは敵じゃないわ。私はマリコ。バード星から来た宇宙刑事よ。キミは?」

「サエッタ。」

 そういうと彼女は気を失った。

 彼女をキューテイアローに連れて行き治療するマリコ。

 そしてマリコは知った。この星の危機を。そして、サエッタを助けてヲーキー将軍を倒すことをここに誓ったのだ。

 宇宙刑事マリーの壮絶な、しかしセクシーでキュートな激しい戦いの火蓋は、今切って落とされたのだ。

 

続く。