メガボウラー16(新シリーズ) 

 

 あっという間に夏が過ぎた。甲子園では、奇跡の復活を遂げた松崎大輔ひきいる野球部が、宿敵吉本工業との因縁の対決(第三話参照)を制し優勝をはたした。そして今はもう秋。いよいよアメリカンフットボールのシーズンだ。南武高校フットボール部でも、来るシーズンに備え、合宿にはいった。

 ポジション別のスクリメージ、武蔵体育大学2軍との練習試合などのメニューをこなし、日没後はミーティング。夕食のあとは、消灯までのフリータイムだ。ロビーのテレビの前に部員たちがあつまり、電源を入れた。

 「〜であ〜る!」

二人合わせてバスト250センチの女性お笑いコンビ、バイキングス(伊沢晴香、バスト95cmと遠藤よしみ、バスト155cm)の語尾につく

「〜であ〜る!」は今話題のキーワードだ。

 「何よこんなの!ただおっぱいでかいだけじゃない!とくによしみの方なんてただのデブ!」胸が極端に貧しい東サトミは怒ってチャンネルを変えた。

ところが・・・。「〜であ〜る!、だぴょん♪」なんとライトニング姉妹。の野口真理まで、真似している。

「もーいやだ!オレだってバスト1mあるんだぞ!」

 「バカ、それはバストじゃなくて胸板だろ?」兄のサトルがサトミの胸をつんつん突付く。

「きゃ〜!お兄ちゃんのえっち〜!」サトミは思い切りサトルを突き飛ばした。

 「・・・サトミ・・。素晴らしい当りだ・・・。OTにコンバートするか?」ある先輩部員が感心するほどの当りだった。テーブルの角にぶつかったサトルはまだ起き上がれない。しかし、サトルは妹の体の微妙な変化に感ずいていた。『やわらかい・・・。ちょっと前までは僕とまったく同じ硬さだったはずだ・・・。』部員一同、サトミの生バストなど飽きるほど見ている。なぜなら男子部員と同じく上半身裸での筋トレや夏場の練習などでいやというほど見せ付けられているからだ。現に今日もそうだったのだが、見た目は以前どおり、言われなければ女の子とはわからないほどの引き締まった体なのだ・・・。

 そこにマネージャーのみゆきが入ってきて、サトルを抱き起こした。

「サトルくん、大丈夫?」

 「うん。」ヒューヒュー!一同ひやかす。

 あ、そういえばここに居る連中はチャンネル争いをしていたのだが、気がついたサトルは時計をチラリと見ると、

「いけねー!今日は『落ち葉のクレッシェンド』の最終回だった!」

 「わたしも見たいわ」とはみゆき。

「バカ、録画してきたじゃねーか!」サトミが突っ込むが、サトルとみゆきはお構いなしにチャンネルを変えた。

 

 「ツグにいちゃんの嘘つき!そ〜子はもうだめなんでしょう?夏になったら海に連れて行ってくれるって約束したのに・・・!」

(ナレーター)今はもう秋。落ち葉が風に舞う季節だった。薄幸の美少女河井苑子の運命の日は一歩一歩近づいてきたのであった・・。

 「そ〜子ちゃん、大丈夫だよ。僕がついている。必ず元気になって、来年こそ海に行こう!」主治医の青年医師五島継敏はそうやって励ますのだが、

苑子が天国に召される運命は誰にも変える事ができないのであった・・・。

 (主演、河井苑子(不治の病に冒された美少女)・・・西川梨香(ライトニング姉妹。)、五島継敏(青年医師)・・下川達也、竹下雪(看護婦)・・長沢祐子(元ライトニング姉妹。)その他)

 

 そのとき、キャプテンの西本剛が入ってきた。

「ばか者!そんな物を見る暇があったらこれを見ろ!」彼が持ってきたのはNFLのビデオだった・・。

     ・・・こんな感じで合宿の一日目は終わった。

 

その頃・・・。

デストラーゼの基地では、二体の女性型サイボーグが作られていた・・・。

 

 合宿もたけなわのある日、突如悪いニュースが。テレビ赤日が何者かによって爆破され、死傷者多数が出たというのだ。デストラーゼに違いない!

チームドクターとして帯同している西本は、合宿途中ではあるが、サトル・サトミを連れて現場に急行することになった。(部員たちには、親族に不幸があったことにした)

 

 テレビ赤日跡はまるで重爆撃機の攻撃を受けたかのような廃墟となっていた。幸い、ライトニング姉妹。は全員別の局での収録(やっすぃ〜はある理由で休み)のため無事だった。

 現場には岩原軍団が先に到着し、救助活動をしていた。実は本来宇宙警備隊であるはずの軍団が、今回の国会で超法規的特別警察として承認され、デストセーゼがかかわっていると思われる事件には警察に代わって行動することになったのだ。

 そんなとき、今度は帝都放送に敵サイボーグと思われる物体が迫っているとの緊急電が!

「サトルくん、サトミくん、出番だぞ」「オーケー♪」

「ビルド★アップ!」「ビルド☆アップ!」二人の肉体が機械化するとアーマーがせ装着され、メガボウラーに変身だ!

 二人はメガライダーに変形して、帝都放送に向かった。

 すると帝都放送の別館から火の手があがっている!

 そのとき西本はあることに気づいた。被害にあった建物はバイキングスの収録の予定の局なのだ!(ライトニング姉妹。はドジテレビで収録中)

 

 「出たな怪物!・・・・あっ!その顔は!」

なんと破壊活動をしているのはバイキングスの二人ではないか!晴香の剥き出しのたわわなバストからはビームが、よしみの巨大なバストはミサイルになっていて乱射され、次発が次々装填されていく!

 「おそかったじゃない、であ〜る!」晴香は二人を指差す。するとよしみがしゃがんだと思うやそのタプタプの腹からキャタピラが現われ、戦車に変形した。足を折りたたんだ晴香がその上にドッキングする。

 そして、バストカノンで攻撃してきた。驚くほど正確な射撃!サトルの左肩のアーマーが砕ける。

 さらに、フォーメーションをチェンジして、今度は爆撃機のような形態になり、空から襲ってきた。あまりの速さにスカイパーツを呼び出す暇もない。

おっぱいボムの絨毯爆撃に二人は逃げ惑う。

 「サトミ!ここは合体してアドバンテージをとろう!」「オーケー、それしかない!」

「ジェミニシンクロン☆ビルドアップ!」わずかな隙を突いて合体に成功した二人は、バイキングスの変形した爆撃機をハンマーパンチで叩き落した。

 「やる、であ〜る!」

「うちらも、合体であ〜る!」

 よしみの体が開いたかと思うと、中に晴香が収納される。するとみるみる巨大化し、よしみとはおもえないほどセクシーな女性型巨大ロボになった。

 

「ちっ!また女タイプか・・。サトミ、シフトチェンジするぞ!。オーケー!」正直女性タイプとの戦いが苦手なサトルはシフトチェンジしてサトミに主導権を譲った。またしても巨大女サイボーグの戦いだ。

 ギガボウラー(サトミタイプ)は、突進してバイキングスに体当たり。しかし、その華奢な姿に似合わず、びくともしない。逆に手にもったハリセンで叩かれダメージを受けてしまった。敵はかなりの怪力だ。

 こんどは敵の攻撃。胸からミサイルを発射と同時に高く飛び、ムチで攻撃してきた。ムチからの高圧電流に苦しむギガボウラー。しかも、そのときサトミの部分にはより大きなダメージが。体内のメカの中で生体エネルギーがショートしたのだ。これはいけない。再びサトルにチェンジしたが、思うように動かない。大ピンチだ!勝ち誇ったバイキングス。

 こうなったら最後の手段だ。サトルは男の本能にまかせて、砲弾やビームのあられを受けながらもひるまず突進し、ついにバイキングスを押し倒した。

そして、久しぶりの必殺技グラビトンドリルを相手の股間につきたて、下半身から突き破ってついに敵を倒した。

 「やられちゃったのであ〜る!」「でもきもちよかったのであ〜る!」断末魔の声とともに四散した敵。

転がってきた晴香の生首・・・。しかし足元にぶつかって割れた頭部には、脳が入っていない?ロボット?

 そのとき、別な部品からの電波で人工衛星軌道からの指令が入った。「ぴ、失敗・・・」

 その発信地を逆算して宇宙に飛び立ったギガボウラーは、デストラーゼの衛星を発見、突入した。すると、カプセルに閉じ込められた本物のバイキングスがいたので、救出した。デストラーゼはバイキングスを攫って改造しようとしたが、晴香のあまりものナイスバディを見て気がかわり、奴隷として売り飛ばし、クローンを改造(クローンには人格がやどらないので本物の思考パターンをコピーしたICチップを埋め込み)したのだ。

 そのため、あと一歩というところで機械の限界が生じ、一瞬の隙で逆転負けしたのであった。

 こうしてまたしてもメガボウラーは、デストラーゼの野望を打ち砕いた上、ほんもののバイキングスの救出にも成功したのであった。

 しかし、サトルは妹の身体に起きた変化を無視することはできなかったのであった・・・・。

 

16話おわり。

 

 ______特別おまけストーリー______

 

「落ち葉のクレッシェンド」

 

 

 ここはひなげしケ丘総合病院。先天的な多臓器障害で不治の病となった美少女河井苑子・・・。

それは、今年の春だった。それまでの主治医に代わり、大学病院からやってきた青年医師、五島継敏。運命の出会い。薄幸の少女の甘くせつない初恋だった。

 小高い丘の上に建つ病院の中庭からは、港が一望できる。車椅子に乗せられひさしぶりに病室から外にでた苑子。

つきそうのはベテランの看護婦、竹下雪だった。

 「かんごふさん、あのね、そ〜子のパパはね、外国船の船長さんなの」

 「へぇ〜。そ〜やんか・・・。かっこええなぁ・・・。」

子供の頃から、外航船の船長である父親とは数年に一度しか会っていない苑子だったが、船を見ると父を思い出す。だから、こうして港を見下ろすのは彼女にとっては父を偲ぶことができる大切な時間だった。」

 「そ〜子も大人になったら、パパのお船で遠い国にいってみたいな〜」

「いけるとええね・・。」

 そんなとき、

「すみません。ひめゆり病棟はどちらですか?」白衣を着た青年がふたりにひめゆり病棟を訪ねた。

 「あっちだよ。そ〜子のいるところだもん」

一方雪はその青年医師にひとめぼれしたらしく、眼が点になっていた・・・。

 

病室にもどった苑子と雪。雪は告げた。

 「そ〜子ちゃん、ええか?今日からお医者さんが代わるんや。今までの先生はな、東京の病院にいってもうたんやで」

「そーなの・・。」

 「新しい先生がきても怖くないで。うちがついてるさかい。」

カチヤ。

 その新しい先生が入ってきた。

「こんにちは。はじめまして・・。あっ、君は・・・・。」

 なんとその医師こそ、さきほど出合った甘いマスクの好青年、五島継敏であった・・。

 

 それからというもの、今まで注射や採血、検査をあれほどいやがっていた苑子は、別人のように素直になった。そしていつしか苑子は継敏を

「ツグにいちゃん」と呼んで慕うようになったのだ。

 しかし、継敏に好意を抱いたのは、苑子だけではなかった・・・。

 「五島先生、ウチと付き合って〜な。ウチ、あんたのためやったら、何もかも捨ててもええ」

雪の強引なアプローチを拒むことができない継敏は、不本意ながらも雪との交際をはじめた。

 

 「ツグにいちゃん、そ〜子のこと好き?」

 「どうして?嫌いなわけないじゃないか」

 「嘘!だってツグ兄ちゃん雪さんといいことしてるんでしょ?」

「・・・。そんなことないよ。彼女とは仕事上の付き合いだけだよ。」

「ふふ。だめよ。ツグにいちゃんは嘘がへたなんだから。だって最近ツグにいちゃん雪さんのにおいがするんだもん」

 「ごめん・・・。彼女怖いから・・・」

 「きゃは♪やっぱり!そ〜子もさいしょは怖かったんだ〜。でも雪さんいいひとだよ。でも嘘は嘘なんだから、お詫びになにかしてほしいな。

え〜と、そ〜子はお船が好きだから、夏になったら海につれていって!」

 「うん、約束するよ。でも、そのためにはそ〜子ちゃんももっと元気にならなくっちゃ、ね」

 

そうしてあっというまに数ヶ月の月日がながれた。しかし、苑子の容態は快方にむかうどころか、危険な状態になっていった。

 

「ツグにいちゃんの嘘つき!そ〜子はもうだめなんでしょう?夏になったら海に連れて行ってくれるって約束したのに・・・・・」

(ナレーター)今はもう秋。落ち葉が舞う季節だった。薄幸の美少女河井苑子飲む運命の日は一歩一歩近づいているのである・・・。

「そ〜子ちゃん、大丈夫だよ。僕がついている。必ず元気になって、来年こそ海に行こう!」主治医の五島継敏はこうやって励ますのだが、

苑子が天国に召される運命は誰にも変えることはできないのであった・・。

「海はもういいの・・。ツグにいちゃん、そ〜子をお嫁さんにして!」

「・・・・。」

「どうして?にいちゃんそ〜子のこと好きなんでしょ?それとも病気の女の子なんて嫌いなの!」

「・・。わかった。僕はそ〜子ちゃんを絶対お嫁さんにするよ。だけどそれにはもうちょっとだけそ〜子ちゃんが大人にならないとね。」

患者を励ます為とはいえ、とんでもないことを言ってしまった。苑子はまだ15歳のうえ、助かる見込みはないのだ・・・。

 しかし、それだけではなかった・・・・。

 その夜、夜勤中に急に気分の悪くなった継敏・・・・。死の悪魔は、苑子だけではなく、なんと継敏にもその鎌を向けていたのだ。

 そして半月後・・・・。

 ピピピピ・・・・・。ナースコールだ。雪はいそいで苑子の病室に急ぐ。容態が急変したのだ。すぐに継敏の手で緊急手術が施された。しかしその日からその子は面会謝絶の状態になった。

 そして外の木々もすっかり色づいた或る日・・。苑子はついに自らの死期を悟った。

 「つ、ツグにいちゃん・・・。そ〜子もうまてない。今すぐそ〜子をおよめさんにして・・!」

「そ〜子ちゃん・・・。」継敏は決断した。いけないこととは判っていた。彼は、重病患者である苑子を連れて、何と病院を抜け出した。

車を飛ばす継敏。苑子はすでにぐったりとしている。

 「そ〜子。もう少しだよ。がんばって・・・。」

そして、虫の息の苑子を抱きかかえた継敏がやってきたのは、森のちいさな教会だった。用意したベールを苑子のちいさな体に掛けた継敏は教会の中に入っていく。

 「そ〜子・・・。これが僕たちの結婚式だよ・・。うっ。そのとき、継敏は大量の血を吐いた。純白のベールが赤く染まる。

しかし苑子の目にはもうそれは見えなかった。

「ツグにいちゃん・・。そ〜子幸せ・・・。くちびるを合わせるふたり。

 そのとき、大騒ぎになった病院から院長や雪、苑子の母らが駆けつけ、教会の扉を空けようとした。

 それを、神父がおしとどめた。

 「ゴランナサイ・・・。アノフタリのシアワセソウナエガオヲ・・・。」

 そこには、抱き合いながら冷たくなっている苑子と継敏の姿が・・。だが、二人ともほんとうに幸せそうな死に顔をしていた。

  継敏もまた、脳腫瘍に冒されていたのだった。

苑子と継敏。ふたりの甘く、せつなく、そして余りにも儚かった恋・・・。しかしそのメロディは今、秋というコンダクターによって落ち葉のクレッシェンドをつけられ、美しい調べを残して、今終わった・・。いや始まったのかも知れない。天国で。

 そして、ここに駆けつけた全ての者たちの胸に、永遠に余韻を残して・・・。

 

 おわり。

 

 キャスト

河井苑子・・・西川梨香(ライトニング姉妹。)

五島継敏・・・下川達也

竹下 雪・・・長沢祐子(ライトニング姉妹。)

医院長・・・・大塚恭三

ほか。