メガボウラー33話 堕ちたラガーマンシップ

 

 「サトミちゃん!」

「あら、デブヤンとチュータ君♪」

ラグビー部のキャプテン、武田剛(デブヤン)と、副キャプテンの伊集院忠太だ。

以前サトミは、マネージャーの平鈴香の引き起こした食中毒事件の際、ラグビー部の助っ人をして、強豪奥多摩工業高校に勝利したのだ。以来、ラグビー部員たちとも親しくなったのだ。

「サトミちゃん、今オフだよな!俺たち、こんどの休日に試合をやるんだ!応援に来てクレよな!」

「まかせて♪でも、サトルが・・・」

「いいんだあいつは。俺たちはサトミちゃんの応援だけ欲しいんだ。な、忠太!」

「うん、ボクもそう思うよ。でも・・・鈴香ちゃんは怒るだろうな・・・」

サトルは、来る対全米選抜との対戦のための強化メンバーに選ばれ、関西で合宿中なのだ。

 

強豪との試合を前に猛練習するラグビー部。ところが、悲劇が、事件がおきた。

部室が失火で全焼してしまったのだ。マネージャーの鈴香が、アイロンかけの途中で電話に夢中になり、燃やしてしまったのだ。

 ラグビー部だけでなく、隣接するアメフト部の部室も燃えてしまったので、サトミも冬空の下、野外で着替える羽目になったが、そんなのは別に平気だった。

 

 そしてついに日曜日。今度の対戦相手は、夜鷹市の床川高校だった。

 そのキャプテンでスクラムハーフの新田悠人は、小柄ながらも変幻自在のプレーで相手をすり抜け活躍し、全日本代表にも選ばれていた。同じポジションの忠太にとっては、なかなか越えられない壁であった。一方、デブヤンこと武田も、プロップの日本選抜である。

 

 試合は、一進一退のまま進んだが、両軍同点のスクラムが崩れた。

すると、新田は

「おい、お前ら火事になって頭おかしくなったんとちゃうか?」と暴言を吐いた。

「貴様!激高したデブヤンは殴りかかろうとしたが、忠太らが必死に止めた。

結果、スポーツマンシップに著しく欠ける発言だとして新田は関東高校ラグビー協会から追放、デブヤンは警告が与えられこの試合退場させられた。

 キーマンの新田を欠いた床川は、南武に敗れ去った。しかし勝利したものの後味が悪い。

「あいつは実力はあるが、スポーツマンシップがない。ラガーマン失格だよ」

憤る忠太だが、サトミは「ま、チュータ君、ノーサイド、ノーサイド♪」と

慰めた。一方鈴香は、自分が勝利の女神なので勝利したと、言いふらしていた。

 

それからしばらくして、電車の謎の連続脱線事故や、焼却炉の爆発などの事件が多発した。

その現場では、不審な青い影が目撃されていた。

 

ラグビー部を首になった新田は、自暴自棄になり、線路に自転車を置いたり、女生徒に敵なり抱きつくなどの蛮行を繰り返していた。

そんな彼に眼をつけた人物がいた。

宇宙海賊デストラーゼに協力する悪の科学者、水野教授だ。

水野教授は、デストラーゼの雇い主の宇宙貴族から、超攻撃合体兵士ラガーボーグを授けられ、それを独自に改良してより強く、より凶悪にしようとしていたが、どうしてもうまくいかなかった。それは、体力がありさらに改造したものの、悪の意思を貫こうとする邪の根性と頭脳を持つメンバーがおらず、単に粗暴なだけだったからである。

 

「新田君、君は今日から、地球ではなく宇宙のラガーマンになるのだ」

水野教授に拉致された新田は、ラガーボーグに改造されたのだった。そして多摩地区の鉄道や施設の破壊活動を開始したのだ。

そして、ついに南武線沿いに南下して、川崎市にある南武高校にもその魔手が・・・。

キャー!女生徒たちの悲鳴。

「出たな悪者め!このあたしが相手よ。ビルド★アタック!」

サトミは、メガボウラー・レッドギアになり、ラガーボーグたちと戦う。

しかし、一糸乱れぬ連携とパワーに押され苦戦する。ついに押し倒されたサトミが見たのは・・

「あんたは新田君!」

「イヒヒ・・俺有名?ところでおまえ、そんな厳ついかっこしてるけどその声、まさか女?

おかしいんとちゃうか?女は女らしく中だしさせろよな!」

そういうと新田は、サトミのフロントアーマーを剥ぎ取ろうとした。

 そして、ラガーボーグたちに取り囲まれてしまった。このままでは輪姦されてしまう!絶体絶命のピンチだ!

 そのとき、耳慣れない爆音が・・・!

「どけ!ボクの妹に触るな!」そう叫んで突っ走ってくる見慣れぬオートバイ・・・。それは、バイクであってバイクではない。メガボウラー・ブルーギア=サトルが、メガタイヤを使って変形したサイボーグマシーン、メガライダーだ。

ラガーボーグたちを跳ね飛ばすメガライダー。

「サトミ、大丈夫か?」

「サトル、合宿は・・?」

「今朝終わって帰ってきたらこの騒ぎだ。新横浜で降りてすぐ変身して駆けつけたんだ。もう大丈夫だ!」

サトルの登場に勇気100倍のサトミは、ラガーボーグたちを次々倒す。

「畜生、合宿が一日速く終わったのは計算違いだった。おまえら、合体だ!」

「おう」

ラガーボーグたちは新田を中心に合体した。

「よし、サトミ!僕たちも合体だ!」

「ジェミニ・シンクロン!」

2人はギガボウラーに合体して合体ラガーと戦う。しかし、今までの弱点だった継ぎ目が複雑になり、貫けない。そのうちパワーで圧倒されて苦戦してしまった。ピンチだ。

 しかし、突然合体ラガーがよろめいた。

「サトル、サトミちゃん、援護するぜ!俺たちの学校を荒らす奴は俺が許さない!」

なんと、デブヤンがバズーカで合体ラガーの眼を潰したのだ。西本博士とみゆきが、応援に駆けつけたとき、車にあった武器を奪い取ったのだ。

 サトルに撃たせるつもりで持ってきたこのメガボウラー用バズーカを、生身で軽々とぶっ放すデブヤンは、只者ではなかった。

「武田君、ありがとう!」

「新田君、無駄な抵抗はやめて合体を解くんだ。西本先生なら、君を人間に未度すことができる!」

「は?このパワーを失えだって?アホなんとちゃうか?」聞く耳を持たない新田は激しく攻撃してきた。

「仕方ない・・・サトミ、フルパワーだ!」「OK」

ギガボウラーはついに合体ラガーの首をへし折り、ばらばらにしてしまった。勝利だ。

それを見た水野教授は姿を隠した。

 

「サトルくん、サトミちゃん、武田君、伊集院君、みんな・・・。どんなに強くても、スポーツマンシップがなければ、新田君のように堕ちてしまうんだ。いいかね、一番大切なのは「心」なんだ」

西本博士は、ラグビー部員とアメフト部員を諭したのだった。

 

 

おわり