マリーシリーズ8 元気いっぱい!宇宙刑事候補生はプリンセス♪
僕、宇宙刑事ケインこと篠田健一です。今日はバード星の宇宙警察本部での会議・・・・。眠さに耐えて今終了。愛する妻、マリコのもとへ今から帰ります。
戦闘母艦ホワイトタイガーはまずワープゲートを通りケンタウロス座21番星へ寄港、その後は一気に月までは連続ワープで1日、ゆっくり行っても半月です。宇宙も狭くなりました。
妻のマリコはれっきとした地球人(日本人)ですが、宇宙での生活が長く、宇宙土産は喜ばれます。だからちょっと寄り道してみました。
ところが・・・・。
この星にも、ワルモンダーの魔の手が伸びていたのです!
「助けて〜」
美しい女性が怪人に囚われた。
騒がしい。
「何があったのですか?」
「女の人が、怪人に浚われた!向こうのほうだが、警察では手が出ない」と住民。
「僕は宇宙刑事です。詳細を!」
聞くと、ロボット怪人が女の人を浚って宇宙埠頭に立てこもっているという。
僕は現場に急行しようとした。そのとき。
「あたいも連れて行って!」
「君は?」
「あたい、ジュリエッタ!」
「駄目だよ、敵はロボット怪人だ。君みたいな女の子が来ちゃあぶない!」
「だって、お姉ちゃんが・・・」
「何だって?」
聞くと、浚われたのはジュリエッタの姉だという。
「お兄ちゃん、宇宙刑事なんでしょ?あたい、これからバード星に行って宇宙刑事になる学校に入るんだ。それでお姉ちゃんに送ってもらう途中、この星に立ち寄ったらおねえちゃんが・・・。あたい、絶対おねえちゃんを助けるって決めちゃったんだもんね!」
見ると、宇宙警察学校の入学許可証もちゃんと持っている。
だが、あくまで一般人を巻き込んだら僕の首が飛ぶ。真理子と真理男を養わなくてはならない僕は職を失うわけには行かない・・・
しかし、黙って言うことを聞くジュリエッタではなかった。結局ついて来てしまった。
今は使われていない老朽化した宇宙埠頭・・・。今から50年前、初めて地球人が太陽系外に作った施設だった。その後、バード星との秘密国交樹立(警察庁だけが密かに交流している。NASAも知らない)により飛躍的に発展した日本の宇宙技術により使われなくなったのだ。しかし、そこが今ではワルモンダーの基地になっていたのだ。
敵の警備は固く、裏口に回っても扉は開かない。レーザーガンでも焼き切れない。
「あたいに任せて♪」
ジュリエッタはその小さな手を隙間から入れて、扉を開けてしまった。
「行くわよお兄ちゃん!」
僕はジュリエッタに小型レーザーガン(妻の真理子のもの)を貸した。
ガードロボットどもを打ち倒し、ついに制御室に。
そこには、醜く太ったメガネの男と、ロボット怪人が!そして若い女の人が捕らえられていた。
「グランパス星の公爵令嬢、マグダレーナ姫は預かった。3日以内に3億宇宙円持ってこなければ殺す」と交信していた。
「おのれどこから入ってきた?このオレ様の計画が・・・」
「お姉ちゃんを返せメガネデブ!」
「威勢のいいガキだな。お前も捕らえれば報酬は倍だ。覚悟しろ、イヒヒ」
「そうはさせないぞ!」
「なんだ貴様は?」
「問答無用、宇宙刑事ケイン!」
「何?宇宙刑事だと?おのれ・・・っ!メカメカマン、こいつを殺せ!そして宇宙刑事ケインよ、マグダレーナ姫を殺したらお前はどのみち首だ。首になるぐらいなら殉職したほうがかっこいいのじゃないか、イヒヒ・・・」
「黙れ!」
ところが・・・。
「おいデブ、あっかんべー」
なんと、一瞬の隙にジュリエッタがマグダレーナ姫を救出してしまったのだ。
「これで遠慮はいらないぞ。覚悟!ケイン・グランスラッシュ!」
ドカーーーーーーン!大爆発するメカメカマン。
「ひえーーー」
「ワルモンダーケンタウロス支部長キントン!マグダレーナ姫誘拐の罪で逮捕する!」
本当はジュリエッタも誘拐するはずがすばしこくて逃げられていたのだという。
「お姉ちゃん!」
「ジュリエッタ・・・」
「宇宙刑事ケイン様、私はグランパス公の息女、マグダレーナでございます。こちらは妹のジュリエッタ。このたびは危ないところお助けいただきありがとうございました。」
「いえ、職務ですから・・・」
僕は、マグダレーナさんはともかく、ジュリエッタのようなおてんばが姫であることに驚いた。
マグダレーナさんの話では、あまりにもおてんばで元気いっぱいで城では手に負えないため、宇宙警察に入れることにしたのだという。
結局、僕はマグダレーナさんとジュリエッタ、それに逮捕したキントンを連れてバード星に逆戻り・・・・。
3泊4日の出張のつもりが2週間になり、真理子さんにがっちりと絞られたのは言うまでもありません。でもその間に大きくなった真理男の寝顔を見ると、なんか幸せです。
ところで、僕がケンタウロス座で活躍していた時、実は真理子さんも地球でワルモンダーをやっつけていたとは・・・。
次回はそのお話です。
続く。