メガボウラー第3話――あぶないビーチ大作戦

 

 5月――まだチョッと冷たい鎌倉の海。ここに東兄妹&西本親子の5人がやってきた。

海水浴には少々早いが・・・・。サトミはトップレスにトランクス姿ではしゃいでいる。

「サトル!早く早く!」思いっきり蹴り上げた水。

「ツメテー!」サトルもやり返す。一方、みゆきのピンクのワンピースもまぶしい。

「こらっ!遊びにきたんじゃねー」

 かといって、アメフトの特訓でもない。実は、新開発した「水中用アタッチメント」の実用試験と、

水中戦闘訓練のため、人気の少ない初夏の海に彼らはやってきたのだった。

 「剛。いいじゃないか。これから彼らにはつらい実験が待っているんだ・・・・」。

 「それより、もしものことがあったら、お前しか頼れるのはいないのだ。」

「判ったぜ、親父。」剛はスウェットスーツに着替えて待機している。実験が失敗したときに、救助するためだ。

 「みゆきちゃんもおいでよ!」サトミは砂交じりの手をふっている。小麦色の肌にポチッとした乳首が2つ。

ちょっと見は本当に男の子。現に同じ格好のサトルとは、本当にそっくりだ。だが、そのしぐさの随所に、やはり女の子なんだな、とドキッとさせることもある。

 「サトミちゃん、待って」数分後、みゆきもまた、水着に着替えてビーチに。やはりピンクのスカート付のワンピースで、お嬢タイプのみゆきにとても似合う。また、いつもかけている眼鏡をはずしたその素顔は、普段見ることの出来ない100万ドルのお宝だ。

 「そろそろ時間だ」メガホンで博士が叫ぶ。新パーツの準備が出来たのだ。

「いいか、まず沖に向かって泳ぐんだ。そして、深く潜ってから、心の中で「ビルドアップ」と叫ぶんだ」

「はい」歯切れのいい返事だ。

「次に、マリンパーツ」と叫ぶんだ」

「剛はボートで待機!」

かくして、実験は開始された。勢い良く沖へと駆け出す2人。二人とも、泳ぎは達者だ。

「モゴモモッゴ(ビルドアップ)」「モゴモモッゴ(ビルド・アップ)

水中での初めての変身だ。一瞬、全身がつったような感覚に襲われる二人。「溺れる・・・」と思ったとき、

「あれっ変身できた!でもやっぱり重い・・・沈む・・」「キャー!沈むー溺れちゃうよー」

そのとき、ヘルメットのシールドデスプレイにみゆきからの通信が入った。「サトルくん、サトミちゃん、今よ!

「マリンパーツよ!早く!」

 よーし!「マリン・パーツ!」「マリン・パーツ!」すると、二人の足首が引っ込み、博士のトランクから飛び出したパーツが海中へと飛び込んで転送され、スクリューの付いた新しい足首、水中用バックパック、シュノーケルが次々と泡を立てて装着される・・・!成功だ。これで海のメガボウラー・マリンボウラーが誕生した。

 「ああっ自由におよげるぞ」「きれいなお魚!」実は二人はダイビングの経験はないのだが、初めての海のお散歩にわれをわすれてはしゃいでいる。青い海。ずっとこのまま泳いでいたい。サトルはそう思った。しかし・・!

 耳をつんざく悲鳴!「たすけてー!」なんと、岩陰でモニターを見ていたみゆきに触手が!しかもそれは、明らかに、人工的な、それでいて生物的な・・・サイボーグのものだ。デストラーゼ!

 既に沖にいる剛も、博士も手出し出来ない。その怪物はみゆきを捕らえたまま、海に引きずりこもうとしている。

「サトル!みゆきちゃんが危ない!」「よし、急速浮上」勢い良く水上に飛び出した二人。怪物の8本の触手が迫る。

サトルは、素早く腕を円鋸にチェンジすると、みゆきを捕まえている腕を切断。すばやくキャッチ!と言いたいところだが、足を水中パーツに変換していたことを忘れていた。立てない!やむを得ず、みゆきを浜に向かって軽く投げ、博士に後を託した「博士!頼みます。」幸い砂浜だったため、頭を打ったりはしなかったが、元々からだの弱い彼女だけに、心配だ。そして逆に今度は、サトルがタコボーグにつかまってしまった。なんとさっき切断した腕も再生している。

 「よーし!こんどはあたいの番よっ!」水中に引きずり込まれたサトルを助けようと、サトミは勇敢にも、スクリューを最大回転にして頭から突っ込んでいく。だが、やはり触手にとらわれてしまう・・・。「きゃー離せこのタコ!」もがくほどその吸盤が締め付ける。コアが沸騰するほどのパワーをかけて逃れようとするも、逆にアーマーの一部が吸盤のため剥がれてしまう。よりによって、そこは、股間の装甲カバーだった。そして、そこは、変身後脳以外で唯一、生の器官であるクリトリスがあるところなのだ。(性器自体と、サトルのペニスは、人工化されている。これは、武器及びそのアタッチメントの接続のためだが、クリトリスはエネルギー放出器であるプッシーと無関係のため、体内の卵巣とともに生のものがついているのだ)そして、触手の一本が、そこに迫る!

彼女のコアから発生する生体エネルギーは、命を生み出すことの出来る彼女のほうがサトルとは比べ物にならないほど大きい。したがって、余分なエネルギーはサトルに手と手を合わせてチャージするほか、股間の人工性器から放出するのだ。(合体も、このエネルギーにより可能。男2人では、合体できないのだ)。そのエネルギーを放出するため股間のカバーは開閉式になっており、これが仇となったのだ。そして、このエネルギーで満たされたこのパーツの感度は最高で、彼女は生まれて初めて、「イって」しまった。「ああああーーーん」彼女の全エネルギーが悶えとともにほとばしる。同時に全ての装甲が剥がれ落ち、素体の状態になってしまった。しかし、その一撃が奇跡を呼んだ。みゆきをうまく助けられなかったこと、足のパーツの変換ミスのためもあり、呆然としていたサトルは、不覚にも全エネルギーを吸い取られ、腕に絡め執られて気を失っていたのだが、サトミが放出したすさまじいエネルギーがタコボーグの体を伝って彼に注入され、大復活をとげたのだ。「おおおっ!力が湧いてきたぞ」

今までの仕返しだ!一方、サトミも再ビルドアップして反撃!あまりの強力エネルギーを吸い取ったため、かえって弱っている敵に、水中での戦いに慣れてきたメガボウラーは強すぎた。真下からサトルのドリルで突かれ、サトミのキックをあびた敵は爆散して果てた。初めての水中戦にも勝利したメガボウラー。

 変身を解き岡に上がった二人に、博士と剛が握手をもとめる。「よくやったぞ、ふたりとも!」

「みゆきちゃんは?」「大丈夫。怪我はない。気を失っただけだ」

「サトルくーん」みゆきもおきてきた。今回もハッピーエンド?かと思ったら!また新たな騒動が。

 

「さ、サトミ!お前のケツにたっタコ!」なんと、大きな(本物の)タコがサトミのお尻にくっ付いている。「キャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!」

「タコを怖がるなんて、あいつもやっぱり女だな」4人は頷きあうのだった。

その後そのタコは・・・・西本家の晩ご飯のおかずになったことは言うまでもない。一方、サトミはこの日以来、タコを食べることが出来なくなった。