練習が休みのある放課後・・・。東サトル・サトミ兄妹は、西本クリニックへの定期健診にやってきた。生体サイボーグである二人は、毎月必ず、生体部分の成長・変化とメカの機能の整合・調整のため、クリニック地下の秘密病棟に通うのだ。
特に、成長著しい年代でもあり、ちょっとした身体の変化にメカが追いつかず、拒絶反応や故障を引き起こすことも多々あり、設計・改造をした西本の予想を遥かに上回る成長に、彼を大いに悩ませていた。 殊に、サトミの変化は劇的で、1年前とは顔を除き全く別人ではないかというぐらい、体つきや筋肉が変化しており、かつて双子の兄・サトルに合わせて同じように改造したメカ部分との矛盾はもうごまかしや微調整では済まないほどになってきている。というより、1年前は、兄と全く同じような体だったのだが・・・。
検温が終わり、身体測定も終えた二人は、いよいよ裸になり、メカ素体サイボーグへとの変身の準備に入る。
「サトミ!か、隠せよ・・・」「えー、なんで〜?」
兄のサトルが赤面してしまう。幼い頃から毎日、見飽きたはずの妹の体。しかし余りにも大胆。サトルでさえ、西本の前で手で一物を隠しているのに、大股に足を広げて髪の毛をいじっているサトミのあの部分は、ぱっくりと半開きになり、幼児のペニスほどもあるクリトリスがひょこっと顔を出している。胸にはコリコリとした感じの小さな乳房がついている。こちらのほうは、17歳の少女のものというよりは、小学4〜5年生の乳房のような、発展途上の未熟なものである。が、しかし、1年前は、それすら無く、平らな筋肉質の胸板だったのだ。
ビルドアップのポーズを取り、エネルギーを集中・逆転させた二人は、悶え苦しみながらも、素体に変身していく。まずヘソのあたりに埋め込まれているコアに力が入り、そこから放射状にエネルギーが広がり、同時に二人の生身の細胞が分解されて、コアの中に吸い込まれていく。そして、逆にコアそのものが、やがて人型になり、白銀に輝くサイボーグが誕生する。最後に、顔の部分にだけ皮膚と頭髪が揃い、変身は完了。いつもは、この変化と同時に装甲パーツを装着し、メガボウラーになるのだ。
素体になったサトルとサトミは、先ほどの生身の姿の時と違い、寸部違わぬ同じ形になっていた。
ただし、頭はもちろん、二人のそれぞれの顔になっているほか、サトルの股間には人工ペニスが、(排水パイプ兼武器取り付けアダプター)、サトミはその部分が観音開きの装甲になっており、こちらは、過剰なエネルギーの放出のための非常弁として機能しており、生殖機能はモチロン、その擬似行為にも使う事の出来ない全くのダミーである。しかし、これがあるのとないのとでは、精神上大いに違いがあり、はじめここを二人共通の四角い箱に置き換える実験をしてみたところ、精神波が乱れ、変身を維持できなくなるという結果が出た。つまり、メカに置き換わろうとも、自分の体についているはずのものが無い、ということは、違和感を強く感じるという事なのだ。しまた、サトルの体は、僅かに青みを帯び、サトミのは淡いピンクが掛かっている。これは、メカ細胞が二人の生体細胞と結合している証拠で、メカ細胞は、男性ホルモンと反応すると青、女性ホルモンと反応するとピンクに輝くのだ。
装甲パーツは予備を含めて何組も生産されており、こちらも全く同じ仕様になっている。つまり、量産効果でコストを削減するとともに、いざというときの部品交換をスムーズにしているのだ。
その素体は、1年前の二人の肉体のデーターを元に、メカに置き換えたものだ。したがって、妹のサトミの体も、当時の彼女の体同様、女性でありながら、男性型の構造になっており、乳房に当たる部分には膨らみがなく、胸板にコンプレサーが埋め込まれているだけだ。これは、人工肺の役目を果す。だが、最近この部分の違和感を戦闘中に感じる事が出てきた。それは、彼女に乳房が出来たからである。
サトルも含めて、アーマーが窮屈に感じるようになったのも、成長のためだ。もし二人がサイボーグではなく、純然たるアンドロイドならば、そのような感覚は無い。全身全てメカであっても、彼らが生身の人間でもあるからなのだ。しかしこの一見完璧なサイボーグシステムが、二人の急成長により破綻しようとしていた。
さて、胴体から切り離された二人の首は、栄養液や生命維持装置につながれた台座の上に固定され、自分たちの「補修」作業を見物する事になる。
四肢ばらばらに分解された素体は、それぞれ圧縮率やギアの損耗、電気回路の点検、アタッチメントの交換などの試験をうけ、コアには試薬が注入され、中に入っている生体細胞の安定を測定している。
突然、サトミの首が「ひぎぃ!」と声を立てた。エネルギー放出回路がこじ開けられ、そこに試験装置が差し込まれたのだ。ばらばらにされたとはいえ、胴体と頭はケーブルで結ばれており、しかも、その部分は、彼女の女の部分が置き換わったもので、その感覚はまったくそのものなのだ。
その上、彼女は、過去の戦闘において、触手攻撃や女性型サイボークのバイブ攻撃は受けたものの、生体時・メカ時を通じて一度も男性経験の無い、バージンであり、検査道具とはいえ、そこに異物が差し込まれていることは、激痛と嫌悪感を伴う耐え難い刺激であった。また、初潮が遅かった彼女には、タンポンの使用経験もなく、その後月経のたび血を噴出していた。
「さとみ・・・・」心配そうに見つめるサトル。
やがて、全ての検査が終わり、マジックハンドで組み立てられていく二人の体。最後に、首とドッキングすると、培養液の中に漬かり、元の生身の体に戻る。これを、彼らは毎月欠かさず行っている。
隣室の工場ではアーマーの試験が行われていた。
今回の調整では、サトルの身長のアップに合わせて素体の大きさを(ジョイントを伸ばして)調節したもののサトミの変化には対応しきれなかった。
しかし、西本は、今日の検診の結果を元に、サトミのための新装備を開発した。
そして、その数日後、生理痛で再び西本のところへやってきたサトミに、娘のみゆきもつきそっていたが、みゆきは、サトミにタンポンの使い方を教えた。その説明が終わり、衣装を整えたところに、西本が、新装備を手に、やってきたのだ。
「サトミくん、タンポンの使い方と使う時期が分かったようだね。では、今度から、メガボウラーになったときは、これを使いたまえ」
その「新装備」は、タンポンに似たメカであった。説明によると、この装置を股間にセットしておくことにより、生体エネルギーの暴走を抑え、余分なエネルギーを吸収するほか、逆にエネルギー切れのときの予備バッテリーとしても機能し、メカの体と女の体の矛盾する部分の中和の役目も果す、万能ステックであった。しかも、これが入っていれば、ほかに挿入できないため、貞操も守れるというすばらしい装置だった。素体を改造することなく、別パーツで実現したことになるが、それは、サトミの下腹部のこのデットスペースを活用できないかということと、娘がトイレのくずもの入れに捨てたタンポンがヒントになったのだ。
「よかったね、サトミちゃん」
「よーし!いっちょ、やったるか」サトミは新たな装置を手に、天に向けてガッツポーズした。
さて、この新装備の実効は如何に・・・・。
サトミの新装備