46話 帰ってきた大番長

 

新学期・・・各校、夏の日米戦及び、秋・冬のレギュラーシーズンに向け、新入生も加えて新キャプテンのもと、一斉に始動した。

 中でも、主力のほとんどが残留し、遂に天才・東サトルが主将に就任した南武高校では、新TEにラインバッカー・佐藤義信の弟、高信が入り、フランスの小公子・岬陽一を新QBに、新マネージャーには飯田監督の孫娘、美穂が新加入し関東最強の陣容を誇っていた。

選手層が厚く、かつ付属中学からの経験のある京王、殉教、キャプテン以外の主力が残った京葉・・そして遠く神戸では、怪物・アンドレこと安東零が神学館へ・・・。

 そんな中、主力全てが卒業又は退部し、監督も事故で失った吉本工業高校は、双子の大西三郎が主将に、弟の四郎が副キャプテンになったものの、新入部員の獲得にもままならず、このままでは今シーズンの棄権も考えなくてはならなかった・・・。

 

棄権、出場停止といえば・・・三郎たちの入学する前、前キャプテン・島田たちが入った頃のすさまじい事件・・そのため吉本工業高校は1年間の出場停止と部員不足から2年続けて大会に出れなかった。そして、そのとき1年だったため処分を免れた島田を中心にチームを建て直し、横山監督の指導と姦計もあり、2年続けて関東大会出場を果たしていた。

 その事件を振り返ってみよう・・・・。

その頃、吉本工業高校には、常に長刀を振り回し、手当たり次第に他人を攻撃し金品を強奪する、「鬼子母神の化身」と呼ばれた女番長がいた。その名を「大和田アケ美」といった。

アケ美は、学校中の屈強の男達を暴力と、逆レイプで従え、特に暴力と体力に優れたアメフト部の押し掛けマネージャーとなっていた。通常、マネージャーは献身的に部員のために尽くすものだが、アケ美は自らの学校支配の手足として最適として判断し、アメフト部員たちを手足のように使い、金品の強奪とレイプ、逆レイプを繰返した。

 女でありながら、男顔負けの一物をもつアケ美にレイプされていく女生徒たち。また、男達は無理矢理アケ美との結合を迫られ、拒否したり、満足させられなければ熾烈な報復が待っていた。鬼のような形相で迫るアケ美に逆らえる者は誰もいなかった。

 アケ美の魔の手は、新入生で最も美人だった、永森麗菜にも及んだ。のちに学校を支配することになる麗菜もこのときはまだ1年生・・・なす術もなく制服を切り裂かれ、小学生のペニス並みの巨大クリトリスで犯されてしまった。

「おい、金髪野郎!誰に断って染めてやがるのよ!髪ってのは俺様のように、サラサラの黒髪じゃなきゃダメってわかってるんだろう?」

「ちがうわ・・私は生まれつき金髪・・パパがハーフだったのよ」

「ウソをついたね!お前のことは調べてある。たしかにハーフかもしれないが、白人ではなくアジア系じゃないか!お仕置きよ!」

そのとき、自ら進み出てアケ美の生贄になったのが島田だった。島田は、汚く臭いアケ美と無理矢理結合させられただけでなく、そのアナルにアケ美の擬似ペニスをつき立てられるという屈辱を受けたが、彼とてアケ美には逆らえなかった。そして・・・麗菜に一目ぼれしていた彼は、なんとしても麗菜を救いたかったのだ。このとき以来、2人は親密になっていった。極悪非道の名をのちに欲しいままにする島田も、このときは遠く離れた関西からやってきた、チョイ悪の純朴な高校1年生だった・・・。

 

 しかし、そうしているうちにもアケ美の凶暴性、凶悪性は増していった。女生徒たちに売春させ、その上前をはね、さらに身ごもった子を無理矢理素人なのに中絶したりした。そして遂に・・・

 アケ美とアメフト部23年生は、学校の一部を爆破して立て篭もった。警官も、高校生相手には銃は使用できない・・・。

 アケ美の要求は、500万円であった。親戚が説得するも、聞き入れられない・・・警察は突入を決断しようとした。

そのとき、赤ん坊を抱いた初老の紳士が現れた。

「大和田アケ美くんだね。私は出張で東京に来た奥州の教員だが・・・

廃寺でこの子を見つけたが・・これはきみの子だね?君の不満や、やり場のないエネルギーはわかる・・。だが君はこの子にとってはたった一人の母親・・・この子のためにも、抵抗は止めて人質を開放したまえ」

「なんだてめー!」

アケ美は更に抵抗しようとしたが・・・そのとき赤ん坊・・金太郎が泣き出した。

「金太郎!」


事件を解決したのは、たまたま文部省に出向していた伊達宗幸先生だった。

アケ美は遂に観念し、補導された。

アケ美の実家は寺であったが、若気の至りで金太郎を身ごもってしまった。相手の男は暴走族で、金太郎の顔を見ることなくパトカーに追跡されあえなく事故死・・・厳格な両親から寺を追い出されたアケ美は、系列の廃寺で自分ひとりで金太郎を育てていたのだ。だが当然金が要る・・・そこでアメフト部員たちを従えて犯罪の数々を重ねていたのだ。

 事件の結果、23年生は、先に別の暴力事件で補導され停学中だった西山徳男以外の全員が退部または退学させられ、その年の秋の大会と、翌年の春の大会に出場できなくなってしまったのだった。そして、復学してきた西山と、2年になった島田、そして名マネージャーの麗菜を中心に見事復活したのであった・・・。

このことを島田から聞かされていた三郎。

「アニキや姐さんが叶わない人がいたなんて・・・」

しかし、その島田も麗菜も、西山もブー子もガン子もいない。指導者もいない・・・。

途方にくれていた三郎。

 そのとき・・

「こらーーっ!気合が入っていないわよ!」

怒声に振り返った三郎が見たのは・・・「

「あっ!鬼子母神・・・いや大番長・・どうしてここに?」

アケ美は、女子少年院に入ってからは模範生となり、510年の観察処分のところ、2年で仮出所し、この春、島田たちとともに卒業していたのだった。(退学せず、休学扱いで入所していたのが部員たちと異なる。)金太郎も3歳になっていた。

 そして、都の採用試験に合格し、吉本工業高校の調理員として採用されていたのだ。

「だらしないわねサブ!これからはこのアタシがビシビシ扱いてあげるわ!」

「でも大番長、経験は?」

「生意気ね!このアタシに不満でもあるというの!」

「いいえ、アッシらは何も・・指導よろしくお願いします・・・」

こうしてかつての事件の首謀者、大和田アケ美(学校給食員)を新たな指導者に迎えた吉本工業は、他校より少し遅れて再スタートを切ったのだった。

 アケ美は、フットボールの経験こそなかったが、基礎体力と統率力に優れていて、かつ、栄養満点の食事を作ってくれた。工学の殿堂・松下工科大学に進学した島田と麗菜も、日米戦の選手・マネージャーに選出されているものの同大学にフットボール部がないため練習に参加して指導してくれるようになった・・・。がんばれ、そして立ち直れ吉本工業高校・・・・残念ながら1年目の今年は結果が出なかったが、同校はその後も関東4強に返り咲くことが出来たのであった・・・。

 

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