南海の大海戦(その1)5つの流星
南太平洋に5つの隕石が落ちた・・・。それから1月後・・・
濠太剌利は、突如浮上した巨大潜水艦の激しい艦砲射撃を受け、シドニー、メルボルン、キャンベラ、ブリスベーン等の沿岸部の都市は壊滅し、グロテスターに占領された。そして・・・
「宣戦布告。我々グロテスター海軍は、オーストラリアをほぼ占領した。だが、ただで戴くのも忍びない。そこで、我々の誇る潜水戦艦艦隊と、貴君らの艦隊による艦隊決戦を行い、我々が勝利した場合、正式に濠太剌利全土の割譲を求める。万が一我々が敗北した場合、わが海軍は地球から一時完全撤退する。なお、この戦いに怪人軍団の怪人及び、先頭ロボは決して参加させないことを誓う。グレートロイヤル星海軍司令長官・ウインタービル大将。」
なお、怪人を参加させないということは、暗にバルディバンを参加させるな、ともとりうる。
この挑戦状を叩きつけられた地球防衛軍本部では・・・。
「冗談ではない!決戦も何も、わが地球の領土は一寸たりとも渡すべきではない。断固戦うべきだ」
「いや、あの戦力は侮りがたい・・・濠太剌利の犠牲で済むのであれば、あえてそれを見逃すのも・・」
「何を言うのだ売国奴!」
「口を慎め!」
「・・・それよりも、本当に怪人やロボットが参加しないかが疑問だ・・・」
論議は続いた。戦闘開始時間は5日後の午前4時となっている。
「受けて立とう!」
「御前!」
地球防衛軍総司令官・細川隆斉の鶴の一声で、艦隊決戦は決まった。
「受けて立つぞ・・・」だが・・・。
細川自身の出撃は止められてしまった。
あわただしく艦隊の編成を決める各国代表・・。その結果、最新鋭技術の塊で、グロテスター艦隊に対抗しうる性能を持つと思われる、日本の巡洋戦艦(重巡洋艦から類別変更)八甲田型と、素晴らしい画期的特型駆逐艦・望型で編成された水雷戦隊を基幹とする、日本第二艦隊を前衛に、数で勝る英国艦隊を本体に、亜米利加の誇る全長5キロの超巨大空母レキシントンとその護衛艦からなる機動部隊を後衛に、右翼を独逸・伊太利亜艦隊、左翼を仏蘭西・阿蘭陀艦隊が務めることになった。総司令官は英国の公爵ジョセフ=ルドリング大将、次席司令官は日本の第二艦隊司令長官兼第4戦隊司令官の細川忠之中将(細川元帥の嫡男・細川博士の兄・皇后陛下の弟・由香の父)及び、亜米利加のマイケル・ローレンス中将が採ることになった。なお、この戦いより、第2水雷戦隊第一駆逐隊司令だった七海玄八大佐は、少将に進級の上第二水雷戦隊司令官となったが、引き続き第一駆逐隊司令と「望」艦長も勤めている。
出航する艦隊を見送る細川元帥と由香。
「お父様!きっと帰ってきてね!約束よ」
「ああ、私は絶対に勝つ。いい子にしているのだぞ」
「七海のおじちゃんも、がんばってね♪」
「ガハハ・・。俺様は敵が強ければ強いほど燃えるのじゃ。この魚雷にかけてな・・」
しかし、細川博士は心配だった。
「日本以外の艦艇が、グロテスターに敵うはずが無い。それに、地球の航空機は彼等の円盤に対抗できない・・・。
勝負の鍵を握るのは、兄上と七海さんだけだ・・・。」
そして、細川博士と、艦艇設計者の菊本大佐が心配していることはもう一つ、以前の戦いで駆逐艦「幻」が敵に奪われ、特型駆逐艦の優位が絶対のものではなくなったということだった。
そして、ついに決戦の朝を迎えた・・・。
海が割れ、浮上する巨大な鯨のような姿の戦艦・・・。
グロテスター海軍の戦艦「ロイヤル・ダーク」「「ロイヤル・ジャベリン」「ラビリンス」
「リボリューション」「リゲイン」のR級五隻。それに旗艦の空母「ダーク・ロイヤル」。
その他無数の巡洋艦・駆逐艦が待ち構える。突如、仏蘭西艦隊旗艦、巡洋艦「シェルブール」上空に円盤が現れ、奇襲してきた。これがこの戦いの第一劇だった。
瞬く間に傾き、黒煙を噴き上げるシェルブール・・・。ギー・ビルフラン少将も戦死した。
「円盤による奇襲とは卑怯な・・・」
しかし今のところ、約束どおりロボットは参戦していない。
「よし、こんどはこっちの番だ。」
「レキシントン」は、空母というよりは、島が動いているようなものだ。艦載機ではなく、重爆撃機も発着できる。超重爆ボーイング129ウルトラフォートレスの梯団が飛び立つ。
敵上空に殺到・・・。爆弾の雨を降らせる・・・。
だが、敵艦は爆撃を受けると亀のように甲板を閉じてしまうのだ。効果なし・・・だが、その間は敵は砲撃できない。一方、護衛艦のビーム弾幕で大半のウルトラ要塞は撃墜されてしまった。
しかし、その間に日本の前衛は距離を詰め、ついにメガ粒子砲の射程に入った。
「八甲田」「磐梯」「吾妻」「鳥海」の第4戦隊と「霧島」「雲仙」「阿蘇」「高千穂」の第5戦隊、計8隻の集中砲火だ!駆逐艦も突撃する。
しかしビーム先進国・グロテスターには耐ビームバリアー装置があった。しかしそれとて完璧ではない。遂に八甲田の一撃がロイヤルダークに命中した。
「今だ、水雷戦隊突撃!」七海の号令一下、飛び出す駆逐艦。だが、一隻の敵巡洋艦が割って入り、必死の防戦を開始した。エメラルドグリーンに塗られたその巡洋艦は、明らかに他のグロテスターの艦艇とは異なったデザインで、細身で華奢で、弱そうに見えた。だがその華奢な巡洋艦がたった一隻で、無敵の水雷戦隊を翻弄して敵主力に近寄らせないのだ。
その間に、敵味方両軍がいり乱れての激しい砲撃戦となった。そして航空機も乱れ飛ぶ。
「うん、この手ごたえだ。太子らは反対したが、やはり正々堂々決戦を申し込んでよかった」
ウインタービル提督は満足げに腕を組む。彼の旗艦ロイヤルダークからはひっきりなしに円盤が発着していた。
「うむ・・本来ならばわたしも空母ではなく戦艦で指揮を取りたいのだが・・・」
一方七海少将は歯軋りしていた。
たった一隻の巡洋艦のため、雷撃射点やレーザー集中照射が出来ないのだ。
「くそっ!あの軽巡洋艦を操る男、只者ではない・・・この俺様に、一本の魚雷も撃たせないとは・・・」
その間にも、敵味方の中・小型艦は次々沈没又は撃破されていく。双方の主力は若干の被弾はあるものの、互いに戦闘力は失っていない・・・。ますます激しさを増す大海戦。だが敵将ウインタービルはこの戦いを心から楽しんでいた。「ワルモナイトよ・・・今日だけは、今日だけでいい・・・わたしの邪魔をしないでくれたまえ・・。私は勝つ手ごたえを今感じている・・・」
何故怪人が参加しないのか・・。それは別に怪人が正々堂々と艦隊決戦をさせようとしていたわけではなかったのだ。やつ等には別の思惑があっただけだ。そのことを地球側もウインタービル提督も知らないだけだった。
そして、隼人と由香、そしてその大切な友人に魔の手が伸びようとしていたのだ・・・。
続く