メガボウラー19話・「とんだクリスマス」

 ♪ジングルベル、ジングルベル・・・・。町中のBGMが、「ジングルベル」「赤鼻のサンタ」「諸人こぞりて」「ラストクリスマス」「恋人はサンタクロース」などになってしまう季節・・・。そう、12月がやってきた!
 母が亡く、父が外国にいる東サトル・サトミ兄妹にとっては、誕生日とならび、父の愛情を感じることが出来る数少ないイベントでもある・・・。
 
 いつも、兄妹ふたりきりの聖夜だが、今年はフットボール部の仲間たちとともに、西本邸でクリスマスパーティを開くことになっている・・・。
 そのクリスマスまで、あとわずかという、小雪の夜・・・・。
日本中が、恐怖した。少し早くやってきたサンタさんのプレゼントによって・・・。
 「メリー。クリスマス♪」2頭立てのトナカイのソリに乗り、空高く飛び回る、満面に笑みをたたえたいかにも温厚そうなサンタさん。しかし、彼が投下した「プレゼント」は、焼夷弾の雨だったのだ・・・・。そのうち1つが、西本邸のツリーに命中、炎上。しかし徹底的な防火対策をほどこされた西本邸は無事だ。
 「デストラーゼだ!」ただちに、病院施設を地下に格納した西本。
 そのころ、東宅では・・・・・。「うわぁ、どけ!」
部屋にクリスマスの飾りをつけようと、サトルはサトミを肩車して天井にイルミネーションを取り付けようとしたのだが、バランスを崩して転倒・・・。サトルの顔の上にサトミのお尻が落下・・・。そのとき、窓の外が赤く染まった。
 「あっ!町が燃えている!」氷点下だというのに、部屋着のまま飛び出す二人。5軒となりの西本家に行く前に、西本にぶつかる。
「サトルくん、サトミくん、デ」
遮るように「分かってます!行くぞ、サトミ!」「「オーケー!」
 『ビルド★アップ!』サトルとサトミの体が激しくスバークし、メガボウラーに変身した。
 不気味なサンタさんは、焼夷弾にまじって本物のおもちゃやお菓子も投下してくる。しかし悪げが全く感じられない。爆弾もプレゼントもクソミソ一緒に考えているようだ・・・。
 スカイパーツを装着した二人は、サンタさんに向かって突進した。
 すると、いままで微笑んでいたサンタさんの表情がガラリと鬼のように変わり、ムチで攻撃してきた。
 そして、逆に押された二人はあるビルの屋上に追い込まれてしまった。
「ふぉっふぉっふぉっ・・・。キミたちがメガボウラーですか・・・・。なにやらフットボール選手のような格好をしていますねぇ・・・。たしかにフットボールはアメリカが生んだ素晴らしいスポーツできみたちジャップには似合わない。しかし教えてあげましょう。真のアメリカ1スボーツが何であるかを・・・」
 サンタさんがムチで2頭のトナカイに電撃を与えた。すると皮がはがれてなかからメカが露出。さらに、前後に分離してそれぞれが人型に変形、前半分はやや小型・後ろ半分は巨大な等身大ロボに変わった。さらに、袋からリングを二つ取り出して投げつけると、そこにはバスケットボールのコートが出来上がった。
 「おしえてあげましょう。バスケットボールこそ、真の究極スポーツなのです。さあ、きみたち、懲らしめてあげなさい。」
 どこからか取り出したエネルギー球体をドリブルして突っ込んでくる敵。はげしく押される。それだけではない。リングにボールが吸い込まれると、そこから強力な円形衝撃波が発生し、メガボウラーを切り刻む!しかし、そこはスポーツ万能の2人。しばらくするとパスカットして逆襲開始だ。「ヘイ、サトル、パース!」
サトミのシュートが決まり、敵の一体にダメージを与えることに成功した。しかし、2対4では、圧倒的に不利だ。しかも、サンタさんまで、そのキングスライムのような巨体に似あわぬ軽快な動きで攻撃に参加してきた。ふたりのアーマーはボロボロに。
「サトミ、いっそ脱ぐぞ!」「オーケー」
2人はアーマーを脱ぎ捨て、軽装タイプにチェンジした。これで動きが軽くなる・・・・。「いつまでも敵のルールに合わせることはない!タックルだ!」
2人はザコにかまわず、サンタさんに突進した。ぼよーん、と弾んで吹っ飛ぶサンタさん。しかし本来こうした突進のためのアーマーを脱いでしまったふたりにもダメージが。露出した関節から火花を散らす2人・・・。いっぽう、サンタさんは・・・・。
「わたしを本気で怒らせてしまったようだ・・・。」サンタさんは巨大化してメカっぽくなる。そしてトナカイの上半身が変化したガード2体はさらに変形して腕に、下半身から生まれたフォワードは足に変形してサンタさんと合体、巨大化した。そのはずみで崩れるビル。
 そして、その崩れ落ちるガレキの中で、サトルとサトミも合体、ギガボウラーに。
 またしても、巨大戦に持ち込まれた。巨大化したサンタさんは、巨体と怪力を生かして、プレスをかけてくる。さらに、バスケットボール型のミサイルを乱射してくる。しかも、これは外れてもバウンドして当たるまでおってくるのだ。ギガボウラー、絶体絶命!
 そのとき、西本からの通信が入った。「サトルくん、よく見ろ、奴の左足から僅かに白煙が吹いているぞ!」
 それは、さきほどサトミのシュートで傷ついた選手が変形した部分だったのだ。「よし!」
  ギガボウラーは、コアフラッシュを逆流させて赤熱化し、一か八かの特攻タックルをそこにかました。大成功!もんどりうって倒れるサンタさん。左足は完全に破壊され、立ち上がることはできない。よし、とどめだ。こちらも体力を消耗している!チャンスは一度だ。グラビトン・ドリラー」
 ギガボウラーの両腕がドリルに変わり、サンタさんのどてっぱらを今、貫通・・・・。
「やめてー!」しかし、少女の叫びがそれをためらわせた。立ち上がれずもがくメカサンタさんとギガボウラーの間に、金髪の美少女が割って入ったのだ。
「御願い!おじいちゃんを助けて・・・!」この少女、サンタさんの孫らしかった。
 ギガボウラーは、やむをえずとどめをさすのを中止し、代わりに戦闘力を完全に奪うため、残る手足と肩のミサイル発射口を破壊した。そして、少女を収容してサンタさんを研究所に連行した・・・・。
 少女の名はデビィ。彼女によると、サンタさんは米陸軍の退役軍人・M・A・サンダース大佐。かつて歩兵師団の鬼隊長として兵卒たちを震え上がらせ、「ホワイトデビル」と呼ばれていたが、退役後は体とおなじように心も丸くなり、地元のハイスクールでバスケットボールのコーチをして余生を過ごしていたが、一月前突如失踪し、今回日本で暴れたサンタさんを見ておどろいて駆けつけたとの事。
 実は、大佐は選手たち4人とともに練習中、デストラーゼに拉致され、改造されてしまったのだ。デストラーゼは、クリスマスにうかれる地球人を見て、今回の作戦をたて、たまたま資料とした絵本にのっていたサンタさんに似た大佐を選んで改造したのだった。
 幸い、西本の逆改造手術は成功し、大佐は元のやさしい老人に戻ることができたが、将来を嘱望された4人の選手たちは戻らなかった・・・・。
 しかし、西本は悩んだ。いままでのデストラーゼにこのような卑劣かつ高度な作戦を立てることが出来る者がいただろうか?そして、スボーツ選手をモチーフにしたサイボーグを使うということは、改造をしたのは水野博士に違いないのだ。西本は、デストラーゼとの戦いが、新たな局面にさしかかったことを察知した・・・。
 さて、とりあえず平和がもどったその夜は、クリスマスイブ・・・・。
「メリー・クリスマス!」『本物』のサンタさんになった大佐とデビーを加えて、西本邸では、たのしいクリスマスパーティ。そこに、大きな箱に入ったブレゼントが3つ届く・・・。
 「まさか、またデストラーゼでは?」過度に反応した西本は、みんなを奥に避難させて、防護服を着てマジックハンドでこれを開封した。
「キャーハハハ!めりーぃ★くりすます」「クリスマスやでぇ〜」「なのれす!」なんと、なかからライトニング姉妹。の野口真里、乃木希美、神護愛が飛び出した。そして、宅配便の青年は、やっすぃ〜だったのだ。そして、姐さん、なっぴぃたち他のメンバーもやってきた。
 『う〜ん、たのしそうですねぇ・・。』あ!・・・・。永島首相まで駆けつけた!(もちろんおしのび)こうしてにぎやかな夜はさらににぎやかに・・・。
 歌声は夜半までつづいた・・・。しかし、いつのまにか一人消え、二人消え、気づくと誰もいなくなっていた。姉妹。にいたってはさっきまでここにいたのに、もうテレビに生出演している・・・。
 そして、シャンパンの飲みすぎでよっぱらつたサトミをおぶって家に帰ったサトル。その玄関には、二つの包みが届いていた。
 青い箱はサトル、赤い箱はサトミの名が。「おやじ・・・・。」それは、外国にいる父からのプレゼントだった。しかし、今年はいつもと違い、箱の大きさが違っていた。(ふだんはたいてい、フットボール用品、ボール、スパイク、メットなどが入っていた。そして、サトルのは今年もそうだった・・・。)
 次の朝、赤い包みをあけたサトミ・・・・。そこには、タータンチェックのスカートと手紙が入っていた。
「サトミ、おまえのことはいつも西本から聞いているよ。男手ひとつで育てたせいか、完全に男の子のようにになってしまったおまえだが、ついに「女」になったときいた。
いままで、女の子らしいことを全くさせてやれなくてごめん。でも、これからは体も女になったのだから、せめてこれを贈る。正月に帰る。そのときはこのスカートを穿いて迎えてくれると父さんはうれしいぞ。」
 「パパ・・・・・。」サトミは父の愛に泣きじゃくった・・・・。
 こうして、今年も終わっていくのだった。
 ちなみに、今年の紅白は長沢祐子率いる紅組がロートル中心の白組を粉砕・・・・。